マインで固定されたようです
書籍化にあたり、タイトルを変更しました。
よろしくお願いします。
ネルがマルと一緒に戻ってきた。
「話は終わった?」
「ああ。ギデオンの浄化も済んだことだし、これで解散しようか」
戻ってくるなり、ネルはもう帰ろうと提案してきた。
「そうね、女王様には色々と聞きたいこともあるけど……」
「ふふ、わたくしのことは女王様ではなく「クイーン」と呼んで頂けるかしら?」
……コイツ。
「はいはい、分かったわよクイーン。これからよろしくね」
「ええ、こちらこそ。それで、あなたのお名前は?」
「魔法少女マインさんです!」
「ちょっ! アリーサ!?」
なんでそんなこと言っちゃうのよ!?
「そう。よろしくねマイン」
あああ……もうクイーンの中であたしがマインで固定されちゃったよ……。
「それで、忍者さん。あなたは?」
「……我は忍だ。名乗る名は持ち合わせておらん」
痛っ!
痛すぎるぞNINJA!
そもそも、忍なら表に出てこないで忍んでろよ!
「ふふ、忍とは闇に生き、闇に死ぬ者……名乗れないのは当然ね」
クイーンも乗ってんじゃないわよ!!
「はあ……なんだろう、メッチャ疲れたわ」
「え? お姉さん、今日はなんにもしてないですよ? なんで疲れるんですか?」
「色々あるのよ。色々……」
「ふーん」
「じゃあ、そういうことで、あたしたちは帰るから。クイーン、今日は譲ったけど、次は早い者勝ちだからね」
「ええ、分かったわマイン」
「ぐっ……それじゃあね!」
最後の最後に心を抉っていきやがってぇ……。
ああ、もう!
早いとこギデオンを全滅させないと、あたしの心の平穏が訪れないよ!!
今後より一層率先してギデオンを浄化してやると、あたしは心の中で誓った。
◆
「さてと、それじゃあわたくしもお暇させていただくわ」
「うむ」
「ああ、それから」
「なんだ?」
「あんまりあの子をいじめちゃ駄目よ?」
「なんだと?」
「ふふ。それじゃあね、忍者さん」
クイーンとマルは、そう言って忍者の前から飛び去って行った。
その後ろ姿を見ながら、忍者は思案していた。
「さて、私たちも帰りましょう……どうしたの?」
「いや。なんでもない」
何事か考え込んでいた忍者だったが、メルの言葉で我に返ると頭を振った。
「そう。なら行きましょう」
「ああ」
そう言ってビルの屋上から飛び立つ忍者。
だが、クイーンが去って行った方向を見ながらポツリと呟いた。
「クイーンは……アイツの知り合いなのか?」
その呟きは、メルにも聞こえていなかった。
活動報告にお知らせがあります。