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 目が覚める。

 昨日の疲れがあったせいか熟睡してしまった。

 ―――体が気怠い

 眠い目をこすりつつ、昨日までとはちがい広くなった寝室を出る。


「おはよう」

「ちょっと!!遅いんだけど」

眠い目をこする俺とは対照的にリズは元気いっぱいだった。

「朝から元気だな」

「外にも出れないから、ご飯も作れないし」

 ぶつくさと文句を言ってはいるが、昨日言った言いつけをしっかり守っているみたいだ。

「起こしてくれればいいのに」

「まぁ、気持ちよく寝てるみたいだったし」

 少しばつが悪そうにに彼女は言う。

 こいつなりに気を使ってくれたのだろう。


「そっか、じゃあ飯外に食いに行くか」

「やったー」

 俺の提案に彼女は満面の笑みになる。

 表情がコロコロ変わるやつだな。


 俺たちは近くの酒場にたどり着く。

「ちょっと、ここ酒屋でしょ」

「あいにく、ここにはほかに店なんてないんだよ」

 俺がいたころと変わらない居住まいに少し安心しながら俺は店に入った。

「ミルト、か?」

 店にいた店主が俺に言う。

「久しぶり、だな」

 少しバツが悪くそう言った。

 もう戻ってくることは無いと思っていた場所に帰ってくるというのは少し変な感じだな。

「お前、帰って…ていうかでかくなったなー」

 そう言いカウンターを出て俺に歩み寄る。

 と、そこで俺の後ろにいる少女の姿を確認する。

「お前、その子……、まさかそう言う」

「違う、大体年齢が合わないだろ」

「そっか、そうだよな。じゃあ、彼女?」

「違ぇわ!!」


 事のあらましを説明し、俺たちはひとまず、朝食を食うことにした。

「さびれた店にしてはなかなか美味しいわね」リズは満足そうにパンケーキを食っている。

「だろ、店は相変わらず汚いけど」

 俺もコーヒーを飲みながら、懐かしい店内を見渡す。

 店の中には昨日の夜からいるのか、数人の客が寝ているのみ。

「ちょうどいいタイミングで帰ってきたな」

 店主は、ぽつりとそう言った。

「お前が居なくなってから、町は平和なもんだった。」

「そっか」

「お前のおかげだよ」

「どういうこと?」

 パンケーキをほおばりながらリズが尋ねる。

「ここは昔、ある領主が治めていた。」

 かつてを思い出しながら店主は話し始めた。

「そいつがまぁ悪い奴でな。町は荒れ、人はどんどん去っていった。」

 店主は俺を指さす。

「こいつはな、一人でその領主共をぶちのめしたんだ。山の向こうに、城が見えるだろ。あの城に単身乗り込んで100人以上いた兵隊をまとめてノしやがった」

「やるじゃん」

 リズが感心したように、俺を見る。

「昔の話だ」

 実際、あれは運が良かっただけだ。今にしてみれば、あの時死んでいてもおかしくなかったのだ。

「で? なんかあったんだろ」

 さっきの口ぶりが、どうにも引っかかる。

「……つい最近になって、代替わりしたんだ」

 店主は、ため息交じりにそう言った。

「じゃあ、あのクソガキが領主か?」

「そうなるな」

 俺は鼻で笑いそうになって、やめた。


「しばらくは静かに過ごすつもりだ」

 そう言った俺に、店主は苦笑する。

「それができるなら、お前はミルトじゃねぇよ」

 その言葉だけが、妙に胸に残った。


「……ベルには、もう会ったのか?」

 飯を食い終えた俺たちに店主はそう問いかける。

「いや、まだだ」

「なら、早く行ってやれ」

 ハッキリと俺の目を見て店主が言った。

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