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異能力者達の夜明け  作者: ゆーろ
冒険者達の午後
3/28

冒険者達の午後 序×2

0:冒険者達の午後 序×2


ーーーーー「パッと見りゃ水平線」ーーーーー



0:登場キャラ



ガロ:男。ガロンドール・ウォンバット。冒険家


ジャイロ:男。ジャイロ・バニングス。賞金稼ぎ。「デブ」を兼役


ノエル:女。ノエル・ベルメット。A級ギルド所属。元探偵。「不良」を兼役


カラス:男。カラス。姓なし。侍


フェリス:女。フェリス・ローレンス。「職員」を兼役


モルポ:男。モルポ・モルポット。「男」を兼ね役


イオハロット:女。イオハロット・レイス。B級ギルド「有頂天」リーダー。「女」を兼役


アイネス:女。アイネス・ケイデンス。中央政府執行官。「受付」を兼役


劉淵:男。リュウエン。B級ギルド「朝廷」リーダー。「構成員」を兼役





イオハロット:(M)西暦。1991年。1月18日。


ガロ:「うおおおおおおっ」


イオハロット:(M)フランス。リベール市


ジャイロ:「だああああああっっ。」


イオハロット:(M)大陸支援団体。通称、ギルドの総本山であるリベール市街に


0:ガロの背中に乗るノエル


ノエル:「わあああっ。はやいぃぃっ。ちょっ、こわいっ。こわいぃぃぃっ。」


イオハロット:(M)全力疾走する。男女。3名。


ガロ:「はぁっ。はぁっ。あと、どんくらいだっ。ノエルっ!」


ノエル:「その曲がり角を右っ。あとは真っ直ぐ!」


イオハロット:(M)ギルド試験開始時刻。本日。12時ぴったり。


ジャイロ:「かぁ〜っ。まじでギリギリだなぁ〜。おいっ。」


ガロ:「だはははっ。こんくらいの方が丁度いいっ。」


ノエル:「意味わからんっ。酔ってきた…っ。」


ガロ:「おい!人の背中で吐くなよっ。」


ノエル:「おええぇぇぇっ。」


ガロ:「あ!てめぇ!!」


ジャイロ:「ぎゃははっ!きたねーっ。クソきたねーーっ。」


イオハロット:(M)現在時刻。11時58分。定刻まで、残り2分と11秒。


0:『冒険者達の午後。序×2』


0:場面転換

0:フランス。リベール。ギルド本部


受付:「…。来ませんね。」


劉淵:「ほほぉーぅ。噂の異常体どもかっ。」


受付:「劉淵さんっ。お疲れ様です」


劉淵:「ああ、遅くなったな!いやぁ、まっこと。遅くなった!!」


受付:「いえ。多忙の中、進行役を引き受けて下さり、ありがとうございます」


劉淵:「構わんっ。一向に構わんっ。ギルドメンバーとして、手隙の人間が請け負うのが最も効率が良い。貴重なギルド職員を試験の度に失うわけにもいかんだろうっ。」


受付:「はは…。」


0:苦笑いを隠しきれない


受付:(M)なんというか、相変わらず暑苦しい人だ…。


劉淵:「今が、11時56分。なんだ。もう開始まで5分も無いじゃないか。諸々は聞いてるが、中央も相変わらず無茶な事を申し出るものだ」


受付:「はい。私どもでも中々に骨のある新規加盟候補者が来た、と話題に上がっていました。中央職員とも渡り合ったとの噂も広まっていますし」


劉淵:「はははっ。そうか。それは素晴らしいことだ。せこい中央の奴らに啖呵を切る度胸、かなり好きだが。」


0:劉淵は横目に客席を見た


男:「そろそろ時間だな。執行手配の準備を」


女:「了解。」


男:「アスカさんが恩恵を与えたようだが、間に合わなかったようだな。ギルドの連中」


劉淵:(小声)…あの、客席に座っている胡散臭い二人は、中央政府の駐屯職員か。


受付:(小声)はい。不正がないかの監視役、だそうです。


劉淵:「まったく。いつまで経っても協力しきれん。」


受付:「劉淵さん、だいぶフランス語がお上手になりましたね」


劉淵:「まあ、ここに来てもう6年だからな。」


0:受付は時計を見た


受付:「…。残念ですが、中央との協定です。12時ちょうどになるので、受付を締め切ります」


0:言葉を遮った


劉淵:「いいや。聞こえないか。」


受付:「?」


男:「定刻間近だ!ギルドの入場ゲートを締めきれ!」


劉淵:「あの。野生の猪かのような足音が」


女:「ゲート、封鎖します。よろしいですね」


受付:「え、あの。えっと…。厳密にはまだ12時ではないので…」


男:「残り一分もない!構わん、封鎖しろ!」


女:「了解しました。」


受付:「ちょ、ちょっと!勝手に施設機器に触らないでくださいっ。」


劉淵:「相変わらず手荒な連中だな。」


女:「入場ゲート、封鎖しま…」


男:「…?どうした!」


女:「いや…あの。えっと…」


受付:「…?」


劉淵:「来たか」


0:誰かが突進してきた


ノエル:「ちょっと!ちょっとちょっと!止まれ止まれ!ばか!やめろ!!」


ガロ:「うおおおおおおおっ!!どかーーんっ。」


0:入場ゲートを蹴破った


男:「おわあああああっ!?」


ジャイロ:「だぁあああらあぁたっ!」


女:「ぎゃああああっ!!」


ガロ:「間にぃ!!!」


ジャイロ:「合ったーーっ!!!」


受付:「…え…」


ガロ:「はぁ…っ。はぁ…っ。今日の12時から予約してる!ガロンドール・ウォンバットだ!」


ジャイロ:「飯屋か。同じく、ジャイロ・バニングスだ。」


ノエル:「両名の監督役として同行している、ノエル・ベルメットです。」


受付:「…あ、えっと…」


劉淵:「なにをしてるっ。早く試験申し込みを済ませてあげるんだっ」


受付:「あ、はい!お待ちしておりました!」


男:「ばかな…。冗談だろう…?おい!中央のリベール駐屯支部からギルドまでの公共交通機関は全て止めたはずだろっ。」


女:「確かに止めた筈ですっ。運行情報もありません…!」


劉淵:「まぁた。やはり!せこい真似をしていたかっ。」


男:「おかしいだろっ。バスと電車を使っても1時間はかかるっ。どういうトリックだ!」


女:「まさか、異常性を使ったか!貴様ら!」


ガロ:「え。誰だよ。なんで怒ってんだこいつら」


劉淵:(M)あれが噂のガロンドール・ウォンバットか。ステージ5の異常体。キャリオン街南西を吹き飛ばしかけた、と。同時に先日の超常天候の発端。


ジャイロ:「制服を見るにぃ。んー。中央政府職員だな。本庁の人間じゃあねえだろうが。」


劉淵:(M)次いで、「異能狩り」。ジャイロ・バニングス。変わり種だな。リベール周辺で騒がれる異常体失踪事件の主犯。食い逃げなどの軽犯罪でギルドからも追われる立場だが、これはっ、夢のカードかっ。


ノエル:「リベール駐屯支部の中央職員だろう。」


劉淵:(M)そして最後に。ノエル・ベルメット。A級ギルド「グランシャリノ」の構成員。彼らの見守り役、と言う立場にある女。これまた大物。


ガロ:「ちゅーとん?」


ジャイロ:「えーっとな。なんて言えばいいんだ、この馬鹿に説明するには」


男:「我々は中央政府職員だ。」


ガロ:「中央ってことは、アスカのダチか」


男:「ダチ…。というか、アスカさんは我々の上官にあたる」


ガロ:「上官ってなんだよ」


ジャイロ:「偉いやつ」


ガロ:「ふむ。偉かったんだな、アスカ」


ジャイロ:「準一等監察官だしな。結構な肩書きだよ」


ガロ:「なんなんだそれはっ。分かんねえことだらけだ!」


ジャイロ:「とりあえず偉いってことよ」


ガロ:「おっけ」


0:誰かの通信している


女:「はい。はい。ガロンドール・ウォンバット、並びにジャイロ・バニングス。定刻に間に合いました…。想定外です」


男:「それで。お前たち、ここまでどうやって来た。」


ガロ:「どうって。なぁ?」


ジャイロ:「んー。おう。」


ノエル:「その辺は私が窓口に立たせて頂きます。」


男:「…。グランシャリノ、ノエル・ベルメットだな。君が彼らの身元保証人として監督役を引き受けたと聞いている。」


ノエル:「はい。こちら、監督証明書です。」


0:証明書を渡した


男:「…。確かに、確認した。」


0:証明書を返した


男:「それで、道中。彼らの異常性使用を確認したか。真実のまま話してくれ。」


ノエル:「私たちはここまで走ってきましたよ。普通に。足で」


男:「ばか言うなっ。何キロあると思っているっ」


ノエル:「嘘かと思われるなら聞き込みでもしてください。あの大声にあの速度で爆走しているなら、いくらでも目撃情報がある筈です」


男:「〜〜っ。おい、聞き込みを開始しろっ。」


女:「あ、はい!了解ですっ。」


受付:「お待たせしましたっ。申請書を受理します!こちらへ!」


ガロ:「お。やっとかぁ〜。」


ジャイロ:「そんじゃなぁ〜。中央のボンボン」


男:「…っ。」


ノエル:「ギルド試験には無事間に合いました。試験の合否が決まるまでは、あなた方中央の介入は条例違反。そうですよね?」


男:「…。ああ。その通りだ。ギルド試験に落ちたら、まあ。分かるな」


ノエル:「勿論ですよ。」


男:「わかっているとは思うが、くれぐれも。不正はしないでくれよ」


ノエル:「ギルドは全ての事柄に平等です。国家間のいざこざにも介入しなければ、権力問題にも一切関与しません。」


男:「どうだか。」


ノエル:「私達はあくまで、大陸市民の皆様の生活を、日常を、「支える篭手」として存在します。それがギルドですよ。貴方達の好き勝手にはさせません。」


男:「口を慎めよ。中央との連携があっての君たちギルドの活動を認めているんだ。異常体の監督を一任するのだって、特例中の特例だ。分かっているな」


ノエル:「わかってます。中央に反発するつもりは無い。でも、不当な暴力には。徹底的に対抗しますよ。」


男:「…。」


ノエル:「それでは。私は彼らの監督役ですので、失礼します。安心してください。ギルドの一員として、平等に。監督の任を果たします」


男:「そうか。」


受付:「えーっと、こちらが、ギルド試験申請受理書となります。」


ガロ:「おう。」


受付:「異常体であるあなた方には、こちらの特別委任状もお渡しします。」


ガロ:「おう。」


受付:「最後に、身元保証人であるノエル・ベルメット氏の加盟証のコピーです。どうぞ」


ガロ:「お、おう。」


ジャイロ:「しばらく見ねえ間に随分と細かくなったなぁ」


受付:「ご覧の通り、現在ギルドと中央の間で、異常体の取り合い…と言ったら語弊がありますが、全体的な管轄問題が浮き出ています。ギルド所属の異常体が問題を起こすにつれて関係は悪化の一途を辿っていますので…」


ジャイロ:「なるほど、そりゃあ年月を経つにつれて異常体の加盟条件も厳しくなるわ。」


ガロ:「超能力者なぁー。ギルドにも結構居んのか?」


受付:「はい。現在ギルドでは約42名の異常体がギルドに加盟しています」


ガロ:「42!いいなぁ、全員仲間にしてぇな」


ジャイロ:「戦争でもする気か」


ガロ:「しねーよ。冒険家だっつってんだろ」


ジャイロ:「冒険にそんな仲間が必要かねえ」


ガロ:「沢山居た方が楽しいだろー。賑やかで」


ジャイロ:「わからんねえ、お前のそういうところ。」


受付:「それでは、これ以降の案内はB級ギルド「朝廷」のリーダーである、劉淵氏が行います。」


ガロ:「りゅうえん。」


ジャイロ:「最近頭角を現してきたギルドの一角だ。」


ガロ:「へぇー。因みにそいつ超能力者?」


ジャイロ:「いいや、違う」


劉淵:「やあっ!!!!俺が劉淵だっ。よろしく頼むっ。」


ガロ:「びっ、くりしたぁー。声でけぇなお前」


ジャイロ:「お前が言うかよ」


劉淵:「はははっ。よく言われるっ。君がガロンドール・ウォンバットだな」


ガロ:「ああ。」


劉淵:「そして君がかの有名な「異能狩り」。ジャイロ・バニングス」


ジャイロ:「ああ、そうだ。お前の噂も聞いてるよ」


劉淵:「光栄だなっ!先週の中央職員とのいざこざは聞き及んでいるっ。災難だったようだなっ。」


ジャイロ:「まったくだ。」


ガロ:「って事は、こいつ。俺らの先輩か」


ジャイロ:「そうなるな。言っとくが劉淵、俺に礼儀だのなんだのを求めんなよ」


劉淵:「構わないっ。さあ、会場まで案内しよう。ノエルっ。君も行くぞ」


ノエル:「はぁー。了解」


受付:「それでは、ギルド試験会場へのゲートを開放します。」


0:裏口のゲートが開いた


ガロ:「ぉおおおっ…」


ジャイロ:「さて、鬼が出るか蛇が出るか」


ノエル:「またここに足を踏み入れるとは…。考えたくもなかった…」


受付:「行ってらっしゃいませ。皆様の無事を心よりお祈り申し上げます。」


劉淵:「さあっ。行くぞ君たち!」


0:走り出した


ガロ:「えっ。あいつ走って行っちゃったけど」


ノエル:「ギルド試験は第一から第四までの試験会場がある。その間の移動の殆どが脳筋ダッシュだよ」


ジャイロ:「ったく、走ったばっかの一日だ…っ。」


ガロ:「よーーーし!行くぞお前らっ。」


0:時間経過


イオハロット:(M)ギルド試験会場までの移動を開始してから、約10分。


ガロ:「おいおい、なんだあいつ。」


劉淵:「ははははははっ!良い足を持っているな!きみたち!」


ジャイロ:「くそはえぇ〜。何キロ出てんだあれ」


ノエル:「なんで、君らは、そんな平然とついていけるんだ…っ」


ガロ:「さっき俺らが走ってた速度よりかは遅いだろ」


ジャイロ:「まぁなぁ。立て続けには走ってんで、体力持つかどうかだが。くそ、まだ痛え。あのハンサム、本当に好き放題やりやがって…。」


ノエル:「この、化け物、ども…っ!」


ガロ:「お。なんか見えてきた」


ジャイロ:「ああ、やっとこさ到着だ」


ノエル:「ぶへぇ〜っ!ぶへぇ〜っ!」


劉淵:「よく走り抜いた!ここがギルド試験第一会場」


0:劉淵は足を止めた


劉淵:「キャリオンマウンテンだっ!」


ジャイロ:「ほぉー。キャリオン街の裏手にある影はこの山だったのか」


ガロ:「すげぇな。標高何メートルだ、あの山」


ノエル:「標高だなんて単語知ってるのか」


ガロ:「ん?ああ、本で読んだ」


ノエル:(M)こいつの知識の偏りが分からん。


劉淵:「さあ、こちらに来てくれ。」


ガロ:「おお、結構人いるもんだな」


ジャイロ:「毎年こんなもんなのか?」


ノエル:「私はギルド試験の試験官をやった事がないから年度比は分からないけど、私が受けた試験の時はもうちょっと少なかったね」


ジャイロ:「ほぉ。んまー。時世はこの不況だからな。腕に自信のあるやつからギルドに来る。そういう連中が増えてるってことだ」


ガロ:「わりぃ、ちょっと通る」


モルポ:「おいおい、田舎っぺ…。とんでもねえ連中連れてやがる…」


ジャイロ:「でもまぁ、見る限りじゃ中々に粒揃いじゃねぇの。名前を聞くやつもチラホラって具合だな」


カラス:「ぐぅ。ぐぅ。」


ジャイロ:(M)まじかこいつ。寝てやがる。肝が座ってんのか、ただの馬鹿か。


カラス:「ふごっ…。」


ジャイロ:(M)だが、こりゃまた面白い出の人間だな。


ノエル:「あ…!」


フェリス:「おや〜」


ノエル:「フェリスじゃないかっ。」


フェリス:「ノエルさんじゃないすかぁ。どうもどうも、ご無沙汰してます。」


ノエル:「そうか、君。今期のギルド志願者か。貫禄と実績から忘れてたけど、一応ただのパンピーだったもんな」


フェリス:「はい。ノエルさんは、どうしてこちらに?あ、もしかして試験官ですか?」


ノエル:「あー、いやぁ、違う違う」


ジャイロ:「はぁ〜。俺も眠くなってきた」


ガロ:「お。なんだよ、知り合いか?」


ノエル:「こいつらのおもり役だ」


ジャイロ:(M)見たことあるツラだと思えば、禄戀会ろくれんかいのとこの女か。


フェリス:「これはこれは、どうもお初に。私はフェリス・ローレンスと言いますぅ。噂は聞いているよ、ガロンドールくんと、ジャイロくんだよね」


ジャイロ:「アンタにまで認知されてるたァ、俺は随分と有名人になったもんだな」


ガロ:「なんだよ、お前らどっちも知り合いなのかよ」


ノエル:「まあね。彼女はA級ギルド「禄戀会」お抱えの異常体だ。」


ガロ:「おーっ!超能力者!俺、ガロンドール・ウォンバット!ガロでいいよ」


フェリス:「あはは。よろしくぅ、ガロンドールくん。」


ガロ:「お前、俺と旅しようっ。」


ジャイロ:「見境ねぇのやめろお前」


フェリス:「あははぁ、お誘いありがとう。でも私はもう就職先決まってるから」


ガロ:「あー、ろくれんかい、だっけ。なんだそれ?」


ノエル:「ギルド名だよ。超強豪。」


ガロ:「どんくらいすげぇんだ」


ジャイロ:「正規ギルドにはランクがあんのよ。CからAまでの三段階だな。」


ガロ:「ってことは、一番すげえのか。…ん?ノエルもその、えーきゅうのグラタンノッポにいるんじゃなかったっけ」


ノエル:「グランシャリノね。」


フェリス:「へぇー。結構な世間知らずくんだ。面白」


モルポ:「おいおい、お前は本当に田舎っぺだな。」


ガロ:「誰だお前」


モルポ:「…。俺はモルポだ。いいか、ギルド試験4回目の大先輩、モルポだ。覚えとけよっ。」


ガロ:「4回目って事は、3回も落ちてんのか」


モルポ:「お前な、ギルド試験ってのはとんでもない難関だ。合格率は4%っ。どうだ、やべぇだろっ。」


ガロ:「4%はやべえなっ。」


モルポ:「そうだろうそうだろう。」


ジャイロ:「で、なんなんだぁお前さんは」


ノエル:「知ってる顔か?」


フェリス:「いやぁ、知らないですねえ。」


ガロ:「なんだよ。誰も知らないのか」


モルポ:「お前…っ!」


0:ガロを抱え込んだ


ガロ:「おぉおぉ、なんだなんだ」


モルポ:「どこの田舎っぺか知らねえが、お前みたいな無名がっ。気軽に絡んでいい奴らじゃねーんだよこの人たちはっ。」


ガロ:「あ?なんでお前がそんなこと決めるんだよ」


モルポ:「いいかっ!?お前がさっきからバカみてぇに馬鹿面こいてバカバカしく絡んでるアロハシャツっ。あいつはジャイロ・バニングスだっ。ここいらじゃあ「異能狩り」で有名だっ。」


ジャイロ:「…?」


ガロ:「知ってるよ、なんか有名らしいな。」


モルポ:「ばかばかっ。知ってるなら弁えろっ。俺らみたいな奴らが絡んでいいにんげんじゃねえ。とくに、ノエル・ベルメットっ。と、その隣にいる女っ」


ガロ:「ノエルも有名なのかよ」


モルポ:「有名も何も…っ!最上位クラスギルド、A級ギルド「グランシャリノ」の構成員だっ。」


ガロ:「あー、グラタンノッポ。そんなにすげぇのか。A級」


モルポ:「いいかっ!?今大陸には346ものギルドが存在するっ。その中、A級と認定されているギルドは僅かみっつだ!」


ガロ:「えっ。」


モルポ:「すげーだろ」


ガロ:「すげーな、それは」


モルポ:「メンバーも各分野の超一流たちだっ。A級のギルド名をチラつかせただけで戦争や紛争が収まるほどだぞ」


ガロ:「おぉぉ。なんか、お前。ちゃんとすごいやつだったんだな」


ノエル:「丸聞こえだよ、ばか」


ジャイロ:「んまぁー。俺は地域名物みたいなもんだから別として、ギルドに入るってんならA級のギルドくらいは頭に入れておいて損はねえだろ。」


ガロ:「グラタンノッポだろ。でー、なんだっけ。お前のいるところもA級なんだっけ」


フェリス:「いるっていうか、就職先だけどね」


モルポ:「ばかばかばかばか、ばかーっ!」


ガロ:「おぉおぉ、うるせぇよ」


モルポ:「あの人はフェリスさんだっ。禄戀会お抱えの異常体だっ。」


ガロ:「ああ、知ってるよ。」


モルポ:「いーーやっ!お前はなんにもしらねえ!フェリスさんは、既に実績を持っている人だっ。俺らとはまた格が違ぇんだよっ。」


ガロ:「なんだよ。すげぇヤツらばっかでイマイチ有難みにかけるな。」


モルポ:「だからっ!お前はっ!そこに居るべき奴じゃねーってんだよっ。俺らみたいに隅っこでチャンスを待つだけの凡人なのっ。わかる!?」


ガロ:「わかんねえ。」


モルポ:「だはーーっ!だめだこいつばかだっ!」


ガロ:「で、そのA級が。グラタンノッポと、ろくれんかいと、あとひとつだな。」


ジャイロ:「最後のひとつは、赤い林檎っていうグループ、というか個人だ」


ガロ:「赤い林檎。変な名前だなぁ」


ジャイロ:「詳細は一切不明。ギルド人数も一人。個人活動の癖して、各国のありとあらゆれ問題に介入しては解決して去っていく。とんでもヒーローだ」


ノエル:「ああ、なんでも神出鬼没。異常体だっていう噂が立っているけど。それ以上の情報は一切不明。」


フェリス:「ギルドが今の厳重体制になる前に設立されたギルドだから、本名、出自、何もかもが不明なんだってさぁ。かっくいい」


ガロ:「いいなあ。俺と同じ匂いを感じる」


モルポ:「かんじねーよっ!現実見ろバカっ!」


劉淵:「静粛にッッッ!!!」


0:男の声で、辺りは静まり返る


ガロ:「おお、声でけえ」


劉淵:「皆、今日は、我がギルドの一員になるべくっ!遠路遥々集まって頂きっ!誠に感謝!」


カラス:「ふがっ…。」


モルポ:「…」


ガロ:「なあなあ、あいつも凄いやつなんだってな」


モルポ:「試験官に選ばれるのはB級以上のギルドリーダーだ。少なくとも、ここにいる誰よりも強いだろうな」


ガロ:「まじか」


モルポ:「最も、強さだけがギルドメンバーとして秀でている証明じゃないからな。そこんとこ覚えとけよ、ばか」


ガロ:「お前親切だな。さんきゅーな。色々教えてくれて」


0:号泣


モルポ:「うおおっ。嫌味に気付けよーっ!俺が悪者みてぇじゃーんっ!うおおおっ。健気なやつだぁーっ。お前ってやつは本当にっ。世間知らずで鈍感と来てやがるーっ。うおおっ。」


劉淵:「そこっっ!!!静粛にッッッ!」


モルポ:「お前のせいで怒られたじゃないか」


ガロ:「そうか。すまん」


0:号泣


モルポ:「ぉょょ…。」


劉淵:「まあ、うんぬんかんぬん、うんぬんかんぬんで…。定刻となった。為!!!ギルド試験を開始するッッ!!」


ガロ:「来たな」


ジャイロ:「俺が試験というのを受ける日が来るとは思わなかったよ。」


モルポ:「ごくり」


ノエル:「はぁ。この感覚。嫌いだ。2年前を思い出す。」


フェリス:「えぇ。いいじゃないですかぁ、この緊張感。あがるっ。て感じがしますしぃ。お祭り見たいじゃないですか〜」


ノエル:「呑気っ。能天気っ。」


カラス:「ふご…っ。…なんだ、朝か…?」


劉淵:「尚。ギルド試験の試験官は、俺と。あと二人いる。出てきてくれ」


0:大弾幕の裏から人影が現れる


イオハロット:「ヘーーーイッ!ェビバディッ!うら若き少年少女っ!乗ってるかーーっ!」


アイネス:「…」


劉淵:「相変わらずうるさいな君は本当にっ!」


イオハロット:「お前には言われたくねーよっ!」


ガロ:「モッコリ、誰だあいつら」


モルポ:「モルポだ。あれは大型ルーキーのB級ギルド「有頂天」リーダー。イオハロットさんだ。」


ジャイロ:「解説役に板が着いてきたな」


ノエル:「バカの子守りしなくて済むから助かるよ。調子いいお節介だ」


フェリス:「イオハロットさんは知ってるけど、もう片方の女の人は知らないなぁ」


ノエル:「制服から見て、中央職員に見えるけど。」


劉淵:「ほらっ。君も自己紹介するべきだ。」


アイネス:「…。中央政府より派遣された、中央政府執行部。アイネスだ。」


ガロ:「執行部ってーと、あれか。アスカの横にいた。あいつ」


ジャイロ:「ああ。ナイスぼいんな。あれと同じ部署の、つまりは異常体だ。」


ガロ:「結構いるもんだなぁ、超能力者」


ジャイロ:「ギルドだの中央だの、権力が集まるとこにゃあ、それに比例して異常体が集まる。このご時世、力ってもんは金よりも重要になる。」


ガロ:「ほぉー。ていうか、なんで中央のやつがここにいるんだよ。ギルドと中央はお互いに不干渉なんじゃねぇのか」


ノエル:「あくまで、中央がギルドとしての活動を許可した上での私達だからね。ギルド試験には立会として中央政府職員が同席する習わしになっている。」


ジャイロ:「つまり、さっきギルド本部であーだのこーだのやってたら奴らが、あの執行部の監察官か」


ノエル:「だろうね。」


ガロ:「めもめも」


ジャイロ:「おぉ、そういやお前。留置所の時から思ってたが。毎度毎度、何書いてんだそれ」


ガロ:「あ?見せたじゃねえか。」


0:ガロは日記を見せつけた


ガロ:「ガロンドール冒険譚だ。ここに、俺が見聞きした全てを書き記すんだ」


ノエル:「随分分厚い。結構な額しそうな帳票だ」


フェリス:「冒険譚…?」


ガロ:「ああ、俺。冒険家なんだよ」


モルポ:「はぁ…?」


フェリス:「ははっ。このご時世に冒険家を名乗るのかぁ、なんというか。ちゃんと面白いキャラしてるね、きみ」


ジャイロ:「それがお前が生きた証ってか。粋だねえ。どれどれ…」


ガロ:(M)ガロンドール冒険譚。1.5章。


ガロ:(M)この大陸には、中央政府というこの世の最高権力をもつ機関がある。異常体が起こす犯罪を、人の手で異常体を使い抑止する組織である。


ガロ:(M)中央政府には、情報局。監察局。執行部、この三つの部署があると言う。


ガロ:(M)中央政府の運営を行い、情報精査、管理を行う「情報局」。この世の脳とも呼べるこの部署には、どの分野でも一流の実力を発揮できる、優秀な人間が揃えられている。


ガロ:(M)中央政府所属、またはこの世の異常体全てを監察する「監察局」。その業務は多岐にわたり、中央職員の異常体監察から、野良の異常体監察。執行処分までと、実働的な現場職員、という具合だ。


ガロ:(M)最後に、異常体が中央政府に所属する部署の名を「執行部」と呼ぶ。そこに配属される異常体の数は50万を超え、選りすぐりの戦闘のエキスパートが揃っている。


ガロ:(M)今はまだ見れないが、いずれ中央政府も旅をしたいものである。


ジャイロ:「はぁはぁん。なるほどねえ。結構ちゃんとした文章で書いてみるじゃねぇの」


ガロ:「冒険譚ってのはこういうもんだ。いいだろ。かっけーだろ。」


ジャイロ:「あー。まあ、常識を冒険譚で語られてもって感じはするがな」


ガロ:「うるせーなぁ。俺みたいなスラム育ちはこの世の常識なんてのとは無縁なんだよ」


劉淵:「さて。口上もそろそろいいだろう。いいか?」


イオハロット:「ああいいさ!始めてしまおう!」


アイネス:「アイネス・ケイデンス。第124期。ギルド試験の見届け役として任務にあたる。」


劉淵:「それでは!第一試験の内容を発表する!!」


ジャイロ:「さて、この先俺らの人生は逃亡生活か、はたまた華々しいギルド活動か。別れ道だな。ガロ」


ガロ:「ああ!旅ってのは、こうでなくちゃ!」


劉淵:「第一試験は!リベール一周マラソンだ!」


ガロ:「…は?」


ノエル:「うわぁ。馬鹿の一つ覚えだ。2年前と試験内容何も変わらん」


フェリス:「そうなんですか?」


ノエル:「うん。そこのモル…なんとかくんも知ってるだろ」


モルポ:「えっ!えぇ、はい!そりゃもう、これで俺は1回試験に落ちてますからね…。えぐいですよ、こりゃあ」


ガロ:「ただのマラソンだろ」


ジャイロ:「な。」


フェリス:「どうだろうねぇ、ただのマラソンで許してくれるほど、今のギルドは「おいでませ」じゃあないだろうけど」


劉淵:「概要ッッ!リベール市街を一周して貰うッッ!交通機関の使用は当然禁止とするッッ!」


イオハロット:「スタート地点を、ここ。キャリオン街に設定し、ゴール地点をギルド本部とする。こりゃー。きつい!きついねぇ!」


劉淵:「時間制限は2時間ッッ!」


ジャイロ:「にっ…!?」


モルポ:「にににっ!?」


ノエル:「二時間…っ!?2年前は3時間だったのに…!」


モルポ:「去年は2時間半だった!年々厳しくなってるのか…っ!」


フェリス:「こりゃあ〜、中々きつそうだ」


カラス:「…。」(神妙)


ガロ:「それってーと、どんくらいきついんだ。」


ジャイロ:「リベール一周しようと思ったら、直線で換算すると43kmある。」


ガロ:「ほぉ」


ジャイロ:「いまいち分かってねえな…。」


ノエル:「まあ、単純に考えて、時速20kmで走らなきゃいけないって事だ。」


モルポ:「やばい、やばいやばいっ。前回でもかなりギリギリだったぞ…っ!」


カラス:「……。」(神妙)


ジャイロ:「こりゃあ、中央からの差し金かぁ?」


ノエル:「どうだろう。ありえる線ではあるね。」


劉淵:「先導は俺がする!よろしく頼む!」


イオハロット:「給水係は私がやるよ!先回りにして水持って待ってっから!そこんとこよろしくぅ!」


アイネス:「計測は私が担当する。中央職員として、不正がないよう監視役でもある。くれぐれも、妙な気は起こさないように」


0:アイネスはガロ達を睨んだ


ジャイロ:「ははぁーん。こりゃあ、完全に黒だぜ」


ガロ:「アスカが言ってた試練ってこういう事か。なーんか他の奴らに悪ぃことしちまったな。」


劉淵:「それではッッ!」


0:ゲートが再び開く


ガロ:「お…?」


劉淵:「初めッッッ!!」


0:一同、一斉に走り出す


フェリス:「よっ。お先にぃ〜。」


モルポ:「くそ!やるしかないかっ!」


ノエル:「あーもう!めんどくさい!」


ガロ:「おぉおぉ、みんな走り出した。もう始まったのか?」


ジャイロ:「みたいだなぁ、制限時間は二時間。さっさと行くぞ!」


ガロ:「おう!」


0:一人取り残されるカラス


カラス:「…。なんで皆走って行ったんだ…。分からん。とりあえず、俺も走っとくか…!」


アイネス:(M)アイネス・ケイデンス執行官より。ギルド試験監視報告書。第124期。ギルド試験が開始した。


劉淵:「ははははははっ!さあさあさあ!ジャンジャン行こう!ガッツだ!」


モルポ:「はぁ…っ!はぁ…っ!なん、だ…っ!このペース…っ!」


イオハロット:「給水所はぁぁっ。どぅるるるるっ!ここだーっ!おめでとうっ。君っ。」


モルポ:「あ、ありが、とう、ござっ…」


イオハロット:「頑張る君は美しい!」


アイネス:(M)各々、リベール一周に則り歩みを進めていた。


ガロ:「うおおおおおおっ!」


ジャイロ:「どおおおりゃああああっ!」


ノエル:「く、そ…!あいつら…!やっぱりくそ脳筋だ…っ!ふざけんな…っ!」


ガロ:「おーいノエルっ!しんどいならおぶってやるぞ!」


ノエル:「ばかっ…!私は、あくまで、監督役だっ。いいからお前らは、試験合格のことだけ考えろっ…!おえっ…!」


ジャイロ:「だとよ、お嬢の言う通りだァ。さっさと走りきっちまおう」


ガロ:「やだよ。あいつも一緒にゴールするんだ。ノエルのお陰で俺ら今捕まってねえんだろ」


ジャイロ:「ひゅー。眩しいねえ。」


ガロ:「ほれ!ノエル!さっさと捕まれ!」


ノエル:「ったく、この、お人好しが…っ!」


ガロ:「今何分くらい経った!」


ジャイロ:「さぁな!大体30分くらいじゃねえか!」


アイネス:(M)第一試験。リベールマラソン。ギルドの総本山である、リベール限定試験だが、その合格率は僅か14%


モルポ:「はぁ…っ!はぁ…っ!おえっ…。」


アイネス:(M)第一試験の段階で、志願者の約8割が脱落する。


劉淵:「だいぶ減ったな!」


イオハロット:「骨があるのがいくつかいるけど、それ以外は並以下だなーっ!劉淵、水。やろうか」


劉淵:「いいやっっ。施しは受けないっ。」


イオハロット:「あいたたたーっ!「施しは受けない」。無理すんなよーっ!」


劉淵:「なんだ君。相変わらず喧嘩売りたがりだなっ!やるか?ここで!」


イオハロット:「あーいいさやったろーじゃねえの!ゴング、なっちまうぜぇ〜??鐘の音、鳴り響いちまうぜ〜!?」


アイネス:(M)現時刻。13時15分。試験開始から45分が経過した。志願者数は826名。この時点で、406名の脱落を確認している。


フェリス:「あらら〜。結構きついなぁ。」


ガロ:「うおぉおおらららららっ!」


ノエル:「もっと丁寧に運べって!」


ジャイロ:「はぁ…っ!はぁ…っ!くそっ、傷が…!開いちまう…!名誉の…!」


ガロ:「ジャイロ!先頭集団が見えてきたぞ!」


ジャイロ:「おお、やっとこさ、だな…っ」


フェリス:「やや。ガロ〜。ノエルさんに、異能狩りも。やっぱり生き残ってたね」


ガロ:「おおフェリス!こんな先頭にいたのか!」


フェリス:「うぅーん。ガロ。きみ、結構動けるね。何かやってたの?」


ガロ:「え?分からん。なんもやってねえんじゃねえか?」


フェリス:(M)ふーん。なんというか。異質な、不気味だな。


アイネス:「…。さて。そろそろか」


0:峠の上で志願者達を見下ろすアイネス


ガロ:「リベールっつっても、ちゃんと山もあるんだなぁ。なんだか安心した」


ジャイロ:「そりゃあ、そうだろっ…。栄えてんのはっ、キャリオン街だの、ドリート街だの、その辺だっ…。」


ノエル:「ここはリベールの名所でもあるヒッティー山脈だ。ないとは思うけど、落石には注意しなよ」


ガロ:「おう!」


フェリス:「あららぁ。如何にもフラグっぽいことを言いますねえ」


0:山脈 峠付近


アイネス:「ポイントに到着しました。プランA。実行します。」


0:アイネスは大木に触れた


アイネス:「Liquidリキッド


0:峠 道路


フェリス:(M)液体の音。根っこがズレる音。泥。


ノエル:「…。おい。」


ジャイロ:「…ああ。」


ガロ:「ん。何だこの音」


フェリス:「あぁ〜あぁ。フラグって、本当にあるんだ」


0:山脈から山物が転がり落ちてくる


ノエル:「落石…っ!?じゃない、土砂崩れか…!?」


ジャイロ:「おいおい、冗談だろう、昨日は大層な雨でも降ってやがったのか!?」


ノエル:「やられたかっ。」


ジャイロ:「あーっ!やっぱそうだろうなっ。くそ中央…!」


フェリス:「しかもピンポイントで先頭集団が到着するところに来るだなんて、大変だなぁ。」


ガロ:「だははっ!これはやばいな!」


ノエル:「笑ってる場合かよ…!」


0:土砂物に飲まれる


ノエル:「うわぶぶっ…!」


ガロ:「うおおっ!?」


ジャイロ:「くそっ…!まじか!」


フェリス:「これは、やばいかも…!」


ガロ:「くそ!使うしかねえか…!」


ノエル:(M)これは、流石にまずい…っ!後ろは崖、手前は土砂物…っ!泥で体の自由も聞かない…!大木にでもぶつかったら、最悪死人が出るぞ…っ!やり過ぎだ中央政府…!


ガロ:「GRID…(グリッド…)」


ノエル:「使うな!」


ガロ:「えぇ!?」


ノエル:「お前の異常性は一発限定だって聞いてる。もし仮にこの後使うような機会があれば、お前はただの木偶の坊だぞ!」


ガロ:「いや、でもよぉ…!」


ノエル:「いいか!これはギルド試験だ!ぶっ飛ばして終わるような田舎の喧嘩とは訳が違うんだよっ!それに、この土砂崩れの中、あんな爆風でも起きたら、それこそ状況は悪化する…!」


ガロ:「じゃあどうすんだよ!」


ノエル:「頭を使うんだよ!冒険家かなんだか知らないけど、お前の力ってのは、そういうものの為にあるんじゃない!なんの為に私が監督役を買って出てると思ってんだ!」


ガロ:「…。わかった!」


ノエル:「取り敢えず流された人達の救助を…!」


ガロ:「おう!おーーい!お前ら!捕まれ!」


0:木陰


イオハロット:「中央か。また余計なことを。とりあえず、ガロンドール。一点。」


0:山脈


フェリス:「はいはーい。私、異常性つかいまーす。まだ動けるひと、私の所まできて〜!」


ガロ:「おーっ!やんのか!超能力!」


フェリス:「まぁね。ただ、私は私の身の回りの物までしか安全を保証できないよ!精一杯私から離れないようにしてね!」


ノエル:「うおっ…!?ガロ、流される!助けろ!」


ガロ:「おう!てぇ貸せ!」


フェリス:「Automataオートマタ…ッ!」


0:フェリスの目の色が変色する


ガロ:「お…!」


フェリス:「Switch・Guardianスイッチ・ガーディアン


ガロ:「うおおお!?なんだなんだ!?」


ノエル:(M)自身を指定された役割を果たす自動人形と化す異常性…!生で見るのは初めてだけど、ありゃあなんだ…!フェリスの周りを囲ってるのは…!


ガロ:「すげえええ!盾か!?盾っぽい!」


フェリス:「絶対要塞、とでも呼んでおくれ。」


ノエル:(M)一切の侵入を許さない防壁。凄いな、これがフェリス・ローレンス。禄戀会お抱えなだけはある…!


フェリス:「ここまでは私のテリトリーだよ。一切の外敵を侵入させない。安心してもいい。いま、この領域が。世界で一番安全だ。」


ガロ:「うおおおお!かっけーーー!」


0:木陰


イオハロット:「フェリス・ローレンス。一点。」


0:山脈


ノエル:「みんな!こっちだ!なんとかここまで来い!」


ガロ:「あ、そうか。おーいお前ら!手ぇ貸すからはやく上がってこい!あ、ちょっと届かねえ!フェリス!もうちょいこっち来れるか!」


フェリス:「異常性を発動している状態の間、私の行動はその能力に伴った制限がかかる。ガーディアンの特性は絶対不可侵だけど、一切の身体的運動を制限する事になる。」


ガロ:「あー!?よくわかんねえけど、動けねーってことだな!」


フェリス:「デク人形だと思ってくれればいいよ〜」


ガロ:「大層なデク人形だよっ。まじで!」


ノエル:「待って、ジャイロどこいった!?」


ガロ:「え?いやあー。いるだろ。その辺に」


ノエル:「はは。やっぱりいるか。」


0:きょろきょろ


ガロ:「いねええええええ!ジャイローー!どこいったーー!」


ジャイロ:「ごぼっ…!ここだ…!くそ…っ!」


ノエル:「いた…!けど、結構流されちゃってる!不味いよあれは!」


フェリス:「くそ…っ。なんとか自力でここまで来てもらうしかないよっ。頑張れる!?」


ジャイロ:(M)いつもならどーってことねえが、くそ。ハンサムの蹴りが効いてやがる…っ。節々が痛え…っ!訴えてやるからなぁ…っ!


ガロ:「ジャイローーっ!」


ジャイロ:「俺の事ァいい!ここでお前らまで巻き込まれちゃあ傷ついちまう!俺の名誉が!」


ノエル:「いやいやいや!まじで死ぬぞ!山舐めんな!」


ガロ:「…」


0:ガロはベルトを外した


ノエル:「ガロ…!?何してんだっ。なんで脱ぐ!」


ガロ:「軽くしてんだよ。っと。ちょっと行ってくる」


ノエル:「はぁ…!?ちょちょ、今はまだ緩やかだけど、第二波来たらやばいぞ!まじで!」


ガロ:「よっ…こら、しょい!!」


0:ガロはその場から飛んだ


ノエル:「飛んだぁーーー!?」


フェリス:「ひゅー。大胆。」


ノエル:「なにやってんだガロっ!戻れ!死ぬってまじで!山舐めんな山舐めんな山ぁ!」


ガロ:「ジャイロ!捕まれ!」


ジャイロ:「ったく、傷ついたよぉ!俺の名誉がァ!」


ガロ:「ぐわしっ。」


ジャイロ:「がしっ。」


0:木陰


イオハロット:「ガロンドール・ウォンバット。二点。」


0:山脈


ガロ:「うし。ノエル!受け止めろ!」


ノエル:「えぇぇぇっ。無理無理無理無!」


0:ジャイロを投げた


ガロ:「そぉーーーーっ…れぇぇっ!」


ジャイロ:「うおおおおお!?」


フェリス:「わぁ。人間魚雷だ。飛ぶ方の」


ノエル:「うわわわわわっ!」


ジャイロ:「お嬢ー!何がなんでも受け止めろ!頼む!」


ノエル:「無茶言うなボケども!」


0:体で受け止めた


ノエル:「なむるっ。」


ジャイロ:「きむちっ。」


フェリス:「あはは。ナイスキャッチ」


ジャイロ:「ってぇ。」


ノエル:「くそ…!やっとタンコブ治ったのに…!」


ジャイロ:「おーいガロ!お前も戻ってこい!てめえの足腰の強さなら行けるだろ!」


ノエル:「…。まずい…」


ジャイロ:「あ?」


フェリス:「あららぁ。第二波」


ジャイロ:「まじかよ…っ!なんつー間の悪い…!」


ノエル:「ガローーっ!何かに捕まって!もう一回大きな土砂崩れくるぞ!」


ジャイロ:「まじか…!ガロ!」


ガロ:「あー。大丈夫だ!先行っててくれ!」


ジャイロ:「大丈夫じゃねえって!山舐めんな!」


ノエル:「お前が言うな!」


フェリス:「二人とも!動かないで!巻き込まれるよっ。」


ジャイロ:「うおおおおっ!?」


ノエル:「きゃああっ。」


0:ガロは流れに押し戻される


ガロ:「うわわわっ。あっぶねえ!」


ジャイロ:「ちっ…!」


ノエル:「おいジャイロ!どこ行く気だ!」


ジャイロ:「どこって、あいつ連れ戻すんだよ!」


ノエル:「ばっかじゃねーの!ミイラ取りがミイラになるぞ!」


ジャイロ:「うるせぇっ。助けて貰ってばっかじゃあ傷ついちまうだろうが、名誉がぁ!!」


0:ガロはそのまま崖に突き飛ばされた


ガロ:「うおおお…お…?あれ。地面がねえ。なんでだ」


フェリス:「ありゃ。」


ジャイロ:「おいおい!ガロが崖に突き飛ばされてるぞ!まじかあれ!」


ノエル:「おぉぉーーーい!まじか!何かに捕まれって言ったぞ私は!言ったからな!」


ジャイロ:「くそっ!ガロォ!」


0:ガロは崖から落ちた


ガロ:「うおおぉおおおおおおおおお!?」


0:山脈 峠


アイネス:「…。ガロンドール・ウォンバットの下落を確認。試験復帰は不可能に近いかと思われます。…はい。了解しました。」


ガロ:(M)ガロンドール冒険譚。二章。崖の上から落ちた。


ガロ:(M)内臓の全部が空中に置いてかれたかのような猛烈な落下感を味わったのは、生まれて初めてのことだった。


アイネス:「…はい。はい、念の為確認に来ています。生きてはいるでしょうが、復帰は困難。負傷の中復帰をしても、距離は10キロ前後巻き戻しとなりました。前線復帰は絶望的かと」


0:カルディア通り


ガロ:「うおおおおおおおおおおおっ!?」


0:ガロは地面に叩きつけられる


ガロ:「ぶへっ…!」


0:茂みに落ちた


ガロ:「…。ふぅー。茂みに落ちたか。ラッキーだな。骨も、うん。奇跡的に折れてねえ。だははっ。ラッキー。いってて…。」


アイネス:「…。報告を撤回する。ガロンドール・ウォンバット。ほぼ無傷です。プランBへと移行します。」


0:ガロは立ち上がった


ガロ:「さて。道草食っちまった。見覚えのある通りだな。結構戻っちまったか。まあ、何はともあれ。あいつらと合流しないと。」


アイネス:「化け物が…。全職員に通達します。ガロンドール・ウォンバットの復帰を確認。早急に対応に当たってください。」


ガロ:「まじぃな。これ、落ちたら俺捕まっちまうんだもんな。いや。こりゃまずい。」


アイネス:「はい。それでは、私は手筈通りに」


ガロ:「まぁいい。兎にも角にもまずはあの山まで戻らねぇと…!」


0:クラウチング


ガロ:「よーーーし。よーーい…」


アイネス:「止まれ。ガロンドール・ウォンバット」


ガロ:「…。なんだぁ。中央のやつか。なんだよ。俺ァ今急いでる」


アイネス:「私は不合格ラインとして後続を追っている。」


ガロ:「…あ?」


アイネス:「つまり。私より後ろに立ったものは。全員不合格、というわけだ。」


ガロ:「…はは。なるほど、そこまでしやがるか。」


アイネス:「恨むなよ。私は、命令を遵守する…っ!」


ガロ:「ちぃっ…!GRID・BORROWグリッド・ボロウ…ッ!」


アイネス:「使うか!異常性を!!」


ガロ:「ああ!悪ぃがお前に構ってる暇はねえもんでな!」


ノエル:(回想)「いいか!これはギルド試験だ!ぶっ飛ばして終わるような田舎の喧嘩とは訳が違うんだよっ!それに、この土砂崩れの中、あんな爆風でも起きたら、それこそ状況は悪化する…!」


ガロ:(回想)「じゃあどうすんだよ!」


ノエル:(回想)「頭を使うんだよ!冒険家かなんだか知らないけど、お前の力ってのは、そういうものの為にあるんじゃない!なんの為に私が監督役を買って出てると思ってんだ!」


ガロ:「〜〜〜…!」


アイネス:(M)なんだ。使わないのか。異常性。


ガロ:「…。ああ、本当に。そうだ。ほんとーーに。俺は!お前に構ってる暇がない!!」


アイネス:「は?」


ガロ:「だからここは…」


0:再度クラウチング


ガロ:「さっさと先頭に戻ることだけ考える事にした…っ!」


0:走った


アイネス:「…。こちら、アイネス。ガロンドール・ウォンバットが試験に復帰しました。対応、よろしくお願いします。」


0:場面転換

0:カルディア通り


カラス:「…。やばいな。これは、あれだ。完全に迷子だ。」


0:ひとりぽつん


カラス:「おかしいな。確かに俺は後続を追ってたのに。いつの間にかみんなバテて、一人だ。まじか」


0:うろうろ


カラス:「来た道も忘れちまった。うーん。どうしたもんか。」


モルポ:「はぁ…っ。はぁ…っ。おえっ…。」


カラス:「あ。生き残り」


モルポ:「おれ、はっ…。、今年、こそっ…。」


カラス:「うーん。ってことは、こっちか。」


ガロ:「うおおおおおおおおっ!」


カラス:「ん?」


モルポ:「はぁ…っ。はぁ…っ。えっ…。あの、バカでかい声…っ。」


ガロ:「おおおおお…ぉ…ぉ。あれ。モッコリじゃん」


モルポ:「モル、ポっ。だ…っ!」


カラス:「…。」


ガロ:「お前見ないなーと思ったら、こんな所にいたのか」


モルポ:「ぜー。ぜー。はぁ…。お前も、先頭集団に居ただろ、なんでこんな所にいるんだ。なんかボロボロで、泥だらけだし」


ガロ:「んー。ああ、山の方で土砂崩れがあってよ。落っこちてきちまった」


モルポ:「落っこちた…!?山って、ヒッティー山脈からか…!?なんで生きてるんだ…」


ガロ:「ラッキーだ。」


モルポ:「いや。まあ、そりゃいい。行くなら早く行こうぜ、俺も早く先頭集団に追いつきたい」


ガロ:「おう!当然だ」


モルポ:「…。ああ!そうだ!あ、いってて。いってぇ〜。おれ、さっき足くじいちまってよぉ、もう走れねえんだ。」


ガロ:「おいおい、大丈夫かよ」


モルポ:(M)ばぁかめ!田舎っぺはこーいう嘘をすーぐ信じやがる!足なんかくじいてねえよ!体力温存の為にお前を骨の髄まで利用してやる!ひひっ。弱者には弱者なりの戦い方があんだよ田舎っぺ!来世では精々搾取されないよう頑張るんだな…!


カラス:「…」


モルポ:「だからさ、俺をおぶって」


ガロ:(被せて)「じゃあ俺がおぶってやるよ。ほら、乗れよ。」


0:号泣


モルポ:「良い奴だなぁーーーっ。ああーーっ。俺が悪いよーっ。生まれてきてすみません。ほんと、すみません。うおおおっ。」


ガロ:「なんなんだよ。乗らないのか。乗るのか。どっちだ」


モルポ:「乗る。」


0:物陰


劉淵:「ガロンドール・ウォンバット。三点。」


0:街中


ガロ:「よし。じゃあ、行くぞ!」


モルポ:「行け!ガロンドール号!」


0:走り出した


カラス:「…」


ガロ:「えーっと、次が…」


モルポ:「こっちだ」


ガロ:「おう。」


カラス:「…」


ガロ:「ん。この分かれ道どっちだ?」


モルポ:「右だ」


カラス:「…」


ガロ:「で。この道を…」


モルポ:「違う、こっちだ」


カラス:「…」


モルポ:「って!!なんなんだお前さっきから付いてきやがって!!」


ガロ:「ん。人がいたのか」


カラス:「あ。ばれた」


モルポ:「バレるだろ!カタカタカタカタうるせえな!なんだその靴!」


カラス:「これは下駄だ。」


モルポ:「うるせえ!なんなんだよお前!付いてくるなら付いてくるで何回言いやがれ!なにしれーっとついてきたんだお前!」


カラス:「かたじけない。」


ガロ:「おぉーっ!もしかしてお前、あれか!日本の侍ってやつか!」


カラス:「なんだ。知ってるのか。」


ガロ:「ああ!本で読んだことがある!カタナっていう珍しい武器を使う猟兵なんだろ!」


カラス:「猟兵というと聞こえがいいが、俺はただの侍崩れだ。けど、刀はしっかり持ってるぞ。」


0:見せびらかした


ガロ:「おおおおおっ。刀だ…!すげえ…!」


モルポ:「おい、ガロンドール。こんな奴に構ってないで早く行くぞ」


ガロ:「わかってるけどよーっ。なかなか見れるもんじゃねえぞ侍だなんて、もう絶滅したんだろ?」


カラス:「なんだこいつ…。グイグイ来やがる…。」


モルポ:「寄生ならどっか行きな!しっしっ」


ガロ:「えぇー。いいじゃんよ。旅は道連れって言うし。一緒に行こーぜ、侍」


カラス:「そうか、助かる。道に迷ってたもんでな」


ガロ:「だははっ。わかるわかる、この辺分かりづらいよなぁ」


モルポ:「ったく。このお人好しが…!いいから早く行くぞ!」


ガロ:「了解!おいサムライ!名前なんてーんだ!」


カラス:「俺はカラスだ。姓はない」


ガロ:「そうか!今からけっこー飛ばすけど、行けるか?カラス」


カラス:「はっ。誰に物言ってやがる。」


モルポ:(M)俺は、なんとなく直感で感じた。この変な風貌をした男も、ガロンドールも、大概化け物だという事に


0:爆走


ガロ:「うおおおおお!」


カラス:「だあああああっ!」


モルポ:(M)そして、悲しい事に直感は外れず、とんでもない速度で街中を爆走している。もうやだかも。こういうの。


カラス:「山の方まで来たぞ」


ガロ:「ああ!さっき落っこちたところだ!モッコリ!あとどんくらい時間残ってる!」


モルポ:「モルポだ。残りは…大体30分くらいだな」


ガロ:「よしっ。何とか間に合うか!」


カラス:「お前、なかなかいい筋してるな。剣術とか興味無ぇか」


ガロ:「ねえよ。かっけーとは思うけど」


カラス:「そうか。そりゃ残念だ」


ガロ:「あと。俺はガロンドールだ。ガロでいい。」


カラス:「分かった。改めてになるが、道案内助かる。恩に着る」


ガロ:「いいって。」


構成員:「とまれ!」


ガロ:「お…?」


カラス:「なんだなんだ。」


職員:「ここより先は現在土砂崩れの影響で通行止めとなっている!とまれ!」


ガロ:「えぇーっ。まじかよっ。」


カラス:「おいおい。俺らはな、ここ通らなきゃあ試験に落ちちまうんだよ。」


モルポ:「…。ガロンドール。こいつら、中央政府職員だ」


ガロ:「え。なんで分かるんだよ」


モルポ:「リベール駐屯職員の名簿に同じ顔のやつがいた。」


ガロ:「ほげー。すげぇな、おまえ」


モルポ:「…。今朝から中央職員の動きが妙に怪しい。この通行止め。もしかしたら罠かもな。」


ガロ:「わな?」


モルポ:「一回おろしてくれ」


ガロ:「おう。」


カラス:「だーからっ。俺らなら大丈夫だから。ここ通せって」


職員:「リベール市役所よりここは通すなと言われている。」


構成員:「悪いが、お引き取り願おう」


カラス:「あーもう、埒が明かねえっ。」


モルポ:「へへへ。あ、失礼。リベール市よりヒッティー山脈の通行止めのご依頼を受けた、という事でやんすかねぇ。中央政府駐屯職員の方々」


構成員:「な…っ。こほん。ああ、そうだ。」


モルポ:「今はギルド試験の最中でやんすが、リベール市はギルドと非常に懇意にしている。でやんす。あっしはこれまで4回、ギルド試験を受けてるでやんすが、土砂崩れは過去にもあり、その際はこの様な警戒態勢はなかったでやんしょ。」


構成員:「うるさいっ。我々の詮索をするな。」


モルポ:「へへぇ。そうですよねぇ、こりゃ失敬でやんす。でしたら面倒な問答はよしましょう。リベール市より委託状をお見せ願います。それを見たら、我々も下山するでやんす。へへぇ。」


ガロ:「おいモッコリ!下山なんかしねえぞ!」


カラス:「まあー。待てよ。多分、なんか考えがあるんだろう」


モルポ:「へへぇ。へへぃ。で。如何でやんしょ。」


構成員:「…」


モルポ:「おや。もし、委託状もなく、通行止めをしている、と言うのであれば。これは…。不当占拠という事になりやせんかねぇ…?」


構成員:「この…っ!」


職員:「ええいっ。好きにしろ!」


モルポ:「へへぃ。失礼しやす。ほれ、行くぞおまえら。中央の皆様に頭を下げるでやんす」


ガロ:「…」


カラス:「…」


モルポ:「睨むな。」


ガロ:「くそっ。余計な道草食っちまった!」


カラス:「ああ、だがまあ。あそこで中央職員と揉めるよかぁ幾分マシだろう。」


モルポ:「俺に感謝するんだな」


ガロ:「ありがとうなぁ!モッコリ!」


モルポ:「おょょょ。いいんだぜ。モルポだけど。おょょょ。」


アイネス:(M)第一試験開始から1時間42分経過。


デブ:「待ちな。」


ガロ:「あ…?」


カラス:「次はなんだ…。」


不良:「あんこら!?あんこらこらこらこらぁーん!?やんのかぁーん!?」


モルポ:「…。」


構成員:「ここから先は俺らの縄張りだぜぇ。これこれぇ。」


職員:「通りたきゃあ、力づくで来いよォ。げへへへ。げへね。げへねげへね。」


ガロ:「こいつら、さっきのヤツらじゃん」


カラス:「だな。」


モルポ:「ああ。」


職員:「…」


不良:「あ、あ、あんこらあーーんっ!?」


デブ:「口答えするなでごわす!ぶちごわす!」


構成員:「やっちまえーいっ!」


職員:「てやんでい!ぶち殺せ!」


ガロ:「わかったわかった。で、今回は誰なんだお前ら」


構成員:「俺らはここいらを仕切ってる山賊でい!」


デブ:「おいらはデップでごわす」


不良:「あたいはハンネスだごらぁあああーーん!?」


モルポ:「おいおい、名前まで出してくんな分かんなくなる」


職員:「あ、えっと。マイケル、だ!」


モルポ:「ほら。一人だけ乗れてないじゃん。やめてあげなよ。そういうノリ。」


ガロ:「まあ、いいや。」


カラス:「よくわからんが。山賊って言うんなら、手を出してもお咎めは無さそうだ。」


モルポ:「おー。ばっちり撮影した。こいつらが山賊だって名乗りをあげたところもなー。やっちまえおまえら〜」


不良:「あっ。」


ガロ:「しかし、どうすっかなぁ。俺、わけあって一発しか殴れねえんだよ」


カラス:「なんだそれ」


ガロ:「異常性ってやつだ。一発殴ったらしばらくひょろひょろなんだよ。」


カラス:「不器用な野郎だな…。じゃあいい。」


0:カラスは刀を抜いた


カラス:「ここは俺に、任せてもらう。」


ガロ:「おぉー!サムライソード!」


職員:「やっちまえおまえら!」


構成員:「てやんでいぶっ殺してやる!」


デブ:「ぶっとばすごわす!」


不良:「あんこらあーーーん!」


カラス:「桜華流。居合」


0:居合の構えをとった


カラス:「散り華…ッ!」


0:全員ぎったぎったのめっためた


デブ:「まひるっ…!」


不良:「ぶほぉっ…!」


構成員:「よなかっ。」


職員:「たいよっ。」


カラス:「切り捨て。御免。」


0:カラスは刀を鞘にしまった


職員:「どさっ。」


不良:「がくりっ。」


デブ:「ひでぶっ。」


構成員:「ばたんっ。」


0:全員気絶した


ガロ:「おお…!おおおおっ!すげーーっ!サムライソード!すっげぇええ!見えなかった!」


モルポ:「お、おい。お前まさか、斬ったんじゃないだろうな…」


カラス:「安心しろ、峰打ちだ」


ガロ:「そのセリフー!本にもマンマ書いてあったー!かっけぇぇっ!」


カラス:「リアクションうるせえよっ。さっさと行こう、また無駄足だ」


ガロ:「ああ、そうだな!かぁーっ。やっぱ旅ってのはこうでないと!」


モルポ:「ったく、化け物共め」


ガロ:「テンション上がってきたーーっ。よーーしっ。行くぞお前ら!」


モルポ:「よし!行け!ガロンドール号!」


カラス:「お前、少しは自分で走れよ」


アイネス:(M)かくして、中央からの試練も難無くクリアしていったガロンドール一行は、その後も順当にリベール一周の道を進んでいった


0:ドリート街


フェリス:「いいペースだ、これならあと数分でゴールするよぉ」


ノエル:「かなりペースダウンしたけど、来ないな。あいつら…」


ジャイロ:「…。」


ノエル:「なに。一丁前に責任とか感じちゃってるの」


ジャイロ:「ばかやろぅ。俺だぞ。そんな感傷的じゃあ傷ついちまうだろうが、名誉が」


ノエル:「あぁはいはい。」


フェリス:「うぅん。でも、ここまでペース落としてダメならもうダメかもね。まあ、無理もないよ。あの時点で、約10キロ後退したんじゃあ、普通じゃ戻って来れない。そもそも、生きてるかどうかってところじゃないかなぁ」


ジャイロ:「…。生きてるさ。あいつは」


フェリス:「ほぉ。」


ジャイロ:「あれくらいで死ぬやつに、仲間になれと誘われた覚えはねえ。」


ノエル:「なんつーか。お前大概きもいな」


ジャイロ:「あ?」


0:ゴール地点


劉淵:「…。来るだろうか」


イオハロット:「ああ。随分好き勝手やってくれていた様だからな。中央政府」


アイネス:「なんの事か、測りかねる。」


劉淵:「…。」


0:ドリート街


フェリス:「…。」


ジャイロ:「…」


ノエル:「…あー。もう、辛気臭い!」


フェリス:「ははぁ。私は別に、あんまり気まづく無いですけどね」


ノエル:「お前のそう言うマイペースなところ、嫌いだよ私は」


フェリス:「あいたた、言われちゃった」


ジャイロ:「…っ。」


0:遠くから声が聞こえる


ガロ:「ぅぉぉぉぉぉぉっ。」


ジャイロ:「…!」


ノエル:「この声…!」


フェリス:「わぁ。こりゃ凄い。」


ガロ:「うおおおおおおおおっっ!」


カラス:「だぁああああああっ!」


ジャイロ:「…!ガロ…!」


フェリス:「ははぁ、本当に戻ってくるかねえ、普通。いいやあ、普通じゃないな、ありゃ」


ガロ:「お…!見えたぞ!ジャイロ!ノエルー!」


カラス:「あれがお前らのお友達か」


ガロ:「ああ!俺の仲間だ!」


モルポ:「おえっ…。酔った…っ。」


ジャイロ:「…ったく。どこまで脳筋だ、あいつは」


ノエル:「よかったね。ジャイロきゅん」


ジャイロ:「てめぇー。やっちまうぞメスガキ」


0:全員、合流


ガロ:「よかった!追い付いた!!」


ノエル:「よく帰った。私の用心棒」


ガロ:「ああっ。まじ余裕!」


ノエル:「なんでそんなピンピンしてるんだよ…」


フェリス:「おやおや。これは、また見ない顔に、見ない衣装。」


カラス:「なんだよ。ジロジロ見るな」


モルポ:「本当に追いついちまった…。やべぇな、こいつら…っ。希望半分だったが…」


ジャイロ:「…」


ガロ:「ジャイロ!よかった、ちゃんと合流出来てんな!」


ジャイロ:「ああ。」


ノエル:「ほれ。ジャイロきゅん」


ジャイロ:「てめぇ…。」


ガロ:「?」


ジャイロ:「…。まぁたよく分からん連中こさえて戻ってきやがったなぁ。相棒」


ガロ:「だははっ。いいだろ。侍だっ。」


ノエル:「ほら、そうこう言ってるうちに、ゴールだ!」


ジャイロ:「お。」


モルポ:「ワっ。」


フェリス:「ひぇー。やっとだよ」


ガロ:「おー!ギルド本部!戻ってきたー!」


ジャイロ:「ていうかお前。なにガロに乗っかってんだ。モルポ。お前だよお前」


モルポ:「あ、あーいや。これは…。その…」


ジャイロ:「まさかとぁ思うが。ウチの馬鹿を利用したって腹じゃあねえだろうなぁ。」


モルポ:「えーっと。違うくてでやんすねぇ…」


ガロ:「ジャイロ。こいつは俺らの道案内してくれたんだ。良い奴だぞ」


0:号泣


モルポ:「ああーーーっ。死にたいぃーーっ。醜くてごめんなさいっ。うおおおおっ。」


ジャイロ:「はっはぁ。ったく。お人好しも大概にしとけぇ。」


ガロ:「?」


フェリス:「さて。そんじゃあ…」


ノエル:「はは、だね。」


ガロ:「お。おう!」


劉淵:「来たか…!」


イオハロット:「凄いな。本当に。まさかあの状況から前線復帰とは。感動したっ!」


アイネス:「…」


ガロ:「よーーしゃ!せーーーのっ。」


0:一同、同時に。


ガロ:「ゴーーールッ!」


ジャイロ:「ゴール。」


モルポ:「ごぉぉぉぉぉぉぉっぉょょょっ。」


ノエル:「ゴールっ!」


カラス:「ご、ごーる…?」


フェリス:「ごーるぅ!」


0:全員がゴールラインを切った


劉淵:「仲良くゴールテープを切る、か。昨今、殺伐としたギルド試験でなかなか見ない光景だ。これだっ!俺は!こういう!窮地において育まれる友情が好きだ!」


イオハロット:「暑苦しいCーーっ!でもわかるぜ、劉淵」


アイネス:「…。はい。アイネスです。ガロンドール・ウォンバット。並びにジャイロ・バニングス。両名、第一試験を突破しました。」


ガロ:「へへ。やったな。お前ら」


ジャイロ:「ああ。まあ、当然だが、なぁ。俺なら、なぁ?こんくらいで落ちちまうようじゃあ傷ついちまうよ。名誉ってもんが」


モルポ:「まじか…。第一試験突破…まじかぁ…!」


カラス:「あー、どっと疲れたな。どっとな。」


ガロ:「確かにな。なんか体いてぇし」


モルポ:「お前はもっと重症らしくしろ…」


ジャイロ:「殺しても死なねえよ」


ガロ:「まあ!何はともあれ、お前ら全員合格でなによりっ。」


ジャイロ:「だな。」


フェリス:「けどまぁ。本番はここからだからねぇ」


ノエル:「フェリスの言う通りだよ。まだ第一試験。残りの試験はあとふたつも残ってる。」


イオハロット:「かーーっ!いけねぇ!いけねぇよぉ!そーいう辛気臭い真面目な感じっ。」


劉淵:「ああっ。まずは、第一試験合格を寿ごうじゃないかっ。」


イオハロット:「おめでとーーっ。うら若き糞ガキ共っっ。」


モルポ:「うおっ。うおおおっ。」(号泣)


カラス:「うるせえなお前は」


モルポ:「だっでぇぇぇ。うれじいじゃんかぁぁぁ」


フェリス:「ははぁ、ハイタッチしよっか。ほれ。ほれ。」


モルポ:「う。う。」


カラス:「そんで、第二試験はなんだよ」


モルポ:「ばかっ。感傷に浸させろ!」


ジャイロ:「おいおい、風情がねえなあ、侍」


カラス:「あ?」


ジャイロ:「なんだよ。ガン飛ばしてんのか、てめえ」


カラス:「飛ばしてねえだろうが、自意識過剰って言うんだぜ」


ジャイロ:「ああ?」


カラス:「はあ?」


ノエル:「なんつーか。あの二人。同じ匂いを感じる」


フェリス:「面倒事の匂いですかあ?」


ノエル:「そう、飛びっきり臭い」


ガロ:「だはははっ。いやあー、賑やかでいいな。」


ノエル:「わかんない、ガロのそういう所」


フェリス:「私は分かる気もしますけどねえ。」


ガロ:「おー。やっぱそうだよな。賑やかな方がいいよな」


フェリス:「うん。お祭りみたいだよねえ」


ガロ:「そうそう。やっぱ旅ってのはこういうのじゃねえと」


フェリス:「はは、ほんと面白い人だね、君」


ガロ:「お前も大概だぞ。チョーかっけー超能力」


フェリス:「へへえ、そうかなあ。そうだろうかあ」


ノエル:「あの二人まで同じタイプだったのか…」


モルポ:「ああ。もう。第二試験でもあいつらの化け物っぷりと直面すると思うと、今から胃が痛い…」


ノエル:「はあ。頭が痛い。」


0:2人は顔を合わせた


ノエル:「…。」


モルポ:「…。」


ノエル:(M)そうか。あの中だとお前、実は一番まともだったんだな。


モルポ:(M)そうか。あの中だとこの人が一番まともだったのか。


フェリス:「ノエルさんも大概だなぁ。」


ガロ:「だはははっ。確かに確かにっ。」


劉淵:「さあっ!皆、一同に思うことも多々あるだろうがっ。まずは休息っ。その後、第2試験を開始するっ。」


イオハロット:「いいねーっ。風情がないねーっ!でも、やっちゃう。第二次試験は1時間後!範囲はリベール全土!各々休憩を挟んだら開始するっ。」


ノエル:「えげつねぇ…」


カラス:「こりゃあ丁度いい。昼寝時間だ」


モルポ:「一時間後…。相変わらずハイペースだ…」


ガロ:「腹減ったな。ジャイロ」


ジャイロ:「入らねえよ。」


フェリス:「因みに、第二次試験の内容ってなんなんですかぁ?」


劉淵:「よくぞ聞いてくれたっっ!」


イオハロット:「第二次試験の内容は〜どぅるるるるるるっ。」


劉淵:「俺ッ。劉淵っ。」


イオハロット:「私!イオハロット!」


アイネス:「…」


イオハロット:「ノリ悪ーーーっ!で、こいつ。こいつこいつ。アイネスっ!」


アイネス:「触るな」


劉淵:「この3名との。鬼ごっこだッッ!」


モルポ:「…お。」


ジャイロ:「鬼ごっこぉ?」


ノエル:「初めて聞いたな。新台入荷か」


カラス:「へえ、懐かしい」


劉淵:「ルールは単純ッッ。俺たちが鬼。君たちは、俺達に触れられた瞬間失格とするッ。ただしッッ!我々が触れる事で、君たちが失格となる条件は」


イオハロット:「私達の右手で、おめぇらの身体に触れた時だっ。」


ガロ:「へぇー。右手だけならなんとかなりそうじゃんな。」


ジャイロ:「あー。舐められてんのかぁ」


ノエル:「お前ら、B級ギルドのリーダークラスを舐めない方がいい。言ったはずだぞ。あいつらは、現段階で。この場にいる誰よりも強い。」


ガロ:「へいへい」


イオハロット:「制限時間は1時間っ。その間、私たちに触れられず逃げ延びた奴らは無事最終試験にGOとらべるって話だ。」


アイネス:「開始は今から休憩が終わったら、即座に開始とする。特に開始の合図などはなく、時間が来れば強制的に我々はお前達を捕まえる「鬼」として行動する。」


イオハロット:「長ったらしい説明は以上っっ!」


劉淵:「各位、また会おうッッ!!」


0:三人は姿を消した


ガロ:「あれ、消えた」


ジャイロ:「ただのマジ走りだろーが、ありゃあ並の身体能力じゃあねぇな。一端の監察官クラスはあるか」


ガロ:「アスカくらいか?」


ジャイロ:「馬鹿言え、流石にあんなのとは比べられん。ただ。まあ、俺らの誰より強いってのは。あながち間違いでもねぇかもなぁ。俺もただの人間相手にゃあ異常性の相性がかなり悪い」


ガロ:「ああ、そう。」


モルポ:「一時間後急に襲いかかってくるってことだよな…っ。気が、気が休まらねえぞ…っ。第一試験突破したばっかだってのに…」


ノエル:「さぁて。あまり気乗りはしないけど、適度に何か腹に入れておこうか」


ガロ:「おーっ!んだんだ!腹減った!」


ジャイロ:「まじかよ。吐いちまうぜ、全てを」


フェリス:「いいですねぇ、少し山の方に戻ればドリート街だ。中華料理が美味しいんだよ、あそこの商店街は」


モルポ:「いいですやんすねぇ。へへぃへへぃ。あっし、いい店知ってるでやんすよ。」


ノエル:「ゴマするな。」


ガロ:「よっしゃ。飯だ飯ぃっ!」


ジャイロ:「あいよぉ〜。」


カラス:「よっこらせ」


0:カラスは別方向に向かおうとする


ガロ:「…?カラスーっ!来ねぇのか?」


カラス:「あ?俺はいいよ、第一試験までの付き合いだ。」


ガロ:「なんでだよ、飯は大勢で食った方が楽しいぞ。」


ジャイロ:「美味いって言うんだよ普通。こういう時は」


カラス:「生憎、人と馴れ合うのは好きじゃない。世話になったな。最終試験まで生き残れる事を祈ってるよ」


ガロ:「なんだよ、連れねえこと言うな」


0:首根っこがしっ。


カラス:「いでででっ!いてぇなぁ!ひっぱんな!」


ガロ:「いーじゃねえか。減るもんでもねえのに。もっと侍の話聞かせてくれよ」


カラス:「断る…!なんなんだお前!」


ガロ:「俺は冒険家なんだっ。だから、世界の色んな事をもっと知りたい!」


カラス:「冒険家だぁ??冗談じゃない、俺とは真反対の人種だ!いいから離せ!」


ジャイロ:「…」


ノエル:「ぷっ。やっぱどっかの誰かと同じようなこと言ってら。ぷぷぷ」


フェリス:「誰です?」


ノエル:「えー、ジャイロだよ。こいつ、ぷぷぷ。」


ジャイロ:「…。」


ガロ:「なぁーあーっ。いいだろカラス!頼むよーっ!」


カラス:「うるせぇって…!さっきも言ったが、俺は馴れ合いは好きじゃない…っ!」


ジャイロ:「あぁ〜。ガロ。」


ガロ:「お?」


ジャイロ:「ほっといてやれよ。こいつは、あれなんだ。あれ」


ガロ:「どれだ」


ジャイロ:「一人で居たい、一人でいる自分がかっこいいと思っちまってる「そういう時期の男」なんだよ。」


カラス:「あ?なんだお前。さっきから嫌に突っかかってきやがる」


ジャイロ:「いや、わかるぜ。よォ〜く分かる。分かっちまうさ、俺には。非常に、な。言わなくてもいい。男には「そういう時期」ってのが来ちまうもんでぇ。仕方がねえ。それを止めることなんてのは出来やしねぇんだ。なぜなら、それが男だから、だ。だから無理せず一人で過ごしたらいい。ナマクラくん。」


カラス:「そのナマクラってのは…。誰の事言ってんだ。アロハてめぇこら。」


ジャイロ:「ムキになるなよぉ。図星をつかれたからって、さぁ〜」


カラス:「てめぇと一緒にすんじゃねえよ。脳内までアロハか。」


ジャイロ:「あ?」


カラス:「は?」


ノエル:「なんであいつまでカチンと来てんだよ…」


モルポ:「や、やべぇ!異能狩りが暴れる!やべえやべえ!」


ガロ:「おーいお前ら。なんでもいいけど、さっさと飯に…」


ジャイロ:「なんでもよくねぇ!!」


カラス:「なんでもよくない!!」


ガロ:「おぉ…」


ジャイロ:「てめぇ、見たところ若そうだな。年上に対しての口の利き方ってもんを教えてやるよ」


カラス:「てめぇから教われそうな事なんざ何もねえよ。年功序列のイキリ出涸らしが。」


ジャイロ:「てめぇ何歳だこら」


カラス:「25だこら」


ジャイロ:「あーそうか。俺27」


カラス:「だからなんだっつーんだよ。自己紹介お疲れ様、出涸らしアロハ」


ジャイロ:「てめぇ…。」


フェリス:「ノエルさん、どうするんですかぁ。あれ」


ノエル:「あー。めんどくさ。」


フェリス:「ノエルさんのせいですよ」


ノエル:「はいはい。二人とも、早くご飯食べに行くよ。適した時に適した行動ができない奴は男も女も愚図だからね」


ジャイロ:「ああ。…ああ、そうだな。たしかに。こんな格下相手にムキになってる時間はねえんだ。いやムキになってねえけど!?今はしっかり、自分のことに集中しねぇとなァ〜。健康な体は、健康な食事からだから、なぁ〜。まぁぁ?お前はその辺で芋虫みてぇに縮こまって寝てろよォン」


カラス:「食うが。めちゃくちゃ食うが。お前の15倍は食うが。」


ジャイロ:「15倍ってなんだ馬鹿っぽいなてめぇ。」


カラス:「ほっとけ。」


ガロ:「なんでもいいけど、カラスも一緒に飯行くんだな!」


カラス:「あー行ったらァ!てめぇ絶対俺より先に店に入るなよ。俺より先に飯食うなよ。」


ジャイロ:「いやだよォ〜。俺は俺の食べたいものを食べたい時に食うんだ」


ノエル:「なんとも、ソリが合わない」


フェリス:「あはは、なんでもいいですよぉ、早く行きましょ。時間、なくなっちゃいますよ。」


0:場面転換

0:キャリオン街 とある喫茶店


アイネス:「…。はい。はい、分かりました。はい、それでは。」


0:アイネスはコーヒーを飲んでいる


劉淵:「まぁた。よからぬ事を考えているッ!そんな匂いだなッ!」


アイネス:「劉淵さん。ここは喫茶店だ。お洒落な、お洒落な喫茶店だ。静かにするべきだろう。私は静寂を愛している。」


イオハロット:「13時42分。ヒッティー山脈近郊で不振な動きをしている人物を4名捕獲した。身柄はギルドが預かっているが。駄目じゃないか。しっかりと躾をしておかないと。君らの所の子。だろう?」


アイネス:「流石、B級ギルドのリーダークラスともなると。早いな。耳も、手も。」


劉淵:「全くそのまま、同じ言葉を君に返そう。」


イオハロット:「よォく聞いた方がいい。アイネス・ケイデンス。」


劉淵:「これより行われる不振な行動全ては、ギルドとの対立行為と認識する。」


0:二人はアイネスに武器の矛先を向けている


アイネス:「…。」


0:アイネスは珈琲に口をつけた。


アイネス:「…。静寂とは程遠い。何度も言うが。ここは喫茶店だ。手荒な真似をするんじゃない。私は。静寂を。愛している。」


0:席を立とうとしたが、イオハロットに制圧される


イオハロット:「動くな。」


アイネス:「…。」


イオハロット:「異常性を使ったらこの場でお前を殺す。そういう権利があるって言ってるんだぜ。私たちには」


アイネス:「…。はぁ。」


0:アイネスは両腕を上げた


劉淵:「君に対立の意思があるというのなら、俺達も真っ向から抵抗しよう。」


アイネス:「それとも?」


イオハロット:「ここでやるかよ。クソアマ。」


アイネス:「殺せるのか。人が。私を。」


劉淵:「そういう組織だ、と。言っているぞ。俺たちは」


0:張り詰めた空気


アイネス:「…。冗談。ギルドと中央の協力関係にヒビを入れるつもりは無い。ましてや、一執行官でしかない私の権限で。これまでの行いの全てを詫びよう。」


イオハロット:「…」


アイネス:「勘弁してくれないか。私も命令でやっているだけなんだ。憐れなんだよ。私は。憐れんでくれ。な?」


劉淵:「つまり。何が言いたい」


アイネス:「…。悪かった。これより先は、ああ。あくまで一人の見届け役として、試験に臨もう。」


0:アイネスは店を出た


劉淵:「…。」


イオハロット:「流石の気迫だったな。中央政府執行官。」


劉淵:「ああ。まったくもって。おそるるに足らんよ。「彼」を含め。」


イオハロット:「ああ。中央のいざこざから、「無題」の残党まで。問題が尽きない試験だな。今期は」


劉淵:「まったくだとも。人の業というものは。難儀だな。」


イオハロット:「一人だけ、まだゼロ点キープだぜ」


劉淵:「どうだろう。見せてくれるだろうか。「意地」を。」


イオハロット:「期待するしかねえだろうよ」


劉淵:「ああ。同じ意見だとも。」


イオハロット:「…。てか待て。あいつ、会計払ってなくねぇか?」


劉淵:「む。いやあ。払っただろう。流石に」


イオハロット:「…まあ。流石にか。」


0:静寂


劉淵:「店主!!ここの席の会計はどうなっている!!店主!!」


イオハロット:「あの野郎!!!やっぱり殺しときゃあよかっかぁ!?」


劉淵:「店主ーーーーーーッッ!!」


0:場面転換

0:キャリオン街 街頭


ガロ:(M)ガロンドール冒険譚。3章。


アイネス:「…はい。アイネスです。第二試験、プランCに移行します。」


ガロ:(M)ギルド試験!第一試験を突破した!そこでは面白いやつがいた。噂の侍とも出会い、猛烈に感動した!


アイネス:「それにしても、随分とヤケ。ですね。…いえ、ただ。そう思っただけです。相変わらず人遣いが荒いな、と。」


ガロ:(M)次来る第二試験を前に、一時休息!


アイネス:「そんなに欲しいですか。彼が」


ガロ:(M)リベールは飯が美味い!これからも、美味いもん食って、珍しいもの見て、たくさんの出会いに期待する!


ノエル:「おーい、ガロ!なにやってんだ。」


ガロ:「あ。わりぃ」


ジャイロ:「まあた書いてんのか。冒険譚」


モルポ:「うわ。ポエムじゃん」


ガロ:「冒険譚だよ。失礼だな」


フェリス:「なんでもいいですけど、早く行こうよ〜」


カラス:「どけ。」


ジャイロ:「は?てめえ、なんで俺より前を歩いてんだよ」


カラス:「ああ、すまん。先に行っちまうもんなんだよ。なんやかんやと、全てにおいて」


ジャイロ:「ガキかてめぇは」


カラス:「お前よりはわけぇよ出涸らし」


ノエル:「はいはい、行くよー。」


ガロ:「うしっ。飯だーっ!」


カラス:「おい!どけ!」


ジャイロ:「お前がな!お前がな!」


ガロ:(M)これだから、冒険ってのはやめられない。


アイネス:「…。了解です。一先ずは従いますよ。というか、従うしかないんですよ。可哀想だ、私は。本当に、貴方は酷い人だ。カルビスさん。」


劉淵:「さあ。行こうか、イオハロット」


イオハロット:「ああ。荒波に呑まれるか、乗るか。いかがのものか」


アイネス:「…はい。手駒にならないなら、殺す。分かっています。はい。」


劉淵:「いざっ。手並み拝見っ!」


アイネス:「ーー命令を、遵守します。」


0:冒険者達の午後 序×2


ーーーーー「パッと見りゃ水平線」ーーーーー

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