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私は委員長としての振る舞いを気を付けている。

それは外面を気にしての事。将来的な事を考えての事だ。


私の将来、というか進むレールはもう敷かれてしまっていて、それを進むんだと思っている。


規則正しくただ真っ直ぐに敷かれた安泰。


他の人からすれば羨ましいものだろう。いわゆる隣の芝は青く見えるやつだ。


文句はあれど、私は私とてその道に不満は無い。無いと思う。


喫茶店を急いで出た時には真っ暗だった。

車も多くなっている。帰宅ラッシュと被ってしまった。


ブーンっとバイクを走らせる。

真っ白なヘルメットには右側に☆が付いている。

過剰な程の過保護の元で生きている私にとって、ヘルメット1つとっても選び取る事は容易ではなかった。


風を感じれば、まだ少し肌寒さを感じるけど、気持ちよかった。


私の帰る場所が見えてくると、今日の楽しかった事が薄れていく。

寧々さんの距離を感じるけど、拒絶の色のない態度は可愛いものがある。


許されるのならば首輪をつけて一生飼いたい。

許されないので、私から関わっていくしかない。


寧々さんから私に声をかけてくることは無いから。


そこに寂しさを感じる。この夜の暗さからくるものに似ている。

今日は曇りで月明かりも、星空も見ることが出来ない。

寧々さんに会う前の私の世界みたいに濁っている。


大袈裟な門を開けて、そこからまたバイクを走らせないと私の部屋、まぁ、家に辿り着けない。


バイク1個に対しては大き過ぎる格納庫。


シャッターを閉じる。寂しい空間に取り残されるバイクには同情する。

私みたいだと思ったから。



「お嬢様!!!!!」


耳がキーンとする大声でいつの間にか目の前にいたメイドに怒声をぶつけられる。


専属メイドの怖い方だ。

戌井。長身で艶やかな黒髪を長く伸ばした私が産まれた時からの私付きのメイド。



腰に手を当てて目がつり上がっている。相当お怒りのようだ。


平時でさえ、無表情で、その美貌は怒っているように見えるのに、それが怒っているとなると正直ビビるほど怖い。


恐らく子供の頃のトラウマが起因していそうだ。


私は「ごめんっ」と手を合わせてウインクを添えて謝った。


早くこの場と戌井の目の前から去りたかったから。

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