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何となく、参考書を手に取って訳知り顔をする。
すると、「流石委員長だね、勉強熱心だ」と、言われる。
狙っていたからね。
そうイメージを付けておいて、大人ぶる。
こんなムーブをしているから、勉強は本当に熱心に頑張らないとメッキはすぐ外れてしまう。
「あはは、そんな事ないよ。本命はこっち」
参考書を棚に戻してライトノベルを手に取った。
意外そうな顔をされる。
私にはずべてが足りていない。大きな器を持とうとして、力足らず、グラグラしている。
それは心の有り様で、不安定だと思う。
「意外?でも選んで読んでるからね。幼稚なのは読まない」
「なんと言うか、ストイックを感じるね」
「なんじゃそりゃ」
そう言い合って笑い合う。
なんて言うか、頭で考えて、その次に体を動かしているようなラグ。違和感がずっとずっと拭えない。
むしろより強くなっている気がする。
こんなことなら寧々さんに………。
いや、それは違うか。




