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異能力者達の夜明け  作者: ゆーろ
冒険者達の午後
8/28

冒険者達の午後 破×3『示』

「冒険者達の午後 破×3」

0:ーーー「箱庭のメロス-示-」ーーー



0:登場キャラ


ガロ:男。ガロンドール・ウォンバット。冒険家。準ギルド「アホレンジャー」リーダー。


ジャイロ:男。ジャイロ・バニングス。賞金稼ぎ。準ギルド「アホレンジャー」


ノエル:女。ノエル・ベルメット。A級ギルド所属。元探偵。準ギルド「アホレンジャー」兼「グランシャリノ」


カラス:男。カラス。姓なし。侍。準ギルド「アホレンジャー」


マシュー:女。マシュー・ワンプソン。


ヘルマン:女。ヘルマン・ゼップバーン


ヴァン:男。ヴァン・ハンドレット


カルビス:男。カルビス・ラングナー


アインズ:男。アインズ・ブローカー


RS00:女。人工知能自立駆動型システムRSシリーズ


エドワード:女。エドワード・シャルル。



0:ーーー「箱庭のメロス」ーーー



0:空白の空


ガロ:(M)それは、産まれるように。構築されていくように、情景を書き起こした。


ノエル:「兄さんっ。なんで私を置いていくんだよっ。」


ガロ:(M)ひび割れたビル。騒がしさを常に持つ住民。リンゴを売るおばさん。荷車を押すおっちゃん。街を駆け回る子供。


ジャイロ:「冗談じゃない。冗談じゃあないぜ、オーダー……!」


ガロ:(M)見覚えがある。ただ、自分とはどこか縁遠い場所の様に感じる。


カラス:「伏せ鬼だ。巷ではそう呼ばれてる。」


ガロ:(M)瞬きの浮遊感。現世うつしよに映る、ほんの僅かな虚ろと骸。視界を掻い潜り、溢れ出す。


カラス:「伏せ鬼を付すのは、あいつだけだ…!」


ガロ:「GRIDグリッドBORROWボロウ


ジャイロ:「あばよ、サーティーン」


ガロ:「FURUフルBURSTバーストッッ!」


ノエル:「やめろよ、おい、兄さん!!」


RS00:『ーーーおはよう。RS00。』


ガロ:(M)最後に覚えているのは、その街並みが刹那にして崩壊する光景。それは、死ぬように。終わらせるように、その情景は、消しゴムで掻き消された。



0:場面転換



0:とあるホテル

0:7階



エドワード:「…寝てたか……。」


0:エドワードはベッドの上で目を覚ました。


エドワード:(M)重い瞼が開き、目が覚めた。自分のヨダレの匂いと、シャンプーの香りが枕からして、少し痺れた手でぼさぼさの髪をかきあげる。身体が睡眠を欲しているが、無理やり持ち上げる。なんの代わりも無い、普通の朝。ひとつ違うとするなら……


0:ベッドから降りる


エドワード:「頭いた…」


0:エドワードは部屋を散策する


エドワード:(M)少し嫌な予感がして、部屋の周辺を散策する。…やはり記憶が無い。自分の名前以外の記憶が無い。記憶喪失、というものだろうか。部屋の片隅に、壁掛け時計があるのが分かる。時刻は9:20を指していた。


0:散策を続ける


エドワード:(M)ベッドルームと、心ばかりの化粧台。本棚には目新し本があり、手に取ってそれを読んでみる。見覚えのある本だ。


0:本を本棚にしまった


エドワード:(M)呼吸をしてその本を本棚に戻す。この部屋にいても仕方が無いので、ドアを開け、部屋の外へ出てみる。


0:モーテル 廊下


エドワード:(M)自分が居た部屋を見ると、扉に501と書かれている。暫く歩くと、共同のトイレがあり、廊下の隅にはエレベーターと非常階段がある。エレベーターの階数を見るに、6階から1階までが存在する事が確認できた。そしてエレベーターは、私がボタンを押す前に、その扉を勝手に開いた。


0:エレベーターの扉が開く


ガロ:「…おお!」


エドワード:「うわ…っ。」


ガロ:「うひょーー!第一村人発見っ。」


エドワード:(M)黒のタンクトップに、逆立った毛並みをした青年。その青年は私の手を取り、自分の名を名乗った。


ガロ:「俺、ガロンドール・ウォンバットっ。ガロでいいよっ。お前は?」


エドワード:「あ。よかったぁ……!私はエドワード・シャルル。」


ガロ:「おお。俺もやっと人と会えて嬉しくなっちまったよ。目が覚めたら知らねえモーテルに居たもんでよ。で、ここどこだ?」


エドワード:「やっぱりガロも?」


ガロ:「お。ああ、そうだけど。ガロもってことは。エドワードも知らねえうちにここに居たのか?」


エドワード:「そうだよ。ついさっきそこの部屋で目が覚めたんだ。」


ガロ:「ほぉー。そうか。おかしな事もあったもんだな。参ったなぁ。皆とはぐれちまったし。」


エドワード:「みんなって」


ガロ:「おお。俺、ギルドに入ってんだ。その仲間といつも一緒にいるんだけど、目が覚めた時から一人でさ。」


エドワード:「そうか…。私もガロもここに居る記憶がやっぱり無いなら、もうお手上げだね…。」


ガロ:「うーーん。ギルドの依頼で来たとかなのかなぁーーー。でもそれが思い出せねえんだよな。だははっ。参ったな!」


エドワード:「笑い事じゃないと思うけど…。私もこのモーテルに来た記憶が無いし、それどころか今まで何をしていたかも、何も思い出せないんだ」


ガロ:「えっ。それってつまり記憶喪失!?」


エドワード:「みたいなものだと思う。一時的な物なのかは分からないけど。」


ガロ:「はぁ〜。なんなんだろうな。何かの異常性かな?」


エドワード:(M)ガロが首を傾げていると、エレベーター前のモニターの電源がつき、砂嵐を画面一杯に表示させた。


ガロ:「あれ。なんで勝手にテレビついたんだ?」


エドワード:「そんな、なんで…!」


RS00:『あー。あー。聞こえてますかーっ!おはよーございます!朝9:30をお知らせします!朝9:30です!聞こえてますかー!』


ガロ:「ん。聞こえてるぞー!」


エドワード:「いや、多分こっちの声は聞こえないと思うぞ。テレビだし」


ガロ:「ああ、そうか。」


RS00:『こほん。えー、1階エントランスルームにて事件が発生しましたっ!こりゃ大変っ。メロスモーテルにお集まりの間抜け面どもは!至急1階、エントランスルームまでお越しください!繰り返しますっ。至急1階、エントランスルームまでお越しください!』


エドワード:「事件発生…」


ガロ:「間抜け面って言いやがった!」


エドワード:「そこ気にするところかなぁ」


ガロ:「1階のエントランスルームっつったか。どうする?エド」


エドワード:「うーん。どの道ここに居てもなんの手がかりも無いし…。行くしかないやつでしょ。これ」


ガロ:「はは、だな。そんじゃあ行こーぜ」


エドワード:(M)エレベーターに乗り、1階へ向かい降車を初めた。


ガロ:「おぉー。エレベーター、何回乗っても。いいな。」


エドワード:「そうかな…」


ガロ:「事件発生って、なんの事件だろう」


エドワード:「なんだろう。殺人事件とか?」


ガロ:「うわっ。ぶっそーな事言うなよ。」


エドワード:「ごめんごめん。因みに、さっきのテレビから聞こえた声の主だけど。なにか心当たりある?」


ガロ:「いやぁ。ねぇな?」


エドワード:「そうだよね…」


ガロ:「だなぁ。これじゃ分かんねえことだらけだし。」


エドワード:「とりあえず私は、外に出たいな。」


ガロ:「ええ。勿体ねーじゃん。いきなりこんな所で目が覚めるなんて、冒険の匂いしかしないだろ。」


エドワード:「ワクワクよりドキドキが勝つよ…!あ。着いた。」


ガロ:「お。1階か。広いなぁー。」


0:二人はエレベーターから降りる


エドワード:「エントランスルームは…。こっちか」


ガロ:「…っ?!おい!エドワードっ。あれ見ろ!」


エドワード:「なにさ!いきなり大きい声出さないでよっ。びっくりするだろ」


ガロ:「なんだこりゃあ…っ」


エドワード:(M)1階につくと、外の景色を見られるはずの窓や出入口は、強固に閉ざされていた。陽の光すら差さない程。厳重に。その時私は、やっと事の重大さに気付いた。


ガロ:「うおっ。あかねえ…!なんでこんなガッチガチに閉じてんだこの扉!」


エドワード:「くそっ。窓も開かない!なんでだ…っ。」


ガロ:「あ!携帯で外から助けてもらおう!」


エドワード:「え。携帯、あるの?」


0:ガロはポケットをまさぐる


ガロ:「…。あれ。ない。」


エドワード:「え?」


ガロ:「携帯がねえ!」


エドワード:「ええ…」


ガロ:「どっかに落としたかなぁ〜。くっそぉ!無くしたらノエルに怒られる…っ。」


エドワード:「ああもう。しょうがない。とりあえずエントランスルームに行こう」


ガロ:「お、おうっ。そうだな!その、エンドレスホームは何処にあるんだ?」


エドワード:「エントランスルームね。確か、こっちの通りだと思うけど…」


0:エドワードは足を止めた


エドワード:(M)一階の最奥に大扉がわざとらしく開いてある。恐らく、あそこがエントランスルームだ。そこに向かおうとする足は止まった。誰かの怒鳴り声と、大きな物音がしたからだ。


ガロ:「エドワード!今の音っ。」


エドワード:「う、うんっ。喧嘩かもしれないっ。暴力事件とかだったら大変だっ。」


ガロ:「すぐに止めに行くぞっ。」


エドワード:「わかった…!」


0:二人はエントランスルームに足を踏み入れた


ガロ:「ここか…!」


アインズ:「ふざけんなよてめぇおい!」


マシュー:「あわあわあわ」


カルビス:「そりゃこっちのセリフだっ。どこの誰だか知らねえが、いちいち突っかかってきてんじゃねえよクソ野郎っ。」


マシュー:「あわあわあわ」


アインズ:「口が減らねえなあてめえは…っ!」


ガロ:「ストーーーーーップ!!!」


エドワード:「ぼ、暴力はやめようよ!」


ヴァン:「…ほお。」


カルビス:「ああ…?」


アインズ:「次は誰だ、おい。」


ノエル:「あれ。ガロ?」


ガロ:「あれ、ノエル!」


ジャイロ:「なんだ、やっぱお前もいたのか」


カラス:「流石の重役出勤だな。」


ガロ:「ジャイロ!カラスも来てたんだなっ。あー、よかったぁーっ。」


ノエル:「ガロ。その人もモーテルの宿泊客か?」


ガロ:「ああ。エドワードってんだ。」


エドワード:「あ、どうも。」


ヘルマン:「おいおい、ガキがわんさか集まってるが。少しは神妙にしたらどうだ。一応、仏さんの前だぞ」


ヴァン:「まあまあ、そうお堅いこと言いなさんなよ。あいつらだってなんで自分がここに居るか、何が起こったかわかってねえんだから」


マシュー:「そ、そうですね…」


ガロ:「おおー。人がいっぱい。あいつらも宿泊客か?」


エドワード:(M)薄々、嫌な予感がしていた。不気味なモーテル。記憶は無く、エントランスルームには、私とガロを含めて、10人の男女が顔を揃えていた。人混みの向こうに見えるのは、一面の、赤。


ガロ:「で、何をそんなに騒いでんだよ。さっきのアナウンスも何がーーー」


ジャイロ:「ああ、ガロ。せっかくの再会だが、今は喜んでいる暇も、馬鹿やる場合でもなさそうだ。」


ガロ:「……」


エドワード:(M)視線が赤に集まる。その情景を言葉で表すなら至ってシンプル。人が、血だらけで倒れている。これだけだ


0:エントランスの中心部に長髪の女性が倒れている


ガロ:「おいおいおい…!誰か倒れてるぞっ。」


カラス:「倒れてるんじゃねえよ。ありゃあ、もう逝っちまってる。」


ガロ:「…は?」


ヘルマン:「話聞いてなかったのか。もう死んじまってる。脈も無かったよ。」


ガロ:「はぁ!?マジで死んでんのか!?」


ヴァン:「刑事さんが言うんだからそうなんだろうよ。」


ガロ:「誰がやったんだあれ」


カラス:「俺らも分からねえ。来た頃にはもう。」


エドワード:(M)あまりにも現実味が無い。人の死を、実感した。冷静さを取り戻す前に、エントランスのテレビがひとりでに光を灯した。


0:再びテレビが着く


RS00:『あーあーっ。どーも!こんにちは!こんばんは!おはようございますっ!全員お揃いかなぁー?ひぃ、ふぅ、みぃ、うん!全員揃ってますねっ。』


ヘルマン:「これで全員って事か。」


ヴァン:「ったく。ばぁかにしたアナウンスしやがって。」


ジャイロ:「そろそろ教えろよ、誰だお前は」


RS00:『よくぞ聞いてくれましたっ。私はRS00。このメロスモーテルの管理人ですっ。』


ノエル:「管理人…。」


ガロ:「お前がやったのか!あれ!」


ジャイロ:「ここは何処だ!ここにいる奴らはなんなんだ!」


マシュー:「そ、そうですよっ。外の防壁も訳が分かりませんし、家に返してくださいっ。明日も仕事なんですっ。」


RS00:『ちょっとちょっと、いきなり質問責めしないでよ。萎えるわ〜。こっちにもこう、ああやって説明しよう、みたいな流れ組んでやってるんだから。空気読めな〜』


エドワード:(M)余りにもふざけた声色。その声の主の顔こそ見れないが、私達とは立場が違う事を知るには十分過ぎるパフォーマンスだった。ふざけてる…!


ヴァン:「じゃあ、俺からいいか。RS00ってのはなんだ。何かのコードネームか。偽名か」


RS00:「いいや。私はRS00という名前だ。それ以上でも、以下でもないよ」


ジャイロ:「答える気なしってか。」


マシュー:「じゃ、じゃあ次は私がっ。どうして私はここに連れてこられたんですかっ。何も覚えがありませんっ。」


ガロ:「お前もここに来た記憶が無いのか」


マシュー:「私だけじゃないんです、皆、なんでこのモーテルに居るのか知らないんですっ。だから、何かの誘拐事件にでも巻き込まれたのかなって……」


RS00:『冗談よしなさいよ。なんで皆がここに居るか、だったね…。貴方達は、連続殺人事件の犯人を捜すためにこのモーテルへ宿泊したんだ。そう。君たちは自らの足で、このモーテルに踏み入ったんだ。だから無理やり連れてこられた、みたいな言い方は適していないな。』


ヘルマン:「はあ…?」


ノエル:「…。」


アインズ:「そんな訳ねえだろ。他は知らねえが、少なくとも俺は一般の殺人事件なんかに関与するような人間じゃない。ここに来た事すら覚えてねえんだ」


マシュー:「私も殺人事件に関わるような人物じゃありませんし、ましてや犯人の捜索だなんて仕事柄じゃないんです。ただの一般会社員ですので…」


RS00:『君達の疑問はご最もだ。だが君達は、事実。このモーテルへ殺人事件の調査で宿泊した。けど、その事を忘れちゃってるんだから、そりゃ混乱するよね〜ぶふっ!バカっぽい!』


マシュー:「わ、忘れてる…!?」


ヘルマン:「おいおい、どんな言い訳用意してくれるかと期待したが。とんでもねえこじつけ方して来やがったな。」


ジャイロ:「だがまあ。現にこのモーテルへ来る前の記憶はごっそり抜けちまってんだ。情況証拠しかねえが、あいつの言う事は「嘘」じゃあねえんだろう。」


ヴァン:「忘れてるってのはどういう原理だ。」


RS00:『それは言えないよ〜っ。というかね、皆私を悪者みたいに言っているけど、私ってば一応、お前らの手助けをしてやろうと思ってわざわざ出張ってきてるんだぜ?そこんとこ履き違えないでよねっ。ぷんぷん!』


カルビス:「手助けだァ?お前、それを俺らに信用しろって言ってんのかよ。冗談がお上手だなぁ〜てめぇは。結婚しよう」


ヴァン:「この状況見て、あんたを味方だと思う奴は居ねえよ。それに味方だって言うなら、俺達が記憶を失ったワケを話さねえのは些か不親切の様に思えるが?」


RS00:『馬鹿いっちゃいけない。私は元々中立なんだ。だから今説明していることは全て、そう。全て私の親切心。ご好意だと受け取ってくれたまえ!』


ノエル:「つまり。君はここでの事を全て理解している上で、私たちに話さない何かがあるってことか」


RS00:『私は基本君たちから質問は受け入れない。なぜなら、中立だから。ああ、トイレの場所くらいなら教えてあげるケド』


エドワード:「……っ。お前は、どこまで人を馬鹿にするんだ……!」


ガロ:「あいつ、ムカつくなぁ」


ジャイロ:「同感だ。」


RS00:『じゃあ本題に戻るねーっ!皆はこのモーテルに連続殺人犯の捜査に潜入したというところからっ。まあ、なんやかんやあってその記憶自体を失って、とうとう次の殺人が起こってしまいました!結論から言うと、このモーテル、つまり、君たちの中に犯人が居ます!』


エドワード:「…。」


ノエル:「私たちの中、ね。」


RS00:『アンタらは今からこのモーテル内にある証拠を探し、この殺人事件の犯人を暴く必要がありますっ。今日の21時ピッタリに、このエントランスルームにて『思考裁判』を行いますっ。』


エドワード:「思考裁判……!?」


RS00:『YESっ。この10人の中から犯人を割り出す裁判をして頂きます!』


ヴァン:「はっ。やっすいゲームだなァおい」


ガロ:「ふざけんな!お前が仕切ってんじゃねーよ」


RS00:『そんなこと言ったってしょうがないだろっ!?私には、このメロスモーテルで起こった殺人事件の犯人を割り出させる義務がある!』


ヘルマン:「お前の立場が分からないな。私達にそんな事をさせて、お前になんの得がある。現状じゃあ、お前が黒幕のようにしか見えねぇが」


RS00:『そう思うのは勝手だとも。まあ、犯人は私では無いのだから、いくら私を疑おうとなんの埃も出てこないけれど。やってみるといい、骨折り損を』


ヘルマン:「いい度胸だ、居場所割り出してしょっぴいてやるから待っとけよ。どこまで知ってるか、吐かせてやる」


RS00:『全部だよ、全部。何もかも知っている。君達がどうやってここに来たかも、記憶を失う前何をしていたかも、誰が犯人かも、私だけが知っている。』


ガロ:「じゃあお前をぶっ飛ばして全部吐かせりゃ早いってことだな」


ジャイロ:「だな。肩かすぜ」


カラス:「なんだ、やっとか。」


RS00:『ぷぷ。私の居場所すら知らないのに、どうやって私をぶっ飛ばすってのさ』


ヘルマン:「おいガキ共、下手な事すんなよ。仏さんも居る、情況証拠を荒らして始末書だなんて御免こうむる。」


ガロ:「あ?」


ヴァン:「イマイチ話が飲み込めないな。仮に、本当に俺らの中に犯人が居るとして、だ。俺たちは全員記憶を失ってるんだよな」


RS00:『ああそうさ!信用していないなら、逆に問うよ。この中でこのモーテルに来るまでの事を覚えている人いるかーい?』


0:全員黙る


RS00:『まあ、そりゃあそうだろうね。だって自分だけ記憶を持ってるだなんて言ったら、自分が犯人だって自供するのとほぼ一緒だもんなー!そりゃ黙る!利口だね!』


ノエル:「犯人がこの中にいて、犯人すら記憶が無いなら、自供のしようもないって話だと思うんだけど」


ヴァン:「ああ、利口だなあんた。」


ノエル:「どーも。」


RS00:『さあ。この中にいる犯人が記憶があるのか無いのかは本人が自供するまでは闇の中さ。それは私の口から言えることじゃあないんですけどねーっ!』


カラス:「はっ。いちいちムカつく言い方しやがる。」


RS00:『まぁた怒る。損な立ち回りだなぁー、私。私を信じないならそれでいいさ。このまま完全封鎖されたモーテルで一生を過ごせばいい、ここに居る全員が、死んでしまうまで。』


マシュー:「は、はぁ…!?し、死ぬって、なんなんですか……!」


RS00:『21時より開始する『思考裁判』にて犯人を特定しないと、犯人はこの中の誰かをまた殺害し、再び君達の記憶は失われ、またこのイタチごっこに帰ってくるって事だヨ』


エドワード:「はぁ!?」


マシュー:「ええ!?」


ヘルマン:「なんでそう断言出来る。何故、犯人が必ず再び殺人を犯すと断言出来る」


RS00:『知らないよ、そんなの。犯人にしか。』


ヘルマン:「動機の話をしてるんじゃない。何故結果を前もって断言出来る」


RS00:『だから、知らないって。私は私の伝えることしか喋らない。疑問を全部答えてくれるお助けキャラだと思ってもらっちゃ困るよー。馬鹿で阿呆だから何回も言わないと分からないだろうから言うけど、私は、あくまで、中立なんだよ。ヘルマン・ゼップバーン。』


ヘルマン:「糞野郎が…」


カラス:「ちょっと待ちな、あんた今、今日犯人を割り出せ無かったら殺人がまた起こるっつったな」


RS00:『ああ、うん。言ったとも』


カラス:「で、次の日の朝にはもう今日の記憶はねえと。そう言ったな」


RS00:『ええ。言いましたね』


カラス:「つまり、これは最初の殺人じゃねえかもしれねえって事か」


0:全員がピリつく


マシュー:「うぇ…!?うぇ……!?」


ノエル:「確かに。記憶が無いだけで、もう犯人は複数回犯行に及んでいる可能性も充分あるのか。」


ヴァン:「まじか。どうなんだよ。」


RS00:『えっ。答えないよ。1回目かもしれないし、幾度となく繰り返された末路がこれかもしれない。もしかしたら、当初は100人以上居た宿泊者が、今ではこの10人になってしまったのかもしれない。真実は神と私のみぞ知るのさ』


マシュー:「そ、そう考えると、急に怖くなってきましたよよよ、だ、だって!知らない間に殺人が起こっていて、その度その事を忘れて!今の意味のわからない状況になっているかもしれないんでしょう!?」


ヘルマン:「あいつの言う事を真に受けるなら、な。」


ヴァン:「真に受けるかぁ?」


カラス:「どうする、ガロ」


ガロ:「……。わからん。」


アインズ:「……。」


カルビス:「あ゛ぁ。」


0:カルビスは前に出た


カルビス:「じゃあつまり、だ!今日、ここで、犯人を割出せなかったら、俺らの中の誰かは遅かれ早かれ死ぬってことだな!それが殺人犯に殺されるか、完全封鎖空間のモーテルでの餓死かはさておきだが。はっはぁ、そりゃいい。記憶のねえまま明日、明後日、一週間後にはここに居るメンバーが次々と減って、減った事にすら気付かねえっつーオチが待ってるかもしれねえんだ。」


エドワード:「何をそんな、ヘラヘラしてるんですか……!今がどういう状況か分かっているんですか!」


カルビス:「あー分かってる。絶体絶命、死ぬさ。死ぬ死ぬ。だから、犯人探しをするしかねえんだ。そうだよなあ?RSなんたら」


RS00:『うん、そうだよ。飲み込みが早いねーきみ。』


エドワード:「ちょっと待ってよっ。みんな、本当にこの中に犯人がいると思ってるの…?」


マシュー:「そ、そんな事言っても、私達には記憶が無いんですし……」


アインズ:「つまり、それを探る為の時間が、今日行われる、その思考裁判ってやつまでの猶予って話だな」


ガロ:「でもこの中じゃ一番怪しいのあのテレビ野郎だぞっ。」


RS00:『だはーっ!君はかくも真っ直ぐな視線で人を傷つけるんだな!最も、私にはそういう傷つくとか感傷的な表現がーーー』


ジャイロ:「おいテレビ女、ちょっと黙ってろ。」


RS00:『酷い』


カルビス:「あいつの話を信じず、たじろぐならそれでいいだろうが、俺らには確かに記憶がねえ。何が真実かは俺らの中の誰も知らない。あ、はっ。犯人を除いて、だな。」


マシュー:「そ、そもそも、このモーテルにいること自体疑うのが普通ですよっ。」


カラス:「そりゃそうだな。気付けばここに居た、さらには完全封鎖のモーテル。何かの事件に巻き込まれたのは確実だろうが」


カルビス:「だーからぁ、それがその、連続殺人事件なんじゃあねえの?こんな大掛かりな仕掛けで、外がどうなってるなんざ知らねえが。少なくとも、普通じゃねえ何かしらの渦中に居るのは全員の共通認識なんだろうが。」


ヴァン:「……」


エドワード:(M)駄目だ、ここに居る全員の疑心が高まっていくのを感じる、そういう沈黙だ、何か、良くない気がする。こんな状況だからこそ、良くない気がする……!


カルビス:「とりあえず、俺は一服でもしてくるワ。こんな場所に箱詰めされて一歩も進まねえ問答を繰り返す事ほど時間が勿体ねえ事は無い。」


エドワード:「待ってください!」


カルビス:「やぁだよ。待たない。このままじゃ酸素中毒だ。今すぐ煙ぶち込まねえと死ぬぞぉ、俺は。それともなんだ。おめぇが俺を殺すのか?」


エドワード:「何をふざけたことをーー」


ヴァン:「今一人で行動するのは賢くないな。この状況。あんたの思い切った発言のおかげで場全体の雲行きが怪しくなっちまった。掻き乱すだけ掻き乱しといてこの場から逃げ出すのか?」


カルビス:「逃げ出してるように見えんのかぁ、お前。言ったはずだぜ、俺は、煙草が、吸いたいんだ。」


ヴァン:「同じ愛煙家として止めたくはねえが、今じゃないわな。結論を急ぎすぎだ」


カルビス:「はっはぁ。前提で足踏みしてるのが普通かよ。「本題に入られたくない」って言ってるようなもうんだァな。」


ヴァン:「……。お前、厄介だとよく言われるだろ」


カルビス:「お前も大概じゃねえのぉ。」


ヘルマン:「……。まあ。大体の方針は着いたな。」


アインズ:「そうさな。一旦はお前の口車に乗ってやるよ、テレビ女。」


RS00:『口車も何も、本当のことしか言ってないんだけどナァー』


エドワード:「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!本当にあいつの言う事を真に受けるつもりですか!」


ガロ:「そうだぞ!あいつぶっ飛ばすのがいちばん早いって!」


アインズ:「正体どころか、何処にいるかも分からんやつをか?正気じゃねえな。」


ノエル:「ガロ、残念だけど。今は証拠と、現状を自分達の目で把握するのが賢明だ。」


ガロ:「おいノエル、マジで言ってんのかよ」


カラス:「まあ。しょうがねえだろう。このモーテル探ってる間にテレビ野郎の居場所も掴めるかもしれねえんだ」


ガロ:「でもよお…!」


ジャイロ:「お前も見ただろ。エントランスに入る前の外の光景。」


ガロ:「見たけど、それがなんだ」


ジャイロ:「俺とナマクラで色々試したが、どれも失敗に終わった。多分、お前の異常性でもここから出れねえ。」


ガロ:「は?」


ジャイロ:「最悪の場合は「奥の手」を使うが、とにかくこりゃあ「物理法則を無視した」何かだ。それがあのテレビ女の仕業なのか、はたまた外部からの仕業なのかは分からねえけどな。」


ノエル:「つまり、私達も下手すればここで死ぬよ。今までみたいにぶっ飛ばして終わりじゃない。ぶっ飛ばす相手も、敵が誰かも分からないんだ。」


ガロ:「……わかった」


エドワード:「ガロ…」


カラス:「ったく。いやにピリついてんなぁ。」


RS00:『じゃあ皆、犯人探し開始ってことでいい?』


ヘルマン:「お前の口上に付き合うつもりは無い。私は私で勝手に動くだけだ。そこんとこ履き違えんなよ。」


RS00:『なんでもいいけど、とりあえずOK!それでは、捜索パートを開始します!21時になりましたら、再びエントランスルームにお戻りください!それでは、良き思考を〜!』


0:テレビ画面が消え、その場には沈黙が残る


エドワード:(M)テレビの画面が消え、その場には静寂だけが残った。何か、なにか喋らないと。皆不安なんだ。私だって、自分の記憶が無いのが怖い。もしかしたら、自分が知らない間に殺人を犯して、その記憶ごと失っているかもしれない。誰しもがそう思っただろう。そんな状況への疑心を振り払うように、私は声を上げるしかなかった。


0:エドワードが手を挙げた


エドワード:「そ、それじゃあさ、まずは改めて、自己紹介でもしませんかっ。お互いにお互いのことまだ何も覚えていない訳ですし……」


ヘルマン:「まずは現場から離れるべきだろうが。仏さんの前で自己紹介なんざ縁起でもねえ」


エドワード:「あ……」


カラス:「ご最も。」


ガロ:「あ、そうか。そうだな、確かにそうだ。」


カルビス:「じゃあ、後はよろしくやっててくれ、俺はタバコにーーー」


ヘルマン:「この場に犯人が居るとしたら、自己紹介だなんて学級ムードに乗ってくるかは分からねえけどな」


アインズ:「犯人への牽制か?お上手だなあ」


カルビス:「そりゃどういう意味だ、タコこら」


エドワード:(M)各々、一度整理も含め、エントランスルームを出た。扉が閉まる最後の最後まで、あの光景が目に焼き付いて離れなかった。人が、確かに死んだんだ。訳も分からないまま話は進み、自分がなぜ今、ここに居るかも分からない、そんな状況で犯人探しまでする事になるだなんて。


0:1階 玄関


ガロ:「……」


エドワード:「ねえ、ガロ」


ガロ:「おう。」


エドワード:「まさか、こんな事になるだなんて、思わなかったね。」


ガロ:「おう。」


ジャイロ:「珍しくへこたれてんのか、相棒」


ガロ:「ああ。そうだ。」


カラス:「はっ。正直でいい事だな。その感覚を忘れちまったやつが、ああいう事をしでかすんだ。」


エドワード:「……。」


ジャイロ:「まあ、知らずのうちに面倒な事に巻き込まれちまったみてぇだな。参ったよ。こりゃあ」


ノエル:「凹んでばかりもいられない。まずは現状の理解が先決だ。」


ガロ:「なんかの依頼でこうなったんじゃねえのか。」


カラス:「の、線が高いだろうが。結局、今はまだ何も分からないわな。」


ジャイロ:「自己紹介はすぐそこのカフェテリアでやるらしい、お前らも、ある程度整理ついたら来いよ」


ガロ:「…。わかった、また後でな!」


ジャイロ:「ああ。」


0:二人はその場を去った


カラス:「…。ガロ。この場にいる全員が、合流する前から嫌にピリついてやがる。」


ガロ:「そうか。お前ら、俺が起きる前から合流してたんだっけか。」


カラス:「ああ。見たところ、殆どの人間がそれなりの修羅場を潜ってそうな顔付きだった。勿論、そうじゃねぇのも居るが。肝っ玉据わってる割に、腹の底が見えねえような奴らが多い。」


ガロ:「ああ。なんかそんな気がする。」


カラス:「身内を疑うつもりはねえが、何が敵かは、自分で見極めろよ。」


ガロ:「……おう。」


0:カラスもその場を去った


エドワード:「……」


ガロ:「〜〜〜!」


0:ガロは自分の頬を叩いた


エドワード:「ええ!?な、なにしてんのガロっ。」


ガロ:「気合い入れた!!なーーんも!なんにも分からねえことだらけだけど!!これも冒険だっ。人が死んじまったのは悲しいけど。しょうがねえ。もう、この中の誰も死なねえように頑張るしかねえからな!で、犯人をぶっ飛ばす!」


エドワード:「…。凄いなあ、きみ。」


ガロ:「なにが」


エドワード:「いや、その精神のタフさ、本当に見上げたものだなって」


ガロ:「だははっ。俺は馬鹿だからなーっ。難しい話は分からねえんだっ。だから、まずは行動するしかないっ。」


エドワード:(M)ガロンドール・ウォンバットは、太陽のような人間だった。意味不明、理解不能の現状で、分からない事は分からないと割り切り、最悪を回避しようとする。そうだ、分からない事だらけだけだし、納得のいかないことばかりだけど。死んでしまった人の命は戻らない。そうであれば、私は自分を奮い立たせる他ない。


0:1階 カフェテリア


ヘルマン:「ーーーさて。全員揃ったか。じゃあ私から言うぞ。私はヘルマン・ゼップバーン。リベール市警の刑事組織犯罪対策課の人間だ。因みに言うが、私がなぜここに居るかは記憶にない。」


0:ヘルマンは警察手帳を見せた


ガロ:「慶次ソニックタイタニック?」


ジャイロ:「刑事課。あんた、刑事さんだったのか。それもリベールの。うひょお〜」


ガロ:「刑事!?かっけーー!それ、本物の警察手帳なのか!」


カルビス:「こんな中でお奉行が居るたぁ、おあつらえ向きだな。」


マシュー:「で、でも!刑事さんが居るなら心強いですねっ。」


ヴァン:「ああ、因みに俺ァここに集まる前にこの刑事さんと合流してたから、この人が刑事なのは知ってたよ。俺はヴァン・ハンドレット。アーヘン高等学院生だ。俺もここに来た記憶は無い。」


ジャイロ:「ほお。」


アインズ:「その制服、まさかとは思ったが、まじでアーヘン生かよ。」


ガロ:「あーへん。」


エドワード:「知ってる?」


ガロ:「知らねえ。カラスは?」


カラス:「知らねえ。」


ジャイロ:「無知共が。ありゃあ中央政府が設立した、中央政府職員を育成する為の学校の制服だ。それをアーヘン高等学院っつー、まあエリートってわけだよ」


ヴァン:「そんな大層なものじゃねえよ、ただの暇潰しだ」


ヘルマン:「暇つぶしでアーヘンに入学なんざ、それこそ大層なこったぁな。そんじゃ次。お前。」


マシュー:「あ、は、はい!マシュー・ワンプソンと言います、グランシャリノ商会で働いている、ただの会社員です」


ノエル:「……!」


ヘルマン:「あんたも、ここに来る前の記憶はねえんだな。」


マシュー:「はい、目が覚めたらこのモーテルに居たので…。」


ガロ:「はいはーい!次!次俺!俺、ガロンドール・ウォンバット!冒険家だ!」


マシュー:「ぼ。冒険家ぁ?」


ヴァン:「はっ。こりゃまた、癖の強いやつが来たもんだ」


アインズ:「さっきから若者同士親しげに話してたが、見知った仲か?」


ガロ:「ああっ。俺、ギルドやってんだ。準ギルドだけど。で、こいつらは俺の仲間だ!」


カラス:「カラス。ただのカラスだ。」


ヘルマン:「ずっと気になってたが、それは侍のコスプレか……?」


ジャイロ:「ぷっ。」


カラス:「もう言われ飽きた。それでいいよもう」


ジャイロ:「あー、俺ァこいつと同じギルドに所属してる、ジャイロ・バニングスだ。」


ヘルマン:「ほぉー、どこかで見た顔だと思ったが、やっぱりお前、異能狩りか。」


ジャイロ:「おお、俺もどっかで見たことあるケツだと思ったよ。」


ガロ:「知り合いか?」


ジャイロ:「食い逃げだとか、ちぃとしたことで俺を追い回してた奴だ。手錠ぶん回してた気がする」


ヘルマン:「お前の余罪については、この一件が終わったら十分に説明してもらうとして。あと一人、知った顔が居るな。」


ノエル:「…。ノエル・ベルメット。同じく、こいつらと同じギルドに所属してる、元。探偵だ。」


ヴァン:「ほおー。こりゃまた、刑事に、元探偵に、いよいよ事件らしくなって来たじゃねえの。」


マシュー:「た、頼りになる〜!!」


アインズ:「まったくだ。流石にあの並びの後だと薄くなっちまうから聞き流してくれて構わねえが、俺はアインズ・ブローカー。中央政府情報局の人間だ。」


ヴァン:「情報局?」


ガロ:「おー!アスカのところの!」


ジャイロ:「こりゃあまた。本当に曲者揃いだな。」


ヘルマン:「あぁ〜。まったくだ。こりゃいよいよ、ただの殺人事件じゃあない、ってのは確定してきたな。」


アインズ:「残るは、後二人だが」


カルビス:「あ、喋っていい?」


ヘルマン:「さっさとしろ」


カルビス:「へいへい。俺ぁカルビス・ラングナー。しがない営業マンだ。」


カラス:「営業マン、ねえ。」


カルビス:「なんだよ、その目は」


カラス:「いいや。別に」


ヘルマン:「どういって業種だ。会社名は」


カルビス:「プリケッツ株式会社だよ、業種は車の部品製造、販売をしてる。至って普通の会社だ。調べりゃ出てくるよ」


ガロ:「ぷりけつ」


カルビス:「ああ、その弄られ方はよくされる。」


ヘルマン:「……。まあ、嘘をついている様子は無さそうだ。いいだろう」


カルビス:「なんで俺だけ職質ゥ?」


エドワード:「じゃあ、最後に。エドワード・シャルルです。何をやっていたかは……。分かりません。」


カルビス:「はいぃ??」


アインズ:「分からない?」


ヴァン:「どういう事だ、そりゃあ」


エドワード:「私が知りたいくらいです、自分が何をしていたかの記憶も無くて、なので、私がどういう職業で、という回答は。出来ません。」


ヘルマン:「ほぉ。」


ノエル:「……」


アインズ:「そんな事馬鹿正直言うかね。」


マシュー:「そ、それは流石に……」


ヴァン:「ンマー。流石に黒すぎるな。この中で唯一、何をしていたか忘れている、と。隠してると勘ぐられてもしょうがねえよ、嬢ちゃん。」


エドワード:「……」


ガロ:「おい!エドワードは悪いやつじゃねえぞ!」


ヴァン:「悪い悪くないの話をしてんじゃねえのよ」


ジャイロ:「覚悟の上だろうよ。黒だとすりゃあ怪し過ぎる。この場面で、自分の素性を隠して疑われる事以上のメリットがあるとは思えねえ。」


ヘルマン:「ああ、そっちの銀髪よりかはずっと信用出来るな」


カルビス:「だからなんで俺に矛先向けるんだよ」


ヴァン:「意外だな、あんたが我先にと煽り出すもんかと思ったが」


カルビス:「はあ?別に俺じゃなくても誰かが疑うだろ。便乗場乗りは基本しねえ主義なのよ。」


ノエル:「本当に。覚えてないんだな」


ガロ:「ノエル…?」


ノエル:「逆張りにしたって、唯一正体不明の人間がいることの疑心は払拭できない。断りを入れておくが、私は、君を疑ってるよ」


ガロ:「おい、ノエルっ。ふざけんなよ!こいつは良い奴だ!」


ノエル:「ガロ。今日はね、いつもみたいなバカ騒ぎでなるようになる案件じゃないと、私はそう踏んでる。もう一度聞くよ、エドワード。君は本当に。自分が何者だったかの記憶が無いんだな」


0:一瞬の沈黙


エドワード:「はい。覚えてません」


ノエル:「……。そっか」


エドワード:(M)自己紹介が始まってから、覚悟はしていた。私だけが、自分が何者だったかを覚えていない。そんなの、疑われるに決まってる。でも、嘘はつきたくない。


ヴァン:「まあ、誰も彼もここに来るまでの記憶はねえ、素性に至っては見知った人間以外は証人も居ねえんだ。嘘ついてようが隠してようが、今は判断のしようがねぇってことだな。」


ノエル:「……。」


ヘルマン:「一先ず、自己紹介が終わったが。とくに得られる情報も無さそうだな。誰か一人はこのモーテルに来た記憶があると期待したが。最も、隠しているなら話は変わるが」


マシュー:「で、でもっ。このまま話しててもラチはあきませんよ、あ。すみません、急に喋って」


アインズ:「いいやあ、その通りだよ。一番気になるところだが、遺体検証は済んでるんだろう。元探偵、刑事さん。詳細を聞かせてくれよ。」


ガロ:「え?終わってんの?」


ヴァン:「ああ。俺達が到着した頃にはもう逝っちまってたからな。すぐに刑事さんと、元探偵が調べてくれたよ。ありがてえ事だ」


ガロ:「それ、めちゃくちゃ有益な情報じゃねえかっ。ど、どうだったんだ…?」


マシュー:「き、聞きたくない…っ。怖いですぅぅっ。あびゃあっ。」


0:ヘルマンはメモ用紙を取り出した。


エドワード:(M)ヘルマンさんは、カフェテリアにあるメモ用紙とペンを拝借し、走り書きの検死録を読み上げた。


ヘルマン:「死因から言うが。致命傷は恐らく打撲だな。後頭部に凹みと傷口を確認した。その他、外傷は刃物での切り傷が右腕に二箇所。腹部に1つの刺し傷。それ以外にも小さな打撲、両腕に縄で縛られた様な跡。右手の爪が3枚剥がされていたりと、拷問の跡のようなものも見える。」


マシュー:「うっ……。」


アインズ:「現場に凶器は?」


ヘルマン:「無かったな。既に回収されたか、別室で殺害して運んできたか。少なくとも、エントランスルームにゃあ凶器になりそうなものは何も無かった。」


カラス:「それ以外にはなにか無かったのか。」


ノエル:「被害者の髪だけが濡れていた。そのお陰で頭部の血痕は殆ど残ってなかったよ。」


ジャイロ:「髪だけ?」


ノエル:「詳細には、服にも水は掛かっていたけど、濡れ方を見るに頭部から掛けられたものだってことは確かだ。」


ヴァン:「それはつまり、ナイフでの刺し傷、切り傷から出た血痕には触れず、そのまま放置したってことか」


ノエル:「ああ。それがミスなのか、ブラフなのか、はたまた拷問において水をかけたのかはさておき。ややこしい殺し方をしてくれたよ。本当に」


エドワード:「う……っ。」


マシュー:「おえ。」


エドワード:(M)確かに、そこには人だったものがあったんだ。それがどのようにいたぶられて、その命を奪われたか、その情景を言葉から想像するだけでも、吐き気がした。それでも、この場にいる殆どの人が平然と話を進めている。ジャイロさんの言う通り、ここに居るのは相当な修羅場を潜った人間達だ、という事が嫌という程分かる。


ノエル:「ーー死亡推定時刻は血の変色具合から察するに2〜3時間前。鑑識に回さないと正確な時間は分からないけど。概ねそのくらいだと確信していい。」


ガロ:「2〜3時間前ってぇと。今が…。何時だ?」


0:ノエルは携帯電話を見た


ノエル:「10時半だ。」


ヴァン:「つまり犯行時刻は今日の7時から8時までの間ってことだな。死にたてホヤホヤじゃないか。」


カルビス:「そんな短時間で拷問なんざ可能かねえ。誰か嘘ついてんじゃねえの?」


エドワード:「きっと、黒幕が何か仕組んだんですっ。内輪揉めをするような発言はやめてください」


エドワード:「ちなみに、遺体の第一発見者はどなたですか?」


マシュー:「あ、えっと。その」


ヘルマン:「何言い淀んでやがる」


マシュー:「はい!すみません!私です!」


ヴァン:「分かりきったことなのに、今更渋ってどうする」


マシュー:「だって!!わたしがうたがわれるにきまってるじゃないですか!第一発見者は容疑者として留置所にって、ひぃいっ。見つけ損だぁ!」


エドワード:「お、落ち着いてくださいっ。一度、皆さんの起きてからの行動を整理したいんです。マシューさんは何時に起きたんですか?」


マシュー:「わ、私は、7時32分、です。」


ガロ:「早起きだな?」


マシュー:「本当はいつも7時に起きる筈なんです。ただ、今日は何故か携帯のアラームが切れてて、それで32分に…」


ジャイロ:「32たぁ、随分細かく覚えてやがる。」


マシュー:「ええ、なんせ今日は大寝坊で、忘れもしません、あの「7時32分」という悪魔の数字を……前日疲れてたのか、起きたのもソファの上でしたし、相当寝つきが悪かったのか汗だくで……」


ガロ:「はやー。社会人って大変なんだな…」


ヘルマン:「身の上話はいいから、目が覚めた時から遺体発見までの行動を教えてくれ」


マシュー:「あ、はい。すみません。えっと。確か、目が覚めて知らないところにいたので、暫く混乱してました。とりあえず会社に遅刻の連絡をしようと思ったんですけど、圏外でした。」


ヴァン:「何階で目が覚めたんだ?」


マシュー:「な、何階?」


ヴァン:「俺が目が覚めた時に居たのは、2階の202号室だった。きっと全員バラバラだろう。」


マシュー:「えーっと…。5階、ですね。部屋番号は確か、506号室だった気がします」


エドワード:「5階、私もですっ。」


ヴァン:「なるほど。7時32分に5階で目が覚めて。暫くたじろいで、そこから遺体発見にどう繋がる?」


マシュー:「は、はい。とりあえず部屋から出て、1階に降りました。とにかく出勤したかったので、でも、玄関が封鎖されてて」


ノエル:「ああ、やけに頑丈なバリケードでしたね。7時32分の段階で既にバリケードが張られてたってことは、暫く前。少なくとも昨日の夜や深夜からあるものって事でしょうか。」


マシュー:「わ、わかりませんけど、多分そうです。で、暫く場所を探してました。その時が大体8時でした。」


ジャイロ:「それにしても、マシュー。お前さん、やけに細かく時間を把握してるな。」


マシュー:「あ、いやいや、携帯があったのと、遅刻が怖くてずっと時間を見てたんです。本当ですよ!」


ヘルマン:「わかったわかった。それで。続きは?」


マシュー:「バリケードを諦めてたら、どこからか話声が聞こえたんです。」


カラス:「話し声?」


マシュー:「はい、誰かいるのかなって思って、エントランスルームに向かったんです。そしたら…。うっぷっ。あ、危ない」


ノエル:「なるほど。そこで遺体発見ってことか。」


ヘルマン:「わかった、マシュー、ありがとう」


マシュー:「あ、いえ、そんな、へへ。」


ヘルマン:「じゃあ、次に早く起きたのは私とヴァンだろう。わたしが起きたのは8時。4階の410号室で目が覚めた。起きてすぐに異変に気付いたよ。エレベーターで一階に向かった。」


ヴァン:「で、そのエレベーターに俺も乗車した。そこから二人でカフェテリアに向かった。ってことだ」


エドワード:「マシューさんが聞いた話声っていうのは、その時の声かも知れませんね」


カラス:「つまり、二人にはアリバイがある、と。」


アインズ:「だが、1階でゴタゴタやってたマシューと、同じく1階カフェテリアに居たこいつらがすれ違わなかったのはなぜだ?」


ヴァン:「カフェテリアはエレベーターを降りて右奥にあるだろう。ここから見て見ろ、壁で玄関もエントランスルームも見れない。」


0:エドワードは向こう側覗き込む


エドワード:「確かに、ここからじゃあ、エントランスルームも玄関も見れませんね。」


ノエル:「死角だったからマシューさんに気づけなかったって事か。えーっと。私、ジャイロ、カラスは8時半の時報アナウンスで目が覚めたんだけど。それより前に起きた人は?」


アインズ:「俺とこのクソ野郎だ。」


カルビス:「はぁい。」


ヘルマン:「私とヴァン、マシューの次にエントランスルームに来たのはお前らだったな。」


アインズ:「俺が起きたのは405号室。4階だ。時間はこいつらと同じ、8時過ぎだ。細かいところは覚えてねえが。」


カルビス:「俺が起きたのも4階。同時刻だ。こいつのお隣さん、404号室だ。起きて部屋を出たらすぐにこいつと合流したよ。」


エドワード:「4階ってことは、ヘルマンさんと同じ階数ですね。同時刻に起きたなら、すれ違っていそうですが」


ヘルマン:「ああ。すれ違いか?」


カルビス:「さぁなぁ。気が合うことにこいつと俺は喫煙者だから、現状理解よりも喫煙所探しの方がよっぽど先決だ。」


ヴァン:「喫煙所か、さっきもちらっと言ったが。俺も一応喫煙所を探して一階に降りたんだ。何階にある?」


ヘルマン:「ああ、それは私も聞いておこう」


カルビス:「6階だぞ」


ノエル:「という事は、ヴァンさんとヘルマンさんが一階へ下りた後、おふたりは六階の喫煙所に向かった、という事ですね」


アインズ:「時系列で話すとそうだ、で、喫煙所にてお互いに身の上を話してるうちに、「あー。こいつとは気が合わねえわ」と思ったね。」


カルビス:「つれないねえ。で、煙草を吸い終わったらいよいよこのモーテルの調査だ。やっぱり最初は一階を見に行くだろうな。」


アインズ:「そこで、一階でエントランスルームでのゴタゴタを目にしたって話だ」


カルビス:「時間だとちょうど8時半ごろじゃねえか。時報アナウンスも鳴ってたしよ」


ガロ:「時報アナウンス…?」


ジャイロ:「なんだ、聞いてねえのか?あっただろ。何時何分をお知らせするってやつだ。」


0:回想


RS00:『あー。あー。聞こえてますかーっ!おはよーございます!朝9:30をお知らせします!朝9:30です!聞こえてますかー!』


0:回想終了


ガロ:「あー!あったな!9時半のやつ聞いたわ!」


エドワード:「でも、私達が聞いたのは9時半の時報アラートで、8時半のは聞いてませんよ。」


ジャイロ:「寝てて気付かなかったのか?相当デカい音量だったが。8時半にも時報アナウンス入ってたんだよ。ちなみに俺はそれで起きた」


ノエル:「ここまでは合ってますか?」


ヘルマン:「ああ。彼らがエントランスルームに来た少しあとに8時半の時報アナウンスが入った。私も4階で起きた時、彼らの姿は見ていない。辻褄はあっているんじゃないか。」


カラス:「それじゃあ、今のところアリバイが成立するのは…」


エドワード:「ヘルマンさん、ヴァンさん、カルビスさん、アインズさんの4名ですね。」


ガロ:「よし。何となくわかってきた!」


ヴァン:「ちなみに、マシュー。一番最初。エレベーターを見た時に指していた階数を覚えてるか?」


マシュー:「えーっと、確か…6階だった気がします。」


ガロ:「おお、俺も6階だったぞ!」


カラス:「威張って言うことじゃねえんだよ。疑わられるぞ」


ガロ:「俺やってないもん」


ノエル:「はいはい、その辺は一旦置いといて。次は私。起きたのは8時半の時報アナウンス。目が覚めて、見覚えのないモーテルで調査、のくだりはみんなと同じだと思う。起きたのは3階。301号室だ。部屋から出てすぐ、ジャイロと合流したよ。」


ジャイロ:「ああ。ひでぇ酔い方して見知らぬソープで目が覚めたかと思って焦ったぜ。俺の起床時刻も8時半の時報アナウンスだ。俺が起きたのも3階の302号室だった。」


ガロ:「やっぱりお前らだけ先に合流してたのか。で、その後どうしたんだ」


ノエル:「当然、一階へ降りたよ。玄関のバリケードを確認して、これは何かに引っかかった、と思ったね。その後、すぐにカラスが非常階段から降りてきた。」


アインズ:「非常階段?またか」


カラス:「エレベーターの使い方はよく分からん。俺が起きたのは2階だったが、部屋番号は覚えてねえ。見知らぬ宿屋で目が覚めたもんで、一階に降りたらバリケード相手にバカこいてるアロハがいた。」


ジャイロ:「壊せねえか試してたんだろうが、ぶっ飛ばすぞてめえ。」


ヘルマ:「異能狩りの手を持ってしても壊せなかったのか?」


ジャイロ:「ああ、ありゃ駄目だ。色々試行錯誤してみたが、物理的な何かで閉ざされているような代物ではねえ。何かしたらの異常性による閉鎖空間だと想定するね」


カルビス:「ほお、異常性は使えたのか」


ジャイロ:「ああ。結果は虚しく、だったがな。」


アインズ:「その時点で何時だ?」


カラス:「しらね。」


ノエル:「私が携帯を持ってたから、時間はそれなりに覚えてる。二人がバリケードを壊すのを諦めたのが、8時50分くらいだったよ。9時手前だな」


ガロ:「お前らでも壊れねえのか。ってことは俺でも無理かなあ」


カラス:「やってみない事には分からねえが、無駄打ちするくらいならやめとけよ。いざって時の最終兵器だろうが、お前のは」


ガロ:「おう。そうだな。わかった。」


エドワード:「ちょっと待ってください、カラスくんと、ジャイロくんは、少なくとも15分はバリケードを壊す為に何かしらしてたんだよね」


ジャイロ:「くんって。まあ、そうだが」


エドワード:「だとしたら、結構な騒音もしたと思うけど、エントランスルームの皆は気付かなかったの?」


ガロ:「あ、あー!確かに確かに!マシューの悲鳴が聞こえたんなら、こいつらの騒ぎ声が聞こえてもおかしくねえな!天才だなエドワード!」


ヘルマン:「言われてみればおかしな話だが、聞こえなかったな。」


ヴァン:「エントランスルームの扉を閉めてたのが原因だと思うぞ。あそこの壁はかなり分厚いからな。」


ノエル:「確かに、私たちがエントランスルームに入る時は閉まってたな。なんで閉めてたんですか?」


ヘルマン:「深い意味は無い。遺体と、発見現場の保管をしていたから閉めたくらいだ。」


ノエル:「なるほど。」


カラス:「って事は、マシューが死体を見つけた時はエントランスルームの扉が空いてたってことか。そうじゃねえと叫び声に気づけるわけがねえからな。」


ガロ:「そう言えば、俺とエドワードがエントランスルームに入る時も扉は空いてたっけか。」


0:回想


エドワード:(M)一階の最奥に大扉がわざとらしく開いてある。恐らく、あそこがエントランスルームだ。そこに向かおうとする足は止まった。誰かの怒鳴り声と、大きな物音がしたからだ。


0:回想終了


ガロ:「そうだそうだ!それで、お前らの喧嘩の声がして、急いで駆けつけたんだ!」


アインズ:「俺らのか。」


エドワード:「あの時、カルビスさんとアインズさんの怒鳴り声が聞こえたのは、エントランスルームの扉がいてたからだと思うんです」


ガロ:「そうそう。あったなあ、そんなこと。」


アインズ:「んな事ぁどうでもいい。ノエルと、カラスと、ジャイロっつったか。お前さんらがエントランスルームに来たのは何時だ」


ノエル:「バリケードを諦めてすぐだから、確か、9時10分頃だね。」


ジャイロ:「まあ、少なくとも俺ら3人はまたアリバイがあるな。俺とノエルはとくに」


ヴァン:「ああ。侍くんは起きた時に合流してない点からすると、完全なアリバイって訳じゃあないが。」


カラス:「まあ、そこは別に強く否定はしねえよ。だが、叩いても埃は出ねえとは先に言っとくぞ」


マシュー:「じゃ、じゃあ最後は、エドワードさんと、ガロンドールさんですね。」


エドワード:(M)「私は、エントランスルームに来るまでの流れで、身の上にあった事を嘘偽りなく話した。」


ヴァン:「なるほど、まあ。概ね全員と同じだな。それで、ガロンドール。あんたはどうだ?」


ガロ:「んー。時間は覚えてねえな。6階で起きたのは覚えてるよ。で、起きてすぐエレベーターに乗って、エドワードと合流したんだ。そこからはエドワードが話したのと同じだよ」


ジャイロ:「まあ、お前が時間までみっちり覚えてるってんじゃあ逆にそっちの方が怪しいわな。」


マシュー:「こ、これで皆の起きてからの行動は明らかになりましたね。これからど、どうします?」


ノエル:「今の話を聞いただけでどうこうは決められないですね。一度、皆でモーテルを捜索しましょう。凶器の出処も掴めてませんし。」


アインズ:「ああ、そうだな。それがいい。それしかねえよ。」


ヘルマン:「…。異能狩り、ちょっといいか?」


ジャイロ:「なんだよ。」


ヘルマン:「お前には聞きたいことが山ほどある。少し付き合えよ。」


ジャイロ:「…はいはい。」


エドワード:(M)こうして、各々が、このモーテルで起こった異変を探るべく、行動を別れた。犯人は。黒幕は、きっとこの中にいる。私も、何がなんでも見つけたい。皆で、ここから出たい。心からそう願った。


0:場面転換

0:カフェテリアに一人残るノエル


0:場面転換

0:カフェテリアに一人残るノエル


ノエル:「…。」


ガロ:「お?ノエルー!何してんだよ、早く行こうぜ」


ノエル:「…。ああ。」


ジャイロ:「…」


カラス:「アロハ」


ジャイロ:「なんだあ、ナマクラ」


カラス:「…。ノエルは。俺達を疑ってるぞ。」


ジャイロ:「ああ。そうだろうな。目を見りゃわかる。」



エドワード:(M)皆が、バラバラになっているのを感じる。でも、大丈夫だ。きっと。ガロが居れば、大丈夫なんだ。そういう確信が、あった。


RS00:『ーーー思考裁判まで、残り8時間と32分。』

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