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プラム・プディング

‐1‐


「如月愛、十七歳、学生。好きなもの:テディベア、プラム・プディング。嫌いなもの:幽霊、レモンティー。部活:軽音楽部……」

 洋平はコーラの入ったグラスを片手に、入手した情報を次々と口にした。

「……うん。なんっていうか、典型的なかわいい系な女の子だな」

 暁は少しニヤケながら言った。

 それを聞いた洋平は「あーあ……」という、可哀相なやつに同情するような言葉を呟き、クーラーのリモコンで冷えすぎた室内の温度を下げた。

「何だ? あーあって?」

 可哀相なやつが尋ねた。

「あのさ、一応確認するが、如月愛って隣のクラスにいたあいつだよな?」

 「隣の」というのは、洋平があらかじめ暁から聞いていた「同じクラスになったことがない」という確認情報と、暁と洋平が六年間ずっと三組までクラスがある中の二組に所属していたことを意味する深い言葉である。

「ああ。そうだけど」

「わかってると思うけど、俺達は持ち上がりだから中学も同じなんだ。それで、確かにテディベアのちっこいのを中学生にもなってよく持ってたのも確かだ」

「へぇ……。人気は? モテてた?」

「愚問だな。なんというか……というか寧ろ『難というか』って感じだが、あれと付き合うのは俺的には無理だ」

「え? 何でさ?」

「ルックスに関しては一般的な美的感覚を持ち合わせている人にならば誰にでも無難に好まれると思う。……が、『嫌いなもの、幽霊』はかなり引っかかるなって」

「別に普通だろ?」

 洋平は過去の記憶を鮮明に思い出し、脳内で文章化した。

「至って普通の、本当に少し可愛らしい女の子くらいの普通の女子だったと思う。俺は例外として如月愛に告られたら、オーケーするかしないかは五分だな。好きだったらの話だけど。そういう意味ならモテてたと言えるかもしれない」

「回りくどいな。つまりどういうことだ?」

「これから告るって奴に言えることじゃないかもしれないが、親友として言っておく。変な噂があるんだ。それが、彼女の価値を下げている。如月愛に告った奴は……」

 洋平はそこでコーラを一口だけ飲んだ。

「……な、何だよ」

「死ぬ」

 洋平は真剣な目で言った。

「は?」

「だから、死ぬんだ」

「あのな、洋平。言っていいことと悪いことがあるだろ」

 暁は呆れた表情で反論した。まさかそんなことがあるわけないのだから。

「四人だ。まず中学時代では別の学校の生徒と山下雄馬(やましたゆうま)が告って、それぞれ四日後に事故死した」

「山下雄馬!? あの野球少年の雄馬が? し、死んだのか?」

 山下雄馬、彼は一つ下の学年の野球大好き少年だった。友達ではないが、校内では知らない人はいない有名人だった。

「偶然かもしれないが、必然とも言えなくもないだろ? 二人とも四日後に事故死だなんてよ」

「マジかよ。……じゃあ『嫌いなもの、幽霊』が引っかかるのは?」

「更に複雑な話になるんだが……。山下じゃない方が先に告ったわけなんだが、その四日前に如月愛は複数の友人と肝試しに行ってるらしくてな。昨日言おうか迷ったんだが、俺が見た幽霊ってのは割と有名な方で、俺の中学じゃあ誰でも知ってる怪談話なんだ。だから肝試しの会場にはあの廃墟が使われた。それで、出会ってしまったんだ、例の女に……」

「呪われたとでも言おうってか?」

「落ち着けよ。こっからは俺が話したやつと少し違う怪談話にシフトするんだ」

 暁は洋平が下らない嘘を語っているという疑いをなくした。こんなややこしい驚かし方があるはずない。

「本当かどうかは分からないが、昔テディベアが好きな女子中学生がいた。正確には一体のテディベアだ。つまり、お気に入りの熊のぬいぐるみを大好きでいつも持ち歩く少女がいたんだ。少女はクラスの人気者で、勉強もスポーツも出来る三拍子揃った少女だった。ある日の放課後にひとりの男子生徒がその少女に告白した。少女は申し訳ないと思いながらも断った。しかし、それに過剰に反応した男子生徒は少女を殴って気絶させて、例の廃墟に連れて行き、そこで少女を殺し自殺した。その事件の後、あの廃墟で少女の霊を目撃され始めたそうだ」

「つまり、テディベア好きの如月愛がその幽霊と出会ったことで他の人よりも強く呪われたってわけか?」

「まあ、認めたくはないが、そういう噂だ。続き、聞きたいか?」

 洋平は暁の目を見つめながら言う。

「聞きたくないな……。だけど、乗りかかった舟だし、俺が仮に告白した場合、彼女を結果的に傷つけるかもしれないしな……」

「いいか。俺の気持ちとしてはこれを聞いたら、もう引いてほしい。ややこしいことに巻き込まれに行く必要はない」

「内容次第だな」

「同情の念しか浮かばないような話だぞ」

「いいから、話せよ」

 コーラが飲み干された後のグラスに入った三つの氷が音をたてて配置を変え、一回転した。

 洋平はゆっくりと口を開く。

「普通の人間は偶然として片付けるような話だ。如月愛も例外じゃなかった。だけど、退屈な学校の連中からしたら価値のある噂話だったんだろう。如月愛は決して弱い人間じゃあないし、自分一人なら簡単に立ち直れたはずだ」

「苛められた……のか?」

「いや、お前の知っているとおり、俺らの学年は苛めなんて一つも無かった。だから、形を変えたんだ。あくまで噂として……な」

 仲間はいっぱいいたしな、と洋平は思い出すように言った。

「終わり……か?」

 暁は終わってほしいという願いを込めて聞いた。

「まさか。こっからが彼女の不幸話だよ。噂のこともあって如月愛は男子と距離を置きだした。というよりも親しくなりすぎないようになった。それが功を奏して、中学卒業まで誰にも告られなかった」

「二回だって多いしな」

「高校ははなぶさ高校、確か『英』って書いて『はなぶさ』だったと思う。偏差値は五十二くらいかな。まあ、とにもかくにも如月愛は私立英高校に入学したわけだが、そこで噂は消滅。俺も詳しくは知らないが、本人も立ち直ったらしい」

「めでたしめでたし……のわけないよな……」

 犠牲者は四人。全く忘れたわけではない。

「ああ。ここで三人目の死亡者が出る。噂では一年の夏らしいが、こっからはかなり噂自体が怪しいから素直に信じきれない。“俺が聞いた話では”だが、一年の夏に同じ学校のテニス部部長の先輩に告られて、四日後にその先輩は事故死したそうだ」

「…………マジ……で?」

「一年の冬、同じクラスの地味な男子生徒に告られて……」

「四日後に事故死」

「正解」

「…………」

「…………」

 予想とレベルが違った。暁の体験と同じくらいの悪夢だ。いや、それ以上か……。

「なあ、洋平。告られて、如月はどう答えたんだ?」

「最初の二人は断ってる。あとはわからないな」

 しばらくの間、沈黙が室内を支配した。

「そっか……。自分のことを好きな人が死ぬなんて、辛いよな……」

 佐藤静枝の泣く姿を思い出しながら暁は、ただ如月愛の悲しみの深さを想像した。

「だろうな。噂では最近、夜な夜な許しを請いにあの廃墟に通ってるって話もある」

「でも、バイトしてるってことは、一応前を向いて生きているってことだろうか……?」

「何かしていないと気が保たないんじゃないか?」

 洋平の表情は諦念の色を覗かせている。

「救いを……求めてんじゃないかな?」

 暁は思ったことをただ口にした。

「暁、気持ちは解るが、俺たちは無力だよ。お前がそれでもまだ、告白するって言うなら、予定通りしっかりカッコ良くしてやるけどよ、さすがに引き下がるしかないだろ?」

「除霊とか、御祓いはダメなのか?」

「多分もう試しただろ」

「だよな……。しかし、引っかかる……」

 暁の中では腑に落ちない点があった。

「暁、どうした?」

「四日後に事故死って、何だ?」

「は?」

 洋平は暁の言葉の意味が解らなかった。

「四日後に事故死ってのが共通点だが、関係ないだろ。それに、お前が話した心霊話も、告白した男子生徒が廃墟で殺人と自殺をする理由が解らない。殴ったならそのまま殴って殺せばいいだろ。廃墟に行く必要はないし、女子とはいえ担いで廃墟に運ぶのはかなりキツいし、誰かに見つかるに決まってる」

「確かに……」

「そもそもあの廃墟ってそんな昔のものじゃないだろう? せいぜい二十年前って感じだ。俺が小学生のときにも噂は既に出来上がっていたはずだ。お前は小学生の時に目撃したみたいだが、噂は無かっただろ。ここ数年ここらじゃ殺人事件なんて起きてねーわけだし」

「全部作り話……ってことか?」

 洋平は茫然としている。「何でそんな簡単なことに気付かなかったんだ」と、テーブルを思い切り叩いた。

「“本当かどうかは分からないが”なんて説明は要らない。全部作り話だったんだよ。ここを離れていた俺だから気付いた」

「ま、待て、暁。じゃあ俺が見た白い服の女は……?」

 暁は右の口角を僅かに上げて、微笑した。

「もしかしたら、導かれたのかもな。お前が廃墟に導かれて白い服の女を見て、俺が故郷に帰ってふと海に出掛けるとお前と再会し、コンビニに行って如月愛を目撃、何故か一目惚れしてお前に相談、そしたらお前が如月愛に起こったことを話す」

「そして、事の真相を掴む……か。神様は俺達を悲劇の舞台に招待してくれたようだな」

 洋平は詩的に続けた。

「どうかな。喜劇とはいかないだろうが、ハッピーエンドにはなるかもしれないぞ?」

「は?」

「救いの手、差し伸べてみないか?」

 暁は今度は左の口角も上げて言った。

 田舎町の小さな物語が幕を上げた。



‐2‐


「プラム・プディングって知ってるか?」

 暁が夕陽を背に言った。

「如月愛の好きなもの……か。気になっていたんだけど、何なんだ? そのプラム……」

「プラム・プディング」

「そう、それ。食べ物の名前か?」

 洋平は砂浜にしゃがんでいた。木の棒で何やら文字を書いている。多分ドイツ語だろう。ライティングも出来るのだろうか。

「クリスマス・プディングとも言うんだけどな」

「ん? それは知ってるぞ。イギリスにホームステイしたときに食べたな、確か」

 イギリスにホームステイしたのか、コイツは。

「そうか。ちなみに雑学を言わせてもらうと、プラム・プディングは日本の雑煮みたいに家々でこだわりの味を持っているんだ。クリスマスに食べるケーキみたいなものだが……って、それは知ってるか」

「ああ。具だけのパウンドケーキだったな。切ったらコインが入っててビックリしたよ」

「それはかなり凝ってる方だな、確かそれで占いをするんだ。普通はしないだろうけど」

「だろうな。それで、ただの雑談か? 今日はもうやることないし、俺は構わないけど」

 洋平はそう言うと、ドイツ語の下に今度は英語で「February」と書いた。

 二月…………なるほど。如月か。何書いてると思えば……。

 暁がそんなことを考えていると、視界に夕陽のオレンジが飛び込んだ。先日洋平と再会した砂浜は姿を変えていた。黄金の光が海に零れ落ちる。夕陽と影は奇妙な調和を保ち、決して混ざり合わず、かつ乖離せず、数分間だけのこの美しきコントラストは、ありきたりでありながら心に深く染み渡る。

 暁は夕陽を眺めていて、洋平の問いに答えていないことに気が付き急いで言葉を探した。

「雑談だが、脱線はしていない」

「と、いうと?」

「如月もまた導かれたんじゃないかって思ってな」

「プラム・プディングっていう記述に何かあるのか?」

「シンクロニシティ」

 暁はそう言って、洋平の書いたドイツ語の隣に「Synchronicity」と書いた。

「何だ、シンクロニシティって? 訳は……『共時性』か?」

 洋平は顔を上げ、暁の顔を覗き込んだ。

「よく知ってんな。ユングっていう心理学者は知ってるよな?」

「ああ。聞いたことはあるけど」

 ホントによく知ってるな、コイツは。

「ユングは、全てではないとしても、いくつかの『偶然の一致』は文字通りの『偶然』ではなく、非因果的な複数の事実と現象の『同時発生』だとしたんだ。ユングのシンクロニシティの最も有名な例は、プラム・プディングに関わるもの。ある年にフランスの詩人デシャンが、ドゥフォルジュボー氏からプラム・プディングをご馳走してもらったことがあった。その十年後、デシャンはパリのレストランでメニューからプラム・プディングを注文したが、給仕は最後のプディングが他の客に出されてしまったと告げた。その客がまさにドゥフォルジュボー氏だったんだ。更に十七年経過して、デシャンはある集会で再びプラム・プディングを注文した。デシャンは昔の出来事を思い出し、『これでドゥフォルジュボー氏が居れば役者が揃う』と友人に冗談で話したそうだ。そしたらまさにその瞬間に、ドゥフォルジュボー氏が部屋に入ってきたってわけ」

「すごい偶然だな」

「つまりシンクロニシティとは、意味ある偶然の一致ってことなんだけど、解かりやすい例がある。例えばある日の深夜、俺が夢を見たとする。洋平の家が火事になる夢だ。それで眼を覚まして心配になって電話してみると、お前が寝ている中、家が燃え始めていた。お前は俺の電話で起きてすぐに家を飛び出して助かった。俺の電話で眼を覚まさなかったら逃げ遅れて焼死体だったって話」

「縁起でもねー話すんなよ! ……しかしまあ、多少ニュアンスは違うが、今回の事件はシンクロニシティって言いたいわけか」

「そういうこと。もしかしたら、霊がいると思い込むことで本当に呪われたって思い込んじゃう……みたいな簡単な心理効果かもしれないけどな」

 会話が途切れてしばらく経つと、日は沈んだ。いきなりは暗くならないが、さっきまでの光の神々しさに目が慣れてしまって、闇が深く見えた。

「今日は俺んとこ、泊まれよ」

「何で?」

「明日から動き出すんだろ。作戦会議だ」

「なるほどな。いきなり出てきて、全部嘘話ですって言っても効果はなさそうだし……」

「しかし、お前が人助けとはな」

 洋平はからかうような口調で言った。

「ちょっとしたパラダイムシフトがあってね」

「フッ……サポートは任せな、暁」

「ああ。頼む」

 潮風が強く吹いた。

 波の音はいつかの追複曲を連想させる静かな響きを奏でていた。



‐3‐


「うおおおおお!!」

 洋平の自宅から南に二キロ行った所にある、丘の頂上で、暁は感嘆の声を上げた。

「昔はよく見ただろ? 夜中に家をこっそり抜け出してさ」

 洋平は夜空を見上げて言った。

「すげーな。向こうじゃ全然見えないし、久しぶりに見たぜこんなの」

 暁と洋平の目には満天の星空が映っていた。

「夕陽が綺麗だったからよ、今日はよく見える気がしたんだ。月も無いし赤いセロハンも家にあったから」

「赤いセロハン? この懐中電灯にくっ付いてるやつか」

「ガキの頃は気にしなかったが、赤いセロハンで光を赤くすれば目が暗さに慣れても眩しくないだろ。星が綺麗に見えるんだ」

「なるほど。自動車のテールランプの赤色と同じってわけか」

「言っても、ガキの頃はただ単に遊びに来ただけで星空目当てじゃなかったけどな」

 暁は自分が思いのほか感動していることに驚いた。感情のかけらが次々と修復されていく感じがあった。

 言葉が絶え間なく頭を巡った。自分の中の言葉達が物語を構築していくようなイメージだ。

 鬼頭火山ならどんな言葉でこの空を形容するだろうか。

「天の川ってこんなに綺麗だったっけ?」

 素人でも確実に分かる天の川だった。暁は洋平の姿を横に確認して、話題を振った。洋平の博識は夕方に確認したばかりだし。何より中学では天文部だったらしい。雑学の一つや二つ、簡単に出してくるだろう。

「そうだな。俺も中学の時以来だから結構感動してるよ。……天の川。晴れた夜空に乳白色に淡く光る無数の星の集まり。今の時期から秋にかけてよーく見える。日本では織り姫と彦星の七夕伝説が有名だな。英語ではMilky-Way。ちなみに真ん中の輝星ははくちょう座α星だ。いわゆる、デネブだな」

「へえぇ……。さすがは元天文部。じゃあMilky-Wayの由来は知ってるか?」

「ミルクを零した様に見えるからとか……」

「小学生とかにはそう教えることが多いな。洋平なら聞いたことあると思うが、ギリシア神話で天の川は女神ヘラの乳がほとばしって出来たんだ」

「聞いたことあるな。確かガラクシアスとか何とかって呼ばれてたとか……」

「正解。ガラクシアスは乳の川って意味だよ……確かな」

 予想通り知的な会話が出来そうである。素人とはいえ、暁はギリシア神話をモチーフにした推理小説を読んだことがあるので、そちらの方面からなら星座にも詳しい方であった。

「暁、夏の大三角って分かるか?」

「こと座のベガ、はくちょう座のデネブ、わし座のアルタイルだろ。東の空の星の中じゃ、抜きん出て光ってるから分かるよ」

「やるな、暁。目が慣れてきたか。面白いのを見せてやるよ」

 そう言うと、洋平は西の空を指差した。

「北斗七星の下に春の大三角があるんだ。春の大三角の左の二つと北斗七星をつなぐ。北斗七星からアークトゥルスを通って、スピカまでだ。すると……これが春の大曲線」

「うわ。見えた見えた。言われると気付くな」

「まあそんなものだよな、人生」

 それは含みを持った言葉だった。

「人生……ね。言われると気付く……か。如月愛もそうだな。言われなきゃ一生捕らわれる。相手は恐怖心が生み出した亡霊だから……な」

 暁は洋平の言わんとしたことを代弁した。

「明日、うまくいきゃあいいがな。呪われてなんかいないって、証明する気なんだろ?」

 洋平は西を向いたまま言った。

「まずはコミュニケーションを取らないとな。俺のこと忘れてると思うからさ」

 ある意味衝撃的な再会をした訳だけど……。

「そうだな。……よし! そろそろ帰るか」

「ああ。緊張して眠れなそうだな……」

「ははは。まあ、頑張ろうぜ」

 洋平は軽く笑い飛ばして懐中電灯の電気を付けた。

 暁も懐中電灯を付けて丘を下る洋平を追った。

 もう一度空を見上げた。さそり座のアンタレスがやけに際立つ。

 俺がオリオン好きか何かなら死の予兆みたいだな、と呟きながら暁は夏の夜空をしっかりと目に焼き付けた。

 決戦前夜は暑さの気にならない、爽やかな夜だった。



今週は2話公開しましたが、これからは基本、毎週1話になるかと思います。

遅くなって申し訳ありませんでした。

これからもよろしくお願いします!

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