オープニングゲーム
サブタイトルはチェス用語でゲームの序盤戦の意です。
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八月十一日
リビングのテーブルには四枚の暗号文と高木が自室から持ってきたマイクロソフト社のノートパソコンが置かれていた。
暗号の一枚は、有名推理小説家、鬼頭火山こと神崎冬也直筆のメモ。一枚は、鬼頭火山の師、宮澤睦の執筆した哲学書『キリストの哲学』に隠された暗号文の転記。一枚は、鬼頭火山が八百屋の店主を介して篠原亜美に渡した手紙の写し。一枚は、月代学園第2図書室のCDコーナーに収納されていた、パッヘルベルのジーグを単独で収録しているCDの中身を印刷したもの。当然中身は本来印刷不可能な音楽データであるべきだが、このCDは予め鬼頭によってテキストデータとすり替えてあった。
それらを囲むようにして座る五人。トニーは解読に励む四人を眺めているに過ぎないが、解読経験者である暁と亜美、そして暗号を初めて目にする神屋と高木は、暗号解読に取り掛かっていた。しかしながら、解読と銘打っても、ただ紙を凝視しているに等しかった。ただ見ているだけで、問題が解決し得ないことは場の誰もが悟っていた。
そんな最中、かつての解読者は微かに懐かしさを感じていた。約ひと月前の記憶がより鮮明になっていった。まるで、これまでの人生で日常的に暗号解読を行っていたかのような錯覚を感じていた。長期入院した会社員がようやく職場復帰したかの如く、暗号解読の勘を取り戻すように、慣れている風に、暗号を見る。それでもやはり、ただ見ているだけに過ぎないことを自覚しているのではあるのだ。
しかしながら、解読未経験者のあるひとりは四枚の暗号文を訝しげに眺めていた。
神屋聖孝は改めて四枚の暗号文を眺めた。
……たったこれだけの文書に、新たな答えが存在するのだろうか。
神屋は自分の力で直接暗号を分析したい衝動に駆られた。
「……僕にこの暗号を解かせてくれないか?」
「……はい?」
亜美は目をしばたたいた。
「神屋君が言ってるのは、この暗号の第一の答を解きたいってこと?」
「そう。聞けば、君たちはこの暗号を複数人で解いたらしいじゃないか。最初に解いた人間と、その答えを聞かされた人間では、感じるインスピレーションが違うかもしれない。さっきは一人でハナからやるのはキツいと言ったけれど、暗号解読の進行の仕方として、僕と解読経験者二人でチーム分けする方が良い。僕が一人で一通り解いてみたら何か分かるかもしれない……」
「なるほどね……」
亜美は顎に手を当て考える。
隣で暁は、うーん、と唸りを上げた。
「どうやらあまり乗り気じゃないみたいだね」
神屋は不思議がった。彼の中では名案であったからだ。
「まあ……な。鬼頭は俺たちに、いや正確には亜美にこの暗号を解かせるつもりだった。だから、余所から来たお前じゃ解けない内容もある。地理的なアプローチとか、固有名詞の利用とか……な。それに時間はあるのか? 俺たちは四人で二週間、静枝が最初からいたら……まあ、かなり短縮されるだろうけど」
「そういうことなら問題ない。君か篠原さんが居れば分かり得ないところはヒントをもらえる。時間は七、八時間あれば解けるだろう。君たちのように暗号回収のために移動する必要はないし、情報交換も要らない。加えて、迷惑な嵐も来ないだろう。そして、図書館の哲学書、八百屋の暗号、最後の暗号がCDに記録されている、これらの情報は既に君たちから聞いている。それに、解らなければ諦めるという選択肢もあるしね。僕は最悪自力で解くのを放棄しても問題ないんだし」
「……なるほど、俺たちみたく差し迫った状態じゃないもんな。確かにお前なら出来るかもしれないが……。まぁ、やってみるか?」
「よし。じゃ、暁と篠原さんは暗号を、解く順番に並べといてくれ。高木さん、あなたは出掛ける準備を」
神屋は順番に指示をした。高木は神屋の急な要求に怪訝な表情を見せる。
「出掛ける準備? 神屋、俺はどこに行かされるんだ」
「そんなに嫌そうな表情をしないで下さいよ。高木さんが一番動きやすいんですから。頼みたいのは宮澤睦の哲学書を図書館から借りてくることです」
「哲学書……な。分かった、じゃあちょっくら行ってくるわ。昼食の時間までには帰る」
「ありがとうございます。お願いします」
高木は大きく欠伸をしながら暁と亜美の横を通り抜け、部屋を出た。
暁と亜美は四枚の暗号文を左から解読順に並べた。
「神屋君、準備オッケー。それで、神屋君が暗号解く間、あたしたちはどうすればいいの?」
「僕と逆方向から、つまり四枚目から何か別の答がないか検証してみたらどうかな」
「そうね。っんじゃ、あきらっ、やっちゃいますかあっ」
亜美は軽快に言い放つ。今日は何故か亜美のテンションが高い。
「亜美、何か良いことでもあったのか?」
「久しぶりの暗号でワクワクドキドキじゃん!!」
「あのな、新要素ゼロじゃんか。それに、お前は実質、暗号二つくらいしか解いてないだろ」
「いいのっ。今回はあたしが活躍する気がするのさ!」
「何が『するのさ!』だ。はしゃぎやがって」
「さあさあ、そんなことDだし、早く解こうよ!」
「なんか『どうでもいい』をナチュラルに『D』と言うようになったな、俺ら」
暁は四枚目の暗号を手に取り、現代人の短縮語の濫用を心もなく嘆いてみた。
「アノ、神屋サン。イイデスカ」
トニーが会話が途切れた隙を狙って、真剣な顔つきで暗号を眺める神屋に言った。
「……何ですか、トニーさん」
神屋は少し迷惑そうにトニーの顔の方を向いた。
「足……ズット踏ンデマス」
神屋の右足がトニーの左足の上にあった。
「あ………………いや、うん…………ごめん」
「…………ハイ」
部屋に静寂が戻った。
空調が備わった大部屋。高木が退室してから数十分が経った。トニーもまた、家の周りを見回りするために数分前に退室した。トニーはいざという時に狙撃しやすい部屋を見つけておきたいとも話していた。
神屋は照明の光を照り返す長方形の巨大なテーブルでノートパソコンと向かい合っていた。
神屋はワードプロセッサ用のパソコンソフトウェアを開き、いつでもメモ出来るように準備した。続いて、暗号解読に必要な情報を素早く入手出来るよう、インターネットに接続しようとしたが、高木のパソコンには米マイクロソフトのInternet Explorerの他に、米モジラ財団の開発した無料WebブラウザーであるFirefoxを搭載していた。Firefoxはタブによる画面切り替えを素早く行える利点がある。
Firefoxのショートカットアイコンがデスクトップにあるということは、高木は米マイクロソフトのInternet Explorerが圧倒的なシェアを占めている中、Firefoxを常用しているのだろう。まだ少数派ではあるが、その使い勝手の良さ故、Firefoxの利用者は増えつつある。不思議なことではない。
神屋はFirefoxのオレンジとブルーのアイコンをダブルクリックした。
……さて、これで前準備は終わりだ。
神屋は第一の暗号文に目を落とした。
「初めが肝心である」
市場・内閣・最果て・大雨・ノア・図案・書斎・館長・ニアミス・行雲・ケア
『鉢』の中に、『位置』あり。『位置』とは『位置・灸・霊』であり、『禄・霊・灸』のパーツから成る。『荷・酸・霊』と『荷・酸・位置』番目のパーツは間に道標を持つ。
彼には既に、解答の目星は付いていた――――
神屋が第一の暗号に取りかかる頃、暁と亜美は同じ部屋のテレビの前のソファに座って暗号を眺めていた。
Saar
ablation
gauche
unbeliever
oak
Bahama
Janus
Saccharin
◎不信仰者のオークはザール川にて言った。『二分の一とその半分、それの半分、これまたそれの半分……てな具合に、極限までそれらの数を足していくと答えは何になる?』
◎風化した未熟なヤヌスは言った。『騙されるなよ。リンゴが二個ある。そこへ猫がやってきてリンゴを一つくわえていった。さていくつ?』
◎バハマは言った。『日本の福徳の神とユダヤの神が一緒に旅をした。道中、三人殺された……』
◎ある化学者が言った。『ある物質をいじくった。すると炭素56水素40窒素8酸素24硫黄8という組合せになっちまった。元に比べてどれだけのパワーがあるのか……』
篠原亜美へ
よくぞここまでたどり着いたね。約束の日にちまで、もう残りわずかではないのか?
これが最後の暗号だよ。
待ってるよ。では
鬼頭より
暗号文の最後には鬼頭のメッセージが添えられていた。暁は、過去の鬼頭が現在の自分たちの状況を予期して書いたように感じ、少しばかり怒りを覚えた。
「なぁ亜美、マジでコレに別に答を見つけるのかぁ……」
暁は早くも行き詰まりを感じていた。それもそうである。最初から暁はこの勝負の難しさを理解していた。自分たちが何日にも渡って解き続けた暗号文に別の答を見つけるなど、とても考えられなかったのだ。
「それじゃ鬼頭火山らしくない考え方じゃん。別の答じゃなくて、別の暗号を隠したんじゃない?」
暁は目を丸くした。本当に今日の亜美は冴えているかもしれない。亜美の発言はかなり信憑性の高い仮定だと、暁は感じた。
「そうか! つまり、第五の暗号の存在を示唆する何かがあるのか! だとしたら、今持ってる第四の暗号が怪しいな。ここに来て、また第一とか第二の暗号に戻るのはあまりキレイじゃない」
「……でもさ、自分で言っといて早速疑問が浮上してんのよね。第五の暗号が存在すると仮定してだけれど、第四の暗号で一度終結したように見えないと、あたしらが第五の暗号に進む恐れがあるじゃない? そうすると、やっぱり神屋君が仲間に加わらないと第五の暗号に辿り着けないトリックがなきゃいけないわけさ。ただ、そんなハッキリしたストッパーを、そもそもあたしらに気付かれないような形態で隠せるものなのかな?」
「確かにナチュラル過ぎるよな。……しかし、こんなのはどうだ? 仮に俺たちが第四の暗号の中に第五の暗号の在処を見つけたとする。そして第五の暗号を入手する。そしたら驚いたことにそれは暗号じゃなかった」
「どういうこと?」
亜美は首を傾げる。ショートカットがふわりと揺れた。
「すげー乱暴な話だが、それが金庫だったとする。鍵は指紋認識で開く特注のもの」
「あー! 分かった! 指紋認識に必要なのは神屋君ってわけね! あたしらがどんだけ頑張ろーと、神屋君がいなきゃ金庫は開かない。金庫の中には鬼頭火山の居場所なり、それに準ずる情報なりが入ってる」
「正解。……そんで、金庫の側面には、張り紙がある。『四番目の暗号にはもう一つ答がある。そちらが正しい解答だ。この金庫は時間稼ぎに過ぎない。しかし、これは篠原亜美が厳重に保管するように。後に開かれる時が来る。それまでは無理に開けないように。』とかいう内容のな」
暁はかなり乱雑な仮説だと思いつつ、亜美に自説を説明した。
「まあ、どっちにしても何かしらの、ヒントを見つけなきゃいけないよねー」
「……そうだな」
広いリビングで、先の見えない戦いが続く――――――
-2-
「ちょっといいかい?」
気が付いたことを互いに伝達し合い、第四の暗号を再解読していた暁と亜美に、背後から神屋の声が掛かる。
「ん? もう解けたのか!? ……それともギブか?」
暁はゆっくりと振り返りながら言う。
「まさか。最初からギブなんてないさ。前者の方だよ」
「おお! やっぱりか。さすがに早いな!」
「一応解答を言うと、最初の単語群は頭文字の縦読みで、第二の暗号が図書館にあることを示す。後半は数字として読める漢字に日本十進分類法を当てはめて棚と本、それからその本のページの位置を特定する。これで、第二の暗号入手ってことでいいかな?」
「ああ。ちなみに、第二の暗号の答は固有名詞だ。『北の八百屋』って場所を示してる。それだけは最初に教えておく」
「オーケー、第二の暗号は時間もそうかからないだろう」
神屋はそう言うと、テーブルに戻っていった。数学的な暗号は彼の得意分野だ。著名な数学者である両親譲りの才能である。とは言うものの、本当に優れた者は分野を問わず優秀なものである。神屋に、数学以外の学問全般の高い能力が見受けられたのは確かであった。
暁には坂本洋平という親友が存在したが、神屋もまた、比較的よく遊んだ友人のひとりだった。昔から、学力において一番長けていたのは神屋だった。
気付くと、旧友二人は自分よりも遥かに優秀な人間になっていた。暁は取り柄のない自分に少しばかり情けなさを感じた。
「あたしらも第三の暗号に移らない?」
「そうだな。最初は広く浅く調べよう。今日中に一度全ての暗号の内容を吟味するのが望ましいな」
「よし、神屋君、第三の暗号貸して」
亜美は跳ねるように軽やかに神屋のいるテーブルに駆け寄った。
亜美が第三の暗号を受け取り、暁の側に戻ると、神屋は第二の暗号を見渡した。
『740 670 700 720 690 680 730 710
十字架を背負いし者に
数と方向をあたえよ』
「……並び方か」
神屋は呟くと、暗号の数字の部分の並びを整理した。
740 670 700 720 690 680 730 710
↓
670 680 690 700 710 720 730 740
……数と方向。
規則的に並べられた数と、方向というワードには関連するものがあると神屋は知っていた。高校数学における数列では、一般項を表す際にnという文字が使われる。nは方向を表す文字でもあり、北を示す。さらに、この暗号の解答は「北の八百屋」である。十中八九関係性があるだろう。
神屋は苦もなく等差数列の一般項を導いた。
10n+660
「……!」
神屋は「十字架」の正体を掴んだ。
nに方向は与えた。残るは数である。アルファベットの数値変換ほど単純な暗号はない。
「…………」
神屋は悩んだ。aを1にするか0にするか。一般的だとされるのは0の方だったか……。
神屋は導いた一般項のnにaを0とした時の数値――14を代入した。
算出された数は「800」だ。神屋は瞬時にその数の意味する事柄を悟った。
「北と800で『北の八百屋』か」
そのころ高木海は図書館に居た。
哲学書の棚には、宮澤睦の『キリストの哲学』が確かに存在した。それは通常の本よりも遥かに巨大で、見た目にもかなりの重量感があった。
彼は指に力を入れて、その内の一つを引き抜いた。
その瞬間、仄かに紙の匂いと埃の臭いとが混ざりあったかのような懐かしい香りがした。すると、ふと高校の図書室が高木の脳裏に浮かんできた。
高木の母校は暁や亜美と同じ月代学園である。月代学園の図書室はかなり広い部屋だった。蔵書量も田舎の小規模な図書館よりは遥かに多かっただろう。高校三年間ではその全てを把握するのは不可能に近い。さらに今では新図書室が設立されたらしく、前にも増して本の量は増えているのだろう。
高木は新設された図書室を一度見てみたかった。高木が卒業したときには、新図書室の設立は既に予定されていた。流行りの中等一貫校を目指すとかで、五つ目の棟が建設されるという話だった。その一、二階が吹き抜けの図書室になるとのことだった。
高校時代を想う。やはり懐かしいという感情が涌いてくる。どんなに無色で、味気ない過去であっても、それでもその過去は自分だけの過去なのだ。
高木は、王里神会に入信していなかったら自分はどんな高校生だっただろう、と現実ではない理想の過去を追憶した。
沢山の友人に囲まれて、馬鹿みたいな話をしていたかもしれない。学力はあったし、東京大学でも目指して清々しい勉学の日々を過ごしていたかもしれない。彼女なんかを作って、週末には楽しくデートでもしていたかもしれない。
「……ったく、何で王里神会なんか信用しちまったかなぁ……俺は」
高木は誰も居ない哲学書の棚の前で、哀しげに呟いた。
今度は不意に、神屋の姿が脳裏に浮かんだ。
「………………」
神屋は数年前の自分だった。少なくとも、そう高木は思っていた。
神屋聖孝。彼は王里神会を何故壊滅させようとしているのか。単なる正義感か? それだけで、人は恐怖に打ち勝てるのか?
それとも、アメリカの神屋夫妻――神屋聖孝の両親の殺害事件に関わっているのだろうか。
神屋の両親は王里神会の幹部だったのだ。そして、ある日理由もなく夫妻は殺された。高木は夫妻と面識があった。夫妻は宗教を通じて、真の幸福を見いだそうとしていた。それだけでなく、それを広めて幸福な国を作れると信じていた。善良で、良い人たちだった。あの頃は、みんな王里神会を信じていた。
……本当に夫妻が殺されたのには、理由がなかったのだろうか。知ってはいけない何かを知ってしまったのではないだろうか。
数学の最重要課題の一つ、リーマン予想。その研究資料が盗まれたことから、犯人の夫妻殺害の動機はリーマン予想証明の賞金を得るためかと噂されたが、本当か? そのような、余りに単純で愚かな理由か?
仮に、王里神会が夫妻の殺害に関わっていたならどうか。そして神屋聖孝がそれを何らかの方法で知ってしまったのなら。
神屋が両親の敵を討つために王里神会を崩壊させようと考えても不思議はない。それが「敵を討つ」に留まれば問題はない。ただ、神屋の目的が「復讐」ならばどうか。もし、アンチマターが勝利を収めたとして、それで納得するのだろうか。最後に何かをやらかしかねないのではないか? 何かとんでもない企みを図っているのではないか?
「……神屋聖孝だけは、闇に堕ちてはいけない」
高木は、自分の心臓が早鐘のように体内に鳴り響くのを感じた。額にはべっとりとした汗が浮かんでいる。こめかみの辺りを一筋の汗が伝わる。
「あの、大丈夫ですかぁ?」
横を向くと、一人の女子高生が立っていた。月代学園の制服を着ている。よほど本が好きなのか、手には十冊のハードカバーの小説を抱えていて、かなり重そうだ。この図書館の貸し出し期間は二週間だから、一人で読むには比較的多い量である。そもそも、市民だけが申請して作ることが出来る貸出カード一枚で借りられる冊数は五冊だったはずである。つまり、残りの五冊はこの場で読んでしまうか、あるいは親兄弟の分のカードも併用しているわけである。
「……え?」
「……あ、あの、顔色が良くないようだったのでっ」
女子高生は酷く慌てた様子であたふたしている。
「あっ、ごめんよ。大丈夫だから。心配かけて申し訳ない」
「えっ、あっ、こちらこそすいませんっ! 何でもないのに大丈夫ですかとか言っちゃって、あのっ、…………すいませんでした!」
女子高生は慌てた様子のまま、何故か謝って、猛スピードでどこかに消えてしまった。
「…………なんだありゃ。最近の女子高生はああなのか?」
高木は思わず笑ってしまった。動悸も汗もすっかり引いてしまった。
……おれはなんつう不気味な想像をしてたんだ。あいつが堕ちるなんて、あるわけがないよな。
高木は自分の行き過ぎた妄想を忘れようとした。
あの神屋聖孝が、復讐心に取り憑かれているとは到底思えない。
高木は静かな図書館を、貸出受付に向かって歩き出した。
まさに序盤戦ですね。
読み返すと神屋の解読能力半端ないな、と思いますね(笑)
やりすぎましたかね?
次話は28日の夜になるかと思います。
更新速度遅くて本当に申し訳ありませんm(_ _)m