プロローグ
「緻密な伏線」や「予想外の展開」を大事にしています。
作者は私ともう一人います。
打ち合わせなしで交互に書いていますので、作者すら予想外であるような展開が生み出せたと思っています。
質問、感想には必ず返信いたします。一度読んでいただけると嬉しいです。
製作開始当時、16歳で初めての執筆だったこともあり、5話か6話辺りまでは全面的に未熟さが目立ちますが、後ろの話になるにつれて実力は徐々に成長してきます。
特に30話辺りからは読者様を驚かせる展開になっていると自負しています。
作者の成長も見ていただけると嬉しく思います。
また、一人称と三人称を意図的に切り替えている場面がありますのでご了承ください。
それは遥か遠くの夢。
気が付くと、白と青と緑の世界に僕はたたずんでいた。どれだけ時間が経ったろうか。白いのは雲、青いのは空、そして緑色は風という名前だったと思い出した。
ここは何処だろう。目の前に小さな扉があった。茶色の扉だが木製ではない。扉の奥にはきっと何も無い。だからそれを開いても意味はない。目の前の扉は本来の役割を失っているのだ。
背後の空は黒く渦巻いていた。黙示録的な意味がそこにはある。しかしそれが何なのかは理解出来なかった。
風は消えていた。
ここにきて自分が同時に三六〇度景色を見渡せていることに気が付いた。“肉体”という概念はあるのに自分は視覚だけで存在している。背後を感じ取ったのは肉体があったからなのだろうか……
黙示録的な意味はまだわからない。しかし僕はそれが恐怖へ続くと悟ったようだ。
風はまた吹き出した。
扉は閉じたままだ。触れることは出来ない。開かなくちゃいけないと感じはじめていた。
黒い渦は同心円状の波紋を成していた。中心には深い闇が現れ、それは腕のような形を形成していった。闇は強まり、全てを包み込もうとする。漆黒の腕はこちらにまっすぐ伸びてくる。
俺は扉を開いていた。俺の「手」で、そして意志で。
扉をくぐり抜けると、そこには夜空が広がっていた。星は無く、あるのは三つの月だけだ。
ひとつは時を司り、ひとつは空間を司り、ひとつは心を司る。そんな気がした。
月光は次第に強まり僕を包み込んだ。
そうか、俺を呼んでいたのは…………
六月二十四日 水曜日
またあの夢を見ていた。あの夢を見た朝はいつも目覚めがいい。
少年はベッドから降りて窓辺に立った。二日ぶりの晴天だ。朝日影を浴びて一度だけ伸びをする。
今日が始まる。何もかも変わらない日常がまた始まる。
俺はまだ、知らなかった。この日が全ての始まりになることを。