別離
夜のドライブへ出かけた。
アナタとの電話を切った後に。
たぶんこれが最後になるだろうと思って、とことん話し合った。
別れたいと言い出したのは私。
アナタは私の我儘だと思っているでしょう?
だから、私はアナタと別離るのよ。
いつもそう。
私の気持ちは置き去りでアナタの願いばかり叶えてきた。
アナタはそれを当たり前だという。
その当たり前は私の我慢の上に成り立っていた事に気づきもしなかった。
何度も出したSOSをアナタは無視したんだから。
わからないかな?
毎日…一分一秒ごとに私の気持ちは離れていって、空気が澱むように…何かが腐って落ちるように…あの時のトキメキが嘘に変わっていく。
これ以上、アナタといて幻滅したくなかった。
心の底から憎む前に別離ることにしたのよ。
これはきっと私の最後の優しさ。
アナタとの電話を切って、肩の荷が降りたような心地がして体がフッと軽くなった。
やっぱりこれで良かったんだ。
私は新しく道を選んでここから進んでいく。
アナタは…まぁ、好きにやってちょうだい。
真っ暗な道をアテもなく車を走らせた。
車内に流れる音楽。
全てが何故か応援歌に聞こえた。
真っ暗な道なのに明るく開けた道に見えた。
これはきっと錯覚でも幻でもない。
さぁ、これからの私の幸せの為に走り出そう。
苦しくて逃げ出したくなるような事もあるだろう。
辛くて涙が止まらない日もあるだろう。
その時は立ち止まって少し休めばいい。
…きっと大丈夫。
帰り道、登る朝日を見た。
キラキラ輝く朝の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで、「よしっ!」と気合いを入れる。
ここからがスタートだ。
私の今日はきっと昨日よりも明るいから…