いよいよイベント初日だね! -???side-
こんな物語あったらいいなあと思ったら、小説を書き始めました。
趣味全開のご都合主義で進みますので、温かく見守って頂けると幸いです。
誤字脱字等ありましたら、ご報告よろしくお願いします。
記念すべき初イベントの初日。
別ゲームで知り合ったフレンドと広場にて待機していると
パッパラパッパッパーパラパラパー
イベント開催を告げるファンファーレがワールドアナウンスで鳴り響く。
いつの間にか空中に神々しい雰囲気の影が浮かび上がっていた。
ポ〜ン。
[やぁ、プレイヤー諸君。《Infinite possibilities Profession Online》“通称《IPO》”の初イベントにこんなに大勢集まってくれて感謝する。…………さあ、待ちくたびれてきた頃だろう。そろそろ宴の時間を始めよう!徹底的に侵略するも良し、同盟を組んで友好関係を築くのも良し。君たちの奮戦を期待する。]
と何やら長々と話していたが、元々公開サイトを読み込んでおいたし、新要素も後から詳しい説明があると聞いた時点で聞くのをやめていたので、途中をボケ〜っと聞き流していた。
ポ〜ン。
[間もなく特殊フィールドへ転送が開始されます。まだ登録されていないプレイヤーの方で参加する意志のある方たちは種族を公表している特殊種族の陣営にランダムで転送されてますので、ご了承ください。]
また別のアナウンスがなり、チラリと隣にいる人物を見た。フードを被っていて表情はよく見えないが、……特に緊張とかは無さそうだ。
「じゃあ、俺はランダム転送になるみたいだから、向こうに着いたらメッセージをくれ。その後合流で大丈夫だよな?」
「わかった。それで大丈夫。貴方が来るまでにトーテムポールを探して壊されないようにしておかないと。」
「おぉ、じゃあ向こうで。」
と言って、隣にいるフレンドにヒラヒラと手を振る。ナイスタイミングで転送が始まった。
[では、楽しい時間をお過ごしください。カウントダウン開始。30、……10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、転送スタート。]
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ポ〜ン。
[転送が完了しました。これより1週間はイベントルールに則って進行されます。良きイベントライフをお過ごしください。]
「よっ、と。」
着いたみたいだな。
まずはどの辺に転送されたのか確認してあいつの領域を探す所から始めるか。
なんか、すごく気持ち悪い空模様だな?半分夜空で、半分青空って。……あ、ここは境目にある無の領域なのか。気持ち悪いけど分かり易くて良かったな。気持ち悪いけど。
さてと、あいつから連絡が来るまでは青空の方に向かって進むか。
それに特殊種族の領域はその種族特性で多少変化しているとあいつは言ってたし。
吸血姫率いる吸血鬼の2名合同領域だと新月の常闇で、狼人間の領域だと満月の夜なんだとか。あいつ以外の残りもう1人の特殊種族は機械族だったか?
これは掲示板情報だから過信し過ぎない方がいいとあいつは言ってた。私は自然豊かな森の領域でお願いしたと。それに特殊種族の事前情報として今回は四角いドーナツ状みたいになってて、それぞれの領域の境目に無の領域が入っているの計8つに分かれているのだとか。
真ん中は?と問いかけると、真ん中もあるけど、私じゃ検索出来なかった。種族権限が足りないって言われたけど、そう返事があるって事は誰かの領域なんだろうね。と言っていたが……。
なんて思いながら歩いていると、突然、中央付近が眩く光り出す。
なんだ?!
やっぱり真ん中か!あいつが検索出来なかったなんてどんな種族なんだよ。
それより連絡はまだか!?
ピロン♪
<遅くなってごめん。真ん中の領域で起きた現象に気を取られて今になった。私の領域はマップの左上。色々話したいから出来るだけ早めに来て。>
噂をすれば来たか。先に返事を返さないとな。<了解!>っと。
そこでマップを確認する。
マップの左上っていうと…おっ、だいぶ近いな。
俺がいたのはちょうど左中の無の領域だったのか。
あいつとさっきの現象について話したいし、急ぐか!
15分くらい走っただろうか、今まで常闇と昼間の空が半々で別れていた視界が青空だけになる。
そして、目の前には森が見えた。
お、ここがあいつの領域か?
迷いそうな森だな…。一先ず、あいつに合ってるかどうかの確認だけするか。
<迷いの森みたいなところの入口付近に着いたが、ここは言ってた領域で合ってるか?>
これでよしっと。
返事はすぐに届いた。
ピロン♪
<合ってる。けど、妖精に頼んで道案内してもらうから勝手に動かないで。正しいルート以外は私が許可するまで彷徨う事になるから。>
うへぇ、怖いわ!
そんな物騒な森作るなよ〜。
いや、その方がいいのか。侵入者にいちいち対応しなくていいのは楽だよな。
なんて考えてると、不意に見られている気配を感じた。
バッと辺りを見渡すと、森の入口付近の木から妖精が覗いている。
この子があいつの言ってた妖精か?
「君が道案内の妖精か?」
聞いてみると、コクリと頷く。
そして後ろを指差しつつ、こちらをチラチラ見ている。こっちに来てって事か?
まあ、『妖精言語』なんて持ってないからジェスチャーはありがたいんだが。
右へ左へとクネクネ進みつつ、後ろに付いてしばらく歩くと、森が開けて花畑が広がっていた。
「おぉ、なかなか壮観だな〜。」とつい、口に出すと、「そうでしょ?結構気に入ってる。」と返ってきた。
バッと後ろを振り向く。
「急に後ろから声を掛けるのは止めて欲しい……。気配察知は得意な方なのに、なんで毎回気づけないんだ?」
「ふふ。妖精と精霊のおかげね。この子達は普通の種族には察知出来ないみたい。」
「そうなのか。……そう言えば、この世界の伝承で気に入って貰えないと姿を現さない。と言われてるもんな〜。」
「そういう事。さて、アイスブレイクもここまででいい?さっきの事について話しましょう。」
「おう。1番の問題はどの種族かと友好的かだよな?」
「そうだね。掲示板で調べてみたけど全員が全員、見えた訳じゃないみたい。特殊種族だけって訳でもない。そこが不思議。ただ、さっきの現象の後、私と仲良くしてくれてる妖精と精霊がすごく嬉しそうだったのが印象的だった。」
「一定の種族だけに見えた現象か…。特殊種族でもない俺にも見たし。そして、妖精と精霊が嬉しそうにしてたってのも気になるな……。」
「どんな種族なんだろうね?妖精達に聞いてみたら自分たちからは勝手に言えないって言ってた。」
そこで2人とも思考に耽り、辺りを沈黙が支配し、風の音や木々の葉が擦れる音しか聞こえなくなる。
妖精たちが敬う種族であるこいつにも言えないって相当じゃないか?
環境変動が起こせる種族なんて把握してる中にいなかったぞ。真ん中以外の領域はどんな種族か把握してるから分かるが、あいつらは無理だろう。
……これ以上は考えてても仕方ないし、明日真ん中の領域に行ってみるか。百聞は一見にしかずっていうからな。それにどんな種族で職業なのか、個人的に興味ある。
よし、相談して良さそうだったらそうするか!
「なぁ、今日はもう今からじゃ遅いし、明日早目に見に行ってみないか?良ければだけど。」
「……いいね。私もそう言おうと思ってたところ。食べ物の準備は任せて。拠点の場所決めはお願いしていい?」
「おう。見渡しが良くてトーテムポールがある場所がいいと思うんだが……あるか?」
「あるよ。こっち。」
そう言って動き出したので、あとを着いていくこと少し、開けた場所があり、花畑に囲まれた丸太の様な柱が見えた。
周りは木々に囲まれていて周辺確認が良くできないが洞窟のような洞穴が木に出来ていて、そこで休めそうではある。
「これがトーテムポールか?案外普通の木みたいな見た目なんだな〜。」
「うん。これは私の領域だからだね。」
「…って事は領域によって見た目が変わるのか?」
「うん、そうみたい。石柱になったり、鉄製だったり、色々あるみたい。」
「外観、結構凝ってるな。周囲環境と紛れやすいのはいい事だと思う。俺たちはのんびりしてるが他の奴らにとってはランキング順位を決める争いだからな〜。」
「順位なんて興味ない。そもそも今回イベントの趣旨はおそらくだけど、プレイヤー間の交流目的だと思う。」
「そっか。同盟ありって言ってたしな。それに事前に公開してないと一般種族を仲間に出来ないなんて、普通だったらおかしいよな?」
「そういう事。一騎当千の特殊種族なんて今の所いないはずだし、普通は弱みになる情報は隠すものだと思う。」
「だよな?俺は未だに職業も種族も秘密にしてるからな〜、ただ1人以外には。まあ、スキル構成自体は極秘だけどな。」
「私のことだね。信頼してくれるのはありがたいよ。私も全部教えてる訳じゃないから。それくらいがちょうどいい。」
「そうだな。」
と、火起こしの準備をしながら話す。
魔術で火をつけれるから枝を拾ってくるだけなんだけどな。
火を起こし終わると各々好きな様にご飯を食べる。プレイヤーはインベントリーがあるから楽でいいよな。
食べ終わった後は寝る事にする。
明日は早いし、しっかり休まないと例えゲームの中だとはいえ疲労は溜まる。その辺は本当に変にリアルだよな。このゲーム。もちろん、褒め言葉だが。
さて、明日はどんな1日になるか楽しみだな。
なんて、考えながら眠りについた。
多忙で少し遅れました。
本当はもう少し早く出すつもりだったのですが……
次は1週間後くらいになりそうです。




