~受話器で命を救えるんです!~
11月15日の事・・・。
10歳の岩田翔次が友達と部屋で奇声を上げていた。
自分でも何をしているかわからなかったらしいが・・・まあいいとしよう。
そうしていると、ふすまの中から聞いたこともない煩い衝撃音が聞こえた。
その時、翔次には何とも言えない恐怖感を帯びた好奇心を感じた。
彼は徐に襖を開けてみた。
中には電話機に似た何かがあった。どうやら上に落ちてきたせいで、ほとんどぶっ壊れているようだ。
辛うじてまだ残っている受話器を握ると・・・
目の前がゆがんでいく。もはや何も見えない・・・・・・・・・
目が覚めたみたいだ・・・
どこだここは。なんなんだここは。
カレンダーを見てみる。
"2005年11月14日"・・・?
「えっ・・・嘘。夢だよね?」
翔次は2020年11月15日朝のニュースを思い出した。
「山西市少女刺殺事件から15年です。被害者の山口美弥さん十歳は、親もいなく、路頭をさまよっていたそうです。11月15日に起きたこの事件は、とても残虐な事件で、忘れられるものではありませんね。」
淡々と読み上げるニュースキャスターの後ろに、美弥ちゃん・・・?の写真。
なんでこんなきれいな子がこんなことされるのか不思議だった僕は、どこにも遣る瀬の無い怒りをためていた。
あれ、あそこの女の子はだれだろう。もしかして・・・