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エルフ嫁語り  作者: Mac G
38/43

#2

「あら、にぎやかな声が聞こえますわ」


「そうですね。宴会でもしているんでしょうか」


 秋年明の一行は、頭数で十人ほど。お固い任務から一時はなれて、慰労会を行っていても不思議ではない。


「せっかくくつろいでいるのに、わたしたちが顔を出したらお邪魔でしょうか?」


 残念そうなリリーナの声。


「明は喜びそうな気がしますが、お伴の方たちが気を遣うかもしれません……うーん、でもあいさつぐらいならいいんじゃないでしょうか」


 とにかく一言、声をかけよう。そしてすぐに引き上げればいい。


「あー、盛り上がってるところ、すいません……!?」


 そっと壁から顔をのぞかせる楓。トーテムポールのようにその下からリリーナもひょっこりと顔を出す。


「ウー、アチャー、アッ、アタッ!!」


 とどろく怪鳥音。ラウンジのテーブルは隅に移動され、広々とした空間は宴席などではなく、戦士たちの訓練道場となっていた。


「変わったかけ声ですね」


 姫の知る騎士たちの訓練風景とも異なるようだ。


 男たちは、全員上半身裸でいる。女性はさすがに肌を露にしていないが、上着を脱いだ動きやすい格好でいる。


(なんなの、これ? ファイトクラブか)


 明が仲間の一人と組み手らしきことをしているのを、周囲で仲間たちが見守り、囃し立てている。


「アター! ホワタッタタッタァー!!」


(北斗の拳?)


 手首をカマキリのように、五指を離さず指先を地面に向ける。背筋はやや後方へ反り、首筋は伸ばす。そして、眉毛を寄せ、口元は渋く。


(知ってる、これ「ドラゴンへの道」だー!)


 明のかけ声は微妙に変化していく。


「ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」


(あれ、そういえば明って、某女性声優のファンだって言ってたな)


 組み手の相手は、チームの中でも一番大きな男。丸太のような腕を大きく振るう。隙ができてもリーチの長さが圧倒的だ。


「アチャー、オチャー」


 武闘家の男の両の拳を、手首から肘までの腕の外側である前腕ぜんわんで流すようにかわしていく。あの豪腕では、まともにガードしても明の腕が折れそうな勢いだ。


「ウーロンチャー!」


 三度目の正拳突きをよけると、左前腕と右手首でそれぞれ対手の右腕を固定するとともに、その脇の下をくぐり男の背後に回る。そして、その腕をめたまま、腰を落とす。


(背面からの背負い投げ? 相手が死ぬでしょ!!)


「うわっ、バカッ、明、やめ」


 敵ならともかく相手は味方のはずだ。リリーナは正視できず顔を手で覆っている。


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