ハイテンション絵里ちゃん
女王様姿のクイーンという衝撃的な仲間ができた翌日、いつもの場所で絵里ちゃんが待っていた。
「あ! 麻衣ちゃん!」
おお?
どうしたんだろう?
今日の絵里ちゃんは、普段ではあまり見ないくらいテンションが高い。
「おはよう! 今日はいい日だね!」
「そ、そう?」
絵里ちゃんにそう言われてあたしは反射的に空を見た。
どんより曇っている。
「あんまりいい天気じゃないかな?」
「天気の話じゃないよ。今日は凄くいい気分だなってこと!」
「そ、そうなんだ」
凄くいい気分?
なにか良いことでもあったのかな?
「淳史君もおはよう!」
「あ、ああ。おはよう」
今までになくテンションの高い挨拶をされた淳史も驚いてる。
絵里ちゃんって、いつもお淑やかに微笑んでるイメージだもんね。
戸惑うのも分かるわ。
「おっす!」
「おはよう! 裕二君!」
「お、おう?」
あ、裕二も絵里ちゃんのテンションに目を白黒させてる。
「え、絵里? どうした? なにかあったのか?」
そりゃあ気になるよねえ。
幼い頃からずっと一緒なのに、こんなテンション高い絵里ちゃんは見たことない。
「ねえねえ絵里ちゃん、なんかあったの?」
「んー? うふふ」
絵里ちゃんはそういうと、人差し指を口に当ててウインクした。
「ないしょ」
そんな仕草も、いままで見たことない。
「ちょ、なんだよそれ!」
「うふふ、なーいしょ!」
「絵里ー!」
裕二と絵里ちゃんが戯れるのを、あたしと淳史は呆気に取られて見ているだけだった。
「絵里ちゃん……テンション高過ぎでしょ」
そう呟くが、淳史からの反応は無かった。
「……あの笑み……まさか?」
「淳史?」
「え? ああ、すまん。なんでもない」
「? そう」
変なの。そう思いながら、戯れている裕二と絵里ちゃんを追い、学校に行くのだった。