冒険者達の午後 急3-Ⅵ
0:『冒険者達の午後』
:
グランシオラ:(M)私は。天才科学者、稀代の研究員と呼ばれた。
グランシオラ:(M)実際に私も。自分の才覚と、その知能に微塵の疑いも持たなかった。
グランシオラ:(M)しかし。私は知っている。
0:グランシオラは何かの影を見ている
グランシオラ:(M)本物の天才を。凝り固まった現代人とは全く別の新解釈を持った、常識すら。理すら意味を成さない。天才を
グランシオラ:(M)それこそが。私の姉だ。
グランシオラ:(M)私がどんな論文を発表しようと。それより遥かに興味深く。整合性を持ち、核心を突く。頭の良さとはまた違う次元の人間。
シャリノウラ:「私はね。答え合わせがしたいんだ。」
グランシオラ:(M)あの人の視線の先には。私は居ない。誰も居ない。誰も見た事のない景色を見ている。幼い頃から、同じ飯を食べ、同じ時間に眠った。私と貴方で、何がここまで違う。
シャリノウラ:「厳密に言えば、世界征服かな。」
グランシオラ:(M)貴方のような人間がひとつ頭を捻らせるだけで、何千、何万と言う、過去思考を巡らせた凡才の血と涙の結論が、根本から否定される事になるんだ
シャリノウラ:「ラプラスの悪魔って知ってるかい。」
グランシオラ:(M)頼むから死んでくれ。貴方のような人間は、産まれてさえ来ないでくれ。貴方みたいなのが居ると、世界の理が崩れるんだ。貴方一人に私達の全てが届き得ないのなら、存在すらしないでくれ。
シャリノウラ:「グラン。君は、どう思う?」
グランシオラ:(M)だから。貴方が真実の向こう側に行った日。中央政府から消されることになった時。私は、嬉しかった。やっと貴方という亡霊から解放される。
シャリノウラ:「私には。出来なかった。」
グランシオラ:(M)貴方のような人間の事は忘れて。私に出来ることを、精一杯尽くそう。それでいい。特別でなくていい。唯一無二でなくていい。出る杭は打たれる。
シャリノウラ:「___だから。後は君に託したよ。」
グランシオラ:(M)…頼むから。黙ってくれ。
0:回想
0:ロックストーン収容施設
シャリノウラ:「…。返答はなしかい。グラン。」
グランシオラ:「…」
シャリノウラ:「…まあ。私が勝手に託しているだけで。君にはなんの関係もない事だが」
グランシオラ:「どうして。姉さんは死んでも尚、私の頭の片隅に居続けようとするんだ。」
シャリノウラ:「…」
グランシオラ:「きっと私が、今後生きて行く何十年という時間で、姉さんを超えられる日は来ない。」
シャリノウラ:「…」
グランシオラ:「姉さんが欲する答えを。私じゃ見る事は出来ない。そんなのは一人でやってくれ。私も、誰も関係ない所で、誰の目にもつかないところで」
シャリノウラ:「ふむ。」
グランシオラ:「…」
シャリノウラ:「…6歳の夏の日だったかな。誰にも理解されないと悟った日を覚えている」
グランシオラ:「…」
シャリノウラ:「中央に来てからもそうだ。私の言う事に理解を示す人間は居なかった。論文を発表し、検証をしてやっと。議会の人間は面白くなかったろう。これまで築き上げた何百年という異常性学を。人類の叡智を否定されるのだから。」
0:シャリノウラは手錠のついた手で頭を搔く
シャリノウラ:「結果がこれだ。人は理解できないものを遠ざける。怖いからだ。でも。君は違った」
グランシオラ:「それは私が姉さんの妹だからだ」
シャリノウラ:「いいや。違うよ。君だけは。私に憧れてくれた。憧れて尚、別の解き方で私と競い合ってくれた。それが嬉しかった」
グランシオラ:「…」
シャリノウラ:「誰から見ても理解に及ぶ君。君にしか理解されない私。きっと私達は、それぞれが別の役目を持って生まれて来たんだ」
グランシオラ:「…」
シャリノウラ:「私達は。二人で一人だったんだよ。」
グランシオラ:「…そんなのは。押し付けだよ」
シャリノウラ:「研究家はね。傲慢なんだ。」
グランシオラ:「…。」
シャリノウラ:「理解できない事を理解出来ないと蓋をするのは簡単だ。誰にでも出来る上、最も愚かな行為だ。でも、君は違う。」
グランシオラ:(M)姉さんは。私に呪いをかけた。
シャリノウラ:「君の頭の片隅に。ほんの一欠片でも私が居たのであれば」
グランシオラ:(M)それは私にとって。何よりも光栄な呪いで。
シャリノウラ:「私達は依然。二人で独りだよ」
グランシオラ:(M)何よりも重い。足枷になった。
:
グランシオラ:(M)姉さんの処刑から1ヶ月。私はまた一研究員として日々を過ごした。毎日が気持ち悪かった。
グランシオラ:(M)姉さんを頭のおかしい狂人と罵っておきながら、姉さんの発案した便利な道具は我が物顔で扱う。
グランシオラ:(M)毎日のように執行官の死体が研究室に運ばれて来る。顔も知らない彼らの死に微塵の興味も無い。しかし。
シャリノウラ:『異常性が無くなって1番困るのって。そりゃ中央政府だからね。』
グランシオラ:(M)私達は。誰の、何の為に研究を続けている。自らの知的欲求を満たす為か。既得権益者の為か。
シャリノウラ:『夢があるんだ。』
グランシオラ:(M)黙っていればいい。目を瞑っていればいい。私はただ、一人の駒として務め続ければいい。
シャリノウラ:『答え合わせがしたい。』
グランシオラ:(M)私の頭のすぐ傍に。「正解」がチラついて離れない。
0:数年後
0:シャリノウラの墓前
グランシオラ:「…姉さん。」
ニーア:(N)西暦1977年。
グランシオラ:「…私の進む道には。意味があるのかな。」
ニーア:(N)12月28日。
グランシオラ:「いいや。意味があるか無いかは、何れ分かるか。」
ニーア:(M)特務研究員。グランシオラ・ルルカブルの中央統治反逆未遂が報告された。
グランシオラ:「行くよ。答え合わせをしに。」
:
林檎:(M)____深く。果てしなく、暗い。
0:深淵
林檎:(M)目の前にあるのは。闇ではない。ただひたすらの、黒。
林檎:(M)意識すら。思考すら、沈殿に期す。
0:何処ともしれない場所
0:夕日が差し込むビルの屋上
林檎:「…ここは。」
マルボロ:「よお。やっと起きたか。アレジ」
林檎:「____は?」
マルボロ:「随分寝てたな。」
林檎:「…どうしてここに…え…?分からない。何処だ、ここ。」
マルボロ:「何言ってんだ。寝ぼけてんのかよ。」
0:2001年。9月11日
0:バグテリア法外特区
マルボロ:「今から、世界を終わらそうって所だろうが」
林檎:「____ああ。そうか。」
0:林檎は目を閉じた。
アレジ:「__うん。そうだったね。」
マルボロ:「しっかり頼むぜ。赤い林檎のリーダーさんよ。」
アレジ:「…うん。」
マルボロ:「…どうしたどうした。いつまで寝ぼけてんだよ。」
アレジ:「…夢をね。見てたんだ。とても。とても長い夢を。」
マルボロ:「夢ぇ?」
アレジ:「全員居なくなって。僕一人になって。それでも、その結果が受け入れられなくて。」
マルボロ:「…」
アレジ:「…悪夢を見ていた。」
マルボロ:「安心しろ。俺はちゃんとここに居る。」
アレジ:「……久しぶり、マルボロ」
マルボロ:「ははは、ずっと一緒にいたろ。何言ってんだって」
アレジ:「…うん。そりゃあそうだ。何言ってんだろ。僕」
0:場面転換
0:最奥
グランシオラ:『___全てが理解出来る。』
0:自分の掌を見た
グランシオラ:(M)思考が、意識が溢れ出す。身体から、自分を形成する全てが抜け出ていくような感覚。
ノエル:「グランシオラ…!」
グランシオラ:『…おや。』
ノエル:「…随分。グロテスクな格好になったな。」
グランシオラ:『…そうか。わざわざ自ら深淵に触れるか。君だけか?今私を意識出来ているのは』
ノエル:(M)ガロ達が言ってた。グリム写本で見たという、座標の核心。ここが深淵か。
グランシオラ:『…なあ。ノエル・ベルメット。正解とは、何処にあると思う。君達の行く道が正解か?人と人とが手を取り合い、偽りの安寧を手にすればそれで正解なのか。』
ノエル:(M)この様子を見るに。きっとコイツから見える世界は、私が認知するものとは別だ。どんな異常性をも行使する座標。その根底にあるのは
グランシオラ:『可能世界の中に置いて、正解を導けるのは、誰だ。』
ノエル:(M)全ての根源。あらゆる要素は一つの「何か」に収束される。アリストテレス宜しく、紛うことなき深淵か。
グランシオラ:『答えてくれ。ノエル・ベルメット。君達は、何を持って正解とする』
ノエル:「…何が正しい選択かなんて誰も分からないだろ。分かってたら、あの日私は兄さんを一人で行かせなかった。」
グランシオラ:『けれどその因果こそが。君たちをこの場に導いている。今は最善でなくとも、いずれ最善となる選択もある。取捨選択とはそういうものだ。』
ノエル:「なんだその口ぶりは…じゃあお前の理想が最適解だって言いたいのか」
グランシオラ:『少なくとも、あの狂った世界から脱却する為には私の解答が正しい。これは後にも先にも、私よりも平和的解決をする人間は居ない。彼らのやり方は過激過ぎる』
ノエル:「人の命を意図的に奪うのが最善なわけないだろ…!」
グランシオラ:『一人の犠牲と引き換えに何億という人間が生き延びるのなら、私はそうする。』
ノエル:「犠牲の意味を履き違えんなよ…!お前がやってんのは救済じゃない、搾取だ…!」
グランシオラ:『人から暴力を奪うことは出来ない。人から暴力を搾取するという意味は果てしなく残酷さ。それは種の滅亡に直結する。』
ノエル:「そんな大層な話をしてるんじゃない、私は私の見の周りの人間に手を出したから、お前にブチギレてる…!そのやり方に納得できないからだ…!!お前の目的はなんなんだ…!!なんで人を不幸にする…!」
グランシオラ:『…答え合わせが。したかったんだ』
ノエル:「答え合わせ…?」
グランシオラ:『姉さんが見た、世界の果て。異常体と人類による闘争の果てには人類の滅亡しか有り得ない。だからこそ、人類は新しい火を手に入れるべきだった。』
ノエル:「…それが異常器だってか…?」
グランシオラ:『ああ。異常器による動力革命は、世界をひとつに束ねるはずだ。異常性と、人類化学。この二つが相見えることは無い。であれば、全てを無に帰す文明が必要だと考えた。』
ノエル:「随分大口叩くな…!神様にでもなったつもりかよばーかっ!」
グランシオラ:『…神…か。』
ノエル:「あ…?」
グランシオラ:『それもいいな。ああ、答え合わせも済んだことだ。私たちの正解の続きを見よう。それは必ず新秩序となる。そして何十、何百、何千年という先の荒野で』
0:グランシオラは黒い空を仰いだ
グランシオラ:『私はそう呼ばれてもおかしくない』
ノエル:「…本当に。救いようもないくらい狂ってんだな」
グランシオラ:『狂っている?私が?冗談じゃない。狂っているのは君らだ。ただある常識を教授する生に何の意味がある。すぐそこに。私が望んだ正解がある。』
ノエル:「その為なら何人が死んでもいいんだな」
グランシオラ:『些細な問題だ。精々70年やそこら。命は等しく潰える。意味のある死を選ぶ。』
ノエル:「…っ。」
0:ノエルは深淵を走った
グランシオラ:『それにもまた、意味が無い。』
0:グランシオラは手を振りあげた
ノエル:「ーーーっ…!?」
0:ノエルの足は抜かれたように断たれ、その場に転ぶ
グランシオラ:『行動は結果を導く為の理由付けに過ぎない』
ノエル:(M)なんだ…これ…!あんなに離れたところから…!なんでもありか…!?
グランシオラ:『姉さんはその逆だ。全てに理由を欲しがる』
ノエル:(M)いいや。そんなはずが無い。人の手の所業である以上は。絶対に穴がある。折れるな…!その為に私はここに居るんだ…!
グランシオラ:『理由は必要としない。結果が全てだ。何をかなぐり捨てでも。私はそこに至らなければならない。』
ノエル:(M)これがガロ達が潜ったって言う『深淵』そのものなら、外とは完全に隔離された空間がここの筈だ…!
グランシオラ:『それが。あの人の見た景色を超える唯一絶対の手段だ。』
0:グランシオラはノエルに手を向けた
ノエル:「ッ…!」
0:ノエルの首は締まり緩やかに宙へ浮く
グランシオラ:『全ての理由を度外視する結果。』
ノエル:(M)あの場に居た皆以外、あの黒い渦に飲み込まれた…!きっとこの中に皆も居るはず…なんだ…!
0:首を絞める力が増す
ノエル:(M)折れるな…!折れるな…っ。ガロだって、頑張ってんだ…!私だけまだ、何も出来てない…だろ…!
グランシオラ:『どれほど思考を巡らせても尚届かない。絶対不可侵の結果さ。それは天災にも近い。突如。理不尽として全ての隣人へ訪れる。』
ノエル:(M)何か…っ。何か打開策があるはずだ…!諦めるな、折れるな…!!ノエル・ベルメット…!
グランシオラ:『さあ。これから何処へ行こう。』
0:ノエルの首の骨が軋む
ノエル:(M)……
オーウェン:『止めるな。』
ノエル:(M)…オーウェンさん…
オーウェン:『足を止めるな。ノエル』
ノエル:(M)…
オーウェン:『俺が言っても格好が付かんだろうが。お前は止まるな。その為の縁がある。それを捨てた俺には、お前の背中を押す事すら許されないだろう』
ノエル:(M)…。
オーウェン:『それでも。止まるな。』
ノエル:(M)…ああ。
オーウェン:『よく見ろ。ノエル。』
ノエル:(M)はは。やっぱり。厳しい人だなあ、オーウェンさんは。
オーウェン:『敵は何だ。その目に映っているか。』
ノエル:「…見えますよ。とても。よく見えます」
オーウェン:『ならあの時と同じだ。引き金を引け。』
ノエル:「…」
0:ノエルの足は断ち切れていない。
ノエル:「…。はい…!」
0:ノエルの脳内に過去が映る
ジハン:『異常性に纏わるものは、全てが「目的意識」に集約される』
ノエル:(M)目的意識。
ジハン:『あらゆる経緯も、ロジックも全て無視して、超常を引き起こす力だ』
ノエル:(M)座標。
ジハン:『人はそれを。座標と呼ぶのさ。』
ノエル:(M)仮にこの空間が。目的意識の世界であるなら。
ジハン:『仮に、座標が混戦した状況で奇跡的に目的意識が合致したとしたら。』
ノエル:(M)アプローチを掛けるんだ。想像もし得ない思考に。アプローチを。
ジハン:『或いは。可能かもしれない』
ノエル:(M)「此処」じゃない。「何処か」へ。
0:場面転換
0:何処かの廃墟ビル
マルボロ:いやー。風が気持ちいいな。
アレジ:うん。気持ちいい
マルボロ:夜は涼しくて気持ちいいなあ
アレジ:うん。気持ちいい
マルボロ:……。最近、そーゆー顔多いな
アレジ:……うん。そうかもね
マルボロ:次はどーした
アレジ:…。今日は。何人死んだ
マルボロ:?なにがだ
アレジ:赤い林檎の。異常体。今日は何人、中央に殺された
マルボロ:しらねー。五人くらいじゃね?
アレジ:……そうかあ
マルボロ:ああ。そうだ
0:アレジは顔を隠した
アレジ:マルボロぉ。
マルボロ:どーした
アレジ:僕は。これでいいんだろうか
マルボロ:いいもなにも。てめーがそうするって決めたんだろ。ちげぇのか
アレジ:違わない
マルボロ:どっちがいいとか。どっちが正しいとか、そんなことお前に分かんのかよ
アレジ:分からない。
マルボロ:だよな。俺も分からん。し、誰にもわからん。と。思う。
アレジ:…うん
マルボロ:だから。自分がこーしたいってことをしてんだよ。みんな。いいじゃんな?楽しいじゃん
アレジ:そうだね
マルボロ:で。お前は今。楽しいのか
アレジ:……。分からない。異常体の人権確保は大事だ。僕の、僕らの大きな目標だ。
マルボロ:おう。んだな
アレジ:そんな話が、今。手を伸ばせば届くところに来てる。
マルボロ:そーだな
アレジ:……。分からない。僕らの目標とは、確実に合致しているのに。どうしてこんなにも。何かが、決定的に違う。
マルボロ:…ま。お前は結構ーなんつーか。ほら。チキンだからなーっ!?
アレジ:…
マルボロ:どーーせあれだろ。そのちょっとした違和感を呑み込んで皆に死んでもらうことに罪悪感とか感じちまってんだろ?一丁前によお
アレジ:…そう、だね。そうかもしれない
マルボロ:…。じゃやめるか
アレジ:…え?
マルボロ:俺は再三言ってるぞ。お前がどんな選択をしても。どんな解答をしても。死ぬまでついてってやる。
アレジ:……
マルボロ:どーする。ぜーーーんぶ。ぜんぶぜんぶ投げ出して。やめちまうか
アレジ:…
マルボロ:そーだなぁ。中央に出戻り…は。流石にねぇか。どっかの地方でしずかーーにくらすか。なんかほら。店とかやろーぜ。店とか
アレジ:…マルボロ
マルボロ:…なんだ?
アレジ:僕はね。もう。止まれないんだよ
マルボロ:…
アレジ:これだけの人を巻き込んで。ここに居る。もう、僕一人の意思じゃ止まれない。
マルボロ:へっ。じゃあこのまま突っ走るだけだなっ。至極単純っ。わっかりやすくていーじゃねぇかっ
アレジ:(M)お前はいつも。僕を見透かして笑ってる。
マルボロ:構わねぇ!お前が一人で思い込んじまってる罪悪感も。
アレジ:(M)僕は。逃げたかったんだ。
マルボロ:実際背負っちまってる罪も。
アレジ:(M)罪からも。業からも。それを、たった一人の親友に背負わせてしまっている事実からも。
マルボロ:俺がぜーーんぶ一緒に背負ってやる
アレジ:(M)全て投げ出して、何処かへ。行ってしまいたかった。現実からも。お前からも。
マルボロ:お前が進むってんなら。一緒に行く。
アレジ:(M)「此処」じゃない。「何処か」へ。
マルボロ:俺がお前の親友だから
アレジ:…ああ。
マルボロ:だから。な。笑えよ、アレジ
0:アレジは笑った
アレジ:「ーーーーお前は。どこまで行っても、何度繰り返しても。やっぱりお前のままなんだなあ。」
マルボロ:そりゃそうだ。俺は俺だ。
アレジ:「…ねえ。マルボロ」
マルボロ:なんだ、アレジ
アレジ:「こんなしみったれた世界を。どうにか壊してやりたいと願った。これは確かに僕の願いだ」
マルボロ:おう。
アレジ:「僕はあの日から。もう止まらない選択を選んだんだ。お前となら、何処にでも。何処までも行けるって。心から思ってたから」
マルボロ:…
アレジ:「でも。僕の知ってるお前は。たしかに死んだんだ」
マルボロ:…
アレジ:「行かなきゃいけない。僕のやるべき事を。しっかり果たす為に。もう誰も、何も背負わなくていいように。」
マルボロ:…は。そうか。
アレジ:「…。」
0:アレジは林檎の面を手に持っている
アレジ:「…マルボロ」
マルボロ:「なんだ、アレジ」
アレジ:「僕が世界を救いたいって言ったら。君は僕を笑うかい」
マルボロ:「ああ、笑うさ。柄でもねえ」
アレジ:「はは。だよねえ。」
0:アレジは林檎の面を被る
林檎:「だから。君とはやっぱり一緒に歩けない」
マルボロ:「…。おう。」
0:林檎は歩き出した
マルボロ:「…。アレジ!」
林檎:「…なんだい?」
マルボロ:「ちゃんと、笑ってっか。」
林檎:「…」
0:仮面の下の表情は見えない
林檎:「内緒。」
0:ビルが倒壊する
0:空間がヒビ割れ、黒へ到達する
グランシオラ:『世界の果ては。私だけが見る。姉さんの答えは、私だけが理解すればいい。』
ノエル:「…っこほ…っ。」
グランシオラ:『そこに至るまで。誰も私の邪魔をするな』
林檎:「ーーーScramble」
ノエル:「…!」
グランシオラ:『…は……?』
林檎:「やあ。遅れてごめんよ。」
ノエル:「は、は…ほんっと遅いですよ…っ。」
グランシオラ:『は…?』
林檎:「よくたった一人で戦った。君は強いよ。ノエル・ベルメット。」
グランシオラ:『何故ここにいる。何故私を認識出来る』
林檎:「腕利きの名探偵が居たもんで」
グランシオラ:『無像が…!』
林檎:「Scramble」
0:林檎はノエルを救出する
ノエル:「…っけほっ…こほっ。」
林檎:「状況は」
ノエル:「グラン、シオラの思ったこと、全部が実現する、何でもアリのとんでも空間です。対抗策は、目的意識による、座標の繋がりだけです…っ。」
林檎:「認識が全ての世界か。神の領域だね。」
グランシオラ:『赤い。林檎』
林檎:「30秒だ。グランシオラが他の取り込んだ人間を殺さないよう、30秒だけ、耐えられるかい」
ノエル:「はは…!あの化け物相手に30秒だけって、よく言いますね…っ。」
林檎:「信頼してるからさ」
グランシオラ:『赤い林檎ォ…!』
林檎:「頼んだよ。ノエル」
ノエル:「任せてください。アレジさん。」
グランシオラ:『赤い林檎ォオォオオオッ!!!』
林檎:「Scramble」
0:林檎はその場から姿を消した
グランシオラ:(M)転移した…。いや、認知したのか…!座標の外に逃げられた。だが、30秒で何が出来る
ノエル:(M)ここが、本当にガロ達が見た深淵と同じものなら。
グランシオラ:(M)いや。どうでもいい。何か「意味」がある。ノエル・ベルメットを殺す。
ノエル:(M)一か八か。座標が合うかも分からない。だけど、試す価値は…ある…っ!
グランシオラ:『ぉぉおおおッ…!』
ノエル:「ーーーCONTAIN…ッ…!」
グランシオラ:(M)トリガー…ワード…?
0:鎖がグランシオラに巻き付く
グランシオラ:『…ッ!なんだ、この鎖…!』
レム:『ーーーっっはっはははは!またお呼ばれするとは思わなかったなァ!おい。写本よりもずっとじめついてんじゃねえか…!依代はァ?』
グランシオラ:『…!誰だお前は…!』
レム:『お前が誰だよ。』
0:レムは右腕を振り上げる
グランシオラ:『ーーーッッ…!!』
0:グランシオラの右腕は弾き飛んだ
グランシオラ:『は…?』
ノエル:(M)やっぱりそうだ…!私を認識できてない…!!
ジハン:『コンセントに例えると分かりやすいかな。一つズラすとまた何処かをズラさなきゃ行けないように。どこかのズレはまた何処かのズレがケツを持つことになるのさ』
ノエル:(M)グランシオラと私が見てる景色は全く別物。グランシオラが組んだ配列は、私でも変えられる…!
レム:『お前はタイプじゃねえな。同類は勘弁だ。』
グランシオラ:『待て…その顔…レムか…?』
レム:『あ?あー。ああ、そう見えてんのね。』
グランシオラ:『異物が。遺物が。退け。』
レム:『俺よりもよっぽどハイじゃねえのお…!お前にゃこっちは荷が重かったんじゃねえかァ!?』
グランシオラ:『〜〜ッ…!邪魔を、するな…!』
レム:『はははは!!こっち側の奴とやり合うのは久しぶりだ!!』
グランシオラ:『潰れろッッ!』
レム:『ぶっ潰れろォ!!』
0:黒はヒビ割れ、互いが身体に損傷を負う
レム:『ぉおお…!?』
グランシオラ:『ぶごォ…ッ…!』
レム:『んんんンぁぁあッ…!尖ってるもの持ってませんかァ〜!!思想とかァ!お前、相当どうかしてんなァおい!』
グランシオラ:『く、そが…!』
レム:『気に入った。抱いてやる』
グランシオラ:『クソがァァァァアアッッ!』
レム:『ああ、いや。ここまでか。』
ノエル:「30秒…!きっちりだ!!」
グランシオラ:(M)ーーーノエル・ベルメット…!?レムはどこに行った…!いや違う。そういう認識をしていたのは私か…!?
アストレア:『ーーー定義収束』
グランシオラ:(M)この。座標
アストレア:『鋼』
グランシオラ:『アストレア・アステルか…!!』
アストレア:『チェックメイト。ですよ。』
0:暗転
0:場面転換
0:ノアの箱舟 甲板
ノエル:「…あれ…。外…?」
モルポ:「うおおお!目ェ覚めた!目ェ覚めたぞ!」
ガロ:「ノエル!良かったあ、生きてて!」
ノエル:「ガロ…!?」
ジャイロ:「ったく。一々心配かけさせやがる…!」
カラス:「生きてて何よりだろうが」
ノエル:「皆…!」
ヴァン:「こっちはカタが付いた。見ての通り、ガロンドールが勝ったよ。」
ガロ:「はは、ぶいっ。」
ノエル:「…っ。ナイス…!」
林檎:「よく耐えた。流石だよ、ノエル。」
ノエル:「林檎さんも…!ん。あれ、皆は…!?」
林檎:「大丈夫。気を失っているだけで、命に別状はなかった。僕らを含む全員が、深淵から這い戻ったよ。」
0:アカシ。ジオ。ニーア。アスカ。ネロ。劉淵。イオハロットはその場に倒れている
フェリス:「アカシさん…!起きてください!アカシさん!ジオさん!」
カラス:「寝かせといてやれよ。」
ヴァン:「フェリスちゃん、相当心配してたしな。しゃーないだろ。」
ノエル:「…よかった…。」
林檎:「賭けは。僕らの勝ちだ。ノエル」
ノエル:「そうだ、なんであの空間を…を…?」
ジャイロ:「あぁ〜。ちぃと心臓に悪いかもな…」
モルポ:「いやあ…悪いどころじゃねえって。」
ノエル:「を!?!?」
0:ノエルは思わず見上げた
ビットマン:「遅くなってすまない。中央政府監察局長。ビットマン・ワイス。只今を持ってグランシオラ拘束へ合流する。」
ノエル:「え、ええ…!?」
アストレア:「同じく。中央政府執行部総監督武官。アストレア・アステル。本作戦へ合流します。」
ノエル:「えええ!?中央政府の…!?」
林檎:「うん。寸分違わぬ「最強」だ。正直、来ているかどうかは賭けだったけど。君の性分なら来ると踏んだよ。アストレア」
アストレア:「お初に、でしょう。噂は聞き及んでいます。A級ギルド赤い林檎」
ビットマン:「私とはさっきぶりだがな」
林檎:「はは。水に流してよ。」
ノエル:「頼れる助っ人過ぎるだろ…っ。ああ、違う違う…!グランシオラは…!」
グランシオラ:「…」
0:グランシオラはその場にうなだれている
林檎:「上手く捉えたね。大陸最強は伊達じゃない。流石だよ、アストレア」
0:回想
0:2分前
0:ノアの箱舟
アストレア:「…到着こそしましたが…。」
ビットマン:「…ああ。なんだ。これは。」
0:黒い繭が甲板に拡がっている
ガロ:「誰だお前ら!」
アストレア:「…!」
ビットマン:「…おや。」
モルポ:「なんだー?誰かいたのか?」
ジャイロ:「ったく。また新手じゃねえだろうな…」
ヴァン:「…ぁあ?次はなんなんだよ…」
0:Σ(゜д゜;)
ジャイロ:「おお!?」
ヴァン:「んぉご!?」
フェリス:「ええ!?」
モルポ:「んんむ!?」
カラス:「…?」
ビットマン:「…はは、一躍世界規模の有名人とご対面、か。」
アストレア:「の。様ですね。」
ガロ:「おい!俺の質問に答えろよ、お前ら誰だって!」
モルポ:「バーーカバカバカバカ!あの人たちは中央政府の超お偉いさん方だ…!」
カラス:「中央の連中か。」
ガロ:「なんだ、アスカのダチか。」
モルポ:「非にならねえよ田舎っぺ共…!」
フェリス:「まさかまさかの、大陸最強と名高いアストレアまで出張ってくるかい…」
ジャイロ:「おっっったまげたぁ…」
ヴァン:「流石に予想外が過ぎるぜおい…」
カラス:「悠長に話してる暇はねえだろ。この黒い繭をどうするかだ。」
ジャイロ:「あ、ああ。そりゃそうだ。お前のそう言うアホなところに救われるよ」
カラス:「あ?」
アストレア:「一先ず、状況共有を」
ヴァン:「グランシオラが異常器を使ったら黒い繭が出てきて複数人巻き込んだ状態で引きこもった。以上。」
フェリス:「簡潔〜…!」
ビットマン:「巻き込んだ…か。やはり報告以上だな。異常器とは。」
アストレア:「ええ。よもや人の手に落ちるには早過ぎた代物です」
林檎:「Scramble」
アストレア:「…!」
モルポ:「うわあ!びっくりしたあ!急に出てこないでくださいよ!」
ジャイロ:「おお!?林檎!」
カラス:「生きてたか。」
ヴァン:「はは、当然のご帰還ですかい」
ガロ:「林檎ぉ!無事だったか!」
林檎:「ガロ…!良かった、そっちも無事そうだ…!」
ビットマン:「…。先程ぶりだな」
林檎:「なんだ。やっぱり来てたか。良かったよ、信頼して。君は熱い男だからね。これならナンバーズのひとりや2人…」
アストレア:「…」
0:2人は顔を見合せた
林檎:「アストレア!?!!」
アストレア:「な、なんですかいきなり…」
ガロ:「なんだなんだ、知り合いか?」
林檎:「知り合いというか、うーん。まあ。いや!話してる暇はないし、何より嬉しい誤算だ。アストレア、僕はA級ギルド赤い林檎。今彼らと一緒にグランシオラを倒そうとしてる。ここまでOK?」
アストレア:「はい。」
林檎:「グランシオラはあの黒い繭の中に引きこもった!中では別次元とも取れる異次元空間が広がってる!君の定義収束なら、グランシオラに紐付いてる座標そのものにアプローチを向けられるか!時間が無い!YESかNOで応えてくれ!」
アストレア:「可能です。」
林檎:「中で何人もの人間が食い物にされてる。だったらーーー」
ビットマン:「待て。慎重に動けアストレア。彼らも勿論のそうだが、あの黒い繭の脅威を…」
林檎:「おぉい判断は速くしてくれ!僕らの知り合いだけじゃない、アスカ教官、ネロも…!アンタの可愛い部下も取り込まれてんだぞ!」
ビットマン:「いつアスカがお前の教官になったんだ!」
林檎:「そんな事どうでもいいだろ今は!」
アストレア:「構いませんね。ビットマン。私は林檎の彼を信用しますよ。」
ビットマン:「…。ああ。頼む」
アストレア:「申し訳ない。先日の件で気が立っています。互いの意見を聞き入れる程の余裕が。今。私達にない」
ビットマン:「…同意見だ。攻撃許可を、アステル監督武官」
0:アストレアは手を黒い繭に向けた
アストレア:「正義。執行。」
ヴァン:(M)座標そのものにアプローチって…マクバーンと同じ領域じゃねえか…!
アストレア:「……。見つけた。」
0:アストレアは集中している
ヴァン:(M)いや、ありゃちぃとバグってっからロジック自体は別物だが…!ここまでか、ステージ6…!
アストレア:『ーーー定義収束』
ヴァン:(M)こりゃいよいよ。エンプティでダメだった時の最終手段だな…!
アストレア:『____鋼_』
0:回想終了
ノエル:「ほぇ…一か八かもいい所だけど…」
グランシオラ:「…」
ノエル:「まあ。上手くいったみたいで何より。勝ったんだね、ガロ」
ガロ:「ああ。ギリギリだったけど。しっかり」
ノエル:「はは、負けたら私がぶっ飛ばしてたっつーの。」
モルポ:「けど、これでやっと…だろ…!」
カラス:「ああ。グランシャリノは壊滅。」
ジャイロ:「晴れて解体かよ…!おい!」
ガロ:「…」
0:ガロだけはグランシオラを見つめている
グランシオラ:(M)…理解に及ばない。
:
シャリノウラ:「やあ。グラン」
グランシオラ:『姉さん。』
シャリノウラ:「負けたねえ。こっ酷く。」
グランシオラ:『…』
シャリノウラ:「私達の見た答えは。正しかったんだろうか」
グランシオラ:『私はまだ負けてない』
シャリノウラ:「君以外に残った人員は居ない。中央政府からも最強が出張ってきた。負けだよ。」
グランシオラ:『…違うよ。姉さん』
シャリノウラ:「…」
グランシオラ:『私は。ずっと。姉さんを超えたかった。姉さんの見た景色の。その向こう側を見るまで。姉さんの予想した結末と違う結果を見るまで。私は止まれない。』
シャリノウラ:「…」
グランシオラ:『姉さんが死んだその日から。私は。この世界を構築する全てを否定する為だけに存在しているんだ。』
シャリノウラ:「それが。君が至った答えか」
グランシオラ:『ああ。そうさ。』
シャリノウラ:「…グラン。」
0:シャリノウラはグランシオラに近づいた
シャリノウラ:「人類は常に。毎分毎秒、選択を迫られる。私達は研究者だ。」
グランシオラ:『うん。』
シャリノウラ:『その選択の先に。得たい答えが無いのなら。』
グランシオラ:『全部。壊すよ。』
:
ガロ:「…まだだ。」
モルポ:「え…?」
:
グランシオラ:『そうさ。私は。』
シャリノウラ:『私達は』
グランシオラ:『悪魔になりたいとも言える。』
:
ガロ:「お前ら!!気ぃ抜くな!!」
ノエル:「…!」
グランシオラ:『計画も。プロセスも。いまは必要ない』
モルポ:「はぁぁああ!?」
ジャイロ:「おい、おいおい…!」
カラス:「まだ立ちやがるかよ…っ。」
林檎:「どうなってんだよアストレア…!」
アストレア:(M)確かに鋼で捉えたはず。であればその肉体は、別の何かを依代にしている…!
グランシオラ:『歴史も。暦も。何もかも。一度。最初からやり直そう』
フェリス:「いいよ…何度でも…!」
ヴァン:「負け盤上でオセロ盤ひっくり返すとか、ガキじゃあねえんだからよ…!」
ビットマン:「何処までも行くものだな、探求者というのは…!」
グランシオラ:『この世界は。私達が知る道に、障害物が多すぎる。』
シャリノウラ:『動機は単純』
グランシオラ:『果てを。』
シャリノウラ:『更地となった荒野で。』
グランシオラ:『また会おう……ッ!』
ノエル:(M)次は何が起こる…!!考えろ…!頭が回らない、血も出てる、今すぐ三日三晩寝たいくらい疲れてる…!けど…!
グランシオラ:『定義複合』
ガロ:「最後だ!!絶対にコイツ、ぶっ飛ばすぞ…!!」
0:全員が同時に言葉を放った
ジャイロ:「おう!!」
ノエル:「ああ…!」
カラス:「了解…!」
フェリス:「はいよ…!」
ヴァン:「合点…っ。」
林檎:「うん…!」
モルポ:「おお、おおう!」
ビットマン:「命令を遵守する…!」
アストレア:「命令を遵守します。」
グランシオラ:『ーーーーー天変地異』
林檎:(M)黒い渦が。再びリベールを包む。その広さは限りなく
グランシオラ:『全部。壊そう。姉さん』
ビットマン:「連絡…!リベール一帯、いやフランス全土に正体不明の効果を持った異常性が広がっている…!周囲の警戒を解くな!!」
アストレア:「定義収束…!」
グランシオラ:『飲み込め。』
0:場面転換
0:深淵
0:とあるスラム街
ガロ:「ーーーぉお…!?なんだここ…!」
0:ガロは辺りを見渡す
ガロ:(M)…いや。知ってる。ここが何処か。よく分かる。
0:場面転換
0:とある民家
ノエル:「ーーーッ…また戻ってきたのか…!くそ!」
0:ノエルは当たりを見渡す
ノエル:「…でも。さっきよりよっぽど悪質だな。」
0:場面転換
0:とある洞穴
ジャイロ:「…またここに来るとはよ。」
0:ジャイロは拳握った
ジャイロ:「毎度毎度。嫌なもん見せてくれるぜ。ここは。」
0:場面転換
0:とある屋敷
カラス:「…。そういう事か。」
0:カラスは刀を構えた
カラス:「通りで。深淵と呼ばれるわけだ。」
0:場面転換
0:最奥
グランシオラ:『ーーーようこそ。激動の若人達。』
0:場面転換
0:深淵の外
0:ノアの箱舟
シャリノウラ:『嗚呼。心地良い。』
ヴァン:「おいおい…!アホレンジャー共持ってかれたぞ…!」
林檎:「ていうか顔変わったぞ…!誰だアレ…!」
ビットマン:「シャリノウラ…!」
アストレア:「幻影です…!グランシオラが映し出した投影物に過ぎません!」
シャリノウラ:『可能だ。全てが』
フェリス:「人だけじゃない…!リベールの建物も、何もかも…!飲まれてってる…!!」
モルポ:「あああ!もう終わりだ!終わりなんだ!!」
シャリノウラ:『今はただ。この世界が心地良い。』
ヴァン:「言ってろよどさんぴん…!」
0:ヴァンは発砲
シャリノウラ:『SHIELD』
ヴァン:「…!はぁ…!?」
林檎:(M)さっきとはまた違う…!黒い渦だけが停留してるわけじゃない…!黒い渦が全部飲み込んで、外からの攻撃は急に現れたこの女が捌く…!冗談じゃない、グランシオラに鑑賞してる暇もないじゃないか…!
シャリノウラ:「Skewed」
0:ビットマンが林檎を庇い避ける
ビットマン:「ボサっとするな!」
林檎:「…っ…!」
シャリノウラ:『おぉう。そうか。直接は触れないのか。実体がある。』
林檎:「ガロ…!」
ビットマン:「A級!仮にも組織の上に立つ人間が冷静を忘れるな!!」
林檎:「…!」
ビットマン:「限られた条件、時間の中で最善を尽くすのが我々の筈だ。支える篭手ならば、そうしろ…!」
林檎:「…分かってるよ。本当に熱い奴だ、どうして僕に温情をかけてくれなかったのか不思議でならないよ…!」
ビットマン:「何の話だ…!」
林檎:「こっちの話だよ…!皆!中の方はガロ達に任せる!僕らは外から叩くよ…!」
モルポ:「くっっそぉ〜…!こんなんばっかだぞ…!」
ヴァン:「でもやるしかねぇんだろうが…!」
フェリス:「Automata…!」
アストレア:「LANCE」
フェリス:「Switch・feather…ッ!」
林檎:「Scramble!!」
シャリノウラ:『お…』
0:シャリノウラの首が砕ける
アストレア:(M)執った。確かに。しかし…
シャリノウラ:『おぉ〜…!』
ヴァン:「おい、おいおい…!」
0:が、すぐに骨と肉が象られる
シャリノウラ:『これが、死かぁ…!!』
アストレア:(M)手応えが無い…!
林檎:「はぁ…!?」
モルポ:「はぁぁ!?きしょ!!再生してる!キショ!!」
ビットマン:「焦るな!!本体がアイツじゃないと言うだけだろう…!」
アストレア:「座標自体は、中のグランシオラに繋がっていると。」
林檎:「もういっちょやれるかい、アストレア…!」
シャリノウラ:『Rebellion』
アストレア:「あれを凌ぎながらは。きびしいでしょう。」
林檎:「はは、でしょーね…」
ヴァン:(M)こっちは中央連中以外全員ボロボロだ…!アストレアが居るにしても、消耗戦続きのこっちじゃほぼアストレアのワンマンになっちまう。挙句の果てにはグランシオラより定義の深い阿頼耶識…!
シャリノウラ:『それでは。一手ェ…!』
アストレア:「哀れな妄執です…!」
ビットマン:「戦えないものは倒れてる人間の救助を!!あの渦がリベールを飲み込む前に決着をつけるぞアステル監督武官!」
アストレア:「承知しました…!」
シャリノウラ:『はは…!切羽…!』
0:3人は同時に歩み寄る
ビットマン:「対異常体執行術…!」
アストレア:「定義転換」
シャリノウラ:『定義転換』
0:
ビットマン:「甚・発勁ッッッ!!」
アストレア:「鎖…ッ!」
シャリノウラ:『鉄槌…!!』
0:場面転換
0:深淵
0:とある屋敷
カラス:(M)今は既に。心の奥底に、大切にしまった記憶。
フクロウ:「今日も、とても暖かい。春だね」
ニカク:「言ってる場合ですか…!」
カラス:(M)花弁が、盃に落ちたのを。覚えている。
0:京都。明乃宮
ニカク:「第一、師範代はカラスに甘過ぎます…!こんな何処の馬の骨ともしれないような奴を…!」
フクロウ:「はは、君達は本当に仲が良いね。」
ニカク:「仲良くありません…!」
カラス:「…」
ニカク:「…あ?」
フクロウ:「おや。珍しいね。カラスが食ってかからないなんて。」
ニカク:「変なもんでも食べたか…。まあ、たまにはそういう時があってもいい。お前は野生動物よりよっぽど気性が荒すぎる」
カラス:「…。先生。」
フクロウ:「…なんだい。」
カラス:「アンタには。頂いてばっかりだ。本当に、昔から。」
フクロウ:「…」
カラス:「先生の首を跳ねたのは。恩返しじゃねえ。俺以外に、アンタが殺される事実を受け入れられなかったんだ」
ニカク:「…。」
0:フクロウとニカクの表情は変わっている
カラス:「俺はアンタに。何も返せてねえ。だから、仮とはいえ。こうして会えて、良かった」
フクロウ:「…うん。」
カラス:「ありがとう。先生。」
フクロウ:「…ははは。大きくなったねえ。」
カラス:「…。ニカク」
ニカク:「…。ああ。」
カラス:「お前から繋いでもらったもんを。俺はまだ果たし切れてねえ。」
ニカク:「…」
カラス:「先生から継いだものを。俺達が、繋いでる最中なんだ。」
ニカク:「そうか。」
カラス:「だから。そこ退いてくれ。」
ニカク:「…。」
0:桜が散る
ニカク:「あの時言ったたままだ。」
0:ニカクはカラスの隣を通り過ぎる
ニカク:「行ってこい。カラス」
カラス:「…。ありがとう。」
0:カラスは足を止めた
カラス:「……。」
ニカク:「…はあ。」
フクロウ:「ははは、しょうがないよ。こればっかりは。誰だって足を止めたくなる時はある。」
ニカク:「甘ったれが。」
カラス:「…。」
フクロウ:「生き方を示さねば、親にはなれない。」
ニカク:「共に生きなければ、家族にはなれない。」
0:カラスは笑っている
カラス:「…かたじけねえな。本当に。」
0:二人は刀を構える
フクロウ:「桜華流。奥義」
ニカク:「桜華流。奥義。」
カラス:(M)今の俺の居場所は。アイツらの所だ。
フクロウ:「神楽…!」
ニカク:「神楽…!」
0:景色は切り裂かれ、向こう側には深淵が覗いている
カラス:「…。」
0:カラスは一歩踏み出す
カラス:「行ってきます。」
0:2人は同時に答えた
フクロウ:「行ってらっしゃい」
ニカク:「行ってこい。」
0:カラスはもう一歩踏み出した
カラス:(M)もう止めやしねえ。それは、コイツらに対する侮辱以外の何物でもない。
0:カラスは1歩踏み出した
カラス:(M)ひとつずつ。大切に。繋いで行こう
0:カラスは深淵に足を踏み入れる
カラス:「それが。俺が継いだ意味だ。」
0:場面転換
0:とある洞穴
ジャイロ:「…。」
ラテ:「はあ〜。まさか、本当に帰ってくるなんてね」
ヒュウリ:「どんだけ俺らのこと好きなんだ。お前」
テオ:「あはは、まぁまぁ…」
オーダー:「家族冥利に尽きるねえ」
ジャイロ:「…ああ。大好きだよ。お前らが。」
0:ジャイロは拳握っている
ジャイロ:「大好きさ…!捨てたくても、忘れたくても、何回でも何回でも、事ある事にお前らの顔が過ぎっちまうくらいには、大好きだ…!!」
ラテ:「…」
ジャイロ:「だって。俺の、家族だ…!」
ヒュウリ:「…はは。」
テオ:「丸くなりましたねえ、ジャイロさん」
ヒュウリ:「本当にな。」
ジャイロ:「…お前らを殺してからだ。ヒュウリ、ラテ。」
ラテ:「…うん。」
ジャイロ:「俺は、オーダーと会うのが、嫌で嫌でしょうがなかった…!」
オーダー:「…」
ジャイロ:「だってよぉ。次会ったら殺さなきゃ行けねえ。既に死んじまってて、そこにいること自体が摂理っつーのから外れてしまってるのも分かってる…!殺してやるのが、俺に出来る唯一の事だってのも理解してる…!」
オーダー:「…」
ジャイロ:「本当は会いたかったよ、お前らにも、オーダーにも…!会いたくて、でも会ったら死なせてやらなきゃならなくて…!後悔なんかじゃねえよ…」
0:ジャイロは笑っている
ジャイロ:「こんな選択をするしかねえ、俺の残念な性分に、心底ガッカリだ…!」
ヒュウリ:「…お前には。辛いことばかりを押し付けてしまったな」
ジャイロ:「ホントだよ。本当に。」
ラテ:「ごめん。でも。ジャイロならそうしてくれるって分かってたよ。家族だもん」
ジャイロ:「…っ…そりゃそうだ…家族だから…!」
オーダー:「…。ジャイロ。」
ジャイロ:「…」
オーダー:「大好きだよ。」
ジャイロ:「____…。」
テオ:「…ジャイロさん。立ってください。まだやる事が残ってるんでしょう。」
ジャイロ:「…」
ラテ:「…テオ、あれやりなよ。あれ」
テオ:「あれ?」
ヒュウリ:「ああ、やられたらやり返すべきだな。」
オーダー:「ああ〜…あれか。」
テオ:「ん…あー…!はは、わっかりました…!」
ジャイロ:「…?」
0:4人は立ち上がった
オーダー:「…」
ヒュウリ:「よっこらせ」
ラテ:「全くもって、世話のやける弟だ」
テオ:「ははは、いつかやり返したいと思ってたので、いい機会ですよ」
ジャイロ:「お前ら…?」
0:4人はジャイロの背中を叩いた
ラテ:「ふん!」
ヒュウリ:「そぉら!」
テオ:「ていっっ!」
オーダー:「よっ。」
ジャイロ:「〜〜〜〜っ…!痛っってぇ!!」
0:4人は同時に名前を呼ぶ
ラテ:「ジャイロ!」
オーダー:「ジャイロ」
ヒュウリ:「ジャイロ。」
ラテ:「ジャイロさん!」
ジャイロ:「……。」
0:ジャイロは目を丸くしている
ジャイロ:「…」
0:理解する
ジャイロ:「…ああ。」
0:同時に口を開く
ラテ:「行ってきな!」
オーダー:「行ってらっしゃい」
ヒュウリ:「行ってこい」
テオ:「行ってらっしゃい!」
ジャイロ:「〜〜〜…っ…」
0:ジャイロは拳を強く握った
ジャイロ:「…ああ。ちょっくら行ってくるわ。皆」
0:ジャイロは背を向け歩き始めた
サーティーン:「…。行くか?兄弟」
ジャイロ:「ああ。行こう、兄弟。」
オーダー:「サーティーン」
サーティーン:「なんだよ。クソ親」
オーダー:「ジャイロを。頼んだ」
サーティーン:「…。やっと頼ったな。」
0:サーティーンもジャイロと同じ方へ歩き出す
サーティーン:「任せとけ」
オーダー:「…」
0:6人はそれぞれ別の方へ歩き出す
ジャイロ:(M)後悔はある。アイツらと一緒に死ぬのも悪くなかった。
0:ジャイロは歩いている
ジャイロ:(M)でも。次、後悔の無い選択をするなら。
0:ジャイロは歩いている
ジャイロ:(M)アイツらの所に。帰る事だ。なんせ…
0:二人は立ち止まる
ジャイロ:「…」
サーティーン:「…」
ジャイロ:(M)ここで逃げ出しちゃあ。傷ついちまうからな。名誉が。
サーティーン:「削り取れ」
ジャイロ:「…サーティーン…ッ…!」
0:景色は削り取られ深淵が垣間見える
ジャイロ:「最後にもうちぃとだけ。頼むぜ、兄弟」
サーティーン:「ああ。存分に頼れよ、兄弟」
0:二人は深淵に足を踏み入れた
0:場面転換
0:とある民家
ノエル:(M)思い返すのは。何気無い、私が憧れた刑事と、探偵の背中
ニーア:「ねえ、オーウェンっ。あれ見てよ」
オーウェン:「ああ。見た。行くぞ」
ニーア:「ちょちょちょっ。ちょっと!クレープ屋を見たら食べるっていうルーティンでしょっ。」
オーウェン:「そんなルーティンは知らんっ。遊びじゃないんだ、さっさと行くぞ」
ニーア:「分かってるけどぉ、全力で捜索する為にはそれ相応の準備をしないとさ。それが僕にとってのクレープなんだ。全力を出すために全力を尽くす!ヘルマンだってそう思うでしょ?」
ヘルマン:「私を盾に使うな。警部補に急かされてるんだ、さっさと行くぞ」
ニーア:「そんなぁ〜( ; ; )」
ヘルマン:「とまあ、冗談だ。少し時間もある。いいだろう、オーウェン」
ニーア:「ヘルマンお姉様ァン!」
オーウェン:「なんだ…お前ニーアの味方なのか…」
ヘルマン:「はは、より事件解決に近い方を選ぶよ。私はね」
オーウェン:「はあ…あんまりこのバカを甘やかすなよ」
ヘルマン:「ああ、程々にな」
ニーア:「舐めんな!超賢いわ!」
ノエル:(M)信じたくなかった。あの日々が、無くなったことを。あの背中が、離れ離れになったことを。
ニーア:「ねえオーウェン、ヘルマン。この事件が終わったらご飯食べに行かない?」
ヘルマン:「私は別に構わないが」
オーウェン:「冗談じゃない。お前と関わるのは仕事だけと決めてる。」
ニーア:「いけず。」
ヘルマン:「いけずだなぁ〜それは。流石にな」
オーウェン:「だから、飯なら今行こう」
ニーア:「はは、オーウェンのそういうとこ、好き」
ヘルマン:「なんだかんだとお前のこと好きだからな。オーウェンは」
オーウェン:「知った口を聞くな」
ニーア:「はは、ツンデレだ。ツンデレ」
ヘルマン:「やっぱりそっちの属性か」
オーウェン:「おい。飯行かないぞ」
ニーア:「冗談だってばぁ!いけずぅ!」
ノエル:(M)私は。誰かの為に謎を暴くわけじゃない。私は、私の為だけにこの頭を使ってる。だから、探偵だなんて名乗る資格は無いんだ。兄さんがそうだった様に。私は、そうじゃないから。
0:回想終了
0:深淵-白い空間
オーウェン:「ノエル」
ノエル:「…」
オーウェン:「お前は…昔からヘタレだな。本当に」
ニーア:「それ。君が言う?」
ヘルマン:「…!ここは…」
ノエル:「…」
ヘルマン:「…ニーア…?オーウェン…!」
オーウェン:「…久しぶりだ。ヘルマン」
ニーア:「はは、久しいね。流石に老けたかい」
ヘルマン:「…そうか。…ああ、なんだ。いや。もう今のリベールで何が起こってもおかしくは無いな。」
オーウェン:「ノエル。さっきも言った。敵が何かは、もう分かるだろ。」
ノエル:「…はい。」
オーウェン:「…示すべき背中を見せてやれなかったのは、本当に申し訳ないと思っている。すまなかったな、あんな形でしか、贖罪できなくて」
ノエル:「…ホントですよ…」
ニーア:「大丈夫。僕の妹は強いよ。だってほら、見てよ。こんなに、大きくなったんだ。」
オーウェン:「…ああ。本当に。大きくなった」
ヘルマン:「…。ノエル」
ノエル:「はい…っ」
ヘルマン:「私達は、逃げてしまった。あれ程の何かに立ち向かうお前は、充分強い。」
0:ヘルマンはノエルの頭を撫でた
ヘルマン:「誇れよ。」
ノエル:「…はい…っ。」
ニーア:「さて、それじゃあ。僕とノエルはまだ解決しなきゃいけない事件があるから。先に行くよ」
オーウェン:「ああ。行ってこい。」
ヘルマン:「…私も。やるべき事をするよ。」
オーウェン:「…ああ。お前なら出来る」
0:4人は別々の方向を向いた
ノエル:「…」
0:ノエルの足は止まった
ノエル:「オーウェンさん…!」
オーウェン:「…なんだ?」
ノエル:「この、ばーーーーかっ!」
オーウェン:「…」
0:ノエルは背を向け歩き始めた
オーウェン:「…はは。」
ヘルマン:「あんな口を叩かれるようになるなんてな」
オーウェン:「ああ。生意気だけは変わらん。」
ヘルマン:「…あの時。お前と一緒に歩めなくて。ごめんな。」
オーウェン:「馬鹿言うな。俺が勝手に道逸れただけだ。お前は何も悪くない」
ヘルマン:「ちげえよ。」
オーウェン:「…?」
ヘルマン:「友達なら。一緒に罪を被ってやるのも悪くねえって思っただけだ」
オーウェン:「…はは。俺とお前がか」
ヘルマン:「はは。ああ、そうさ」
オーウェン:「冗談。お前達と絡むのは仕事だけと決めてる。だから、これでいい。」
ヘルマン:「…まあ。お前ならそう言うと思ったさ。」
オーウェン:「じゃあな。ヘルマン」
ヘルマン:「ああ。じゃあな、オーウェン」
ニーア:「…」
オーウェン:「…。」
0:二人の間に言葉は無い
オーウェン:「ノエルを。頼んだぞ、相棒」
ニーア:「勿論。」
0:2人もまた互いに背を向けた
ニーア:「じゃあね。すぐ行くよ、相棒」
オーウェン:「…ああ。待ってる。」
ノエル:(M)憧れた背中を追うのは。もうやめだ
0:ノエルは足を踏み出した
ノエル:(M)私にはもう。今、一緒に歩いてくれる背中がある。しっかりと、顔の見える皆が。
0:ノエルの足取りは決して重くない
ノエル:(M)だから。暫くは、アイツらと一緒に歩くよ。
0:ノエルは深淵に足を踏み入れた
ノエル:「私はノエル・ベルメット。」
0:帽子を被り直す
ノエル:「____自他ともに認める名探偵だ」
0:場面転換
0:深淵
0:最奥
グランシオラ:「____また来たか。」
ノエル:「ああ。」
0:3人は同時に口を開いた
ノエル:「お前をぶっ飛ばしに来た」
ジャイロ:「テメェをぶっ飛ばしに来たよ。」
カラス:「お前をぶっ飛ばしに来たぞ」
グランシオラ:『やっぱりお前達は。私の天敵だ。』
ジャイロ:「よお。すぐに会えると思ってたぜ、お前ら」
カラス:「ああ。微塵の心配もなかったな。」
ノエル:「うん。ほんとーーに。何ならちょっとスッキリしてるもんね」
カラス:「同意見だ。」
ジャイロ:「ああ、よく見え過ぎちまう」
グランシオラ:『一時間後にはフランスを。5時間後には大陸を。24時間後には世界が深淵に伏す。足掻くな、猿が』
ノエル:「だったらそれまでにケリ付けるさ」
ジャイロ:「…ガロはまだ来てねえが」
カラス:「心配することぁねぇだろ。アイツは」
ノエル:「うん。絶対に大丈夫。なんせ私達のリーダーだ。」
0:場面転換
0:ノーザンブリア
ガロ:「…」
0:ガロは夜空を眺めている
ガロ:(M)ああ…
0:夜
ガロ:(M)綺麗だな。
0:場面転換
0:深淵の外
0:ノアの箱舟
林檎:「Scrambleッッッ!!」
アストレア:「Sword…!」
0:攻撃は防がれる
シャリノウラ:『iron・maiden…!!』
0:すかさず追撃
フェリス:「Switch…!」
ヴァン:「対異常体執行術」
ビットマン:「無手勝流…!」
シャリノウラ:『SCRAP』
0:フェリスの体は捻れる
フェリス:「がはッ…!」
ヴァン:「ちっ…!フェリスちゃん!」
ビットマン:「嘉槌ッッ!」
0:拳がめり込む
シャリノウラ:『ぉお…!やっぱり一味違うねえ、ビットマン…!』
ビットマン:「ごほ…っ。そりゃあ、まだまだ現役ってことか…!ありがたいな…!」
シャリノウラ:『契約』
アストレア:「…!SHIELD…!」
シャリノウラ:『堕落展』
0:無数の腕がそれぞれを弾く
林檎:「ごぼッ…!」
ヴァン:「ッ…かは…!」
フェリス:「おえ…っ…!」
ビットマン:「ぐぼぉ…!」
モルポ:「びゃああっ!」
林檎:(M)これは、まずい…!グランシオラの時よりも、定義が深い…!
シャリノウラ:『突いて終いだ。』
アンドン:「ぉぉおおおおおッッ…!」
マーレ:「だああああああっ…!」
0:アンドンとマーレが腕を抑える
フェリス:「…!ギャングの…!」
アンドン:(M)リベールの保護どころではなくなったから来てみたら…冗談じゃない…!なんだこの馬鹿力は…!!
マーレ:「ボス…!これは、まずいかも…!」
アンドン:「わかっ、ている…!」
アスカ:「ーーぉぉおああああッ…!」
ネロ:「だぁああああッ!」
0:アスカとネロも腕を止める
シャリノウラ:『ほお…!』
ビットマン:「お前達…!」
アスカ:「来て、らっしゃったんですね、局長…!」
ネロ:「いつまでも格好悪い姿ばかり見せられんだろう…!」
アスカ:「まったく、だな…!」
シャリノウラ:『左翼』
ルーファス:「ぁぁあああああッ…!」
ジェバンニ:「ぉぉおおおお…ッ!」
ヴァン:「ルーファス、ジェバンニ…!やっぱ来たか…!」
ルーファス:「そりゃまあ…!」
ジェバンニ:「こっちも抑えるでしょう…!」
0:二人は左の腕を止める
アンドン:「リベール解放組も、参戦する…ッ!」
マーレ:「正念場でしょ…!何がなんでも止めるよ…!」
林檎:「ってことは…!」
シャリノウラ:『正面』
ジオ:「突風…!旋毛…ッ!」
アカシ:「だぁああありゃあああッ…!」
林檎:「やっと起きたか…!禄戀会の…!」
アカシ:「当たり前じゃ…!」
フェリス:「アカシさん…!ジオさんも…っ。」
ジオ:(M)出力が落ちてる…!抑えきれねえぞ…!
アカシ:「後輩諸君!!出番じゃ!」
劉淵:「合点です!!」
イオハロット:「先輩の顔を立たせずして後輩は務まらねえからな…ッッ!」
0:夥しい腕を止める
劉淵:「ぉぉおおおお…!」
イオハロット:「だぁぁあありゃぁああ…ッ!」
モルポ:「お、おふたりー!」
シャリノウラ:『定義拡大。』
ビットマン:(M)まだだ…!まだ追撃が来る…!
アストレア:「定義収束…ッ!!」
シャリノウラ:『論・阿頼耶識』
0:腕がアストレアを貫く
アストレア:「ごぶッッ…!」
林檎:「アストレア…!」
アストレア:「構いません、迎え撃ちます…!!」
ルーファス:「これだけ揃っていてまだ太刀打ちできなとか…!こんな化け物とやり合ってたのか、お前らは…!」
劉淵:「そうだとも…!来るのが遅い…!」
ルーファス:「黙れギルド…!これでも超特急で来たんだ…!!」
ジェバンニ:「右翼!!もう少し力入れてください!!押し切られますよ…!」
アンドン:「無茶言うぜ老体にぃ…!」
ネロ:「…ッ…!」
ビットマン:「こっちは俺が行く…!赤い林檎!左翼カバー!」
林檎:「非力なんだぞ僕は…!」
ビットマン:「なんとしても耐え凌げ…!中でガロンドール一行がグランシオラを捉えるまでだ…!!」
レーヴェ:「Steins・BORROW…ッッ!」
林檎:「…!」
モルポ:「!?」
フェリス:「え…」
レーヴェ:「NEO・BURSTッッ!」
0:腕を弾く
シャリノウラ:『…!そうか、まだ君が残っていたか…!』
林檎:「レーヴェンシュタイン…!?」
アカシ:「お前ぇ…!!」
モルポ:「ななな、なんだよ…!まだやんのかよお前…!!」
フェリス:「構ってる暇ないよ…!いや本当に…!」
ヴァン:「ふざけ倒しやがって…!」
ビットマン:「彼は味方か!敵か!」
林檎:「敵だったけど…彼の事なんか誰も分からないよ…!」
レーヴェ:「答えを変えやがったな。グラン」
シャリノウラ:『…』
レーヴェ:「その景色には。興味がねえ。」
アンドン:「敵じゃなさそうだが…!?」
ヴァン:「味方だとしたらこれ以上なく心強いがよ…」
林檎:「どういう風の吹き回しだい、レーヴェンシュタイン」
レーヴェ:「夢の続きを、見に来たんだ」
シャリノウラ:(M)中で何が起こった。座標の混戦が著しい。グラン…。
0:場面転換
0:深淵
0:ノーザンブリア
ガロ:「…」
レーヴェ:「綺麗だな。夜」
ガロ:「…レーヴェ。おう。滅茶苦茶綺麗だ。」
レーヴェ:「俺はさ。この空が見れればそれで良かったんだよ。でも、お前はそうじゃねえんだよな」
ガロ:「…ああ。皆で見なきゃ。意味が無い」
レーヴェ:「…」
ガロ:「一人で勝ち取った景色になんか。微塵も興味が無い」
レーヴェ:「そうか。」
アイネス:「…あー。兄弟水入らずだったか?」
ガロ:「アイネス…!」
レーヴェ:「おお、さっきのイケメンガール」
アイネス:「まったく。凹たれてるかと思ったが。そうでも無いらしい。」
ガロ:「おう。ちょっと空が綺麗だったからよ。」
アイネス:「お前に言いたいことはもう言った。私はもう力を貸してやれん。だから、後はお前がやるべき事をやれ。」
ガロ:「…おう…!」
レーヴェ:「なに。死んだのお前」
アイネス:「実質お前のせいでな」
レーヴェ:「あちゃ〜。そりゃ悪ぃことしたな。」
アイネス:「悪いと思ってるなら力を貸したらどうだ。」
レーヴェ:「ええ。」
ガロ:「…。レーヴェ」
レーヴェ:「なんだよ?」
ガロ:「さっきも言った。俺は皆で勝ち取りたいんだ。」
レーヴェ:「おう。」
ガロ:「それは、レーヴェだって同じだ。本当は、一番最初は、俺達二人で色んな景色見に行こうって話だったろ」
レーヴェ:「…」
ガロ:「俺の冒険譚には、お前も居て欲しいんだ」
レーヴェ:「はぁ〜。」
アイネス:「そういう事だ。男見せろよ、お兄ちゃん。お前もどうせ馬鹿だろう」
レーヴェ:「ああ、馬鹿だ」
ガロ:「レーヴェは。お前も含めた、俺がかき集めた、最っっ高の冒険譚。見たくないか」
レーヴェ:「…さっきお前が言った通りだ。あれもこれも、元はと言えば俺らで見ようって言った景色だ。」
ガロ:「おう。」
0:レーヴェは頭をかいた
レーヴェ:「見たいね」
ガロ:「へへ。じゃあ、俺の仲間になれ。レーヴェ」
レーヴェ:「そうそう。そういう傲慢さが無いとな。そういうのは大好きだ」
アイネス:(M)兄弟か。まさしく、似た者同士じゃないか。対極にあれども、行き着く先は同じだ
ガロ:「じゃあ。行ってくるよ、アイネス」
アイネス:「ああ。行ってこい。ガロンドール」
ガロ:「本当に。ありがとう」
アイネス:「要らん。さっさと行け」
レーヴェ:「はは、俺好きだなあ。ああいうタイプのやつ。」
ガロ:「ああ。俺も好きだ」
アイネス:(M)くどいのは好きじゃない。
レーヴェ:「Steins・BORROW」
アイネス:(M)言う必要すらないと思った。
ガロ:「GRID・BORROW」
アイネス:(M)口に出して二度は言わんが。
レーヴェ:「NEO・BURSTッッ!!」
ガロ:「FURU・BURSTッッ!!」
0:空がひび割れる
アイネス:(M)勝てよ。ガロンドール
0:場面転換
0:ノアの箱舟
レーヴェ:「弟の今一番の大勝負だ…!!踏ん張れよ、お前らァ!」
フェリス:「なんでさっきまで敵だったやつに命令されなきゃ行けないってのさ…!」
モルポ:「ままままったくだぁ!」
レーヴェ:「ははは、よろしくなぁお前ら」
モルポ:「馴れ馴れしいんだよっ。まじで兄弟なんだなお前ら!」
アストレア:「ビットマン!指揮を!」
ビットマン:「ーーーこれは賭けだが!!中と外、両側から叩く必要があると踏んだ!!本体は中に潜むグランシオラだが、その依代自体は外側の彼女だ!どちらの首も断ち切らなければ勝負は付かない!!つまるところは総攻撃だ!!」
アスカ:「了解しました…!」
ネロ:「了解です…っ。」
アストレア:「分かりました」
ビットマン:「総員!!死力を尽くせッッ!!命の賭け時だ!!」
0:その場の全員が気合いの声を上げる
ネロ:「はい!」
アスカ:「はい…!」
ヴァン:「ああ!」
フェリス:「押忍!」
モルポ:「へい!」
レーヴェ:「おう」
アストレア:「はい…!」
劉淵:「ああ!」
イオハロット:「あいよ!」
ジェバンニ:「はい…!」
ルーファス:「ああ…!」
アカシ:「合点村!」
ジオ:「合点!」
アンドン:「おう!!」
マーレ:「うん…!」
林檎:(M)勝つよ。ガロ…!
0:場面転換
0:深淵
0:最奥
ガロ:「遅くなった…!」
カラス:「ガロ…!」
ジャイロ:「やっと来たかよ、寝坊助が…!」
ノエル:「遅刻は上等。もう慣れたよ…!」
カラス:「兎にも角にもこれで、全員揃ったな…!」
ジャイロ:「ああ…!」
グランシオラ:『何奴も此奴も。有象無象が寄って集って…』
ガロ:「よお。お前と面と向かって話すのは、あの時以来か。グランシオラ」
グランシオラ:『私達の邪魔をするな…!』
ガロ:「元はと言えばお前が吹っ掛けてきた喧嘩だからな。これは」
ノエル:「おお、アホのくせに正論」
ジャイロ:「ぐうの音も出ねえだろうよ…!」
カラス:「ああ。手前から抜いた錆だ。今更鞘に収めるだなんて都合のいい話はねえわな。」
グランシオラ:『全部だ。私の全部をくれてやる。コイツらを殺せ…!!殺せぇ…ッ!』
ノエル:「正真正銘、最終ラウンドだ…!」
ガロ:「おう、行くぞ…!お前らァ…!!」
0:全員が同時に返事をする
ノエル:「ああ!!」
ジャイロ:「応!!」
カラス:「おう!!」
0:それぞれの場面が錯綜する
0:ノアの箱舟
ビットマン:「左翼!!」
ルーファス:「ジェバンニ!!」
ジェバンニ:「ああ!合わせろよ…!」
ヴァン:「フェリスちゃん、行けるか!」
フェリス:「勿論…!!」
0:2人は同時に蹴りかかる
ルーファス:「ぉぉおおおおおおッッ!」
ジェバンニ:「はぁぁああああッッ!」
シャリノウラ:『…ッ…!』
ヴァン:「対異常体執行術…ッ!」
フェリス:「Automata…ッ!」
シャリノウラ:『定義転換…ッ!』
モルポ:「こんの、馬鹿野郎がぁああっ!」
0:殴るがダメージなし
シャリノウラ:『…』
モルポ:「あ、すみません。」
ジェバンニ:「今です!!」
ルーファス:「叩け、ヴァン、禄戀会の…ッ!」
フェリス:「Switch…ッ!」
ヴァン:「よくやったモルポ!」
フェリス:「featherッッ!」
ヴァン:「轆轤ォ…ッッ!」
シャリノウラ:『おぉ…!』
ルーファス:「もう一押し…ッ!」
ジェバンニ:「欲しいところです、ね…!」
ヴァン:「はは、頼れるね…!」
0:追撃
ジェバンニ:「はぁぁあああッ!」
ルーファス:「ぉぉおおおおッッ!」
0:腕を弾いた
シャリノウラ:『…!』
ヴァン:「流石軍学校主席ども!腕は落ちてえな!」
ルーファス:「お前は鈍ったな」
ジェバンニ:「そんな事よりも…!」
フェリス:「道は開いたよ…!次!!」
0:場面転換
0:深淵
ノエル:「カラス!!」
カラス:『塗りつぶせ。八咫烏』
ノエル:(M)出来るはずだ…!目的意識さえ合わせれば…!!実体以上の座標を結べるはずだ…!!
グランシオラ:『潰れろ…ッッ!』
ノエル:(M)こいつの目的意識を潰せ…!!私に考えられる可能性の全てで上塗りしろ…!!
フクロウ:「桜華流・奥義」
ニカク:「桜華流・奥義」
カラス:「桜華流・奥義…!」
グランシオラ:『…ッッ!?』
0:三人は同時に刀を抜いた
フクロウ:『神楽ッッ!』
ニカク:『神楽ァアッ!』
カラス:「神楽ぁぁああッ!」
グランシオラ:『ごぽッ…!』
0:場面転換
0:ノアの箱舟
ビットマン:「右翼、行くぞ…!!」
ネロ:「はい…!」
アスカ:「はい!」
シャリノウラ:『SHIELD』
アンドン:「ぉぉおおおおおッッ!」
マーレ:「おぉぉおおりゃ!!」
アンドン:「叩けるだけ叩けマーレ!!少しでも多くだ!」
マーレ:「了解!!」
0:3人は同時に構えた
ネロ:「対異常体執行術…ッッ!」
アスカ:「対異常体執行術…!」
ビットマン:「対異常体執行術ッ!」
0:2人は同時に攻撃した
アンドン:「どおぉおおっっせいーーッッ!!」
マーレ:「ぉぉおおおおりゃああっ!」
0:3人は同時に攻撃した
ネロ:「人・発勁ッッ!」
アスカ:「陣・発勁ッッ!」
ビットマン:「甚・発勁ッッッ!」
0:縦が壊れる
シャリノウラ:『…!冗談だろう…!これほどかい…!』
0:場面転換
0:深淵
グランシオラ:(M)身体が崩れる。何故だ。姉さん。姉さんの方か…!
ノエル:「ジャイロ!」
0:頭痛が走る
ノエル:「…っ!」
グランシオラ:『握りつぶせ…ッッ』
ノエル:「しまった…!」
グランシオラ:『ぉぉおおおおッ…!』
オーダー:「clock」
0:攻撃は静止する
グランシオラ:『はあ!?』
オーダー:「ここまでみたいだね、グランシオラ」
グランシオラ:『…オー…ダー…ッ!貴様…!』
オーダー:「息子たちの晴れ舞台だ。親として。格好つけさせてもらうよ」
グランシオラ:「この、亡霊がぁぁあああっ!」
オーダー:「ROCK・ON」
サーティーン:「JACK・The・ripperッッ!」
ジャイロ:「Adsorption…ッ!」
ノエル:「噛ませ、ジャイロぉおおっ!」
カラス:「行け、アロハ…!」
グランシオラ:『くそが…!くそ、くそくそ…ッ!』
ジャイロ:「持ってきたなあ、最高の一発ゥ!!」
グランシオラ:『無像がぁぁあああッ!』
ジャイロ:「Refundォオッ!!」
グランシオラ:『ごぶッッ…!!』
0:場面転換
0:ノアの箱舟
ビットマン:「正面自陣ッッ!!」
アカシ:「Rebellionンンッッ!」
ジオ:「mode・川柳ッ…!」
アストレア:「定義拡大」
シャリノウラ:『Scramーーーー』
林檎:「Scrambleッッ!」
0:シャリノウラは定位置に戻される
シャリノウラ:『…っ!』
林檎:「やっぱり姉妹。二の轍を踏む…!後は頼んだよ脳筋チーム!!」
アカシ:「ぉぉおおおおおラッッ!!」
ジオ:「突風・迅雷ッッ!」
アストレア:「LANDS・RAINッッ!」
シャリノウラ:『ごぼォッ…!!』
ビットマン:「仕上げだ!!叩け!!」
劉淵:「飛ばすぞ君!!」
レーヴェ:「おう!思いっきり頼む!」
イオハロット:「ッッしゃッ!宇宙の果てまで飛んでけ!」
0:2人はレーヴェは投げ飛ばした
劉淵:「ォォオオオオラッッ!」
イオハロット:「ぉぉおおおおおッッ!」
レーヴェ:「うっひょぉーーーっ!」
シャリノウラ:『契約…ッッ!』
アストレア:『鎖…ッ!』
シャリノウラ:『…ッ!アストレア・アステル…!』
アストレア:「それはあまり見たいものでもないので。」
林檎:「最後だ、噛ませよレーヴェンシュタイン!!」
レーヴェ:「Steins・BORROW…ッッ!」
0:場面転換
0:深淵
ノエル:「最後だ、ガロォ!!」
グランシオラ:(M)度し難い。ただの遊びだった筈だ。コイツらは、叩けば落ちる羽虫だったはずだ。
ジャイロ:「最高の一発ぶち込め!!」
シャリノウラ:(M)度し難い。人の可能性に失望していた筈だ。ナイフで悪魔は殺せないはずだ。
カラス:「言葉もねえ!任せるぞ、ガロ…!」
グランシオラ:『度し難い…ッ!!』
ガロ:「GRID・BORROW…ッ!」
シャリノウラ:『度し難い…!!』
0:3人は同時にガロの背中を押した
ノエル:「やっちまええっ!」
ジャイロ:「いけやぁあああっ!」
カラス:「ぶっ飛ばせ…っ!」
グランシオラ:(M)____ああ。遠い。
ガロ:「FURU・BURSTォォオオオッッ!」
レーヴェ:「NEO・BURSTォォオオオッッ!」
0:異常期が破壊される
0:大爆発
0:方舟は高度を落とす
林檎:(M)1991年。12月28日。22時45分。
受付:「…ヴァーバラさん…」
ヴァーバラ:「…ええ。ノアの箱舟が。落ちている」
受付:「リベールを覆ってた渦も消えましたし…まさか…!」
ヴァーバラ:「…はい。本当に。勝ったのでしょう」
受付:「〜〜〜っ…。ホント、無茶苦茶するなあ、あの人たち…っ!」
ヴァーバラ:「はい。お見逸れしました…っ。」
0:ノアの箱舟
グランシオラ:「____…っ。」
0:グランシオラの顔中から血が流れ出ている
林檎:(M)約24分。フランス リベール市を初めとしたヨーロッパを蝕む黒い渦は消失。
0:4人は息絶えだえ
ガロ:「はぁ…はあ…っ。あれ。」
ジャイロ:「あ…?なんだ、戻ってきたのか…っ。」
カラス:「…やっとか。」
ノエル:「はあ、はあ……っぽいね。」
ヴァン:「お疲れさん。アホレンジャーの一行」
フェリス:「ガロ…!皆っ!!よかったぁ…っ。」
カラス:「お前ら…。」
モルポ:「アホレンジャァァァァっ!よく帰ったぁああ!」
ガロ:「おぉーーっ!皆ー!」
マーレ:「よかった…」
アンドン:「がはははっ!アイツらがそう簡単に死ぬタマかよ!なあ、ウルカレットの!」
ルーファス:「馴れ馴れしくするな」
ジェバンニ:「ですが。はい、本当に。無事でよかった。」
ガロ:「おお、良かった…!みんな無事なんだな…!」
劉淵:「やはり新生の風は、全て吹き鳴らすものだ。凄いな、彼らは」
イオハロット:「ああ。一年そこらで立派になりやがって。」
劉淵:「そう考えると涙が出てくるな。出ないが」
イオハロット:「出ねぇのかよ。」
林檎:「…ガロ。おかえり」
ガロ:「…。おう!ただいま!」
0:二人はハイタッチした
レーヴェ:「おい。こういうのは兄に譲らせろや」
林檎:「嫌だね。」
ガロ:「はは、レーヴェも。ただいま」
レーヴェ:「おう。おかえり」
ジャイロ:「これで。やっと終わりか…っ。」
ノエル:「…うん。」
ビットマン:「で。問題は。彼女をどうするか、だが。」
グランシオラ:「…。」
0:グランシオラは地面を見つめている
グランシオラ:(M)姉さん。
0:グランシオラは地面を見つめている
グランシオラ:(M)姉さん。
0:グランシオラは地面を見つめている
グランシオラ:(M)…姉さん。
0:返事は無い
グランシオラ:(M)…あれほど。姉さんと同じ景色が、鮮明に見えたのに。
0:グランシオラは地面を見つめている
グランシオラ:(M)今はただ。底しか見えない。
ヘルマン:「…。リベール市警捜査一課。ヘルマン・ゼップバーンだ。」
ガロ:「ヘルマン…!」
ヴァン:「おお…リベール市警の」
ノエル:「ヘルマンさん…」
ヘルマン:「…。本当に。凄いな。お前たちは」
0:ヘルマンはグランシオラに近付いた
ヘルマン:「グランシオラ・ルルカブル。殺人、拉致、不法占拠、監禁、器物損壊。余罪も含め。言い逃れのしようも無い。」
グランシオラ:「…」
ヘルマン:「お前を。現行犯逮捕する。」
0:ヘルマンはグランシオラに手錠を付ける
グランシオラ:「……逮捕…?」
ヘルマン:「…」
グランシオラ:「…私が?」
ヘルマン:「…」
グランシオラ:「……巫山戯るな。」
0:グランシオラは目を血ばらせている
グランシオラ:「巫山戯るな…!有象無象共が…っ!」
0:グランシオラは走り出した
モルポ:「あ!!アイツ!逃げるぞ!!」
ノエル:「いいよ。」
モルポ:「いや、でも…!」
ノエル:「いいんだ。もう。」
グランシオラ:「くそ…!くそ…っ。」
0:グランシオラは足に力が入らず転ける
グランシオラ:「ッ…巫山戯るな…っ。私は…まだ…っ。そうだ…!レーヴェ…!!」
レーヴェ:「…」
グランシオラ:「何をしている…!レーヴェンシュタイン…ッ…!殺せ、そいつらを、殺せ…っ!なんの為にお前を拾ったと思ってるんだ…!」
レーヴェ:「…。」
グランシオラ:「思えば…そうだ…!お前が余計なことをしなければ、こうなる前に潰せた事だった…!貴様が敗因だ…!」
レーヴェ:「おう。そうだな。」
グランシオラ:「私は負けてない…!私達は…!」
アカシ:「見てられんのう。」
ジオ:「まあ。腐っても同じA級だった訳で。追い詰められると本性が出るとは言うが…」
アカシ:「どうじゃろうな。あれだけ何でもありの事象を我が物としとったんじゃ。その末路があれなら、納得も納得。安いもんじゃろう」
ジオ:「一丁前に頭使った発言しやがる。」
ガロ:「…。」
ジャイロ:「…おい。グランシオラ」
グランシオラ:「なんだ…!私の名前を呼ぶな、寄り身も無い愚図が…!」
ジャイロ:「お前みたいな奴に。オーダーは利用されたのか。」
グランシオラ:「は…?」
0:ジャイロはグランシオラの胸ぐらを掴んだ
ジャイロ:「人の命を奪うなら、奪うなりの覚悟ってもんがある筈だろうが…!そんなみっともねえ姿晒してんじゃねえぞタコ…!」
ノエル:「ジャイロ…」
ジャイロ:「そうじゃなきゃあ、お前に殺された人間も、俺の家族も、お嬢の兄貴だって…!」
グランシオラ:「黙れ」
ジャイロ:「傷付いちまう…!名誉が…!!」
グランシオラ:「黙れぇえっ…!」
0:グランシオラは力なくジャイロを引き剥がしまた逃げる
ジャイロ:「…っ…。」
グランシオラ:「くそ…!くそ…っ。」
0:グランシオラは激しい頭痛に見舞われる
グランシオラ:「あぁああ…ッ…!誰か…!誰でもいい…!コイツらを、殺せ…!!」
0:痛みが増し、錯乱状態に陥る
グランシオラ:「オーウェン…っ。オーダーは、どうした…っ。アリアンロードはぁ…!」
ガロ:「…」
グランシオラ:「アガットォ…っ…!」
アガット:「____ああ。ここに居るぜ。姉御。」
グランシオラ:「…!」
ヴァン:「…!槍の…」
フェリス:「アガット・スロンファー…」
カラス:「今更何しにきやがった」
アガット:「…。さあ。何しに来たんだろ」
グランシオラ:「アガット…っ。命令だ…っ。コイツらを殺せ…!私を逃がせ…!この場さえ切り抜ければいい…!次だ、次は徹底的に…!」
アガット:「姉御。」
グランシオラ:「なんだ…!」
アガット:「もう駄目だ。」
グランシオラ:「……は?」
アガット:「わっしらの負けだよ。姉御」
カラス:「…」
グランシオラ:「…何を言ってる…。私の命令だぞ…アガット…!」
アガット:「…。ヘルマン」
ヘルマン:「…ああ。」
アガット:「ここまでだ。連行しろ」
0:アガットは潔く手首を差し出している
グランシオラ:「…巫山戯るな…私はまだ…」
アガット:「姉御。わっしらみたな人間が、いつもの自分を曲げた。その時点で、もう負けてたんだよ。」
グランシオラ:「結果論だ…!それは次の糧になる…!」
アガット:「次はない。「私」はもう。戦えない」
グランシオラ:「ふざける…な…」
0:頭痛は耐え切れないほどに響く
グランシオラ:「…ッ…」
ヘルマン:「…。私には。お前達を裁く権利が無い。私も、沢山の業から目を背けて来た。同罪さ。」
グランシオラ:「わかった口をきくな…」
ヘルマン:「でも。これでやっと。アイツらの勝ちなんだ。だから今は、他の誰でもない。法の下で、裁かれてくれ」
0:グランシオラの耳には既に言葉は入っていない
グランシオラ:「…」
アガット:「…姉御」
グランシオラ:「____姉…さん。」
0:気を失う。
アガット:「安心してくれ。どこまで行っても。わっしはアンタについて行くよ。」
ヘルマン:「…。」
林檎:「終わり。かな」
レーヴェ:「ああ。流石にな」
アガット:「…レーヴェ。お前、本当に好き勝手やりすぎなんだよ。」
レーヴェ:「おう。すまん。」
アガット:「…まあ。いいけどよ。別に」
ヘルマン:「…。」
アガット:「悪かったな。お前ら」
ガロ:「…。」
アガット:「分かってるよ。謝って済まされることじゃねえ。姉御も、わっしも。死んだ所で償い切れると思う程馬鹿じゃない」
0:アガットは空を見ている
アガット:「…。もはや弁明する気もねえが。まあ。正義は勝つっていうしな」
ヘルマン:「…。すまないな、中央政府の。貴方達を飛ばして市警が割り込みするなど」
ビットマン:「…。構わない。後ほど身柄は引き渡してもらうが。今は、君達のするべき事だろう。その権利がある」
ヘルマン:「…感謝するよ。」
0:ヘルマンはアガットにも手錠を付ける
ヘルマン:「…」
アガット:「…。はは。こりゃいい。」
ニーア:「…。解決に向かっているところ。ごめん。」
ノエル:「…!兄さん…!」
レーヴェ:「ニーア?」
アガット:「…」
ニーア:「グランシオラが所有していた異常器は破壊された。けれど、電子機器は正常に動いていない。」
ノエル:「…」
ニーア:「つまり。今リベール一帯を囲っている電子機器の停止現象は。この方舟自体に組み込まれた座標配列だ。」
ノエル:「…」
アガット:「…。流石、名探偵。」
モルポ:「ちょっと待てよ…!じゃあ、折角グランシャリノを解体しても、リベールの電子機器は動かねえってことかよ…!」
ニーア:「残念だけど。今のままだと。そうだ。」
モルポ:「そんな…そんなの、アリかよ…!」
ジェバンニ:「つまり。この方舟自体を動かさない事には原因解決には至らないという事ですか」
ニーア:「…うん。僕が死のうとも考えたけれど。」
ガロ:「そんな馬鹿な話があるか!」
ニーア:「大丈夫。異常器になった後の僕らは抜け殻だ。異常器自体が壊れない事には、そう簡単に僕らも死ぬ事は出来ない。」
ヴァン:「そもさん。この方舟に組み込まれたっつっても。アンタの異常器として組み込まれた場合じゃ無かった時が大変だ。」
ニーア:「そうだね。残ったのは電子機器を止める巨大な鉄くず。そこからどの部位に異常器が組み込まれたかを捜索するのも至難だろう。なんせこの大きさじゃね」
ヘルマン:「…お前がその話を私たちにしてるって事は。私達にしか出来ない何かがあるんだろ。お前はそういう無意味な事はしない。」
ニーア:「…」
ジャイロ:「…。異常器の使用方法は。本人じゃねえ誰かが使用するに限る。そうだな。アガット」
アガット:「ああ。そうだな。」
ジャイロ:「つまり。この方舟をリベールからどかす為に。誰か一人。この方舟を永遠に空に留めておく必要があるって事だ。そう言いてぇんだな。アンタは」
ニーア:「…うん。最低最悪の推理だったよ。」
ノエル:「…。」
ニーア:「僕も。僕が原因で皆の生活が蝕まれるのは勘弁だ。だからと言って、僕の為に誰か一人永遠に船旅しろ、だなんて言うのも心苦しい。言おうかどうか、凄く迷ったよ」
ノエル:「…っ。」
ガロ:「…。」
ノエル:「……私は。」
0:ノエルの肩に手が置かれる
レーヴェ:「俺が行くよ」
ガロ:「…!」
モルポ:「ええ!?」
ジャイロ:「…。」
林檎:「…レーヴェンシュタイン…。」
レーヴェ:「いいだろ。ニーア」
ニーア:「…。はは。やっぱり、名乗り出るなら君か。」
ガロ:「レーヴェ…!ふざけんなお前、なんでだよ!!」
レーヴェ:「だってお前らどーせあれだろ。乗るにしても誰かの為ーとか。世界のためーとか。そういう面白くないこと言うんだろ」
ニーア:「…」
レーヴェ:「そんなクソしょーーもない事の為にこの特等席はやらねえ。」
アガット:「…ほんと。そういう奴だよな、お前は」
レーヴェ:「ニーア。月に行こうぜ」
ニーア:「え…」
0:その場の全員がキョトンとする
ガロ:「は…?」
ジャイロ:「んん…?」
カラス:「つ…」
ノエル:「き…??」
レーヴェ:「一回行ってみたかったんだよ。あの夜の向こう側にあるさ、でっっかい星。何があるとか無いとか散々言われてっけど。自分の目で見た事ねえしな。」
ガロ:「…」
レーヴェ:「悪くねえだろ。お前は誰を犠牲にすることも無くこの場を去れる。アイツらには地上が戻ってくる。な?」
ニーア:「…はは。大気圏、越えられるかな」
レーヴェ:「そんなもん気合いよ。頑張れ」
ニーア:「君がだよ」
ガロ:「…レーヴェ…!」
レーヴェ:「…」
ガロ:「……。」
0:ガロは悔しそうに拳を握っている
ガロ:「…っ。俺。頭悪いけど。この少しの時間で、めちゃくちゃ考えた…っ。誰も犠牲にしたくないし、でもリベールはなんとかしたいし…でも…俺は…お前にだって、死んで欲しくない…っ。」
レーヴェ:「…」
ガロ:「だって、俺達仲間だろ…っ。」
レーヴェ:「…。おう。」
ガロ:「でも。お前がそんな嬉しそうに月に行くとか言ったら…」
レーヴェ:「…」
ガロ:「負けた気分になる…!!」
ニーア:「なはは、本当に。ちゃんと兄弟だね、君ら」
レーヴェ:「だっはははっ!そうだろそうだろ。」
0:レーヴェはガロの頭に手を置いた
レーヴェ:「じゃあこれで、一勝一敗、引き分けな」
ガロ:「…」
アスカ:「…。いいんですか、局長。」
ネロ:「…」
ビットマン:「良いも何も。これほど巨大な船を中央で管理できるはずもないだろ。自治州一帯を覆う電気機関停止現象もだ。」
ネロ:「…。正論。ですね」
アスカ:「…。」
ビットマン:「…。分かってる。こういう場に。我々がなんの力にもなれないという事を、言ってるんだろ。」
アスカ:「…はい。」
ビットマン:「私も。私の部下には死んで欲しくない。だからと言って別の誰かが犠牲なるべきとも思わない。私達は、自らの命を賭けて市民の平穏を守るの責任がある。当然。…悔しいよ、私も」
アストレア:「…。ですが。」
レーヴェ:「弁当もってった方がいいかな!?」
ニーア:「すぐ腐るよ。チョコとクレープは欲しいな」
レーヴェ:「肉だろうが!」
アストレア:「…あれほど目を輝かせた彼を。犠牲と呼ぶのは、彼に失礼でしょう。」
ビットマン:「…。はは、それもそうだ。」
ネロ:「…まったく。どうかしてるな。」
アスカ:「…。そうですね。本当に。どうかしている、あの兄弟は。」
レーヴェ:「さぁーさ!俺らはもう行くからよ!外野はさっさと出てけ」
ニーア:「なんでそんなに急ぐのさ」
レーヴェ:「早く見たい。」
ガロ:「…っ。」
ビットマン:「撤収だ!リベール住民の安全確認!各所の復旧作業に尽力しろ!」
アスカ:「はい…!」
ネロ:「はい。」
アカシ:「…。禄戀会も撤収じゃ!中央のボンボンと協力してリベール復興を手伝う!ええの!」
ジオ:「了解だ。」
フェリス:「分かりました」
アンドン:「俺達も行こう。まだ戦いは終わってねえんだ。ちゃんとリベールのヤツらが安心して寝れるまでが俺らの勝利だからよ。」
マーレ:「うん。沢山頼っちゃったして。後は、私達が出来ることを全力でやらなきゃ」
アンドン:「ああ。ほら、お前らも」
ルーファス:「なんでお前らと一括りにされなきゃならない…」
ジェバンニ:「正論でしょう。私達も、グランシャリノ商会と手切りになった以上、やる事は山とある」
ルーファス:「分かっている。ああ、今から胃が痛いな…」
ジェバンニ:「同感だよ。」
劉淵:「…。行こうか。イオハロット」
イオハロット:「…。ああ」
劉淵:「…悔しいものだな」
0:イオハロットは拳を握った
イオハロット:「…。ああ。」
0:各々が船から降りて行く
ガロ:「…。」
ノエル:「…」
林檎:「ガロ。ノエル。行かないのかい」
ガロ:「…ああ」
ジャイロ:「それともなんだ?一緒に月に行くってぇか」
カラス:「お前ら野暮か。今は残しといてやれよ」
林檎:「わかってますぅ。」
ジャイロ:「また後でな。お前ら」
ガロ:「…ああ。」
ジャイロ:「…。」
0:ジャイロはガロの胸ぐらを掴んだ
ジャイロ:「言ったからな。また後でって。」
カラス:「再三言わせんなよ。リーダー。」
ガロ:「…。」
0:ガロは迷うのをやめた
ガロ:「…ああ…!」
0:その場にはガロ、ノエル、レーヴェ、ニーアのみが残る
レーヴェ:「さぁて。こんなもんか?準備は」
ニーア:「準備も何も。大気圏超えたら全部燃えるって」
レーヴェ:「うるせぇなあ〜お前」
ガロ:「…。」
ノエル:「…あ〜…。」
ニーア:「…」
ノエル:「〜〜〜っ…あああ〜〜!!!悔しい!!」
ニーア:「ノエル…」
ノエル:「私!兄さんを助ける為にって!ずっと頑張ってきたんだよ!こうなるって分かってた!もう死んじゃってる以上、いつかはこうなる時が来るってわかってた!!でも!!やっぱり!悔しい!!」
ニーア:「…。」
ノエル:「…でも。あの時と違うのは。兄さんを止めるつもりは無い。」
ニーア:「うん。」
ノエル:「知らないからね。これから、兄さんが悔しくてるくらい、楽しく暮らしてやるからな…!」
ニーア:「はは、既に悔しいよ」
ノエル:「…っ。ばか!ばか!ばかばっっっか!」
0:ノエルはニーアの胸をポカポカ
ガロ:「…」
レーヴェ:「ああ〜。ああいうの、俺らには要らねえだろ?」
ガロ:「…ああ。要らねえ」
レーヴェ:「ああ、そうだ。」
ガロ:「…?」
レーヴェ:「3年後かな。いや、もうそんな時間ねえかもな。俺が見てきた、有り得るかもしれない可能性の話。聞く?」
ガロ:「聞かねえ!」
レーヴェ:「だっははは!だと思った!」
ガロ:「…」
レーヴェ:「…。お互い短い人生だ。やり残したことの無い様に生きようぜ」
ガロ:「…おう。」
レーヴェ:「という訳で。お先。」
ガロ:「……っ。」
0:ガロは冒険譚を手に取った
ガロ:「見てろよレーヴェ…!絶対、絶対にお前より楽しくて、すっげーーもん見て!食って!」
レーヴェ:「…」
ガロ:「いつか自慢してやる!!」
レーヴェ:「おう。楽しみにしてる。」
ニーア:「…。それじゃあ、行くかい。そろそろ」
レーヴェ:「おう。そんじゃな〜お前ら」
ニーア:「じゃあね。ノエル。ガロくんも、ウチの妹をよろしく」
ガロ:「ああ…!当然だ…っ。」
レーヴェ:「はぁ〜楽しみだ楽しみだ」
ニーア:「うぅん。まあ、滅多に体験出来ることじゃないしね」
0:ノエルとガロは顔を見合せた
ガロ:「…。」
ノエル:「…」
0:2人は同時に声を上げる
ガロ:「行ってらっしゃい!レーヴェ!!」
ノエル:「行ってらっしゃい、兄さん…!」
レーヴェ:「…」
ニーア:「…。」
0:2人も同時に返す
レーヴェ:「行ってくる!ガロ!」
ニーア:「行ってきます、ノエルっ。」
0:場面転換
0:リベール キャリオンマウンテン近郊
ジャイロ:「…。登り始めやがったな。方舟」
カラス:「…ああ。」
ジャイロ:「……あの船の中にはさ。俺の家族が居るんだ。」
カラス:「…」
ジャイロ:「もう、手を伸ばしても取り返せねえほど遠くに行っちまう。」
カラス:「…。俺もそうだ。とっくに捨てた、乗り越えたと思ったもんも。土壇場じゃ恋しくなる。だがあの船の中に。「未練」は全部置いてきた。それはアイツらにとって、足枷になっちまう。」
ジャイロ:「…」
カラス:「お前の家族だってそうだろ。ジャイロ」
ジャイロ:「…。ああ。」
0:ジャイロは鎌を握っている
ジャイロ:「俺らもまだ。旅の途中だからよ。」
カラス:「ああ。やっと。一歩だ。」
0:場面転換
0:上空12000m
ニーア:「世話の焼ける弟と妹だね」
レーヴェ:「いやあ〜。可愛くていいじゃん」
ニーア:「そうか。思えば君とはお兄ちゃん同士なんだな。いや、分かってはいたけど。改めて実感するよ」
レーヴェ:「どー言う事だよ」
ニーア:「いいや。やっぱり僕らは似たもの同士だ。」
レーヴェ:「おう。真逆の意味でな。」
0:雲をつきぬける
レーヴェ:(M)レーヴェンシュタイン冒険譚。126章。
ニーア:「おお…!一気に見晴らしが良くなったね…!」
レーヴェ:「すげえ!こんな高くまでは流石に来たことねえ…!」
ニーア:「これは確かに。絶景だね。」
レーヴェ:「はは…!」
0:レーヴェは冒険譚を手放した
レーヴェ:「ーーーー月だ…!!」
0:二人の目前には目に余る星が映る
ニーア:「…。お待たせ。オーウェン。今から変なやつを連れていくよ。多分君は嫌いなタイプだ」
レーヴェ:「オーウェン。ああ、噂の神父。なに?お前仲間だったの?」
ニーア:「仲間…とは少し違うかな」
0:ニーアは月を見ている
ニーア:「親友だよ。僕らの。」
レーヴェ:「ふーん。そうか。」
ニーア:「あー、君は興味が無いだろうな」
レーヴェ:「ああ。無いね」
ニーア:「はは。さあ、残り少ない人生だ。精一杯楽しもう」
レーヴェ:「なんだよ、もう死んでるって自分で言ってたくせに」
ニーア:「人生だよ。間違いなく。誰かと縁がある時間は、人が生きた時間さ」
レーヴェ:「楽しんだもん勝ちだね。楽しいんでる間が生きた時間だ」
ニーア:「ははは、本当に。真逆だ」
レーヴェ:「だっはは。だな。」
ニーア:「…。風が気持ちいい。」
レーヴェ:(M)今から月に行く。以上!続きは、向こうで書くことにする。
:
ガロ:(M)ガロンドール冒険譚。29章。
0:ノアの箱舟は高度を上げていく
ガロ:(M)グランシャリノ解体に成功した。沢山の犠牲があった。悔しい事も。悲しい事も。山のようにあった。
0:ノアの箱舟は雲をつき抜ける
ガロ:(M)最後に見えたのは。方舟が徐々に雲の中に消えていく光景。
0:やがて姿は見えなくなる
ガロ:(M)方舟の姿が見えなくなって。ただ広がっていたのは。
0:ガロは空を見つめている
ガロ:(M)夜だった。
0:場面転換
0:リベール。ドリート街
アガット:「…。」
ヘルマン:「見えなくなったな。箱舟」
アガット:「ああ。跡形もねえ。」
ヘルマン:「…。結局最後まで。私はニーア達と一緒には歩めなかった。」
アガット:「…」
ヘルマン:「だが。何故だろうな。悔しい半面、喜ばしい気持ちもある。」
0:ヘルマンは空を見上げた
ヘルマン:「今。ニーアの横で、心の底から笑って立てるのは。あの馬鹿くらいだと分かる。」
アガット:「…。わっしらも仲間と言えるほど親密な仲だった訳じゃねえ。けど、あの馬鹿はそういう奴だよ。」
0:アガットは空を見ていない
アガット:「…。あばよ。レーヴェンシュタイン。」
ヘルマン:「…。アガット・スロンファー。並びに、グランシオラ・ルルカブルを連行する。」
アガット:「…。行こうぜ、グランシオラさん。」
0:アガットは一歩踏み出した
アガット:「夢から覚める時間だ。」
0:場面転換
0:リベール。キャリオン街
ガロ:「…。見えなくなっちまった。」
ノエル:「…うん。」
ガロ:「…きっとさ。」
0:ガロは空を見上げたまま話した
ガロ:「レーヴェは、俺の事も別に特別に見てくれてたわけじゃなかったと思うんだ。アイツにとって俺は、同じ物に憧れて、同じものを違う道のりで目指した。唯一の理解者であって、ライバル。」
ノエル:「…。」
ガロ:「だから。レーヴェとはどう頑張っても、一緒に冒険できなかったっていうのはよく分かるんだ。」
ノエル:「…うん。」
ガロ:「…でも。思い出したの、ついさっきなんだよ」
0:ガロは冒険譚を握っている
ガロ:「…もっと。色々話せばよかったなあ。」
ノエル:「……分かるよ。レーヴェと兄さんは、ちょっと似てるもん。」
ガロ:「…だな」
ノエル:「自分以外の誰かの為に、全部を賭けた兄さんと。何かの為だけに。自分も他人も、全部を賭けたレーヴェ。きっとそれはどっちも欠けてちゃいけないんだ。何かを犠牲にして進む道は、寂しいよ」
ガロ:「ああ。寂しい。すっげー寂しい。何かを捨てなきゃ、何も得られないだなんてのは…自分勝手だ。」
ノエル:「ガロもその節あるでしょーが。」
ガロ:「…。アイツらほどじゃない。」
ノエル:「そーだね。うん。そうだ。」
0:二人は同時に口を開いた
ガロ:「だから俺たちは____」
ノエル:「だから私達は____」
0:二人は顔を見合せ、少し笑った
ノエル:「ほんと。ああいう兄を持つと、苦労するよ。」
ガロ:「…はは。ああ、ホントーにな。」
ノエル:「…。行こっか。ガロ」
ガロ:「…。ああ。」
0:二人は路地を歩いた
0:場面転換
0:路地の向こう
ジャイロ:「…。」
0:ジャイロは空を見上げている
ジャイロ:(M)これで正真正銘。さよならだ。オーダー。皆。
0:ジャイロは静かに拳を握った
ジャイロ:「…。」
カラス:「アロハ」
ジャイロ:「なんだよ。ナマクラ」
カラス:「…。いいや。」
0:カラスは拳を向けた
ジャイロ:「…は。本当にお前は。言葉足らずというかなんというか。」
カラス:「要るか?」
ジャイロ:「いいや。」
0:二人は静かに拳を合わせた。
カラス:「お疲れ。」
ジャイロ:「お疲れさん。」
0:場面転換
0:路地
ノエル:「…。ガロ」
ガロ:「なんだ。ノエル」
ノエル:「……。次は。何を見に行こっか」
ガロ:「…。はは。そりゃ、皆で決めよう」
ノエル:「うん。そうだね。」
0:路地の向こうで黙って帰りを待つ2人
ジャイロ:「…。」
カラス:「…帰ってきた、な。」
ジャイロ:「…。ああ。」
ガロ:「…。」
ノエル:「…」
0:二人は同時に声を上げる
ガロ:「ただいまっ。お前ら」
ノエル:「ただいま、2人ともっ」
0:二人は同時に返答した
ジャイロ:「おかえり、お前ら。」
カラス:「よく帰った。」
0:時間経過
ヴァーバラ:(M)1992年。1月15日
ヴァーバラ:(M)グランシャリノ解体作戦から半月が過ぎ、リベールの電気機関停止現象も確認されなくなった。
ヴァーバラ:(M)ギルド、中央政府は積極的にリベール復興に人員を配置し、周辺各国からもボランティアも募った。最終的なリベール復興に当たった人員は12万人を超える。
ヴァーバラ:(M)グランシャリノの暴挙から崩壊したインフラや経済状況の失墜にリベール住民は一年の間、苦難の時期を迎えることになるが、ウルカレット財団の莫大な支援により事の他事態は重くならず済んだ。
ヴァーバラ:(M)今回の一連の事件は、リベール事変と呼ばれ、世界各国で様々な議論が交わされるようになった。
ヴァーバラ:(M)ギルドも、全世界からその在り方を問われる事になる。が、禄戀会。赤い林檎を初めとした、多くのギルドメンバーによる中央政府との揉み合いの末、一旦は従来のギルド活動が認められる事となった。
ヴァーバラ:(M)一度大きく失った信用を取り戻すには多くの時間が掛かるだろうが、きっと。今を生きる彼らなら成し得られるだろう。私はそれに、一切の疑いを持たない。
0:場面転換
0:中央政府本庁
アスカ:「随分と掛かったな。後始末」
ネロ:「…ああ。」
アスカ:「ガーフィールは?」
ネロ:「先日目を覚ましたそうだ。」
アスカ:「…!そうか…。良かった。」
0:アスカはその場に座り込んだ
アスカ:「本当に。良かった。」
ネロ:「…。アイネスの訃報も届いたみたいだ。」
アスカ:「…。そうか…。」
ネロ:「…。何度立ち会っても。辛いもんだな。同僚の氏は。」
アスカ:「…これまで、何人という執行官が殉職した。皆、それぞれがそれぞれの意味を見出しその命を散らして行った。」
0:アスカは拳を握った
アスカ:「…。これから先俺達が歩く道には、彼らの屍が増えるばかりだ。」
ネロ:「…」
アスカ:「先週。ラインハルトから連絡があった。」
ネロ:「アーヘンだろう。」
アスカ:「聞いたのか」
ネロ:「ああ。」
アスカ:「…。まあ、そうだな。ああ、お前の予想してる通りだよ」
ネロ:「…。また暫く離れ離れになるな。」
アスカ:「…。これから先。俺達の後に続く彼らの歩む道の足取りが。ほんの少しでも軽くなるようにしたいと思った。俺達が、局長からそうしてもらったように。」
ネロ:「…。努努忘れたことなんか無かったが。」
0:ネロは窓の外を見た
ネロ:「私も。誰かの死に報いる事が出来るように、精一杯を尽くす。」
0:ネロは手紙を渡した
アスカ:「…これは…?」
ネロ:「来期より試験的に運用されるローゼンメイデンの必要書類だ。監察官個人の戦力強化の為に、一人。異常体をアーヘンへ任せることになった。」
アスカ:「…ペンスタン・レイン…?お前が可愛がってる奴じゃないか」
ネロ:「…。ペンスタンも。もっと色々見て、学んだ方がいい。ここの常識は、歪み切っている。学び舎で得る事は知識だけじゃない。」
アスカ:「…。何より?」
ネロ:「…。は。」
アスカ:(M)あ。笑った。久しぶりに見たな
ネロ:「若人が青春を謳歌するのに、理由はいらないだろ。」
アスカ:「…。お前も変わったなあ」
ネロ:「同じままではいられんだろう。」
アスカ:「ああ。そうだな。」
ネロ:「…お前とラインハルトだから、ペンスタンを任せられる。本当は優しい奴だ。アインズさんは怒りそうだが」
アスカ:「はは、想像にかたくないな」
ネロ:「…。シーカーさんは、元気にしているだろうか」
アスカ:「…悪運だけは人一倍ある。どうせバグテリアでもなんやかんやと生き残ってるだろうさ」
ネロ:「…そうだな。あの人ならきっとそうだ。」
アスカ:「さて。そろそろ行くか。」
ネロ:「ああ。お前のアーヘン入りはいつからだ。」
0:2人は歩きながら話している
アスカ:「2ヶ月後だ」
ネロ:「早いな」
アスカ:「前々から強く勧誘されてたんだ。今回の件で、決心が着いたよ」
ネロ:「まあ、ラインハルトよりかはお前の方が教職には向いてるだろうしな」
アスカ:「ああ。そう願いたいな、流石に」
ネロ:「じゃあ、引き継ぎやなんやでもう話す機会も無いか」
アスカ:「機会なんて作ろうと思えばいつでも作れるだろ」
ネロ:「それもそうか」
0:二手に別れる廊下の前で立ち止まる
アスカ:「それじゃあ。またな、ネロ。」
ネロ:「ああ。また、アスカ。精々長生きしろよ」
0:二人はそれぞれ違う方向へ歩き出した
ネロ:(M)一歩。
アスカ:(M)踏み出した。
0:場面転換
0:局長室
ビットマン:「…ふう。」
アストレア:「お疲れのご様子ですね、ビットマン局長」
ビットマン:「ああ。ローゼンメイデンの搬入が思っていたより遅れている。激務が途絶えた日は無いが、ココ最近は過去一だな」
アストレア:「貴方も少し自分の身を気遣うべきでしょう。人の身は脆い」
ビットマン:「まるで自分がそうじゃないみたいじゃないか。」
アストレア:「どうでしょう。異常体であればこそ、ではありませんか」
ビットマン:「君だって、間違いなく人だよ。アレジ・ロンドンだって、そうだ。」
アストレア:「…。ひとつ、気がかりだったことがあります。」
ビットマン:「…。赤い林檎、だろう。あの異常性は、偶然にしては似過ぎている。」
アストレア:「…。彼は、何者ですか」
ビットマン:「観測室が捉えられない座標を持った人物だ。異質なのは確か、それ以外の検討はつかない。面の下の顔こそ拝めなかったが、敵ではない。私の目にはそう写ったよ。」
アストレア:「それは…。ええ。同意します。しかし、違和感がぬぐえない。リベール事変でも異能協会の名が出ていましたが、観測室は一向に動向を掴めていません。」
ビットマン:「不確かな事が連続して起こっているのは確かだ。その皮切りとなったのがアレジ・ロンドン監察官の失踪、並びにリベール事変だと…」
アストレア:「元。監察官でしょう。彼は」
ビットマン:「…よさないか。」
アストレア:「…。すみません。」
ビットマン:「…なあ、アステル監督武官」
アストレア:「はい」
ビットマン:「我々も。改めて考えなければならないな。」
アストレア:「中央政府の在り方を、ですか。」
ビットマン:「ああ。私が現役でいられる内に。後続へ繋ぐ襷は、軽くしてやりたい。」
アストレア:「…。そうですね。私も少し、考え直さなければなりません。」
0:アストレアは窓の外を眺めた
アストレア:「…。満月。ですね」
0:場面転換
0:何処とも知れない場所
アリアンロード:「…グランシャリノの残党も問題なく排除され、リベールも復興が近い。…これでいよいよリベールでの観察は終わり。ですね」
マクバーン:「なぁんで俺もここまで見張る必要があるんだよ。」
アリアンロード:「仮にも見届け役として一躍買った訳ですから。最後まで見るのが、彼らに選択を委ねた我々の責任というものでしょう。」
マクバーン:「じゃあなんで途中で俺は外されたんだよ。納得いかねえ。筋がいいのだらけだったじゃねえか。」
アリアンロード:「貴方が出張っては実験どころでは無いでしょう。引き際というのを知らない」
マクバーン:「俺はアイツと利害が一致するから一緒に居るだけだ。俺の目的に削ぐわねえならお前も。すぐ敵になる。」
アリアンロード:「…」
マクバーン:「俺らエンプティの祭りに首突っ込んだらそん時ァ、お前がケツ持ってくれんだろうな?最強の分見よォ」
アリアンロード:「指示があれば、その一手を打ちましょう。ですが私では貴方達とは存在の次元がまた違う。楽しませるのは困難でしょうね」
マクバーン:「ああそう。つまんねえ。」
0:マクバーンは退屈そうに伸びをした
マクバーン:「これでリベールの実験は終わりだろう。異常器も回収、破壊された」
アリアンロード:「ええ。次なる試練はまた別のどこかへ。」
マクバーン:「次は?やっぱドイツか?カリギュラとの約束もあるしよ」
アリアンロード:「バグテリアです。」
マクバーン:「はああ?ンだよ。話とちげえじゃねえか」
アリアンロード:「グランシャリノ、ドイツ、バグテリアの三つ巴。そのひとつが潰えた以上。残す両軍は近い内に必ず衝突する。勝算で言えばバグテリアが圧倒的有利、でしょうが。デザート・D・クラウンの動向が気になるんでしょう、アキノは」
マクバーン:「俺は行かねえからな」
アリアンロード:「次打つならば2手に別れるでしょう。アーヘンと、バグテリア」
マクバーン:「アーヘンって言やあ…ドイツじゃねえか…!俺はそっちに行く!」
アリアンロード:「私に決定権はありません。アキノに打診してください。ただ、アーヘンの方は既にメンバーが決まっていますよ。」
マクバーン:「おいおい、いっつも俺に関係のねえところで話進めやがるな。どっちに誰と誰が行くんだ」
アリアンロード:「バグテリアはレイとギア。アーロン、ヴァレンタインの三 4名」
マクバーン:「ほぼフルメンバーじゃねえか」
アリアンロード:「アーヘンは。つい先日迎え入れた「彼」ですね。」
マクバーン:「お…?ああ…!転移の座標…!アイツアーヘン入りすんのかよ!はは、思い切るなあ。つい最近まで中央に居たんだぜアイツ」
アリアンロード:「彼の座標であれば、大人数を欺く事は用意でしょう。…問題なのは。」
0:アリアンロードは林檎を手に取った
アリアンロード:「純たる異物。」
マクバーン:「あ?誰それ」
アリアンロード:「貴方は遭遇してませんか。赤い林檎を名乗る彼です」
マクバーン:「ああ、A級の」
アリアンロード:「赤い林檎と、アレジ・ロンドン。あの似て非なる二人にどう価値をつけたのか。やはり読めませんね。アキノは指し手としては一流に厄介だ」
マクバーン:「ンまぁ〜「元」がアイツだしな」
アリアンロード:「そうですね。」
マクバーン:「あとはダーヴィンとカリギュラの動向次第か。いいねえ。ピリッと来る。」
0:二人はリベールに背を向けた
アリアンロード:「その時は天秤として。推し量る必要がありますね。」
マクバーン:「勝手にしろ。俺には関係ねえ事だ」
0:電話が鳴る
アリアンロード:「…。はい。アリアンロードです。」
セノ:「やあ。」
アリアンロード:「…!」
マクバーン:「あ?誰だよ」
アリアンロード:「…。その声。」
セノ:「はい。セノ・アキラって言います。今、二人の後ろにいるの」
カルビス:「後ろにいるの」
マクバーン:「…。俺を気取るかよ。異質じゃねえか。」
アリアンロード:「…噂をすれば影、ですか。」
0:セノとカルビスは二人の背後を捉えている
カルビス:「はァい。異能協会最強タッグ」
セノ:「随分好き放題してたみたいだね。」
マクバーン:「なんだよ、ご挨拶か。アキノの…」
アリアンロード:「マクバーン」
マクバーン:「ああ、そうか。そうだったそうだった。」
セノ:「…」
アリアンロード:「何をしに来たんですか。我々の中で最も厄介視する三人のうち、その二人も。それも、意外な組み合わせですね」
カルビス:「あ〜。そりゃいいのよ。話したくもねえ」
セノ:「先日ぶり。改めて、僕はセノ・アキラ。」
カルビス:「はァい。で、俺ァカルビス・ラングナー」
セノ:「君らの暗躍は一通り聞いたよ。面白そうな事してるじゃない。」
マクバーン:(M)いいな。座標の構造がどうかしてる。白髪の方は…聞いてたよりも座標自体は厄介じゃなさそうだが。いや、そりゃ「俺」からしたらの話か
アリアンロード:「要件を。まさかとは思いますが、やりますか?ここで。」
マクバーン:「ははは…!」
アリアンロード:「はあ…マクバーン。」
マクバーン:「ははははははッッ!!構わねえ!!どうもこうも、俺の前にノコノコ現れたってことはそういう事だ!!」
0:マクバーンの顔はひび割れる
マクバーン:「よく燃えそうだなァ、お前らは…!」
セノ:「カルビス。ああいうのどう思う?」
カルビス:「無いな。雰囲気ってもんを作れねえ。ありゃモテねえよ」
セノ:「いやあ、分かるねえ。」
マクバーン:「構わねえよ、燃えなくても燃やせば灰になるんだから…!」
アリアンロード:「マクバーン!」
マクバーン:「…」
アリアンロード:「本筋を見誤らないでください。」
マクバーン:「別にいいって言ってんだよ。ここでお前も燃やしたって」
カルビス:「仲間割れ、助かるねえ〜漁夫の利は好みだ」
アリアンロード:「要件を。」
0:アリアンロードは右手をかざした
アリアンロード:「最後です」
セノ:「早漏〜。じゃあこっちも、単刀直入に。」
カルビス:「お前らの親玉に会わせろ」
アリアンロード:「目的は」
セノ:「地獄を見に来た」
カルビス:「地獄を見せに来た」
0:時間経過
0:場面転換
0:リベール市
ヴァーバラ:(M)更に時は過ぎ。1992年。4月。
ヴァーバラ:(M)冬が明け、春。日差しが暖かくなってきた頃。木々は夏を待ち、青々と光を反射させる。
ヴァーバラ:(M)春。ある所では歯車は噛み合い、ある所では離れる。
ヴァーバラ:(M)出会いと、別れの季節
0:11時2分。
0:キャリオン駅前広場
ガロ:「本当に行っちまうのか?ヴァン」
ヴァン:「ああ。いい加減リベールでの調査も済んだ。思ったより長居しちまったしな、アーヘンに戻らなきゃ単位がいよいよヤバい。新入生も入ってくる時期だしな」
ノエル:「留学だって言ってたのに。やっぱなんか隠してるな」
ジャイロ:「胡散臭いやつだとは思ってたが。」
カラス:「あの、あれだ。エドの所で会ったカルビス・ラングナーと似たところがある」
ジャイロ:「それだっ。」
ノエル:「それだっっ。」
ヴァン:「はは…」
ガロ:「寂しくなるな」
ヴァン:「まあ、フランスとドイツなんかお隣さんだ。いつでも会えるっての。」
ガロ:「そりゃそうだけどよぉ。」
ヴァン:「それにアンタらもついに、だろう。」
ガロ:「…!おう…!」
ジャイロ:「って、時間やばくねえか!?」
ノエル:「あっ。まじだっ。」
カラス:「あと何分だ」
ヴァン:「何分ってところに遅刻慣れを感じるねえ」
ガロ:「またな、ヴァン。色々ありがとう。そっちでも頑張れよ」
ヴァン:「言われなくても、だ。お前さんらも頑張れよ〜」
ノエル:「またね!」
ジャイロ:「またなぁ〜!」
カラス:「またな、サンバ野郎」
ヴァン:「はっはぁ。元気でな〜、アホレンジャーの一行」
0:ヴァンはヒラヒラと手を振りその場を去った
ガロ:「…。行っちまったなあ」
ジャイロ:「本当に学生かっちゅー肝っ玉の座り方だったぜ」
ノエル:「言ってる場合かって!遅れるぞ!早く行こう!」
カラス:「ああそうか。で、あと何分なんだ?」
ノエル:「40分!」
ジャイロ:「まぁだ余裕じゃねえか」
ノエル:「いい加減慣れろよ、もうバス1時間に1本しか通ってないんだって」
ジャイロ:「はっ!」
ガロ:「だっはは!やべえな!急ぐぞお前ら!」
ジャイロ:「おうっ。」
ノエル:「はいよっ。」
カラス:「ああ。」
0:4人は走って行った
0:場面転換
0:リベール キャリオン駅
ヴァン:「…ああ。そうだ。おう。」
0:誰かと話している
ヴァン:「いやあ、中々骨のある連中だったよ。あれで何も裏がねえってんだから驚きだ」
0:通話相手は何かを喋った
ヴァン:「ああ。ローゼンメイデンの導入が決まったんだろ。知ってるさ。俺らの出番はこっからだ。とにかく今から帰るよ、また後でな」
0:電話を切る
ジェバンニ:「ヴァン。」
ヴァン:「あれ。」
ルーファス:「もう帰るのか」
ヴァン:「ウルカレットに身を売った脳筋共じゃねえか。なんだなんだ、お前らも挨拶に来てくれたのか」
ジェバンニ:「…。軍学校時代から、浮世離れした方だとは思っていましたが、リベール事変の後始末で意外な側面を知れたので」
ヴァン:「おお…。思わぬ所から錆が」
ルーファス:「いくら盛るにしたって、ドイツ政府の特務中尉兼アーヘン生だなんて肩書きとは思わなかったからな。古巣の事に興味は無いが、今はドイツとバグテリアの緊張状態が高まってる。」
ヴァン:「ああ。そうだな。」
ルーファス:「その最中、お前がリベールに来たと言うことを。僕らはどう咀嚼すればいいのかな」
ヴァン:「安心しろよ、リベールに危害を加えるつもりは無い。勿論、ウルカレットにもな」
ルーファス:「…。そうか。」
ジェバンニ:「でしたら、我々から送れる同胞への感謝は決まっています。」
ヴァン:「あ…?」
0:二人は敬礼した
ルーファス:「ヴァン・ハンドレット特務中尉。リベール事変における復興支援、感謝します。」
ジェバンニ:「どうか。その道が貴方にとって良き旅路となる事を。」
0:ヴァンはきょとんとしている
ヴァン:「…はは。優等生共が」
0:ヴァンは砕けた敬礼で返した
ヴァン:「じゃあな。リベールの反逆児ども。」
0:場面転換
0:ギルド本部
ヴァーバラ:(M)4月14日。フランス。リベール市
モルポ:「がくがくがくぶるぶるぶる」
フェリス:「もう、何時まで震えてんの。かっこ悪いよ〜」
モルポ:「しししししょうがないでしょうが!」
劉淵:「では!どうぞ!」
アカシ:「えー。えーっと。あー。」
ジオ:「…」
イオハロット:「…」
アカシ:「うーんと。えーーー。おめでとう!」
劉淵:「良いですよ!アカシさん!」
イオハロット:「最高にイケてます!」
ジオ:「全肯定か。もうちょい笑ってた方がいいな」
アカシ:「おめでとう( ^ω^ )」
ジオ:「きも」
アカシ:「なんじゃとてめーーー!」
ジオ:「なんだてめーーー!」
劉淵:「あれはキモイな」
イオハロット:「きもいな。」
アカシ:「先輩に向かってなんじゃその口の利き方はー!」
劉淵:「普段先輩後輩など気にしない癖に!横暴な!」
アカシ:「黙れ黙れ黙れ!」
受付:「今まではグランシオラさんが行われていたので、しょうがないですよ」
アカシ:「そうじゃそうじゃ!言ったれ!」
モルポ:「がくがくがくがくっ!」
ヴァーバラ:「皆さん。お揃いですか」
劉淵:「ヴァーバラ殿、お疲れ様だ。」
ヴァーバラ:「お疲れ様です。皆さん」
モルポ:「おつかりさまびゃ!」
フェリス:「どんな噛み方」
受付:「あ、えっと…まだアホレンジャーの方々が…」
ヴァーバラ:「またですか…。もう慣れましたが…」
アカシ:「時間は守った方がええ!」
ジオ:「お前が言うかね」
フェリス:「先輩の背中を見て育ちますからね〜」
アカシ:「フェリスまで俺を弄るのか!?」
フェリス:「はは、いいじゃないですか。今日から晴れて、私も禄戀会の一員なんですから」
イオハロット:「私はこう見えて遅刻しないぜ。」
アカシ:「ほれみろ。アイツらの性質じゃ」
フェリス:「だとしたら、似てますねえ。アイツら、アカシさんに」
劉淵:「それは思っていましたよ。彼らは紛うことなき新しい風だ。後輩の私が言うのも烏滸がましいかもしれませんが、アカシさんのそれと似ている」
ジオ:「本当におこがましいな。偉くなりやがって」
モルポ:「…。」
0:モルポは想像している
ガロ:「うぇ〜い!うぇ〜い!仲間に手ぇ出したらぶっ飛ばすぞ〜!」
アカシ:「うぇ〜い!うぇ〜い!仲間に手ぇ出したらぶっ殺すぞ〜!」
ガロ:「うぇ〜い!」
アカシ:「うぇ〜い!」
0:想像終了
モルポ:「確かに似てるな。」
アカシ:「なに想像したんじゃお前」
モルポ:「いえ!何も!」
受付:「そろそろ時間になってしまいますが…」
ヴァーバラ:「仕方がありません…。では今集まっている方から…」
劉淵:「…はは。」
フェリス:「何笑ってるんですか、劉淵さん」
劉淵:「…。聞こえないか。あの、猪のような足音が。」
アカシ:「おお。確かに聞こえるぞ」
モルポ:「猪…?」
0:誰かが突進してきた
ノエル:「ちょっと!ちょっとちょっと!止まれ止まれ!ばか!やめろ!!」
ガロ:「うおおおおおおおっ!!どかーーんっ。」
0:入口を蹴破った
モルポ:「おわあああああっ!?」
カラス:「だぁあああらあぁたっ!」
イオハロット:「ぎゃああああっ!?!」
ガロ:「間にぃ!!!」
ジャイロ:「合ったーーっ!!!」
劉淵:「ははは。いつかもあったか。」
受付:「ははは、ですね…」
イオハロット:「…ははは…!ほんと、相変わらずだな」
フェリス:「ですね〜」
ガロ:「はぁ…っ。はぁ…っ。今日の12時から予約してる!ガロンドール・ウォンバットだ!」
ジャイロ:「飯屋か。同じく、ジャイロ・バニングスだ。」
ノエル:「すみません遅れて…同じくノエル・ベルメットです。」
カラス:「カラスだ。」
アカシ:「12時ぴったり。うむ!間に合ったのう!」
ジオ:「最後の最後までやかましい連中だコト。」
フェリス:「皆〜!久しぶり〜!」
ガロ:「お!フェリス!」
ジャイロ:「モッコリもいるじゃねえか」
モルポ:「モルポだ。もうわざとだろ」
カラス:「改名しろ」
モルポ:「しねえよ!!」
劉淵:「何をしている、早く準備をしてあげるんだ。今日の主役だぞ」
受付:「はい!」
0:時間経過
0:全員がしっかり座っている
ガロ:「…おお。なんなソワソワするな」
ノエル:「ああ…足元が落ち着かない」
カラス:「そうか?」
ジャイロ:「お前はそうだろうなマヌケ」
カラス:「ああ?」
ジャイロ:「ああ??」
受付:「えー。あーあー。」
0:受付は壇上に立った
受付:「本日は、皆さん。ご多忙の中お集まり頂き、誠にありがとうございます」
劉淵:「うむ!本当に多忙だ!」
イオハロット:「無粋だねえ〜!」
ジオ:「黙れお前ら」
受付:「皆様、他にも、ここにいらっしゃらない沢山の方々のご支援があり、無事リベールは社会的に復帰を果たす事が出来ました。失ったものは数え切れず、犠牲も多い事件ではありました。ですが、皆さんの強い意志と共に、こうしてギルドも、リベールも再起した事を喜ばしく思うと同時に。それに多大なるご助力を頂いた皆様へ、最大限の感謝を」
0:頭を下げた
受付:「ありがとうございます。」
ヴァーバラ:「ありがとうございます」
ガロ:「いいって言ってんのになあ…」
カラス:「受け取っとけよ。下げた頭にわりぃ」
アカシ:「そうじゃな。どういたして、じゃ!」
ガロ:「それもそうか。おう!どういたしまして!」
モルポ:「やっぱ似てんなあ」
受付:「着きましては。リベール事変解決の立役者たる、準ギルド「アホレンジャー」の皆様。並びに、モルポ・モルポット様。フェリス・ローレンス様」
ガロ:「おう!」
ジャイロ:「ああ。」
ノエル:「はいっ。」
カラス:「おう。」
モルポ:「ひゃい!」
フェリス:「は〜い」
受付:「本日。1992年。4月14日を持ちまして。正規ギルドメンバーとして迎え入れさせて頂きたく存じますっ。」
ガロ:「おお…!」
モルポ:「うお…うおおお…!」
ジャイロ:「やっとこさ…だな…!」
ノエル:「うん。長かった」
カラス:「本当にな」
フェリス:「はは。嬉しいもんだねえ」
アカシ:「うおーーんっ( ; ; )フェリス〜!( ; ; )」
ジオ:「静かに出来ねえのかって…」
0:証明書を渡す
ヴァーバラ:「こちらが。ギルド加盟証明書となります。」
ガロ:「おおお…おおおおお…!やっとだ…!!やっとこれを手に入れた…!!」
モルポ:「輝いて見えるぜ…」
受付:「フェリス・ローレンス様は禄戀会へと正式加盟となり、A級スタートとなります」
フェリス:「はい…!」
アカシ:「うおおおおんっ( ; ; )」
ジオ:「おい…ぐす…うるせえって…ぐす…」
アカシ:「お前も大概親バカじゃあああ( ; ; )」
受付:「モルポ・モルポット様はモルポット商会へと移籍する形でC級スタートとなります」
モルポ:「はい!」
ガロ:「モルポット商会?」
ノエル:「ピルモックさんと商売展開する事になったのか」
モルポ:「ああ、グランシャリノ商会は無くなったけど、親父にはツテも経験もある。何回だって立て直せるさ。俺もまた一から学び直そうと思うし」
ジャイロ:「そうかあ、まあ。家族は大事にしろ」
カラス:「ああ。死なねえうちにな」
モルポ:「縁起でもねえってお前ら」
受付:「最後に。アホレンジャーの皆様。今回はギルド単位での昇給になります。等級は」
0:受付は書面を見せた
受付:「A級となります!」
ガロ:「ん!?」
ジャイロ:「んん!?」
ノエル:「んんん!?」
カラス:「んんんん!?」
モルポ:「A級!!?」
アカシ:「だっははは!驚いとる驚いとる!」
フェリス:「まあそりゃそうなるよねえ」
劉淵:「先を越されるのは悔しいが。異論も無い。」
イオハロット:「ああ。なんたってグランシャリノ解体の主役張ったんだ。誰も文句は言わねえだろうよ」
ジオ:「実力は申し分ないが。もう少し落ち着きは持ってもらいたいところだがな。」
アカシ:「早速冷やかし」
ジオ:「実際そうだろうが。頼むぞ、ノエル・ベルメット」
ノエル:「…はい…!コイツらのお守りは慣れてるので!」
ガロ:「ほげぇ〜A級…アレ…あぶね。林檎と同じってことか…」
ヴァーバラ:「等級が上がったからと言って、特に何が変わるわけでもありませんが。A級という肩書きだけで動き安くなるのは事実です。私共からの、精一杯の恩返しと思って頂ければ幸いです」
カラス:「釣りが返ってくるだろう、こりゃあ」
ジャイロ:「モテる!?A級モテる!?」
アカシ:「モテるぞ!」
ジャイロ:「ぃよっしゃぁああああッッ!」
カラス:「喜び過ぎだろ」
モルポ:「ぐぎぎ。今に見てろよ…」
受付:「改めになりますが。これからも、支える篭手として、何卒宜しくお願いします…!何より、初めから見てきた立場として…っ。おめでとうございます…!」
ガロ:「…!」
0:劉淵、イオハロット、アカシが拍手する
劉淵:「おめでとう!君達!!」
イオハロット:「おめでとーーっ!うら若き少年少女共!」
アカシ:「おめでとう( ^ω^ )」
ジオ:「きもいって。」
ガロ:「…っ。なんか、思ってたより嬉しいもんだなあ…!」
ジャイロ:「ああ。手配書うんぬんでイチャモン付けてた頃が懐かしいぜ…」
受付:「はは、ありましたねえ…」
ノエル:「って言うか待て…!名前…アホレンジャーのままA級やんのか私たち…!」
フェリス:「ぷ。」
モルポ:「ぷぷ。」
ジャイロ:「笑うな!」
カラス:「いいだろ別に、今更カッコつけたってしょうがねえ」
ガロ:「んだんだ!俺らアホだし!」
ジャイロ:「まあ…。それもそうだ。変に愛着が湧いちまった。」
ノエル:「皆がいいならいいけど。うーーーん。いいのか…?」
ヴァーバラ:「まあ、ギルドもここ数年固くなりすぎていた節がありますからね。貴方たちのように、本来あるべき形を思い出す為の頭というのは居て良い」
アカシ:「待て。俺らと被ってないか?やっぱ反対!!アイデンティティが!!」
ジオ:「ガキかお前は」
劉淵:「どれだけ居ても良いでしょう。元より我々は支える篭手だ。そう有るべき姿を示すならば数は多い方がいい」
イオハロット:「私も劉淵も、もう現役バリバリって具合に動けるわけじゃねえしな。」
劉淵:「まったくだ。互いに片方の腕を死なうなど…。ああ、お揃っちか。」
イオハロット:「きっしょー!」
ノエル:「何はともあれ。やったね、ガロ」
ガロ:「ああっ。今日はパーッと贅沢しようぜ!」
ジャイロ:「イヤッフーー!女!酒!暴力!」
カラス:「そんな金あんのか?」
ジャイロ:「…」
ノエル:「…」
ガロ:「え?無いの?」
ジャイロ:「A級になったからって…」
ノエル:「…うう…」
カラス:「無いんだな。」
ヴァーバラ:(M)1992年。4月14日。準ギルド「アホレンジャー」。正規ギルドに認定。階級をA級とし、今後益々の活躍を祈る。
0:場面転換
0:墓
ヘルマン:「…。ほおら。差し入れだ。喜べ」
0:酒とクレープを置いた
ヘルマン:「って、なんだ。もう供え物があるじゃないか。二番乗りか私は」
0:ヘルマンは少し笑った
ヘルマン:「暖かくなってきたなあ。」
0:ヘルマンはしゃがみ込んだ
ヘルマン:「やっと色々、落ち着いたよ。全部全部、丸く納まったわけじゃない。失った物も、犠牲も、決して少なくはない。けれど、こうしてやっと、お前らと面と向かって挨拶できるくらいには。落ち着いたよ、色々」
0:ヘルマンは墓を眺めている
ヘルマン:「結末はこうなったよ。見ててくれたか、お前ら」
0:当然返事は無い
ヘルマン:「今日、あの馬鹿共が正規ギルドメンバーになるそうだ。…って、まあ。この話ももう聞いてるか。」
0:ヘルマンは煙草に火を付けた
ヘルマン:「…。タバコ。やめようと思うんだ。これが最後の一本。」
0:煙を吐く
ヘルマン:「____終わったよ。ニーア。オーウェン。」
0:場面転換
0:ギルド本部
モルポ:「よしっ。そんじゃあ、またお別れだな」
ガロ:「だな。」
フェリス:「ヴァンの奴、一言も挨拶無しに行くとか…流石に薄情過ぎて引いた…」
カラス:「そういう奴だろアイツは」
フェリス:「んーー。まあ、変に固くされても引くか」
カラス:「ああ。畏まって折菓子でも持ってきた日にゃ雨が降る。」
フェリス:「はは、だね。」
カラス:「…。またな、フェリス」
フェリス:「…。うんっ。」
ノエル:「皆が皆正規ギルドになったら、いよいよ会える事も少なくなるね。」
モルポ:「どおおじてそんなごど言うですかあああ寂しくなっちゃうでショ!?」
ジャイロ:「本来こんなもんだろうよ。」
フェリス:「でも、同期合格者が全員揃って正規昇格ってのも珍しい。嬉しいことだよ」
ガロ:「そりゃそうだ。誰も欠けなくてよかったっ。」
カラス:「ああ、それに尽きるな」
ノエル:「うん。本当に」
ジャイロ:「…だなあ。」
林檎:(M)そこは、世界で一番貿易が盛んと言われた街。リベール
ノエル:「じゃあ。名残惜しいけど。行こっか」
ガロ:「おう!」
カラス:「さあて、次は何処に行くかね」
ジャイロ:「えっちな国がいいな」
モルポ:「なんだそれ」
林檎:(M)この街では。日々様々な物が群雄割拠していた。
ガロ:「そんじゃあまたなー!お前ら!」
モルポ:「おょょょ!またなあああ!」
ジャイロ:「引き続きセコく頑張れよ〜!」
フェリス:「またね〜っ。」
カラス:「またな。」
ノエル:「また会おうね!」
林檎:(M)とある日は、とある人が苦悩し、とある人は喜び、とある人は人を助け、とある日。また人を陥れた。
0:リベール
0:とある場所
劉淵:「…」
イオハロット:「やっぱ来てたか、劉淵。」
劉淵:「ああ。お前も」
イオハロット:「よっこらせ。」
劉淵:「…」
イオハロット:「見てたか、ワタリ。色々面白かったろ。アイツらが暴れ出してから一年ちょいだぜ?信じられるか」
劉淵:「…。」
イオハロット:「激動ってのは、本当に。名の通りだなあ。そこ足突っ込んだと思ったら腕が飛んじまってよ。はは、笑えるだろ」
劉淵:「…」
イオハロット:「…。なあ。劉淵」
劉淵:「なんだ。」
イオハロット:「私たちは支える篭手だ。」
劉淵:「ああ。そうだとも。」
イオハロット:「…。支える腕は。多い方がいいと思わねえか?」
劉淵:「ああ。言わずとも知れている。」
イオハロット:「申請書。お前が書けよ」
劉淵:「構わないが。名前はどうする。」
イオハロット:「そうだなあ〜…。また一から決めようぜ。」
劉淵:「ふは。ああ。そうだな。そうしよう。また一歩。」
0:劉淵は前を向き直した
劉淵:「踏み直すとしよう。」
林檎:(M)人間達の物語が、この世界には無数にある。
0:ギルド本部
受付:「…」
0:受付は書類を眺めている
ヴァーバラ:「どうしたんですか。ジッと書類を見つめて。ヤケに嬉しそうですが」
受付:「へへー。そう見えます?ほら、見てくださいよ。これ」
ヴァーバラ:「ん。」
0:ヴァーバラは書類を読んだ
ヴァーバラ:「…はは。そう、ですか。劉淵さんとイオハロットさんが共同でギルドを。」
受付:「はいっ。ワタリさんと離れて以来、危うい程に勇み足だったので心配していましたが…二人が揃えば、もう大丈夫ですよね」
ヴァーバラ:「ええ。あの二人なら、強くまた一歩踏み出せるでしょう。彼らもまた紛うことなき、新生だ。」
受付:「ふへへ」
ヴァーバラ:「本当に嬉しそうですね」
受付:「はい、本当に嬉しいのでっ。」
ヴァーバラ:「…やはり人の時代というのは。険しくも、美しいですね」
受付:「?何か言いましたか?」
ヴァーバラ:「いいえ。私も、期待に胸を膨らまさずにはいられないようです」
林檎:(M)その物語の続きは。また別の誰かが綴るだろう。
0:場面転換
0:リベール
0:キャリオン街
カラス:「にしても、林檎。結局来なかったな。」
ガロ:「ああ、アイツもアイツで忙しそうだしな。でも手紙は貰ったぞ」
ノエル:「ええ?」
ジャイロ:「はあ?聞いてないぞ」
ガロ:「あれ。言ってなかったっけ」
ノエル:「聞いてない聞いてない」
ジャイロ:「聞いてない聞いてない」
カラス:「ほお。文通。ウルカレットの娘共といい、分かってるねえ」
ジャイロ:「読ませろやいっ。」
ノエル:「てやんでいっ。」
ガロ:「おう、ちょっと待ってな。えっと…確かこの辺に…あった!」
0:ガロは手紙を渡した
ジャイロ:「うわ。なんか。意外と字綺麗なのムカつく」
ノエル:「わかる。」
ジャイロ:「なになに。えー。拝啓、アホレンジャーの一行」
林檎:(M)ヴァーバラから先んじて聞いているから前もって言わせてもらうけど。正規ギルド昇格、おめでとう。
ノエル:「知ってたのかよ。やらし〜」
林檎:(M)フランスから離れなきゃ行けなくなったから、昇格式は出られない。ので、この手紙で感謝を。今回のグランシャリノ解体は君達が居なければ成し得ない事だった。本当にありがとう。
林檎:(M)こうしている間にも未だ激動はその勢いを止めず進み続ける。けど、君達はそんな事気にしなくていい。君たちは君たちの歩む道がある。これから世界にどんな事が起こっても、気負わず。ゆっくり歩いたらいい。あ、遅刻は駄目だけどね
カラス:「バレてんじゃねえか」
ノエル:「ねー。こういう所ほんと」
ジャイロ:「はは、まあ。一応は仲間やってたわけだしな」
林檎:(M)最後に、仲間の好として一度だけ力を貸して欲しい。またその時が来たら改めて会いに行くよ。
ガロ:「…」
林檎:(M)それまでは会うことも無いだろうけど。また会おうね、冒険家諸君。君たちの仲間より
0:ガロは拳を握り呟いた
ガロ:「またな。アレジ」
林檎:(M)PS.風呂上がりに耳掃除をすると少し湿っている
ジャイロ:「なんだそのオチ!!?おもんな!?!」
ノエル:「おーいあんまおもんないとか言うな」
カラス:「アイツらしいと言えばらしいが。」
ノエル:「何奴も此奴も、真面目に締められない運命かあ。」
カラス:「林檎で思い出したが。ノエル」
ノエル:「なに?」
カラス:「お前。腕、戻してもらわなくてよかったのか。」
ジャイロ:「んー。そうな。お嬢がなにも言わねえからほっといたが。まあ、気になりはするわな。」
ガロ:「…」
カラス:「林檎じゃないにしろ、フェリスでも何とか直せたとァ思うが」
ノエル:「あー。うん。まあ、色々不便だけど」
0:ノエルは自分の右肩を摩った
ノエル:「…。私達は、良くか悪くか。誰かの望んだ選択を踏みにじったんだ。その為に死んじゃった人もいる。」
ジャイロ:「…」
ノエル:「だから、全部が全部元に戻しちゃったら。まるで最初から何も無いみたいで。私がただ、こうしてたいだけ」
ガロ:「…。」
ノエル:「嬉しいのも、痛いのも、悲しいのも。私達が、自分の足で歩いて来た証明だから。」
ジャイロ:「はは。」
ガロ:「おう。めちゃかっけーぞっ。」
ノエル:「ひひひ。だろーが」
カラス:「…は。だったら良い。悪ぃな、野暮な事聞いて」
ノエル:「ううん。ただ。まだ片腕の生活に慣れてないんだし。飯当番暫くはお前らに任せるからな」
ジャイロ:「うげっ。」
カラス:「俺らが…」
ガロ:「飯…?」
ジャイロ:「ないないないないない」
カラス:「ないないないないない」
ガロ:「ないないないないない」
ジャイロ:「今すぐ林檎読んでこい!!」
カラス:「もしくはフェリスだ!!」
ガロ:「ああ!頼む!!俺!毎日丸焦げのパン食いたくねえよ!!」
ノエル:「お前らな…。少しは成長の意志を見せろよ。」
ジャイロ:「人にはできることと出来ないことがある」
カラス:「家事全般は後者だ。」
ノエル:「はいはい、ちょっとずつ覚えていこうな〜」
ジャイロ:「のぉぉぉ…」
ノエル:「ったく。あいつらは…」
ジャイロ:「お前。米炊ける?もしくパン」
カラス:「パンって炊くもんなのか…?」
ジャイロ:「知らねえ…くそ。こんな事ならラテから教わっとくんだったぜ…」
ノエル:「私のことで言えば、ガロだってそうでしょ」
ガロ:「おれ?」
ノエル:「異常性の反動。暫く続きそうだってね」
カラス:「ああ…。少なくとも1年は休養するべきだっつー」
ジャイロ:「そりゃそうだ…。1年でも全く返せねえほど借りてんだろ。お前」
ガロ:「だっははっ。それこそ気にすんなよ。いざって時は無理するよ。」
カラス:「は。今更止めやしねえよ。」
ノエル:「ま。止まらないしね」
ジャイロ:「ははは、いいじゃねえか。力ってのは目的を勝ち取るためのもんだ。暫くはそんなもんもねえだろうし。ただ目的も無く歩くだけっていうのも悪くねえだろ」
ノエル:「変わったなぁー。お前」
ジャイロ:「俺は元々こんなんだ。飯食って寝る。それが出来りゃいい。」
カラス:「女は」
ジャイロ:「そりゃ別だろうが!」
カラス:「酒は?」
ジャイロ:「そりゃ別だろうが!!」
カラス:「死ぬほど強欲じゃねえか。」
ジャイロ:「黙ってろ。誰もが誰もてめぇみてぇに出家してんじゃねえんだよこのハゲ」
カラス:「ハゲてねぇだろうが目ェ付いてんのかお前」
ジャイロ:「あぁぁぁ???」
カラス:「はぁぁぁぁ?」
ガロ:「…」
0:ガロは空を見ている
ガロ:(M)今日もいい天気だ。風も暖かくなってきた。
ガロ:(M)短い人生だけど。ゆっくり。ゆっくり周り道を楽しんで行くよ。
ノエル:「…。ほーら、ガロ」
0:背中を叩いた
ノエル:「行こうよ。次の冒険」
ガロ:(M)____皆と。
ノエル:「ね。」
ジャイロ:「なぁに。浸ってんだ。らしくもねえ」
カラス:「全くだ。上じゃなくて前見やがれ、冒険家」
ガロ:「…ああ。そうだなっ。」
ノエル:「カラスってたまに詩人みたいなこと言うよね。」
カラス:「師匠がそんな人だったからな」
ノエル:「師匠。」
ジャイロ:「はっ。親に似るってもんだろ」
カラス:「んな事より、行くんだろ。」
ガロ:「おう!」
0:ガロは空に向かって拳を上げた
ガロ:「皆それぞれ、自分達の冒険に戻った!俺らも、俺らの冒険楽しもーぜっ。」
ジャイロ:「おうっ。」
ノエル:「うんっ。」
カラス:「ああ。」
ガロ:「よーーし!そんじゃあ、行くか!」
カラス:「お。走るか」
ガロ:「おう!」
ノエル:「なんで!?」
ジャイロ:「まー。もうしょうがねえだろ。」
ノエル:「えぇ!?なんで!?なんでなの!?使おうよ!ばす!何に追われてんのお前らは!」
カラス:「拙者、金欠侍!」
ジャイロ:「某、金欠アロハ!」
ノエル:「もういいってそれ!!」
ガロ:「だはははっ!いくぞー!おまえらっ!」
0:4人は走って行った
ガロ:(M)ガロンドール冒険譚。30章。
ガロ:(M)いよいよ、リベールの外を冒険して回る!
ガロ:(M)これからも沢山、美味いもん食って、綺麗なもん見て、色んな景色を見てくる!勿論、皆でっ。
ガロ:(M)続きは。この道を歩いてる最中にでも、ゆっくりと書くことにする!
0:場面転換
0:アメリカ ニューヨーク
林檎:「…。やっぱり。思ってたよりずっと早いな。」
0:高台で街を見下ろしている
林檎:「ドイツ、バグテリア。中央。異能協会。ギルド。…ギルドはこれで大丈夫だとして…次1番早そうなのはバグテリアかな。うぅ〜ん。救うものが多いと疲れるね。」
0:林檎は何かの書類を見ている
林檎:「…まあ。見たところバグテリアの彼らなら、上手くやりそうなものだけど。と、なるとやっぱり次は…アーヘンかな。」
0:林檎は仮面を外した
林檎:「そろそろ会っとくかい。アレジ・ロンドン。」




