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undecided  作者: らきむぼん(raki) &竜司
王里神会篇 急ノ後
64/73

これまでのあらすじ―最終章の前に―

非常に長い間、休載してしまいまして申し訳ありませんでした。

明日、最新話を投稿します。そして今回は最新章・最新話の前に、いままでのあらすじを少しだけ思い出していただけるようにまとめを作ってみました。

最新章、そしておそらく最終章になる次章の予告編です。


raki

●これまでのあらすじ


■鬼頭火山篇


 月の綺麗な街に、ある二人の高校生がいた。

 初夏の候、大切な友を失うという過去のトラウマにより、鬱屈とした日々を過ごしていた高校生、外崎暁(とざきあきら)は堕落した日常から「脱出」すべく、部屋を飛び出した。

 その夜、暁はクラスメイトの一人である篠原亜美(しのはらあみ)に出くわし、明くる日から彼女が親友から依頼されたある事件の解決に協力することとなる。

 有名推理小説家、鬼頭火山(きとうかざん)。失意に包まれた彼の残した暗号をめぐり、暁と亜美は陳腐な日常を少しずつ色づけていく。

 そんな中、暁は気付き始めていた。篠原亜美の存在が、自らの運命を開いてくれていることに。円環のように同じ道を歩んできた運命が、徐々に螺旋の如く移り行く運命に変わりつつあった。

 暁の中で亜美の存在がかけがえのないものへと変わり行く中、事件は急展開を見せる。

 一連の事件が、一度幕を下ろし、終焉を迎える時、暁は運命を切り開くための、確かな一歩を踏み出していた。



■帰郷篇


 事件の疲れも癒えた頃、夏の長期休暇も始まり、世間はすっかり夏色に染まっていった。暁は七月が終わるまでの間、地元の田舎へ帰省することとなっていた。

 小学生時代を過ごした田舎に帰ると、暁は幼き頃の親友、坂本洋平と再会する。懐かしさを感じながら故郷での短い夏が始まろうとする最中、暁は小学校の同級生であった如月愛に偶然出会う。暁は自分でも奇妙に思うほどに如月愛に魅惑されてしまった。そして暁は如月愛にまつわる奇妙な死の「呪い」を知り彼女をその「呪い」から解き放とうと尽力する。だが、その死の呪いの正体は如月愛の真の顔――殺し屋としての裏の姿が関わっていた。

 しかしこの如月愛との再会は、暁と洋平を満天の星空の下で「常識」を超えた怪奇現象に巻き込むことになる。

 このような故郷での不思議な運命の輪の寄り道を経て、暁と洋平そして如月との間には深い絆が生まれることとなった。



■王里神会篇 序


 帰郷中の壮絶な事件が終えて、月代学園のある街に戻ってきた暁は亜美と共に小説コンクールで優勝するという、二人が親密になるきっかけとなった思い出を想わせるような「小遣い稼ぎ」をすることになる。そして、前から約束してあった夏祭りにも一緒に行くこととなり、ますます暁の中で亜美は特別な存在になっていった。

 しかし、水面下で均衡を保っていた運命の螺旋は俄かに不調和を引き起こし始めていた。

 突然の訪問者――神屋聖孝は洋平たちと同じ、暁の同級生であった。彼は新興宗教団体「王里神会」のテロ行為を防ぐために暁の協力を仰ぐ。戸惑い、一度は拒否をした暁だったが、木原晋也の助言を得て神屋に協力することを決意する。そして王里神会に関連する事件は既に暁と亜美に深く関係していた。

 夏祭りの会場で神屋と再会した暁は、紆余曲折を経て亜美と共に本格的に協力関係を築き、神屋による保護という体裁を取りながら動き始める。

 そこでいきなり暁は神屋の用意した戦闘員トニーによって本物の「死」を生まれて初めて認識することとなった。それは侵入者二人、板垣権三郎とロン・クーリンをトニーが始末したことによるものだった。そしてトニーは神屋の管理下にない所で意味深長な言葉を残し、密かに暁の精神に何かの「種」を植え付けるようだった。

 アジトとして駅前のホテルRenaissanceの二室に移動した暁と亜美は、神屋によって事件の全容を伝えられる。それは自殺したと思われていた鬼頭火山の真の思惑とそれに至る命を懸けた壮絶な戦闘の記録だった。真実を知った亜美は酷くショックを受けたが、暁は月長石のペンダントを渡しながら亜美の背中を押す。亜美は自分が暁を巻き込んだという責任を感じつつも、それを受け入れ全員で必ず運命を乗り越えるという決意をする。

 当面の目的が、鬼頭火山の居場所を突き止めること、に決まった一行は、その答えが隠されていると思われるかつて鬼頭火山と対決した際に用意された暗号に関連するものを再び一つの場所に集めた。そして、その頃から神屋は鬼頭火山の残した文書に書かれた「第三勢力」の存在に気づき始める。そんな中、ホテルは何者かによる襲撃を受け、暁達一行はその場をトニーに任せ、最後の仲間である高木海の用意した車を使い、新しい拠点である彼の自宅に移動した。



■王里神会篇 破


 夏も中盤に入る頃、高木海の自宅で長い暗号解読の期間に入った暁たちは、それぞれの苦悩や葛藤を抱えながら信頼関係を強固にしていく。

 高木は王里神会の幹部でありながら何も出来ずに居た過去を悔い、そしてその闇と神屋の闇を重ねていた。高木がかつて世話になった神屋の両親の謎の死が、本当は王里神会によるものであると思った神屋が復讐の為に闇に堕ちようとしているのではないかという疑念が高木の中で次第に大きくなっていく。そしてその神屋は高木の推測通りKに対する復讐心を抑えきれなくなっていた。肥大した心の闇は、自身の命と引き替えにしてもKを討つという決心を生みつつあった。

 暁はひょんなことから亜美と溝を深めその関係に距離ができてしまう。その不安定な心理状態の中ついに鬼頭火山との通信に成功するのだった。そのきっかけはかつての鬼頭火山――神埼冬也の師である宮澤睦と神屋聖孝の協力的情報交換によって得たヒントだった。


 鬼頭火山との通信の結果、彼は協力の条件として篠原亜美を含む班と実行班とを分け、篠原亜美を実質的な人質として鬼頭火山の管理下に置くことであった。これに対して神屋は奇策を練り、了承をした上で同伴の暁に代えて宮澤を鬼頭火山の元に向かわせ、実行班を神屋、高木、暁とすることに決めた。

 高木はこの取り決めの中で理由を話さずに暁の実行班への配置を強く要請した。それは闇に堕ちようとしている神屋を友人として救うことが出来るのは暁だけであると判断したからであった。

 その夜、神屋は復讐の決意を固め、妹の神屋茉祐に兄としての最後の電話をかけた。高木は作戦の協力者として、秘密裏に警視庁刑事部捜査一課長――冴木に状況を伝える。

 そして暁は、突然に亜美に話しかけられた。それは小説コンテストに出す作品のストーリー決めの提案だった。それはKの野望を打ち砕き平和が保たれることを前提としたものでもあり、そしてその一方でそのような文学賞が無くなってしまっても二人の創る物語が「自分と誰か」に思いを伝えるものであることを暁に気づかせるものでもあった。暁は「始まりの夢」の話と自分の生い立ちを思い出し、涙を流しながら物語を語った。その夜は暁にとって一つの救済の時であった。



■王里神会篇 急ノ前


 時は流れ、いよいよテロが行われるとされているXデーの前日となった。Kによる史上最悪のゲームを打ち砕くために、壮絶な心理戦が始まった。

 亜美と宮澤は鬼頭によって指定された場所に向かった。だが、そこに待ち受けていた謎の集団によって二人は拉致されてしまう。

 暁、神屋、高木は、警視庁刑事部捜査一課長の冴木と合流、さらにかつて冴木とシンパの関係にあった元新聞記者、赤城と協定を結ぶ。だがそこで定期連絡が無いことに危機感を感じた暁は亜美に電話をかけるが繋がらず、事態が最悪のパターンに進みかけていることを察する。そしてそのタイミングで暁のもとに鬼頭火山からの連絡が入る、そのやりとりを経て鬼頭火山は神屋チームとの協力関係の撤廃を言い渡す。彼は「この戦争には裏がある」という言葉を残して通話を絶った。

 暁はこの状況下で自らが密かに用意していた最終手段を使うことを決める。残された希望に賭け、暁はとある人物と連絡を取る。

 拉致されていた亜美達は、拉致された先でバイクに乗った謎の少女に救出された。その少女は自らの名前を名乗った。その名はなんと「如月愛」。そして彼女の言葉は暁からの救援を匂わせるものだった。

 一方、暁は鬼頭火山との不調和が起きたことを神屋たちに伝えた。そして閉塞感と焦燥感が漂う中、これ以上の黙秘は危険と判断し、暁は「隠していたことがある」と語り始める。



■王里神会篇 急ノ後


 鬼頭火山との最初のコンタクトからテロ前日までの空白の数日間に行われた作戦会議、

 姿を現さない謎多き男トニーの秘密と役割、

 鬼頭火山の語る「裏」、

 神屋の復讐計画の結末、そして暁はそれを止められるのか、

 如月愛登場の経緯、

 undecided最終章「王里神会篇 急ノ後」、様々な謎の終着点に向けて、全ての歯車が動き出す。



――親友を巻き込んででも、あなたが危険な目に遭ったら助けなくちゃいけないってね――

――アタシたちの状況を全部把握して情報を伝え合う為の“ミチシルベ”ってわけ――

――内容によっては俺はこの件から手を引く――

――情報というのは生きてるんだ。情報が人を殺すことだってある――

――なんとも君は奇妙な事件ばかりに出遭っているな――

――もう私達は、仲間だ――

――クマ……?――

――お前が判断しろ、俺は止めん――

――“深淵の怪物”か。大層な怪物だ――

――カオスの縁――

――そこで止まらなければ君はいずれ舞台に引き摺り出されるよ――

――さあ――行こう――







◆主要登場人物


・外崎暁 

本作の主人公、田舎の小学校を卒業した後、田舎を離れ中学時代を送る。中学時代に大切な友「鳴海」を失ったことが伺え、時折そのトラウマが精神および身体に深刻な影響をおよぼすことがある。しかし亜美とともに鬼頭火山の事件に巻き込まれてからはその症状は比較的回復している。追い詰められると半ば自暴自棄になりどうとでもなれと考える傾向があるが、精神的な葛藤には弱く自力での解消は困難になる。そういった場合は亜美や中学の同級生である晋也が手助けをするか「始まりの世界」の夢を見ることで間接的に鳴海や亜美を意識することで立ち直ることが多い。知識は多いが本人はそれに関して自分が優れているという自覚はない、発想力や情報処理能力に関しては鬼頭火山との対決や神屋たちとの共同生活を経て急激に成長している。神屋に並ぶ、あるいは神屋を超えた瞬間もあった。本人は詳細を知らされていないが、高木による神屋の救済計画を唯一成し得る人物として期待がかかっている。


・篠原亜美

鬼頭火山の大ファンであり、文章力や想像力に長けている。現在では鬼頭火山に対して複雑な感情を持っているが、事件の決着を通して鬼頭の姪であり親友でもある佐藤静枝にしっかりとした報告がしたいと考えている。一度決意したことは貫き通す強い精神力を持っている。常に快活であり、能力も決して低くはない。暁だけでなく晋也や鬼頭火山との対決で協力関係にあった同級生高山竜司にも好意を寄せられている。数年前の両親の離婚で現在は母親の篠原優子と二人で暮らしている。父親は元弁護士であり、何か秘密を持っていることが伺える。また、神屋の調査によると篠原亜美と外崎暁の過去は本人たちが気づいていない奥底で既に繋がってる。そしてその先には破滅が待つと神屋は高木に語ったが、詳細は不明であり、神屋も高木もこれを二人には黙っていることを決めている。


・鬼頭火山

大物推理小説家であり、元王里神会幹部、現アンチマター。宮澤睦の弟子の一人。驚異的なカリスマと未来を書き換えているように感じられるほどの強運を持つKと非常に近い資質を持っている。篠原亜美を一連の事件に巻き込んだ人物である。鬼頭火山を名乗っていた神埼冬也は自殺をしたとされているが、その後も「鬼頭火山」は生き続けついに神屋たちと更新するにも至った。ただし彼の正体が真に「神埼冬也」と言えるかどうかは未詳である。また兄弟弟子にあたる鬼頭風林は敵に当たる「K」を名乗っている。


・宮澤敦

鬼頭火山の師であり宗教学者でもある。一般人でありながら王里神会による事件の詳細を知っているが、重要な情報の幾つかはKが意図的に彼に仕込んだ情報であることが判っている。神屋に重大なヒントを与え導き、後に鬼頭火山の支持を受けた神屋たちの鬼頭へのひとつの報いとして外崎暁の代わりに待機班の一員となる。鬼頭火山の辿った数奇な人生について、責任と覚悟を感じている。



・如月愛

暁の小学校の同級生であり、暁とは帰省時に再会する。殺し屋の家系という奇異な境遇を持っているが、その事実を乗り越えて暁と坂本洋平とは絆を持っている。願いを叶える赤い石を兄から受け継いでいて、その願いが怪奇現象として暁や洋平を巻き込むことになる。ただし、如月愛はそれら全てを「偶然」ではないかとも語っている。それはある意味呪いが解けたことを意味するかもしれない。知能は高いわけではないが殺し屋としての素質と合わせれば低いわけではない。特に運動能力に関しては並外れている。暁との別れ際、赤い石を彼に渡す。後に拉致された篠原亜美と宮澤睦を救出する、それは暁による要請であったと思われる。


・坂本洋平

暁の小学校の同級生であり、かねてから暁の親友であった。知能が高く、非常に教養がある。地元では最難関とされている高校に通い、外国語を主に学んでいる。運動能力も比較的高いと思われ、土壇場でビルの屋上から落ちかけた暁の危機を救った。怖いもの知らずで有名であり、冷静な判断ができる性格でありながら強気な姿勢でもある。霊障に遭いやすい体質なのか、帰郷篇のキーとなる「幽霊」に利用されている。


・神屋聖孝

暁の小学校の同級生であり、かねてから暁の親友であった。王里神会幹部であるが、現在はその反抗勢力として王里神会からは裏切り者と認識されていると思われる。学力・記憶力的には洋平や静枝に劣るが、神屋の能力の高さは思考にある。非常に高い能力を持ち同じく若くして王里神会の幹部になった経緯のある高木海に匹敵する能力の高さを神屋は持っているが、情報処理能力と思考力は高木を上回っている。また警視庁の冴木刑事はその能力を自分より上であるだろうとも評し、曰く神屋には「幾人もの賢人が眠っている」。Kや鬼頭火山が持つ絶対的カリスマと強運には劣るがそれに準ずる資質があることを自覚しており、戦い方によっては自分の命をかけることでKと戦うことも可能だと考えている。長身で容姿も良く、調査やチェスで相手の性格まで正確に読み取る観察眼を持っている。そのため黒装束や独特の口調といった胡乱なイメージでありながら比較的コミュニケーションは成立し信用もされやすい。数学者として著名な神屋夫妻の息子であるが、両親は何者かに殺害されている。その事件の黒幕がKであると考え、神屋はKへの復習を決意している。しかし神屋の復讐心は彼を人ではなくしてしまうだろうと高木や冴木は見破っている。そのため高木は暁に神屋を救う役目を託し実行班に入れることを進言した。高木は神屋夫妻に少年時代世話になった経緯で息子である神屋を悲劇的な結末に向かわせたくないと考えている。また高木にはそれを目的に神屋に協力しているような節もある。神屋には茉祐という妹がおり、彼女は現在アメリカに住んでいるが神屋はすべての事件を終えた後に月代学園へ入学させるつもりでいる。しかしその頃には自身が犯罪者となるか死んでいるかのどちらかであろうと考えており、暁や亜美、高木の助けを頼りにしている。チェスを得意としており大抵の相手には簡単に勝利する。作中では将棋の対局で過信から佐藤静枝に敗北し、高木とも非常に苦戦したことが判っている。チェスでは負けなしだが、宮澤との対局は唯一敗北とも言えるものだった。しかしここでも宮澤が神屋のリザインを拒否したことで結果として神屋は改新譜の戦法で勝利している。


・トニー

王里神会篇序盤から登場する外国人戦闘員。神屋が暁の護衛役として紹介したが、どういった経緯で数少ない神屋側の陣営に付いたのかは未詳である。また神屋の命令を無視して突如いなくなっていたり、暁に対して意味深長な話題を投げかけ悩ますようなこともしている。外伝『セシルs・メモリー』では彼が単なる戦闘員ではないことが伺える。未だ謎は多く、テロ前日には神屋たちとは別行動をしている、あるいは意図的に失踪した可能性もある。戦闘能力に関しては作中最強とも言えるレベルである。近接戦闘から銃火器の使用、スナイピングまで行えると思われる。普段はくだらない会話などが多いが、どこか知的で意味深長な話題もなげかける。暁たちの暗号解読の決め手となる発言をしたこともある。口調は典型的な外国人のそれであるが、それが演技であるような描写もある。 


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