新生活始まります
白狼隊に正式加入して、翼が私を次期隊長に指名してから3日後の朝
私は制服に着替え、身なりを整えていた。
(高校生になったら、制服の着心地も変わんのかと思ったけどそうでもないな…)
鏡の前で動いてみたが、別に大して変わらない自分にこんなもんかと謎の納得感を覚える。
「朱乃さん~そろそろ行くっすよ~」
玄関の方から椿の声が聞こえる。
私は急いでカバンを持ち、バタバタしながら向かった。
玄関には同じ制服を着た、椿が立っていた。
(小さいから中学生なのかと思ったけど、私と同じ高校生なのか)
そう思いながら、靴を履いていると襖がスーっと開き、カズと蒼空が顔を出している。
「どんくらいに帰ってくるんだー?」
「入学式だけだから、昼には帰ってくるよ」
「自分も同じ感じっす」
「そっか。じゃあ、お昼ご飯作って待ってるね」
「わかった」
返事をすると、2人が手を振ってきたので小さく振り返しておいた。
椿は元気にぶんぶんと振り返していたが。
登校中、私は気になったことを色々と椿に聞いた。
「なぁ、お前らって歳いくつなんだ?蒼空とカズは確実に私より年上だろ?あと、海斗も」
「海斗さんは21、蒼空さんは20、カズさんはもう少しでお誕生日っすけど今は19っすね」
「お前と秀は?」
「秀くんは朱乃さんと同じ15歳。自分は一個上っすよ~」
「ふ~ん…誕生日早いんだな」
「うん?誰がっすか?」
「椿が」
「あーそうっすね。確かに結構早いほうっす」
4月の初旬なんだから、だいぶ早くね?とツッコミたくなったが、それは言わずに私はもう1つ気になっていることを聞いた。
「今、名前出したけどよ、秀って何かあったのか?ほら、翼が来た日も海斗と一緒にどっか行ってたんだろ?」
「あの後も今日まで1回も姿見てないし」
「あぁ、そうっすね。朱乃さんにも話しとくべきっすね」
「何をだ?」
「ウォンデッドの種類についてっすよ」
そう言うと椿はカバンからメモ帳とペンを取り出して、そこに2体の簡易的なヴォンデッドを書く。
椿のイラストは全体的に丸っこいので、少し可愛く見える。
「まず、1番よく見るタイプ。これは爪などで攻撃してくるやつっす。これは前に見たっすよね?」
私の胸をかっさばいてきたやつのことだろう。
あまり思い出したくないが。
「んで、2つ目。こいつが厄介なんすよ。こいつのせいで今秀さんダウンしてるんすよ」
「こいつは何が違うんだ?見た目は同じに見えるが…」
「そう思うっすよね?ただ、違うんすよ。こいつらは幻術…朱乃さんが分かりやすいように言うと魔法?っすかね。そういうのを使ってくるんすよ」
「魔法…」
「そうっす、こいつらは直接的なダメージは与えられませんが、私らの持っている力を吸い取っちゃうんす」
「あ、力っていうのは、ウォンデッドを倒す力のことっす」
それを吸い取るやつもいるのかと関心しつつ、まだまだ続く椿の説明を聞く。
「まあ、なんでしょう。その力を吸い取られるとどうも本調子が出なくなるんすよ」
「あ、だからあの時…」
覚醒した日の彼はどうも他の隊員より疲れていたのだろう。
「治せないもんなのか?」
「治せるっすよ。療養しとけば、結構時間はかかるっすけど」
「ただまあ…今回に関してはいろんなことが重なり過ぎたっすよね…」
そう言いながら椿は少々気の毒そうな顔をしたので、何が起こったのかと気になり聞こうとした…がいつの間にか学校の前まで来てしまっていた。
「あ、着いたっすね。朱乃さんと話してるとあっという間っす~」
「あぁ…そうだな」
「んじゃ、自分はこっちなんで」と言いながら椿は校舎の方を指した。
「い、いや待てよ!入学式はこっちだぞ!?」
体育館らしき場所を指刺すと、椿は何言ってんだ?と言いたいような顔でこっちを見てきたが、すぐにあーそっかという顔をする。
「な、なんだよ」
「朱乃さん、自分今年で2年生っすよ?」
「え?」
「自分、今年で高校2年っす。今年で17歳っす」
「えぇ!?」
とても驚いた。
自分より小さいから、後輩かせめて同期かと思っていたのに…まさか先輩とは
「じゃ、帰りにまた校門に集合っす。それじゃ~」
そう言って椿は走って校舎に向かう。
こうしてとんでもない事実を知ってから私の高校生生活が始まったのだった。




