心の内
俺の後ろで、麻衣と裕二が変な共感を感じて見つめ合っている。
その共感の内容自体はなんとも情けない内容なのだが、麻衣が裕二と見つめ合っているというだけで胸がザワザワする。
気付くと俺は、裕二に課題を見せてやると言ってしまっていた。
正直、生徒会長としてこんなことはするべきじゃない。
だけど、あの二人を見ていると、どうしても……。
それに、最近の麻衣は変だ。
昨日の夜、部屋にいなかったに違いない。
俺の部屋からは、麻衣の部屋の窓ガラスが見える。
中までは見えないけど、明かりが付いているかどうかくらいは分かる。
昨日の夜、麻衣の部屋に明かりは付いていなかった。
明かりを消していたとしても、勉強するなら卓上ライトは付ける。
それがなかった。
なら早く寝たのではとも考えられるが、今日の麻衣は寝不足気味だ。
ということは、昨晩は部屋にいなかったと考えるのが普通だろう。
夜中に一体どこに行っていた?
もしかしたら……。
そんな想像をしてしまう。
それに、裕二と麻衣は、なんというか見た目の雰囲気がよく似ている。
自分でもクソ真面目だと思う俺と比べても、二人はお似合いだと思う。
なんだか最近、そんなことばかりを思ってしまう。
そう思うことが……情けないし、なんというか……。
……苦しい。
◆◆◆
麻衣ちゃんが、裕二君と仲良く見つめ合っている。
そんな二人を引き離したくて、私は思わず麻衣ちゃんに課題を見せてあげると言った。
案の定、二人は見つめ合うのを止め、麻衣ちゃんは私に飛びついてきた。
麻衣ちゃんは、私の幼馴染で親友。
彼女が喜んでくれるのは私も嬉しい。
けど……。
打算に満ちた私の言葉に、こんなに喜んでいる麻衣ちゃんを見るのは正直心苦しい。
それに、私はおしとやかなんかじゃないよ。
ただ気弱で、言いたいことが素直に言えないだけ。
あーあ、私も麻衣ちゃんみたいに素直な性格だったらなあ……。
◆◆◆
俺の目の前で、課題について真剣に話し合っている絵里とあっくんを見ていると、やっぱり二人はお似合いだなと思う。
片や文武両道の生徒会長で、片や深窓の令嬢だ。
……まあ、絵里んちはごく普通の一般家庭だけど。
そういう風に見えるって話。
そんな二人を見ていると、どこの漫画の主人公カップルだと言いたくなるくらいお似合いだ。
それに対して俺は、大して成績も良くないし、見た目から遊んでるように思われてる。
確かに、よく遊んでるしなあ。
なら真面目になればいいじゃんかと言われると、それはできない。
だって、俺の性に合わない。
あっくんみたいにはなれない。
無理したって、絶対どこかでボロが出る。
だから、俺は俺であることを変えられない。
それは分かってる。
分かってるんだけど……。
やっぱり、絵になるよなあ。
っと、しまった。
つい言葉に出しちまった。
麻衣に変な目で見られた。
あーあ、麻衣と同レベルかぁ……。