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静かな波
悲しいといえば悲しくなるのかな 静かな波に溺れるように
シオマネキ 満潮を待って舟を出す 二度と故郷へ帰らぬ覚悟
海というねがいを捨てて淡水の石ころはまろい夢を見ている
貝殻に海の音色を探すとき 私は貝の幽霊になる
悲しみも喜びも流れ着く場所で 涙はいつか湖になる
砂浜に I LOVE YOU と書くことは 波にさらわれゆく日の覚悟
さよならは遠い昔のようでいて ひたひたと足を濡らす満ち潮
あてのない手紙をネットの波にのせ これもエコっていうのだろうか
ひとしずくグラスの中に闇を飲み より澄み渡る水の色知る
さざなみとひかりの編んだ不可触の網に捕らわる魚の自由




