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プロローグ
王道ファンタジー。
それはなんだろう、と考えて最初に思い付くのは魔法が使える世界に転生させられ、主人公が仲間と共に困難を乗り越えていき、その世界を冒険する、そんな物語だ。
そう、それが最近の王道ファンタジー
「異世界転生」または、「異世界召喚」だろう。
そのはずだ。
自分自身は、魔法を使えなくとも良かった。
魔法が使えなくとも様々な冒険や体験が待っている異世界に行きたかった。
小学6年からの願いだったんだ。
それが今になってやっと機会が与えられたんだ。
異世界に行けたんだ。
なのに………。
「なのに、なんでその異世界が滅んでんの?」
誰もいない街に悲しき青年の声が響いた。