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1-砂埃の出会い⇩
手が触れ合いそうな距離感。あと数cm、数mm横にズレたら体温を感じられる。
ソレに気が付かないようにして、知らないフリをして。
旧校舎。かつては生徒と教師が居て、授業があって、真面目に聞いてたり、雑談があったり。それを叱ったりかつての影は見る影もない。
ポツポツ降る雨は窓ガラスを優しく打つ。
不規則な音。私はなんだか落ち着く。
隣のあなたはどうだろう。
電気も通ってるけど、つけるとバレるから付けない。
薄暗い教室でボーッとしてる。
バレてませんようにとチラチラ横目で見る。
ただ2人の呼吸だけがこの空間にいることを証明してくる。