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宇宙人も漫画好き

「ああ、ゴメンねネル。亜理紗ちゃんに現実を受け入れさせる方を優先したから」

「なんだそれは……はあ……本当は良くはないが、まあいい。それより、魔法とはなんだ?」

「え? あー……」


 そうか、あたしたちから見たらネルたちの技術は魔法そのものだけど、ネルたちからしたら普通の技術。


 魔法そのものの概念がないのか。


 しょうがない、説明してやるか。


「詳しくは、そこの本棚にある漫画かラノベ読んで」

「説明が雑!」

「いざ口頭で説明しようとすると難しいのよ。漫画読んでくれた方が理解は早いわ」

「そうなのか? では……」


 ネルはそう言うと、本棚に向かってフヨフヨと飛んで行った。


 アルもネルのあとを追って飛んで行く。


 ……これも凄いよなあ……なんでも重力を制御してるとかなんとか言ってたけど……。


 重力って、制御できるんだ。


 本棚から、自分の身体とそう変わりない漫画を取り出しているネルとアルを見ていると、亜里紗ちゃんが話しかけてきた。


「そういえば、お姉さんはどうして魔法少女になったんですか?」

「魔法少女って言うな!」

「え? でも、どこからどう見ても魔法少女の格好でしたよ? 攻撃もステッキ使ってましたし」

「うっ……それは……」

「あ! あの攻撃凄かったですね! あれ、どうやるんですか?」

「ど、どうって……」


 話題がコロコロ変わるな。


 それにしても、どうやってるか……。


 ただガーッと力を込めて、バーッって撃ってるだけだからなあ……。


 亜理紗ちゃんにどうやって説明しようかと悩んでいると、代わりに漫画を読みながらネルが答えた。


「お前には無理だな」

「無理って、なんでですか?」


 ネルによってバッサリと斬られた亜理紗ちゃんは、少し不機嫌そうに聞き返した。


「逆に聞こうか。君が昨日あの女性に攻撃したとき、どうやって攻撃した?」

「それは……力が集まるイメージをして、それを撃っただけです」

「麻衣も同じだよ」

「え?」

「あの装備から放たれる攻撃は、基本的にそれで発動する。アルが言っていなかったか? その装備は、装備者のイメージをそのまま反映すると」


 ネルの問いかけに、亜理紗ちゃんはキッパリと答えた。


「聞いてません」

「言ったよ!!」

「じゃあ、覚えてません」


 聞いてないという亜理紗ちゃんに、アルが猛抗議する。


 あー、多分アルが説明したのは、亜理紗ちゃんが現実から目を逸らしていたときだろうな。


 アルの説明も、全部聞き流していたんだ。


「やれやれ、詳しい話はまたアルから聞いてくれ。要するに、君と麻衣じゃ心の強さが違うんだ。その結果がアレなんだよ」

「だから無理って……」

「まったく……揃いも揃ってあんなものになるから……これを読む限りでは、魔法とはもっと汎用性の高いものではないか。なぜこちらにしなかった?」


 ネルは、読んでいた漫画を示しながらそう言った。


 確かに、魔法使いとかになった方が攻撃のバリエーションは増えると思う。


 けど、亜理紗ちゃんのときは知らないけど、あたしの場合は考える時間なんてなかった。


 それに……。


「「可愛いから」」


 あたしと亜理紗ちゃんの声がハモッった。


「そんな理由で……」


 ネルが頭を抱えているけど、それはしょうがない。


 やっぱり、可愛い方がいいよね。


「それならば、こういうものでも良かったのではないか?」


 ネルが読んでいた漫画のページを開き、そこに描かれているキャラを示しながら言った。


「えー? 格好いいかもしれないけど、可愛くはないよねそれ」

「ですね」

「格好いいならいいじゃないか……じゃあ、これは?」

「そんなエッチな格好できるか!」

「ネルさん、サイテーです」

「なんでだ!? この中では可愛いと言われているではないか!」


 漫画に出てくる、ちょっとセクシーな衣装を着た登場人物を指しながらネルが叫ぶ。


 まったく、分かってないなあ。


「ネル……漫画は漫画なのよ?」

「くっ……なぜ私が憐みの目で見られるのだ……」

「隊長。これ、面白いですね」

「お前は普通に漫画読んでるんじゃない!」


 アルはさっき亜理紗ちゃんに自分はちゃんと説明したと言ったあと、ずっと漫画を読み耽っていた。


 どうやらハマったみたいだ。


 怒鳴られても漫画を読み続けるアルに対して溜め息を吐いたあと、ネルは亜理紗ちゃんを見た。


「麻衣はともかく、君には指導が必要なようだな」

「し、しどう……ですか?」

「昨日の一件でよく分かっただろう。君の攻撃は、一定のダメージは与えられるが一撃で倒し切れるものじゃない。ならやり方を変えてみるんだ」

「どうやって?」

「それは……」


 ネルはそう言うと、手に持っていた漫画を持ち上げた。


「これにヒントが描かれていた」


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