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良さげなタイトルが思いつかず、あのような長文タイトルになってしまった事を、この場をお借りして謝罪致します。
開幕早々、謝罪をキメてしまい、大変申し訳ありませんでした。
どうも皆様、自称売れっ子なろう作者の、田中=モブラヒモ=シェフチェンコビッチ郎と申します。嘘です。そんな名前で活動したことはありません。ただのしがない素人作者にございます。
挨拶も済みましたので、早速本題へ入りたいと思います。本作はタイトルにある通り、長文タイトルについて書いていきます。
よろしければ、最後までお付き合いくださいませ。
さて、昨今【小説家になろう】では、タイトルが文章のように長い作品を多く見かけますね。
ランキングに載る人気作から、新規投稿の出来たての物まで、ジャンルを問わず、様々なところで散見されているので、改めて申し上げるまでもないでしょう。
一部では、こういった長文タイトルの作品を「あらすじタイトル」と呼ぶ人もいるそうです。
確かに、どの長文タイトルを見ても、その作品を構成するキーワードで形作られているので、どのような物語であるのか、だいたい察することができます。
こういった、ひと目で自分の読みたいものかどうか分かる取っ付きやすさが、読者の人気に一役買っているのかもしれません。
視点を変えて、作者側の目線で長文タイトルを見るならば、大まかな話のあらましを書けばそれがそのままタイトルになるので、変に意識せずに作品に付けやすいという、心的ハードルの低さも魅力の一つでしょう。
しかし中には、こういった長文タイトルを「長い」「目障り」などと感じ、不快に思われる方もいます。ぶっちゃけ、私もたまに、そう思う時があります。
スマホでなろう作品を検索している時は、パソコンよりはるかに画面が小さいので、長文タイトルの作品一つで画面がほぼ半分埋まるなんて現象も、稀によく見ます。というか、この作品のタイトルが正にそうですね。
他には、日本語の使い方が怪しかったり、文章として成立していない長文タイトルなども、目障りと思われる理由の一つかもしれません。
自分の場合、なにを言いたいのか分からないポルナレフな長文タイトルの作品を見つけてしまった時は、あまりの支離滅裂さに逆に気になってしまい、ついついページを開いては後悔する、という経験が何度かあります。クソノベルハンターあるあるとして、ご同業の方ならばきっと理解して頂けるでしょう。自分以外に名乗ってる人を知らないですけど。
このように長文タイトルとは、インパクトや分かりやすさ、タイトル作成の容易さというメリットがあるのと同時に、作者の文章力やセンスを初めから晒していたりもするんですね。
実際、先程も述べた通り、私は長文タイトルの出来を目安にして、読む作品を選んだりしています。
そもそも『作品のタイトルを長文にする』という、この手法が広まったのは、一体いつからなのでしょうか?
かように長文タイトルの作品が多く存在している以上、その始まりとなり、多くの人に影響を与えた、長文タイトルのパイオニア的な作品があるはずです。例えば、なろうで異世界転生や悪役令嬢などと言ったジャンルを確立させた作品があるように、長文タイトルの草分け的な存在が。
では、昔から存在し、かつ多くの人が名前を知ってるほど有名で、長文タイトルな作品と言えば、思い浮かぶものはなんでしょうか?
私の場合、真っ先に名前が思い浮かぶのは、人気少年誌、週間少年ジャンプで連載されていた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』通称『こち亀』です。
言わずと知れた世界一の長寿マンガであり、第一話が1976年に掲載されて以来40年間休まず連載され、単行本の巻数は他に類を見ない、圧巻の全200巻を記録。間違いなく、漫画史に残る一作でしょう。
そして肝心のタイトル文字数はというと……14文字になります。
あれ、なんか少なくない? と思った方は、なろうの長文タイトル作品に慣れて、感覚が麻痺してるだけです。もしくは漢字が多いので、そう錯覚しているだけでしょう。
タイトルを口に出して読んでみてください。「あ、長いわ」ときっと思うはずです。そして「派出所って言いにくいな……」とも思うはずです。急に関係ない話してすみません。
話を戻しますが、昔放送されていたこち亀のアニメのエンディングでも『このアニメのタイトルが、こんなに長いのなんでだろう?』と歌われていたので、長いと感じる人がいたのは、確かです。それにしても変わった歌ですね。
そんな、タイトルも連載期間も長い『こち亀』ですが、しかし、こち亀を意識したような長文タイトルの作品は、寡聞にして存じません。
そもそも、なろうどころか、ネットすらない時代から連載されていた作品です。長文タイトルという、使いどころが限定されているものが、ミームとして拡散、普及する環境がそもそも整っていません。
加えて、ネットが普及したあとも、『こち亀』自体がそれまで長年安定して連載されていたので、タイトルが長いという特徴も、『そういうもの』として完全に定着してしまい、長文タイトルが単体で話題になる機会がなかったのではないでしょうか。
よって、『こち亀』は長文タイトルの始祖ではあるが、長文タイトル自体を世間一般に広めたのは、また別の作品であることが推測されます。
それでは、現代のネット社会になってから、長文タイトルで広く認知された作品と言えばなにか?
そこで思い出すのが、こちらの作品。
2009年12月に発売されてから徐々に人気を増やし、ついにはニュースやバラエティーでも取り上げられ、空前のヒットを生み出した『もしも高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』です。
長い……これは長い! 文字数も余裕で30字を越えています。十年経ったいま見ても長く感じるのは驚きです。
当時「この本タイトル長すぎワロス」と話題になっていたのを、かすかに覚えています。
そしてなんと言っても、タイトルが分かりやすい。
高校野球の美少女マネージャーがマネジメントの本読んで野球部のむさ苦しい野郎共を手とり足取りマネジメントするんだなと、一発で分かります。なんだかほのかに、エロスを感じますね。
失礼、取り乱しました。
気を取り直して続けて参りますが、『こち亀』のタイトルと比べてみると、現在のなろうの長文タイトルの主流に、より近い文体なのが見て分かりますね。
そんな堂々とした長文タイトルなこの作品の気になる発行部数は、なんと三百万部越えのミリオンを達成しており、日本での売り上げは、当時人気だったあのハリーポッターをも越えています。まさに記録的な大ヒットだったんですね。
ビジネスに関連したお堅いテーマを扱っているにも関わらず、本来は興味がないであろう一般層にも波及し、世間に広まったのは、長文タイトルゆえのインパクトと分かりやすさが、一因を担っていたかもしれません。
……と、ここまで絶賛しておきながらアレですが、実は私、この作品、いっさい読んだことがございません! ハリポタ買ってました! なのでこの作品について語れる事がもうありません! すみません!!
というわけで、流行に疎い私のポンコツな所感ではありますが、この作品が人気を博した2010年辺りから、長文タイトルのラノベを見かける事が、多くなったように思います。
ではそれ以前に長文タイトルの作品は存在しなかったのかというと、そんな事はございません。
『もしドラ』発売以前の作品で、長文タイトルな人気作というと、タイトル文字数16文字の『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』略して『俺いも』が該当します。
今もなお、新作ゲームや外伝書籍が発売されていたりと、長く愛されている人気の作品です。こちらは私も、原作全巻持っております。好きなキャラクターは沙織・バジーナ。ちなみに、例のクリスマスの件については、ヤッてる派です。異論は認める。
私もファンのこちらの作品は、2008年に初版が発刊されております。なので、『もしドラ』よりも一年先輩に当たりますね。
しかしこの頃は今みたいに、表紙の背景や背表紙を文字で埋め尽くす勢いの長文タイトル作品は、まだまだ少なかったかと思います。
と言っても、『俺いも』は約五年間に渡り連載され、本編が完結したのは2013年です。知名度や連載期間などを考慮すれば、この作品が長文タイトルの普及に、大なり小なり影響を与えていたとしても、納得できる話ではないかと、私は思います。
いずれにせよ、2010年頃には、長文タイトルが一般的になる下地は、既にできていたようです。
それから月日を経て、十年後の2020年のなろう市場では、先にも述べた通り、長文タイトルの作品が数多く生み出されています。
ランキングでも、20文字越えは当たり前、30文字超の長文タイトルを目にする事も、珍しくなくなりました。
なろうはそのタイトル通り、小説家の卵たちが多く集まる場です。そういった初心者の作者さんたちにとっては、自分の作品にタイトルをつけるのも一苦労です。
「このタイトルで投稿していいのか?」
「このタイトルで意味は通じるだろうか?」
「このタイトルで興味を持ってくれるだろうか?」
などなど、タイトルを一つ付けるだけでも、様々な苦悩がそこに生まれるでしょう。
タイトルとは文字通り題する名前であり、一番最初に読者の目に触れる部分です。作者としては、ここで躓いてしまってはそれこそお話になりません。
そんな中で長文タイトルとは、初心者でも作品を分かりやすく表すことができて、なおかつ読者の関心も引きつけられる、非常に使いやすい優れた手法なのです。
だからこそ、いまも多くの作者が、自分の作品に長文タイトルをつけている、というのが私の勝手な考察です。
と、ここまではおおよそ長文タイトルについて肯定的に書いてきましたが、もちろん、長文タイトルに忌避感を抱く方の気持ちも分かります。
こちらは例えになりますが、「作品の説明をしたいなら、あらすじで書くべきだ」というような意見を別の場所で拝見したことがあります。至極もっともな意見です。
名は体を表すと言いますが、タイトルは正に作品の名前であり、自己紹介の場ではありません。
人間で言うならば、『田中=なろうで書いてます!!よろしくお願いします=シェフチェンコビッチ郎』という事になります。これは改名まっしぐら。
更に付け加えるなら、従来の、いわば”普通”のタイトルの良いところは、作者の感性がいかんなく発揮されたものなどは、作品のテーマや内容にビシっとキマっていて、長文タイトルには絶対に出せない、カッコよさや奥深さがあります。そういった作品のタイトルは得てして、何年経っても深く記憶に残るものです。
長文タイトルがそうでないとは一概に言いませんが、長いタイトルは覚え難いのも事実です。
長文タイトルは、言ってしまえば文字の羅列であり、そういったものは余程印象的でない限り、ひどく記憶に残り辛いものです。
なろうの作品は特に長文化が進んでいますから、一語一句間違えずに題名を覚えようとすると、もはや暗記の修行に等しい行為です。
そしてこれまで語ったとおり、長文タイトルは言わば初心者向けです。ですがそれは、場合によっては幼稚や稚拙とも言い換える事ができてしまいます。日本語として文章がおかしい長文タイトルなどが、いい例でしょう。
ですが先述した通り、なろうで作品を投稿している作者のほとんどは、人に読ませる文章を書く知識や技術、または経験が未熟な初心者の方がほとんどです。多少の誤りがあっても、責められるほどの事ではありません。
それに、なろうでは学生から大人まで、様々な考えを持った方が、作者として、または読者として集い、独自の環境を作っています。そんな中には、普段は本を読まない、という方もいるでしょう。
であるのならば、タイトルが長くなっても、多少文章的になったとしても、そういう表現の仕方があってもいいのではないかなと、私などは思うのです。
……と、だらだらと説教臭く語ってしまいましたが、本文が五千字を越えそうなので、そろそろ切り上げたいと思います。長いのはタイトルだけで十分でしょう。
それでは、最後までご読了いただき、ありがとうございました! 以上、縦横無尽に横切るモブでした!
10/06 本日、いつもの様になろうのランキングを眺めてたら、やたらとけったいな長いタイトルの作品を見かけて『うわタイトル長っ』と、思ったら自分の作品でした……。
なにはともあれ、評価ポイントを押してくれた方々、時間を割いて読んで頂いた読者さんに改めてこの場でお礼を申し上げます。ありがとうございました!