仮病
朝から気分が憂鬱だ。仕事に行きたくない。もちろん、仕事に行くことが社会人の勤めだということはちゃんと分かっている。しかし、どうしても仕事に行く気になれない。
⋯よし、今日は仮病で休もう。
(電話をかける音)プルルルル⋯
俺 「⋯あ、もしもし係長?実は今日、小指の爪を深く切りすぎてしまって休ませて頂きたく⋯」
係長 「⋯まさか、仮病じゃないだろうな?」
俺 「ギクッ!!!!!!」
係長 「もしも仮病だったら承知せんぞ!!」
俺 「いやだなー、係長。私が仮病なんて使うわけないじゃありませんか⋯」
係長 「そうか、それならいいが」
俺 「⋯ちなみに、仮病だったらどうします?」
係長 「これから鬼ごっこをするとき毎回鬼の役から始めてもらう」
俺 「⋯いや、ちょっとそれ厳しすぎません?」
係長 「当然だろう。仮病などという卑怯な手段を使って会社を休んだのだから。そうだ、かくれんぼでも見つける役から始めてもらおう」
俺 「いや、さすがにそれちょっときついっすよ」
係長 「⋯何だ?やけに肩を持つな」
俺「ギクッ」
係長 「⋯もしや、仮病を使っているな?」
俺 「いやいや、仮病など断じて使っておりません」
係長 「だったら証拠として今から私とビデオ通話をしてみせろ」
俺 「ギクッ」
係長 「どうした?やっぱり仮病なのか?」
俺 「⋯ごめんなさい係長。どうやら、スマホ壊れちゃったみたいで。ビデオ通話はできそうもありません」
係長 「⋯そうか、なら仕方がないな」
俺 「ところで係長」
係長 「⋯ん?」
俺 「今日の夜なんですけど、観たい映画あるんで係長が仕事終わったあとでいいですから映画館に行って一緒に観ませんか?」
係長 「⋯映画か。まあ、いいだろう。しかしおかしいな。君は体調が悪いんじゃなかったのかね」
俺 「ギクッ」
係長 「⋯おい、どうした?」
俺 「⋯係長」
係長 「⋯⋯」
俺 「実は仮病だったんです。ごめんなさい」
係長 「⋯知っていたよ。仮病だということも、今日は君が会社に行きたくない気分だということも全てな。ちなみに私も今パリにいる」
俺 「⋯こんな僕でも許してくれるんですか?」
係長 「今回は鬼ごっこで鬼をやるのは免除してやる。だが、明日はちゃんと会社に来るんだぞ」
俺「はい!!」
係長 「じゃあまたねー(^_^)」
俺 「じゃあねー\(^o^)/」




