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「お嬢ちゃんとは友達か?」
木目が特徴的なカウンターを超えて近代的なキッチンエリアとドリンクエリアの中間で、声を潜めるように聞かれるも、考え込んでしまう。
ここまで歩いてきた時の体温の上昇は店のクーラーで収まっているし、委員長から離れて気が楽になってる。
友達なのかもしれないけど、それは向こうが友達と認めてくれなければ成立しない関係性。
カウンター席の端に座る常連が新聞を読んだフリして耳を傾けているのは分かる。さっきから全くコーヒーカップに手をつけてないからね。
なんだか小っ恥ずかしい。
「分かんないよ」
「分かんないって、お前。ならなんで一緒にいるんだ?」
「それは、」
たまたま課題の提出の為に一緒にやりましょうって成り行きで、こうなったとしか言えない。
でも、仲の悪い、または嫌いな人間相手だとして、一緒にやるかどうかと聞かれればノーになるのかもしれない。
「分かんない。分かんないから、まあ、その、わかるように努力してみるつもり」
自分のすんなりと出てきた言葉に腑に落ちる。
そうか、私は委員長と友達になりたいのかもしれない。分かんないけど。
おじいちゃんは、そうかそうか、と言って私をほっておいてスタスタと委員長のいるテーブルへ向かう。
「サービス」
おじいちゃんはウインクをしてチョコレートケーキを1つとフォークを1つ。
テーブルの真ん中に置いて、「仲良く分けなさいね」と言ってすれ違いざまに肩を手を置いて訳知り顔をされた。
イラッとくるけど、なんだかなあ。
何に怒ってるかもわかんなくなったし、1度戻る。
「ただいま」
「………!」
「ど、どうしたの?」
全くの無反応なのに、目が驚きに開かれている。
口に手を当て戦慄いている。なんだなんだ。
「新婚みたい」
「飛躍しすぎだバカ!」




