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赤色の願い

田舎編もいよいよクライマックスです。

どうにか、読んでいただける方に、楽しんでもらえることを祈りますw

 

‐1‐


 如月愛は暁が予想していた以上の身体能力を持っていた。三歩で白い服の女の付近まで接近し、四歩目で右足を踏み切り左の拳で女の右腹部に強烈な一撃を加え、そのまま時計回りに回転し首をナイフで斬りつけた。ここまでの動きでまだ二秒も経っていない。

「やった……か?」

 暁は如月の攻撃に驚くとともに安堵した。勝負がついたように見えたからだ。だが、相手は人間ではないのだ。考えが甘かった。

 女は物理的に避けられない反動さえも受け付けず、傷を負うことも無かったのだ。

「う、うそ!? 感覚はあったのに」

 如月はバックステップと同時に驚嘆の言葉を吐いた。

 暁は一歩も動けず、ただ如月が戦うのを見ているしかなかった。

 女は如月の攻撃を受けた後ほとんど動かなかったが、不気味な笑い声とともにゆっくりと左右に揺れ出した。

「な、何!?」

 すると、女は目にも止まらぬ速さで弧を描くように移動し、如月の背後に回り込んだ。

「消え……」

「如月! 後ろだ!」

「!!!!」

 一瞬女の姿を見失った如月は、暁の言葉を聞くやいなや振り返り、ナイフを構えたが、女は既に青白い腕を如月に向かって伸ばしていた。

「きゃっ……」

 如月は小さく悲鳴を上げた。

 女の両腕は如月の首を強く締めつけた。

 如月は両腕両脚をじたばたさせ、抵抗したが、またしても女は石像のごとく動かない。

 如月は苦しみの表情を顕わにし、遂に右手のナイフを取り落とした。

 ナイフが地に落ちる音で、暁は我に返った。

「如月!! クソ……!!」

 暁はすぐに女の背後に接近した。

「外崎ク……ン、来ちゃダメ。逃げ……て」

 女に首を締めつけられながらも、如月は暁を逃がそうとしていた。

「バカヤロっ!! 出来るか、そんなこと!!」

 暁が叫んだ瞬間、突如として女は悲痛の表情を浮かべ、締めつけていた両手の力を弱めた。

「!!!!」

 如月はその隙を逃さなかった。女の両腕を掴み、両脚で思い切り女を弾き飛ばした。

「如月! 無事か?」

「うん。でも、何で急に攻撃が効くようになったんだろ?」

「……解らない。それより、一旦退却だ」

「う、うん」

 二人は白い服の女がこちらの動きに気付く前に屋上から退いた。



 十階プラス屋上の設計であるこの廃ビルであるが、潰れる前は会社か事務所の類いであったのだろう。机や棚が各部屋に無造作に放置されている。また、小部屋で細かく仕切られているのも特徴的である。いつかのカルト宗教のアジトを彷彿とさせる造りである。

 二人は七階のオフィスルームの机の陰に隠れていた。

「坂本クン、置いてきて大丈夫だった?」

 如月は左手を口に当てて言った。

「時間なかったしな。気絶してる内は安心して大丈夫だろう。……しかし、あの化物をどうやって倒すんだ?」

 無論、目を覚まして攻撃体勢に入ったら返り討ちに遭うという意味である。

「化物……ね。物理攻撃が当たるだけいいけど、ダメージは皆無だからなあ」

「物理攻撃…………!!!!」

 白い服の女は幽霊とは言えないくらいの存在感を持っていた。その違和感ともいえる存在感の強さの正体は実体がはっきりとし過ぎていることなのだと、如月の言葉で気が付いた。

「幽霊なんかじゃない……」

 暁ははっきりとそう言った。

「えっ……?」

「アイツを初めて見たのは洋平だ。知り合いの中でだけどな。如月、お前がこの廃ビルの噂を作ったのはいつだ?」

「人に話したのは中学入ってからだけど」

「そうじゃない。作った時間の話だ。お前の中であの物語が確立されたのはいつだ?」

「……小学校高学年の頃かな」

 如月は何かを思い出したような表情で呟いた。

「そうか……。やはり同時期か。……如月、あいつは、あの女は……」

「…………やっぱり、そういうこと……ね」

 如月は暁の瞳をジッと見つめていた。

「お前の強い思いがあの女を作り出したんだ。だから、如月の意識と少なからずリンクしてる。俺の声に反応したのもそのせいだろう。意図的ではないが、無意識でもない。偶然と超次元の産物って訳か」

「……偶然と超次元。…………ううん、違うよ。超次元であっても偶然じゃない」

「えっ?」

 如月は服の中に隠れていた何かを取り出した。

 それはペンダントだった。ペンダントには赤色の宝石と思われる石が付けられていた。鎖は綺麗な銀色で宝石の赤色が僅かな光と共に反射して輝いている。

「綺麗だな」

 暁は見たままの感想を述べた。もちろん、それがどんな代物なのか、という疑問のニュアンスを含んではいるが。

「偶然じゃないって言ったな。関係あるのか? その……ペンダントと」

 暁は部屋の入口に注意を払いつつ尋ねた。

 如月は静かに、語り出した。

「小さい頃、六つ上の兄さんから貰ったんだ。魔法の宝石だって。この石を夜空に掲げて自分の十二星座の首星と重ね合わせて、願い事を言うと三つだけ叶えてくれるんだって」

「……何を願ったんだ?」

「家族に戻ってきて欲しいって……。でも、ダメだった。やっぱり、迷信だから」

「そっか……」

 如月は膝を抱え込んだ格好で斜め上を見ている。

「でもね、それでも願わずにはいられなかった。だから願ったんだ、アタシの星座、さそり座の『アンタレス』に。叶わないって思ってても、今度は……アタシの作った噂を現実にして欲しいって……」

「!!」

 そうか……。如月の願いはそれで叶えられてしまったのか。おそらくは如月愛本人に直接関係しなければ願いは叶わない。それが、兄の「願い」だったのだろう。

たとえ迷信でも、作り話でも、それが如月の兄の、如月に対する「願い」だった――

「二つ目は? まだ残ってるのか?」

「もう使った……。アタシは悲しみを分かって欲しかったのかもしれない。救いの手を差し伸べてくれる人を導いて欲しいって、お願いした。……外崎クン、ごめんなさい。あなたたちを巻き込んだのは……多分アタシ」

「…………そうだった……のか。……でもさ……如月、気にすんな。そいつは俺の意思も半分入ってるんだ」

「……ありがとう」

 如月はペンダントを見つめて、感謝した。

 導き。暁と洋平の以前の会話はあながち間違ってはいなかった。彼らは、まさしく「導き」を受けていたのだ。迷信や作り話かもしれない「意味ある偶然」に――

 暁は、如月が何をしようとしているか察していた。だが、それは正しいことなのだろうか? 如月の為になるのだろうか?

「外崎クン、三つ目はまだ残ってる。だから……ここで願えばいいのよ。私が作ってしまったアレが消えてしまうようにって……」

「…………」

 如月は部屋の南にある窓に近寄って行った。手に兄の形見を持って……。

「……如月」

「……何?」

「逃げるなよ」

「逃げてないよ。…………これ以上、あなたたちを危険に巻き込めない」

「違うよ。それは言い訳だ。如月、あの女がお前や洋平を襲ったのは、お前が心の奥でまだ孤独であることを、全てをはねのけてしまうことを、望んでいたからじゃないのか? このままお前が変わらないなら、状況は打破できない。お前は苦しいままなんだ。それで本当にいいのか?」

「…………よく……ない。よくないよ。でも!! アタシなんかが今更……!!」

「……バカか如月、お前がどんな人間かなんて関係ないんだ。お前は今までよく頑張ったよ。もう、無理しなくてもいいんだ。お前が願ったんだろ? 救いの手を……差し伸べさせてくれよ、俺に」

 如月は暁を見たまま、一筋の涙を零した。

「……外崎クン。……ありがとう。やってみる。……自分と向き合ってみる」

 如月は右手でペンダントを握りしめ、ただ一回頷いた。石の願い事なんかに頼らず自分の力で全てを終わらせる、自分で自分を変える、そんな決意の色をその瞳に覗かせて。

「よし。如月、俺はちょっと様子を見てくる。お前は少し休め。いろいろ整理しなきゃいけないこともあるだろ」

「うん。でも、あの女が現れたら、すぐに逃げてよ。外崎クン弱そうだし」

「……俺はインドア派なんだよ! ほっといてくれ……」

 暁はそう言い放つと、部屋を出て廊下に出た。 廃墟と化したビルの廊下に冷たい風が強く吹き付けていた。



‐2‐


 暁は十階と屋上を繋ぐ階段を登り始めていた。

 如月が作り上げた白い服の女のフィールドは、基本的に屋上であるようだ。如月の負の思いが強まった時のみ廃ビルを離れることが出来るのだろう。

 暁が屋上の様子を見に行くに至った理由は二つある。

 一つは、如月に自分と対話し、負の感情を断ち切る時間を与える為。

 もう一つは洋平の様子を見る為だ。洋平が拉致されたのか、憑依されて自分で廃ビルに出向いたのかは判らないが、もし目を覚ましてしまったら混乱してしまう。……否、戦いを挑むだろう。彼はそういう人間だ。

 しかし、状況は以前とは違う。今の如月の心は不安定だ。白い服の女が洋平を容赦なく殺そうとしても不思議ではない。とはいえ、もし洋平が覚醒していた場合、暁にはそれに対処する術はないのではあるが。

 暁は極力足音をたてないようにゆっくりと階段を登った。暁は屋上の扉に付いた窓から屋上の様子を見渡した。屋上には先程と体勢を変えずに横たわる坂本洋平の姿があった。

「女が……いない?」

「フフフフフ」

「!!!!」

 背後に不気味な笑い声を聞き、振り返った暁の目の前には白い服の女が恐ろしい表情で笑っていた。

 次の瞬間、女は暁の首を両手で掴み、そのままの体勢で扉を突き破って前進した。そのスピードと突然の展開に、暁は状況を把握できずにいた。

 ガシャンッ!!!!

 入口から十メートル程の距離に位置するフェンスに、暁は思い切り叩きつけられた。首には依然として女の青白い手が掛かっている。

「……っつ……!」

 暁は、抵抗することはおろか、声を上げることさえ出来なかった。

 全身に強い痛みが走る。軽自動車にはねられたぐらいの衝撃はあったであろう。

 ギシッ……。そんな音がした。横目で音のした方向を見ると、フェンスの接続部分が外れかかっている。フェンスの向こうには足場はない。このまま、抵抗出来なければ間違いなく十階建てのビルから落ちることになる。

 ……くそ!! 冗談じゃねーぞ。

 フェンスは今にも壊れそうなくらいに変形していた。それでもなお、女は暁の体をフェンスに押しつけている。

「く……そ……!!」

 もうダメだ、暁がそう思った瞬間、女の体で陰になって見えない扉の方向から、如月の声が聞こえた。

「もう止めて!!」

 女は腕の力を少しだけ緩めた。女は真っ黒な目を、カッと開き、ゆっくり如月がいるであろう方向に振り返った。しかし、それでもまだ女の腕は暁の首に向かって伸びている。

「如月……」

 暁は声を掛けようと試みたが、どうやらしばらくは喋れそうになかった。

「もう……誰も傷つけないで!! アタシはもう、あなたになんか頼らない。悲しいことも、辛いことも、受け入れる。自分の幸せを手に入れる。だから、もうこの世界から消えて!!」

 如月の言葉は女に向けてのものだが、同時に暁に対して意思表示も含まれていたのかもしれない。

 しかし、どちらにせよ如月は女の目の前で、ハッキリと自身の変化を見せつけたのだ。

「…………フフフフフ」

 女は笑いながら、体を闇に溶け込ませていった。女の体が、消えていく……。

 女の笑い声はその姿が完全に確認出来なくなる、その瞬間まで続いていた。

 まるで、その存在を、記憶に焼き付けるように……。



‐3‐


「終わった……ね」

 如月は暁に歩み寄って、そう言った。

「ああ。助かったよ」

 暁はフェンスのそばに座り込んでいた。骨折こそしていないが、全身を金属製のフェンスに激しく打ちつけたのだから、簡単に動けるはずもなかった。

「すぐ逃げろって言ったじゃん……ばか」

「あの女から素敵なサプライズがあってな。見つかっちまった」

「ハハハ。でも、無事で良かっ………………」

 如月は急に言葉を止めた。

「如月? …………おい!! 如月!!」

 暁が呼び掛けたその時、如月は座り込んでいた暁に重なるように倒れてしまった。おそらくは、心的な疲れがあったのだろう。負の心の具現化した存在が消え去ったのも要因かもしれない。

「大丈夫か!!」

「外崎クン……ごめんなさい。大丈夫だから…………!!!!」

 如月が立ち上がろうとした瞬間、『ガキンッ』という音が屋上に響いた。如月が倒れた時、その衝撃で二人は外れかかっているフェンスに寄りかかってしまったのだ。

 フェンスが外れ、一瞬にして二人は空中に投げ出された。

 暁はとっさの判断で壊れたフェンスの隣のフェンスを右手で掴み、左手で如月の腕を掴もうと試みたが、そのどちらも位置的な問題によって惜しくも失敗してしまった。

「くッ……!!」

 しかし、その刹那一本の腕が暁の手首を掴んだ。

「!!!!」

「暁!!」

 洋平だった。如月が倒れた時、洋平は目を覚ましていたのだ。



 屋上には、暁と洋平の姿があった。

「ハァ……ハァ……ハァ……!!」

 暁は突然の事故で乱れていた息を整えた。

「何だってんだ……!! 俺は何でここに……。お前ら、何てアブねーことを……」

 洋平のそんな言葉が認識された瞬間に暁は重大なことに気が付いた。

「洋……平、如月、如月愛はどうなった!?」

「…………ダメ、だ。悪い、俺は何がなんだか分からなかったんだ。視界にお前らが落ちかけてるのが見えて、反射的に動いた。だから、一番近かったお前の腕しか掴めなかった」

 洋平は拳を握りしめてコンクリートの床を殴った。

「そんな……。ウソだろ……。そんなこと……あってたまるか……」

「ここ……例の廃ビルだな。俺にはまったく意味が分からない。ウチで幽霊に襲われて……。だけど言えることは一つある。十階から落ちた以上、如月は……」

「…………くそったれ!! 洋平……。俺たちは、バカだよ。結局、何も出来やしなかった。救いの手なんて……。チキショウ……」

 暁は屋上の外れたフェンスから下を覗き込んだ。

 遥か下の方に小さく如月の体が見えた。如月は嘘偽り無く、落ちてしまったのだ。

「如月……!! せっかく変わった人生が、何でこんなにも早く終わらなきゃいけないんだ……。自分の幸せを手に入れるんじゃなかったのか……。何で……こんな、不条理が……」

 如月に拳銃を向けられても、白い服の女に屋上から突き落とされかけても、涙は出なかった。だが、暁はこのときだけは涙した。

 再会なんて、すべきじゃなかった。

「暁……。おい……暁」

「……何だ?」

「これって、如月の……か?」

 振り返ってみると、洋平は如月のペンダントを持っていた。おそらく倒れたときに落としてしまったのだろう。

「ああ。そいつは如月の…………!!!!」

 そうだ、まだその手があった。

 暁の脳内に一筋の光が射し込んだ。

「洋平!! それを貸してくれ!!」

「はあ? あ、ああ」

 暁は洋平から赤い宝石の付いたペンダントを受け取ると、夜空を見上げた。

「まだ夜は明けない。星は輝いている。まだ続くんだよ、この夜は…………。そうだろ、如月!!」

 夜空には、アンタレスの赤色が何よりも美しく、輝いていた―――――



‐4‐


 水平線の向こうに沈んでいく夕陽。

 夕陽が赤色なのは、日没直前の太陽の光線が、昼間より低い角度から射し込まれる為に、より厚い空気の層を通り、波長の短い青系の光が拡散されて赤色が強く出るからである。

 同じ恒星であって、赤色のさそり座α星「アンタレス」は地球から六〇〇光年離れていると言われている。目の前の大きな太陽の七〇〇倍という大きさである赤色超巨星のアンタレスの輝きは、やはり太陽の数万倍の輝きであり、遠く離れたこの星でも美しさを誇るものだ。

 その輝きは、人に何をもたらすのだろうか。

 この事件の始まった海辺で、暁は全てを洋平に話した。

「首星に願うと望みが叶う……ねぇ。そんな不思議なことがあるんだな。まあ、あの幽霊……じゃなかった。あの化物を認める以上、信じなきゃな」

 洋平は夕陽を眺めながら隣にいる暁に言った。

「俺たちが再会したのも偶然じゃなかったのかもな……。しかし、本当に洋平には感謝してるよ。あの時、お前が俺の腕を掴んでくれなかったら死んでいたところだ」

「やめろよ。俺にも巻き込んだ責任があるんだ。礼には及ばないさ。……ところで、如月愛は助かったのか?」

「ああ。あの石の最後の願いで……な。今日見舞いに行ってきた。不思議な話だよ。奇跡だな、十階から落ちて、骨折が四、五カ所くらいで済んだんだ。科学じゃ説明できないんじゃないか?」

 昨晩、如月が廃ビルから落ちた後、暁は赤い宝石に「如月の命を助けて欲しい」と願った。そして、如月の元へ駆けつけると先程までピクリともしていなかった如月が、痛みに苦しみだしたのだった。痛ましい姿であったが、命をつなぎ止めた証拠でもあった。

「だろうな。にわかに信じられる話じゃあない。で、如月愛はお前がここを去る頃には退院出来るのか?」

「いや、無理だろうな。帰る前にもう一度お見舞いに行くつもりだ。それでお別れ。殺しの事も言うつもりはねーしな」

 もちろん、証拠不十分で逮捕すら出来ないだろうけれど。

「はは、そうだな。そういやお前の体は大丈夫なのか?」

 洋平は暁の方へ向いて言った。

「まあな。ちょっと痛むけど、医者には診せられないだろ。如月は上手く理由を誤魔化したみたいだが、俺にはあの事件を誤魔化す技術はないさ」

「そうか」

 洋平は再び夕陽を眺めだした。暁も夕陽を見ている。後数秒で、完全に沈んでしまうだろう。

「なあ、洋平」

「何だ?」

「やっぱ今度如月の入院してる病院で開催しないか?」

「何を?」

 洋平は日の入りの余韻を楽しみながら尋ねた。

 暁は如月の顔を思い浮かべながら、答えた。

「俺のお別れ会さ」

「ハハハ!! ナンだソレ。自分でセッティングしてやがるよ。……しかしまあ、そりゃ楽しげだな。……よし、賛成だ」

 砂浜の砂が潮風に流されて空に舞い上がった。

 奇跡の余韻が暁の心を満たしていた。



次回で田舎編は終わりです。

これから先はサスペンス色が強くなります。

読んでいただいた方、ありがとうございました!

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