新しい服って嬉しいよね
お昼ご飯を食べ終わると、私は庭に出るように言われた。
(何すんだ…?庭なんか出て)
そう思っていると、後ろから誰かに抱きつかれたため、咄嗟に振り向く。
「えへへ、びっくりしたっすか?」
笑いながら椿が上目遣いで私を見てきた。
こう見るとほんと先輩には見えない。
何となく、彼女の頭を撫でてみる。
すると、彼女は気持ちよさそうに私の手に頭を擦り付けてきた。
(あ、違う。先輩じゃない。犬だわ)
想像してみると、なんだか尻尾も見えてきた気がする。
2人でじゃれ合っていると蒼空がふろしきに何かを包んで持ってきた。
「ん?なんすかそれ」
椿が聞くと、蒼空はニコっと笑い、縁側までそれを持っていく。
そしてちょいちょいと手を招いてきた。
2人で顔を見合わせ、近づいてみるとふろしきの中には1枚の羽織が入っていた。
「羽織…?」
「うん!羽織、朱乃ちゃんのやつだよ~」
そう言いながら蒼空は羽織を持ち上げヒラッと全体を見せる。
青色の生地に銀色の糸で雪の結晶が縫ってあった。
「お~!かっこいいっすね!」
前に隊員の羽織はすべて翼がくれたと蒼空が言っていたので、これも翼がくれたものなのだろうか?
「いいな、かっこいい気に入ったよ」
「着てみたら?せっかくなら」
そう言われ着てみると何だか少し大きい気がする。
羽織というのは少し隙間が空くものなのだろう、いつかは慣れると思って軽くその場で回ってみたりした。
「お、いいじゃん。似合ってんな」
声のした方を見ると、近くの窓からカズが顔を出していた。
「そんなとこから見てんのか?てか、誰の部屋だよそこ」
「秀の部屋だよ。女子会が女子にはあるように男子にもいろいろあんのさ」
そう言うと、中で何か言われたのかすぐに窓を閉めてしまった。
「何だ?あいつ」
「まあ、カズさん達にも色々あるんすよ」
「男の子には男の子しかわからない事情があるしね」
と蒼空と椿は言う。
「そうそうそれでね、その羽織を来てもらったついで何だけど」
蒼空は何か思い出したかのように話し出した。
「ほら、学校通うまでの3日間で耳と尻尾をしまう練習はしたじゃない?」
「あぁ、そうだな」
そう言いながら頭をブルブルと振る、そして隠していたケモ耳と同時に尻尾をだした。
「これだろ?」
「ふわふわ…ふわふわっす…」
私が耳や尻尾を出すと、必ずと言っていいほど椿が反応してくる。
触りたそうな椿は置いておいて私は蒼空との会話に集中した。
「そう、でね海斗くんと秀くんが朱乃ちゃんの事を守ってくれるといっても朱乃ちゃん自身も自分の力を理解してた方がいいと思うの」
確かにその通りだ。
自分の身は自分で守るべきだろう。
「たしかにな、私も知るべきだと思うよ」
そういうと蒼空はうんうんと頷く。
「だから…」
あぁ、こっから修行でもすんのかなぁと思っていた…が蒼空の口からは予想外の言葉が出てきた。
「これから能力理解を兼ね3人でお買い物に行こうと思います!」
「あぁ………」
「はい?」




