ヲタの娘がヲタになった結果
【ヲタの娘がヲタになった結果】
突然だが、私はヲタクである。
そんな私にも奇跡的に娘が出来た。
その娘がこの度、高校を卒業したのだ。
そこで愛しい娘の記録を振り返ってみようと思う。
ただ、私が気まぐれにつけたものなので、そんなに期待はしないで頂きたい。
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娘、0歳。生まれたて。
やばいかわいい痛いしんどい腹減ったちっこい疲れたあったかい。
あったかいんだ。ちいさなちいさなかわいい命だ。
生まれてきてくれてありがとう。
そして良くがんばった私。GJ。
娘、3歳。可愛い。
すでに英才教育をしていますが何か。
いや、ほら最初はあんぱんまそとか見せたりしてたんだけどね。
興味示すの私が見るようなやつなんだもん。
なかなか見所がある娘なので、いろんな動画を見せている。
現在もアニソンを少々音を外しながら歌っている。
ので、私も一緒に歌っている。音痴言うな。
娘、5歳。幼稚園。
新しい友達が出来た様だ。
私を倒してからにしろ!とか言ってみたら律儀に挑んで来た勇猛な子供達であった。
子供向けのゲームで勝負した。
もちろん勝ったけど。
娘にも勝てずボロボロであった。
だが、何度でも挑んでくるその勇気を讃えてカルテットと名付けた。
ただ単に4人だったからに過ぎないが。
他にいう事といえば、見た目がとても美しい子達である。
我が子の可愛らしさには負けるけどな!
目に入れても痛くない。しかし物理的に指を入れられた時には流石に泣いた。
娘、7歳。小学1年生。
小学生になった娘は、カルテットと学区が違うので離れ離れになってしまった。
しかし新しい友達を連れ帰ってきた。
大人しそうな子だったが、音ゲーをさせたら別人となった。一種のトランス状態にまでなってしまったが、その事で悩みが晴れたらしく明るいオープンなヲタクとして開き直った彼女は娘と大の仲良しさんになった。
ちょくちょく音ゲーの為にゲーセンへ連れて行ってあげるのだが、私と娘は音ゲーでも格ゲーでも負けた事がない。
流石、私の子である。
娘、10歳。小学4年生。
仲良しのオープンヲタクなあの子が転校してしまった。しかし文通をするそうだ。
暫くして娘は早くも新しい友達を見つけた。
ヲタクなのに私みたいにコミュ障にならなくて良かったと思う。
新たな友達は男の子で、乙男であった。
ヲトメンである。実在するんだな。
ここはやはり着せ替えやお菓子作りのゲームであろう。のちのちの為の布石である。
娘にプレゼントをさせた所、狙い通りにのめり込みまくった末にリアルでも腕を磨いている様だった。
私も娘もその手のゲームもしているが、もちろん食べる専門である。
娘、12歳。小学6年生。
乙男はお弁当を作るまでに成長した様だった。
お菓子もしょっちゅうお裾分けがくるものだから、娘のオヤツに事欠かない。
ビバ、過去の私。良くやった。
そんな彼は娘の事をひどく尊敬しているようだ。何故だか知らんが。
ちなみに私の事は師匠だと言っていた。
これも何故だか知らんが、悪い気はしないのでそのままにしている。
娘はパソコンのゲームに手を出し始めたので、オンラインもすすめておいた。
娘、13歳。中学1年生。
遂に娘が中学に上がった。早い物だ。
相変わらず乙男は乙女している。
最近は小物作りにもハマっているそうだ。
娘はパソコンのオンラインゲームにハマっている様で、時たま乙男に向かって唐突にプギャーしているらしい。
毎回、涙目でぷるぷるしているのを見るのが楽しいそうだ。
それをたまたま見かけてしまい、私も時たま娘にプギャーしている。
機嫌を損ねるが、これは楽しい。おっと、娘が呼びにきた。
損ねた機嫌を直す為のギルド戦なのである。腕が鳴るわ。任せろ娘よ、ふはははは。
娘、15歳。中学3年生。
乙男に彼女らしき人が出来たそうなので、オヤツが無くなり悲しい私と娘である。
しかし、受験の身でありながら交際するとは……なかなかやるな乙男。
娘は相変わらず、ゲームと小説の日々。
最近こっそり自分でも何か書いている節があるので見てやろうと思っている。
娘、安心しろ。私にもあるさ、黒歴史。
しかし、そこから抜け出していないのが私クオリティである。むしろ、娘にアドバイスしてやるなどと思っている次第だ。
その為にも、だ。いざ行かん!学校行ってる娘の部屋へ!ひゃっはー。
娘、16歳。高校1年生。
あっという間に娘が高校生になってしまった。
気がつけば私もいい歳である。
何ら変わりはしないが。むしろ悪化しt……所で、カルテットを覚えているだろうか?
見目麗しい彼ら彼女らである。
何と同じ学校だったらしい。
どうやら劇的再会を果たしていたらしく、連絡を取ってる内に合わせて学校を受験する流れになったそうな。
こうして娘も親の手から離れていくのか……何、パーティー足らないから来てくれ?
んじゃ、入るわー。キャラはどれがいいのー?
娘、17歳。高校2年生。
カルテットが最近こっそり娘をストーカーしているらしい。
何故かというと「自分達の容姿に関わらず普通に接してくれるから」という、ゲームか!小説か!という理由からである。
しかもその想いは幼稚園の頃から枯れる事無くカルテットの心の中にあり、軽くどころかドン引くレベルの力説であった。
私が何故そんな事を知っているかというと、現在進行形でカルテットをお仕置き中だからだ。
とりあえず、娘に害が及ばぬ様に躾ようと思う。
ホラーゲームしつつ。
娘、18歳。高校3年生。
久しぶりに乙男に会った。
ガタイの良い青年へと成長していたが、趣味は変わらない様だ。鞄に付けた手作りとは思えぬストラップが腕前を示している。
すでにお菓子はプロ並みである。ご馳走様。
そうそう、カルテットだが躾したお陰で真っ当なヲタクへと変貌を遂げた。
え?意味が分からない?私にも分からん。
とりあえず娘が嬉しそうにヲタトークを繰り広げているので良しとしよう。
あ、もちろんストーカーは阻止しました。
社会的に潰れるのを懇々と説明しますた。
ホラーゲーム(と言う名の乙女ゲーBADEND)見せつつ。
娘、19歳。今現在……。
何と娘は小説家になった。
高校卒業後、大学には進まずに家でせっせと執筆活動をしている。
今は二冊目の本を手掛けている所だ。
ちなみにカルテットが号泣していた。
大学にも一緒に行けると思っていたらしい。
しかし暇さえあれば、娘の手伝いと言いながら家にくる。
実際、良いモデルになっている様だ。見た目然り、フラグ然り。
それもそのはず。
まさにリアル乙女ゲー、ギャルゲーの世界で生きている様な奴らだからだ。
ちゃんと娘には迷惑かからない様にしているので、家にくるのを許可している。
しかし今後、ウチに来るなら何かしら手土産を持って来いと伝えた。
お前らのオヤツ代やら飯代がバカにならねーよ!
そして、娘が小説家になった際にイラストを描いてくれるパートナーが出来た。
これもなんたる事か……昔から仲良しだった音ゲーのあの子である。
どうも文通していたら、徐々にイラストが入りだして遂にはカラーで送られてくる様になっていたそうだ。
その頃には娘も小説書きをしていたそうで、お互いの将来を見据えて協力(むしろ共同作業)するのを約束していたとの事。
昔、娘の部屋を覗いた時に見た壁に貼ってあったイラストは全てこの子作だそうで。
まじパネェ。
私の好みにドンピシャで大興奮してしまった。
あの時からこっそりイラストが欲しいと思っていたので今後頼んでみようと思う。
アドバイスしている私にもテイクをプリーズ。
あと1番の衝撃だったのは、乙男である。
こいつは何故か我が家に同居しているのだ。
所謂、押しかけ旦那だった。
2人が恋人となったのは普通に喜ばしいが……私は乙男を侮っていた様だ。
いや、思い違いをしていたと言うべきか。
何しろ乙男、がっつりヤンデレだった。
もう最初から、出会い頭から娘LOVEだったと聞かされた。ので、彼女はどうなった!?って言ったら、彼女なんて物は1ミクロンも居た事ありませんって超超超笑顔で言われた。
笑顔が怖いって初体験をした。ガクブル。
……まぁ、娘を見てる限り幸せそうだからヤンデレなのを知ってるかどうか知らないけど、そのままそっとしておこうと思う。
何故そんな簡単に納得しているかって?
理由を述べるとしたら……胃袋を掴まれているからだ!としか言えない。
お菓子ウマー。ご飯うまうまー。そこ!体重のことは言うな!私との約束だぞ!
しかし乙男はやっぱり乙男な様で、肝心の事はまだ言えてないらしい。
今度、早く私は孫が見てみたいなぁ(チラッ)なんて言ってみよう、うん。
あたふたしている2人の姿が想像出来る。
ふふふ。何より娘が幸せなら母ちゃんも幸せだよ!
あ、勿論今まで出てこなかった父ちゃんもね!
父ちゃんはちゃんと生きてるから!影薄いけど!いるから!
と、そんなこんなで、ヲタクがヲタクの娘を持った私の場合。
なんだかんだ毎日が騒がしく気がつくと小説みたいな毎日が送れています。
妊娠した衝動で書きたくなったんだ。
後悔はしていない。