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「委員長って原付使ってなかった?」
身支度をして家を出る。
私だけ自転車で先に行くのは流石に無いと思ったからカゴに荷物を入れてもらって引きながら歩く。
自転車を引いて歩くなんて基本的にしないから最初の数歩はよろけた。
「今日は車で送ってもらったの」
へぇ、委員長ってお嬢様とかだったりするんだろうか。しそうだな。
委員長の事はなんにも知らない。
疑問に思うことがある。
「私の家に?」
「ええ、そうよ」
「変じゃない?」
変だろうよ。朝にわざわざ友だち?の家まで迎えに来るなんてあるか?
わたしがもし特定の親しい友達がいたとしてもやらない。
少し考えればその労力がとてつもなく大きい事に気付くからだ。
朝という体感時間がバグっている時に身支度をして、相手の家に行って、待つ?
どうしてそんな面倒が出来ようか。
「そうかしら、変かしら?」
「学校へ、送って貰うなら分かるけどさ。私の家に来る意味は無いよね」
委員長的には変じゃないらしい。
私と感覚がだいぶ違う。生まれた環境ゆえか性格か。
どちらにせよ私にそこまでする価値は無いと思うのだけれどね。
「なんとなく、寧々さんが来ない気がしたので」
「…………」
「あら、当たり?」
委員長は私から自転車をひったくると荷台をポンと叩く。乗れという事だろう。
委員長の考えは見事に大正解だ。
そうだよ。なんとなく今日行きたくなかったよ。
クラスという閉鎖空間はいつの時だって苦手だ。
気持ちを当てられてなんとも言えずムスッと黙る。
委員長はニコニコしている。
いつもの顔。
委員長が自分のカバンからタオルを取り出して荷台に置いた。
「さ、座って。悪いけど早くしないと遅れちゃうのよ」
文句の一つや二つを言いたくなった。
けど、わざわざ私の家に来て迎えに来て送迎の真似事をしているこの人に文句を言ったところで八つ当たりで、最低なだけ。
「安全運転でお願いね」
腰に手を回して横向きに座る。バランスが悪いし、漕ぎにくいだろうと思ったけど、委員長は慣れているのかすんなりと漕ぎ始めた。
「しっかり掴まってな!」
芝居がかったセリフを言って快速で学校を目指す。
「ねぇ」
「なあに」
「さっきの道、右に曲がんないとダメなんだけど……」
「早く行って欲しかったわ」
「なんか、ごめん」




