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変態の巣窟

 マル? とあたしが疑問に思っていると……。


「……お久しぶりです隊長……」


 ネルそっくりの可愛らしい、緑色したぬいぐるみみたいな生き物が、女王様の後ろから現れた。


 そりゃそうか、この女王様はコスプレやそういうお店の人ではなく適合者。


 ってことはサポート人員がいるよな。


 現れたそいつは、声からして女の子なんだろう。


 声の感じは、NINJAのサポートであるメルよりも年若い感じ。


 だけど、理想を言えばもうちょっと若い感じなら丁度いい感じだった。


 微妙に年齢が上な感じなので、それが余計に違和感を増幅させる。


 マルと呼ばれたそのぬいぐるみは、おずおずといった感じでネルの前に現れた。


 その様子は、若干怯えているように見える。


 なぜ?


「マル。これはどういうことだ?」

「ど、どうとは?」


 突如始まったネルのお説教に、マルは身を強ばらせた。


「なにを惚けている! なぜお前の担当がこんな姿になっているんだ!」

「知りませんよ! 変身したらこうなってたんですから!」


 あー、ネルのお怒りの原因はそれか。


 そりゃそうだよな、魔法少女二連発にNINJAときて女王様だもんな……。


 宇宙から来たネルからしてみたら意味が分かんないだろう。


 いや、あたしたちも、なんで女王様なのかは意味が分からないけれども。


「そもそもこれはなんだ!!」

「だから知りませんってば!! それを言うなら、隊長の担当だってこんな変な格好してるじゃないですか!!」

「むぐっ……」


 ネルが劣勢だと感じたんだろう、NINJAのサポートであるメルが間に入った。


「ま、まあまあ、落ち着いてマル。優秀なあなたらしくないわ」

「メル先輩のとこだっておかしいじゃないですか!」

「ま、まあね……」


 あ、メルも撃沈した。


 アルは?


「俺は……なにも言えん」


 亜里砂ちゃんの近くにいたアルは、この言い争いには参加しないらしい。


 アンタの担当も魔法少女だもんね……。


「そもそも、この星の人間はおかしいんですよ! 普通戦闘のための装備なら防具とか武器とか装備するじゃないですか! なのに、フリフリでヒラヒラの服は着てるし……」

「「う……」」

「全身黒い服で身を包んでるだけだし……」

「むう……」

「あたしの担当に至っては、メッチャ肌露出してるし……」

「あらあ?」

「なんなんですか……変態ばっかりじゃないですか……」

「「「「変態言うな!!」」」」


 なんて失礼な奴なんだ!


 NINJAと女王様は変態だけど、あたしと亜里砂ちゃんは違うだろう!?


「我以外が変態なのは共感するが、それと同列には語られたくないな」

「あらあ? この現代社会において忍者を選択するあなたこそ変態だと気付かないのかしら? それに、ファンタジーなものに変身しているあなたたちもね。その点、わたくしは実際にいますわよ?」

「「変態の象徴としてな!!」」

「あらあ?」


 ったく、一番の変態に言われるとは思わなかった。


「はあ……もういい。マル、ちょっとこっちに来い」

「な、なんですか?」

「いいから……」


 ネルはそう言うと、チラリとあたしたちを見た。


 あ、これは聞かれたくない話だな。


「分かりましたよ……」


 また怒られると思ったのか、マルは渋々といった感じでネルに付いていった。


 聞いてみたくはあるけど……メルとアルの目があるしな。


 ここは我慢するか。



「それで? アレは例のあの少女なのか?」

「ええ。隊長の言うとおり、不安定な感じがしましたからね。いつまたギデオンに取り憑かれるかも分からない。なので、適合数値も高かったことですし、いっそ適合者にしてしまえばギデオンに取り憑かれることはないと思ったのですが……」

「……想いを溜め込むクセのある人間が、装備を手にすることによって心が解放されてしまったのだろうなあ……」

「そう……だと思います。まさか、こんな形で現れるとは思いもしませんでしたが……」

「まあ……しょうがない。十分に戦える力はあるようだし、あの少女が再びギデオンに取り憑かれる危険を考えれば、これで良かったのかもしれん」

「あんな格好ですけどね……」

「この星はどうなっているんだ……」


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