おじさん、語る
ふう、やれやれ。
麻衣たちの青臭い恋愛事情を見ていると、つい口を挟みたくなってしまう。
さっさと告白するなりなんなりすればいいのに。
あの年頃の男なんて、ちょっと可愛い子からモーションをかけられたらイチコロだろう。
いやはや、おじさんには眩しくて見ていられないね。
だが、麻衣の力の源はその眩しいほどのピュアさ。
最初は分からなかったけれど、そのピュアさとは恋に対するものだ。
あの幼馴染の男、淳史と結ばれることを望んでいる。
それだけならどこにでもいる女の子だが、その結ばれ方というのが……。
まるで少女漫画のような告白シーンに、お互い恥じらいながらのファーストキス。
そしてムード満点の初体験などなど……。
初めて麻衣の秘密の妄想ノートを見たときは、見たこっちが身悶えしたものだ。
だが、それと同時に麻衣の心のピュアさも理解した。
彼女は、とにかく恋に対してピュアなのだ。
普通は成長していくにつれて現実的になっていくものだが、彼女にはそれがない。
いつまでたっても、恋に恋する少女のままだ。
それが彼女の心のピュアさ。
そのピュアな心に精神力探知機が反応したのだろう。
同じような考えを持つローティーンの少女たちが適合者として選ばれているのも納得できる。
とはいえ……適合者がことごとく魔法少女になるのはいかがなものか……。
これについて特に問題があるわけではない。
部下からの報告でも、順調にギデオンは駆除できているらしいからな。
あるとすれば、私たちの心の問題だ。
あれは、私たちの文化にはなかったものだからな。
実際、部下からの報告にも戸惑いの声が大きい。
そろそろ、魔法少女以外の適合者も現れてもらわないと……。
そういえば……条件に合いそうなのがいたな。
「試してみるか……」
思わず呟いてしまったら、麻衣にぶん殴られた。
痛いじゃないか。