12 後日談の前日譚
終わってしまった世界の物語を語り終えたのか、夢羽は一仕事終えたような顔をして紅茶を飲み始めた。
私は、自分がどういう存在なのかを知り唖然としていたが、我に返り夢羽を見た。
「待って。今更だけど……これ、世界の記憶を見たのよね? クロード自身の記憶って感じがするんだが」
「風羽はたまにド直球な質問してくるよね。でも大丈夫よ。ちゃんと世界の記憶に保存されていたものだから」
何が大丈夫なのかわからないが、そう言って夢羽は茶菓子を頬張った。
「その人の思いも保存されているのか……。ってことは、今のクロードとか邪教の人達の考えもこれで読めるんじゃない?」
「できないわよ。魂となって世界と混じった者の記憶が、世界の記憶として保存されるの」
「え? ってことは、現在とこの時のクロードは別人?」
私はソファから立ち上がり、空になったティーカップを回収した。
「一緒よ。世界が崩壊した時、創造神ソラも含めて全ての存在が1度魂になったけど、魂となった後に世界と1つになったか、ならなかったかの違いで、私とクロードと現人神とツクモは後者よ」
「そうなんだ。一通り話を聞いたけど、今と昔のクロードって性格違うよね」
温めておいたティーポットに紅茶を入れ、お湯を注いだ。
「世界を崩壊させて、気でも狂ったんじゃない」
「すっごいテキトーな回答だこと。まあ、夢羽がそう言うならそうなんだろうねー」
夢羽はくすくすと笑った。
私はソファに座りながら夢羽を見る。
「それと、さっきスルーされたけど、浄化の石って霊石だよね? あのホラー映画の星で見たキラキラ鉱石」
「うん、そうよ」
私はそれを聞き、ソファから立ち上がる。
「わ!! ……びっくりした。いきなり立たないでよね」
「いやいや。逆になんで落ち着いているのさ。早く対処しないと、また世界が破滅するよ!?」
夢羽はそれを聞き、何かを納得した顔をして、落ち着けとジェスチャーをしてきた。
「あれはただの入れ物にすぎないわ。まあ、数を集めて強い光を当てたら熱を発するみたいだけど、中身の邪気が入ってないから大丈夫よ」
「えー……ってことは、邪気さえあれば災い再来ってこと?」
「その辺りも対策済みよ。邪気と霊気は決して混ざり合わないのは変わらないんだけど、邪気が石となった霊気を侵食するようになったわ」
「なるほど……それなら安心なのか。そもそもどうやって世界が終わってしまうほどのエネルギーになったのかも疑問なんだけど……」
私は首を傾げる。
「邪気と霊気は反発しあうの。あれは、その反発して溜まったエネルギーが、霊石を壊した時に一気に放出されるって感じの爆発だったわね……」
夢羽は思い出すように話した。
「なるほどね……まだまだ聞きたいことあるんだから、覚悟してね」
「はいはい。元秘書の我が妹は勤勉家ね。あたしがわかる範囲なら答えるわ」
そのセリフとは逆に、なぜか立ち上がる夢羽。
「そう言いながらどこに行くのさ」
「すぐそこよ。風羽も行くわよ」
夢羽は扉を開いて外に出て行った。
「あ! ちょっと待って!」
開けっ放しになっていた扉を抜け、鍵を閉めて夢羽を追いかけた。
ここまでが、前世である終わった世界のお話。
この歪な今の世界が今後どうなるのかは、これからのお話。
(第二部へ続く)
外伝Ⅰはこれにて終了です!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
第二部へと続きます!




