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「なに?ニヤニヤして」

「んふふ、なんでもないですよ。それよりホラ頂きましょうよ」


委員長はご機嫌の意味も教える気は無いようでケーキを一口大にカットした。

スっと口元まで運ばれた一欠片をそのまんまにするのもおかしいので、何も言わずにパクリといただいた。


おじいちゃんはその昔は有名なパティシエだったらしく、色んな人脈があるそうで。

しかし、表舞台にはあまり立ちたがらず、多くの弟子を取り、全てを任せていたそうな。


時折ケーキを出せば一瞬でなくなると言ったことが良くあったらしい。

年寄り特有の誇張された過去だと思ってる。


ケーキは美味しいからなんだっていいけど。

そのケーキを味わって飲み込んでから、憤慨しながら委員長を睨みつける。



「なんの為に来たか忘れてないよね?」


犬が怒られても飄々とするように、何に対して怒ってるんだろうかって首を傾げる様に、まるで私のといの意味がわかりませんみたいな顔をする。



「寧々さんこご家族への挨拶では」


そして、児童に道徳を教える大人のように、わざとらしい優しいさを付け加えた口調で、至って真面目ですと言わんとばかりだ。



「違う違う、全てが違うから!えっと、なんだっけ。そう、飲みのものは?」

「ああ、注文でしたか」


もういちいち突っ込んでらんないと、こちらの要求を押し通すことにした。

別に注文をやくしろって訳じゃないのに、委員長のせいでせっかちな店員見ないにされてしまった。

こっちは勝手にだけど、サービスしてやろうってのに。


「いや、いいよ。これくらい」

「でも」

「いいって、言ってんの!何!?」


それでも、財布を取り出して学生が持ってちゃ行けない冊の束を握りしようとしたので、慌てて財布を掴んだままの委員長の手をカバンへ突っ込んだ。


直相場知らんのかこのお嬢様は!

……本当にお嬢様なのか?


「寧々さんってここでアルバイトしてるのですよね?」

「なんで知って……さっき聞いてたのね。そうだけど」

「なら、寧々さんの珈琲がいいです」

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