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異能力者達の夜明け  作者: ゆーろ
冒険者達の午後
20/28

冒険者達の午後 急3-3

3-3

0:ーーーー『冒険者達の午後 27章』ーーーー



オーダー:(M)僕だけが知っている。時が止まった世界を歩く感覚。


オーダー:(M)無重力のような、質量を失ったような、夢の中を走っている感触にも似ている。


オーダー:(M)何をしても、何を成しても、全てが無駄かのように錯覚する浪費感。


オーダー:(M)時計の針が静止した空間で人を斬るのは、頭を抱える程呆気ない。臓器を守る骨が透け、骨を守る筋肉が途切れ、筋肉を守る皮膚を避け、流れる水に手を通すが如くその首を絶てる。


オーダー:(M)まるで。最初からそこには何も無かったかのように。


0:1973年 6月

0:イギリス タルネス地区


オリバー:「ぎぃぃやぁああああっ!」


0:全力疾走するオリバー


オリバー:「おい君!なんだあれは!大量の犬か!犬!」


ヴルカーン:「知るか!こんなの報告に無かったぞ!」


オリバー:「私は犬が苦手なんだ!!ぎゃーっ!次は虫まで!おいヴル!虫だぞ虫!!」


ヴルカーン:(M)クソ、この馬鹿うるさい女と共同任務ってだけで嫌気が差すってのに…!ステージ2の異常体だけじゃねえ、生物操作の異常性を持った奴も居んのか…!


オリバー:「Gravityグラビティッッ!」


ヴルカーン:「うおお!?あっぶねえなお前!ちゃんと効果範囲絞れねえなら使うな!」


オリバー:「ごめん!まじで犬無理なんだ!」


ヴルカーン:(M)やりづれェ〜!何処に敵がいるかも分かんねえ分、俺の異常性とも相性がわりぃ…!こいつは完全にアガっちまってるし…!


オリバー:「君!なんか!なんか無いのか!空間切断の異常性なんだろ!」


ヴルカーン:「有効範囲が広くない!お前の異常体の方がよっぽど相性いいだろうが!定義転換とか使えないのか!」


オリバー:「まだ無理だ!」


ヴルカーン:「なんだその今から出来るようになるみてぇな言い方は!」


オリバー:「なるもん!!」


ヴルカーン:「黙れ!可愛くねえんだよ!!」


0:ヴルカーンは躓いた


ヴルカーン:「アっ」


オリバー:「…!おい、君!」


ヴルカーン:「俺の事はいい!先行け…!」


オリバー:「そうはいかんだろう!!」


ヴルカーン:「馬鹿っ。そうじゃねえって…!」


0:大量の虫が湧き出る


オリバー:「ひょ…ッッ」


ヴルカーン:(M)っぱ潜んでやがるか…!虫と言えばどこからでも侵入できるのが取り柄だもんよ…っ!


オリバー:「ぎゃぁあああっ!」


ヴルカーン:「くそ…ッッ!」


オーダー:「ClockクロックSTARTスタート


リシャール:「REDOCEANレッドオーシャン


0:虫と犬は弾け飛ぶ


ヴルカーン:「お…!?」


オリバー:「んん!?なんだ…!急に虫と犬が破裂したぞ…!?」


ヴルカーン:(M)それだけじゃねえ、斬殺されてるのもいる…!何が起こった…!


オーダー:「やっほぉ〜。無事ー?泣いてるー?大丈夫かーい?」


オリバー:「ひょ」


オーダー:「この私が助けに来たよ。」


リシャール:「随分こっぴどくやられてたみたいだな」


オリバー:「お、おい君…あの人達は…まさかっ。まさかまさかまーーさーかーバーサーカー!?」


ヴルカーン:「ナンバーズ…!?嘘だろおい、なんでこんな所に…!」


リシャール:「報告にない異常体の報告があった。観測室がステージ4相当だと踏んだ。後は変わるよ」


オーダー:「んま、そゆこと。ほらいったいった。」


ヴルカーン:(M)こいつがオーダー・アルバーナ…!思ってたよりずっとちっせえ…!


オリバー:「おい、君!早く行こうっ。もう犬は見たくない!」


ヴルカーン:「わ、分かった。すみません、後はお願いします」


オーダー:「はいはい、任せんしゃい。そいじゃリシャール、サクッと終わらせよう」


リシャール:「油断はするなよ」


オーダー:「はは、誰に物言ってんのさ…!」


0:場面転換

0:中央政府本庁


ガルシア:「5時間前、イギリス、タルネス地区での任務において民間人への避難誘導を行う前に戦闘開始したとの報告があった。


0:局長室


N:中央政府。400年以上続く歴史を持ち、人類史における異常体と人類の均衡を保つ、超大型公的機関。


ガルシア:「担当はオリバー、ヴルカーンに変わりお前らナンバーズが引き継いだと聞いたが。」


オーダー:「…」


リシャール:「…」


N:特務執行官。通称「ナンバーズ」。中央政府執行部の中で、最も優秀足る任務成績を誇る、正真正銘。中央政府最高戦力である。中央政府執行部が保有する異常体は、400年間見て、述べ8900万体。その中で、ナンバーズとして数えられた異常体は僅か26体しか存在しない


ガルシア:「どっちだ。規律違反をしたのは」


リシャール:「こいつです。」


オーダー:「お前っ。裏切るなよ…っ。」


ガルシア:「オーダー…。」


オーダー:「いや。違うくて、あれはしょうが無かったんだよ。到着した頃には異常体が暴れてたから…」


ガルシア:「近隣住民からの報告だと、執行対象の異常体に挑発されて戦闘開始に至ったとの事だが」


オーダー:「いや…それは…」


ガルシア:「目撃情報は26件も来ている。今ビットマンがクレーム対応に当たっているが」


オーダー:「うう…」


ガルシア:「本当か。」


オーダー:「ううう…」


ガルシア:「本当、か。」


0:時間経過

0:執行部食堂


N:オーダー・アルバーナ。リシャール・ヘルムホルツ。この両名がナンバーズとして抜擢されていた世代を、史上最強世代のナンバーズだと謳われる


オーダー:「なんだよ。ガルシア、あのジジイ。あんな怒ならなくてもいいのにさ。嫁と喧嘩でもしたか。っていうかリシャール、裏切ったな」


N:オーダー・アルバーナ。中央政府特務執行官。総執行数3246件。ステージ5「時間停止」の異常性を持ち、当時16歳という、歴代でも最年少にしてナンバーズ入を果たした怪物である。


リシャール:「僕は事実を言っただけだ。安い挑発に乗ったのも、その後民間人への避難誘導も無しに戦闘開始したのも事実だろ」


N:リシャール・ヘルムホルツ。中央政府特務執行官。総執行数2645件。ステージ5「血液操作」の異常性を持つ。オーダーに次ぎ、18歳という若さにしてナンバーズ入りを果たした、こちらもまた怪物。


0:二人はご飯を食べている


オーダー:「あんな雑魚、私らにかかれば秒殺でしょ。秒殺。実際そうだったじゃん」


リシャール:「オーダー、油断のし過ぎは良くない。常に最悪のケースを想定しないといつ首が落ちるかも分からない」


オーダー:「私とリシャールが居て落ちる首がどこにあんだよ」


リシャール:「お前の時間停止だってまだ完璧じゃないんだ。時間制限と、有効範囲外からの攻撃にはまだ対応しきれてない。」


オーダー:「時間制限については年々伸びてるし、範囲内に入った時点でぜーんぶ静止するから関係ありましぇーん。」


リシャール:「先月のニューヨークでの任務は危なかったろ」


オーダー:「結局リシャールが守ってくれたでしょ。私がカバーできない範囲はリシャールが、リシャールの持久力は私の異常性でカバー出来る。ほら、完璧なラインでしょーよ。」


リシャール:「今後も共同任務を出来るとも限らない。そもそも、お前のそう言う態度をガルシアは怒ったんだよ」


オーダー:「はあ…。いやだってさぁ?こちとら寝る時間もほぼ無く働いてんだよ?人様に命救って貰っておいてクレームとかありえなく無いか。ありえなく無いか!?」


リシャール:「文句を言ったってしょうがないよ。僕らはナンバーズだ。そうでなくても、中央政府に居る以上、民間人保護が最優先。そういう規則だろ」


オーダー:「はあ〜わっかんね。敵を殺す為には多少なりとも犠牲は出るでしょうに」


リシャール:「そうならない為の僕らだろ。異常体は人類の盾だ。それが僕らの存在意義だよ」


オーダー:「存在意義とか寒い事言って。相変わらず鉄仮面だなリシャールは。その癖、腹の底では自分を納得させる言い訳探しで必死だもんね。お真面目お真面目」


リシャール:「…なんだ。喧嘩を売ってるのか」


オーダー:「君がそう思ったならそうだよ。」


N:史上最強世代のナンバーズと呼ばれるのと同時に


リシャール:「いい度胸だ。歳上の怖さを思い知らせてやる」


オーダー:「たかが二歳差でイキってんなよ。最年少記録更新されて怒ってんの?」


N:史上最悪世代のナンバーズとも呼ばれていた。


ビットマン:「おお。ここに居たか、問題児共」


リシャール:「ん。ビットマンじゃないか。」


オーダー:「話なら後で聞くよ。今こちとら取り込み中だ。」


ビットマン:「はあ…。頼むから本庁内で面倒ごとは勘弁してくれ。何回始末書を書けば気が済むんだ。次の任務まで後15分だ。作戦室に来い。」


オーダー:「まだ飯食ってんでしょーが。」


ビットマン:「お前らがダラダラと話してるのが悪い。俺には関係無い。さっさと食べて作戦室来いよ。」


リシャール:「分かった。」


0:ビットマンはその場を去った


オーダー:「はぁ〜…。やってらんないね。ご飯もゆっくり食べさせて貰えない」


リシャール:「僕たちの一分一秒で、何百人という人の命運が別れるんだ。仕方がない」


オーダー:「へいへい。大真面目なことで。」


0:時間経過

0:中央政府監察局 局長室


ビットマン:「ーーー以上。オーダー・アルバーナ。並びに、リシャール・ヘルムホルツの報告を終わります。」


ガルシア:「ああ。まあ、そりゃあ問題なく終わるだろうとは思っていたが。相変わらず凄いな。彼女達は」


ビットマン:「はい。歴代ナンバーズで最強世代と言われるのも納得です」


ガルシア:「確かに彼女達は優秀だが…。」


ビットマン:「局長の言わんとする事は分かります。オーダーの年齢はまだ15歳。ですが、年齢に見合わず任務はそつ無くこなしています」


ガルシア:「…ビットマン。いま階級はいくつになった」


ビットマン:「え。あ、つい先月準一等監察官へと昇格させて頂きました」


ガルシア:「そうか。ホトバシには少し、先を越されたな」


ビットマン:「アイツと同じにせんでくださいよ。アレは俺とは次元が違います」


ガルシア:「まあ、それもそうか。準一等なら、いいか。」


ビットマン:「…?何がですか」


0:ガルシアは窓の外を眺めている


ガルシア:「…私は。中央政府に席を持つ身として最も重要なのは。情だと考える」


ビットマン:「情…?」


ガルシア:「言いたい事は分かるよ。人に死んでくれ、と命令する立場だ。情など足枷にしかならない。けれど。人に死んで貰う以上。情を忘れてはいけない。」


ビットマン:「…何故、急にそのような話を」


ガルシア:「…次の局長は。ビットマンとカルラコットに任せようと思っている」


ビットマン:「次…?何を言ってるんですか、局長もまだ現役ではありませんか」


ガルシア:「こんな仕事をしていればいつ死んだっておかしくないさ。後続には常に目を光らせている。私は、お前が最も相応しいと思った」


ビットマン:「気が早いですよ、ガルシア局長。俺だってまだまだ半端者なんですから、そういう発言は控えて頂きたい。」


ガルシア:「…。ああ。そうだな。悪かった。」


0:時間は現在に戻る

0:ノアの方舟 2階 医療室


ガロ:「…。」


ジャイロ:「…よお。やっぱここで待ってると思ったぜ。」


オーダー:(M)いつからだろう。全部、全部止まってしまったのは。


ジャイロ:「オーダー…!」


オーダー:「…真っ先に僕のところに来てくれるか。嬉しいよ。」


ジャイロ:「…。ガロ。言うのが遅くなったが。俺の古巣は無題っていう犯罪者集団だ。で、こいつは俺の。」


0:ジャイロは拳を握った


ジャイロ:「母親だ。」


オーダー:(M)なあ。リシャール。あんなだった僕が、母親と呼んでもらえる日が来るだなんて、想像したか。


ガロ:「…。分かった!いいんだな。ぶっ飛ばして」


オーダー:(M)僕は。想像もしなかったよ。


ジャイロ:「ああ。しっかりと。弔ってやらねえと。」


オーダー:「今の私には。私の目的がある。これ以上、誰も過ちを犯さないように。その道を阻むって言うなら。君でも殺すよ。ジャイロ」


ジャイロ:「そのつもりで来てんだ…!過去との因縁だァ、力貸してくれや、ガロ!」


ガロ:「おう!!任せとけ、ジャイロ…!」


オーダー:(M)選んだ選択全てが。間違っていたかのような。無駄だったかのような無力感。


0:オーダーは外を見ている


オーダー:(M)冬は好きだ。夏の暑さを忘れる程、体が冷えるから。


ジャイロ:「…。何ポケーっとしてやがる。」


オーダー:「…お前達は。何をしにここまで来たんだ」


ジャイロ:「…あ?」


オーダー:「もう仲間は取り戻したはずだ。今後グランシャリノと関わらなければ、より平穏の日々を過ごせただろう。」


ジャイロ:「…。俺がここにいるのは、お前を人として死なせる為だ。今度こそ、綺麗さっぱり過去に、きっちり精算つけて前に歩く為だ。」


オーダー:「…それには意味が無い。僕を殺したところで、グランシオラは止まらない。」


ジャイロ:「…お前は昔から意味だなんだと。馬鹿か?俺がそうしたいからしてるだけだ。」


オーダー:「自分の感情に従って動くだけなら猿でも出来る。その先に、なんの大義がある」


ジャイロ:「そんなもん必要ねえよ。」


オーダー:「…」


ジャイロ:「俺には。こいつらが居る。」


ガロ:「…」


オーダー:「…。そっちの君は。中枢議会ぶりだな。」


ガロ:「おう。」


オーダー:「同じ問いをさせてくれ。何故グランシオラに関わる。」


ガロ:「…。」


オーダー:「僕にとって、大切な事だ。答えてくれ。」


ガロ:「俺は冒険家だ。俺が面白いなって思う世界を旅したい。グランシオラの作る世界に興味が無い。そんだけだ」


オーダー:「…。やっぱり。レーヴェンシュタインとよく似てる。」


ガロ:「…」


オーダー:「やめないか?」


ジャイロ:「…あ?」


オーダー:「僕が今ここに居る事には意味がある。大義ですらある。でも、お前たちは違う。自分たちだけが良ければそれでいいのか。何故、たかだかそれだけの理由で。お前を手にかけなきゃいけないんだ。ジャイロ」


ジャイロ:「はっ。勝った気で居るのかよ。」


オーダー:「勝てると?」


ジャイロ:「勝つさ。」


オーダー:(M)冬が好きだ。雪が、全部凍り付かせて。もう何も動かないようにしてくれればいいのにと。強く思う


ジャイロ:「来い。サーティーン…!」


ガロ:「…!ジャイロ!!」


オーダー:「ーーーッ」


0:ジャイロを殴り飛ばす


ジャイロ:「ごぶぉあッッ…!」


オーダー:「異常性が使えなければ楽な相手だと思ったか。ジャイロ」


ジャイロ:「はっ、はは。冗談…っ。アンタの馬鹿みてぇな運動神経はよく知ってる…!」


ガロ:(M)速い。一切の無駄がねえ。怖いくらい削ぎ落とされてる。


ジャイロ:「ガロぉ…!悪ぃが俺はだせぇから、お前の力きっちり借りるぞ…!」


ガロ:「…。おう…!」


オーダー:「他人にここまで頼れるようになるだなんて。変わったね。」


ジャイロ:「昔から根っこは変わらねえよ…!」


ガロ:「FANBLEファンブル…ッッ!」


0:ガロの身体は発熱した


ガロ:「ーーッしゃぁああっ!」


0:殴りかかったがオーダーに蹴られる


オーダー:「っ。」


ガロ:「ごぶォ…!?」


ジャイロ:「削り取れ…ッ!」


オーダー:(M)最愛のようで。憎んでもいる。その空気を。


ジャイロ:「サーティーン…ッッ!」


オーダー:(M)もうやめてくれ。もう、どれもこれも。無駄だったんだ。


0:回想

0:1974年 7月


リシャール:(M)オーダーがナンバーズになってから。1年と半年が過ぎた。


リシャール:(M)日に日に、予てからの課題だった、時間停止の制限時間はとうとう60分を超え、効果範囲の拡大。クールタイム中の体術も一等級以上の監察官と並び、正真正銘。オーダー・アルバーナは歴代最強ナンバーズへと成った。


リシャール:(M)ギルドの発足から30年余り。異常体の権利分与巡った結果、その夏は過去最高記録を打ち出す数の異常体が頻出した。執行部はそれぞれ、寝ずの任務へと赴く事も多く、沢山の同僚が死んだ。


リシャール:(M)必然的に、オーダーと任務を共にする回数も減り、異常体の返り血は僕一人に降り注ぐ事になった。


リシャール:(M)夏の乾いた風が、我が身に帰った血を固く、黒く染める。


リシャール:(M)異常性の反動もあったんだろう。立ちくらみと、頭痛が酷かった。


リシャール:(M)貧血で倒れては中央の医療室で目を覚まし、誰かも分からない血を流し込んでは、またその血で異常体を殺す。


リシャール:(M)誰の為に?何の為に?


リシャール:(M)…くだらない妄想は捨てろ。非力な人類の為だ。アイツらの死は、必ず今後、世界がより良い方へ向かう為の道になる。


リシャール:(M)暑い。暑い猛暑が2ヶ月ほど続いた。


0:執行部領


リシャール:(M)3日ぶりの帰還。寝ず食わずで血を流し過ぎた。頭が痛い。身体が鉛のようにダルい。ふと、久しい顔を見た


アストレア:「おや、リシャール。久しぶりですね」


リシャール:(M)アストレア・アステル。中央最強と呼ばれる正真正銘最強の異常体。ナンバーズとはまた次元が違う、人類史上3体しか存在しないステージ6の怪物。


アストレア:「少し、痩せましたか?」


リシャール:(M)恐らく、全世界、全人類の誰よりも人を殺したその人の顔は、あまりにも綺麗だった。


アストレア:「…リシャール…?」


リシャール:「…すみません。少しボーッとしてました。ご無沙汰しています。半年ぶりでしょうか。」


アストレア:「もうそんなに経ちますか。遠征続きだと、幾つ月を跨いだかつい忘れてしまいますね。今年の春から、特にこの夏は異常体の報告数が多い。リシャールも、ナンバーズになってからまだ2年目でしょう。余り気を負いすぎず臨んでください。たたでさえ貴方の異常性は身体への負担が大きい」


リシャール:「はは、ありがとうございます。アストレアさんこそ、一番多忙でしょう。僕が言うのもお門違いかもしれませんが、身体には気をつけてください」


アストレア:「ありがとうございます。優しいですね、リシャールは。」


リシャール:「優しい…ですか。」


アストレア:「ええ。優しいですよ、貴方は。ああ、そういえば、オーダーは一緒では無いのですか」


リシャール:「はい。最近は単独任務が多いので」


アストレア:「そうですか。無理もありません、この任務量では。」


リシャール:「…。アストレアさんは。一人での遠征が多いですよね」


アストレア:「ええ、そうですね。逆を返せば皆さんがいるから、私は私の任務に集中出来るのですが」


リシャール:「…。最近はステージ5の異常体もチラホラ出てきます。任せ切りになってすみません。」


アストレア:「とんでもない。貴方たちだって、その規模の任務は少なからずあるでしょう。」


リシャール:「…やっぱりアストレアさんからしたら、ステージ5であろうがなんだろうが。あんまり関係ないものなんですか」


アストレア:「…と、言いますと」


リシャール:「…。特に。理由はありません。ただ、他の一切を寄せ付け無い。文字通り最強の貴方は。誰かを殺す時、何かを考えているのかと思って」


アストレア:「…。そう、ですね。余り考えていないかもしれません。」


リシャール:「…」


アストレア:「…彼らはただ存在しているだけで、それを奪う理由を逐一求めないようにはしています。こちらの都合で殺す理由を押し付けるのは、私の中では無礼に当たる」


リシャール:(M)何かが、ひび割れていく音がする


アストレア:「どうか、安らかにと願うばかりです。」


リシャール:(M)聞くんじゃなかったと思う自分と。聞いてよかったと思う自分の両方が、嗤いだした



リシャール:「…はは。」


アストレア:「…リシャール…?」


リシャール:「…いえ。なんでもありません。すみません、急にこんなことを聞いて。また2時間後任務なので、ここで失礼します」


アストレア:「…。」


オーダー:(回想)「存在意義とか寒い事言って。相変わらず鉄仮面だなリシャールは。その癖、腹の底では自分を納得させる言い訳探しで必死だもんね。お真面目お真面目」


アストレア:「…リシャール」


0:リシャールは足を止めた


オーダー:(回想)「はあ…。いやだってさぁ?こちとら寝る時間もほぼ無く働いてんだよ?人様に命救って貰っておいてクレームとかありえなく無いか」


アストレア:「…ナンバーズ。やっていけそうですか。」


リシャール:「…。」


0:リシャールは光の灯らない目で笑った


リシャール:「やるしかないじゃないですか。」


アストレア:「…」


0:場面転換

0:中央政府 出口


リシャール:「…」


オーダー:「あれ。リシャールだ。おーい!」


リシャール:「…やあ、オーダー。」


オーダー:「ひっさしぶりだね。なんかやつれた?」


リシャール:「…いいや。ただの睡眠不足だ。」


オーダー:「あぁ〜、最近クソ忙しいしね。なに、今からまた任務?」


リシャール:「ああ。」


オーダー:「そっか。私もシャワー浴びたら出るんだけど、一緒に行こうよ。久しぶりにさ」


リシャール:「…。」


オーダー:「…?リシャール?」


リシャール:「いいや。急ぎの任務でね。先に行くよ。」


オーダー:「そっか。分かった!」


リシャール:「…。」


0:場面転換

0:メキシコ


シェラザード:「ああ。はいはい。分かってる分かってる」


0:公衆電話で誰かと話している


シェラザード:「要人の拉致は済んだんだろ。じゃあもういいじゃねえか。え?ナンバーズ?あー、それも分かってる。」


0:タバコを吸っている


シェラザード:「アストレアが出張れねえようには手配したんだろ?じゃあ何とかなる。二人同時はちとキチィが。初見殺しならお手のもんだ。ああ。そんじゃあ、ルートだけしっかりしてくれよ。はいはい。うい。」


0:電話を切った


シェラザード:「〜。さて。クソ暑いが。仕事は仕事。サクッとやりますか。」


0:時間経過

0:中央政府 本庁


ビットマン:「失礼します…っ。ガルシア局長…!」


ガルシア:「続報が来たか…!」


ビットマン:「はい、視察した監察官より電報が、読み上げます…っ。」


0:ビットマンは紙を開いた


ビットマン:「…。中央政府への出資元であるストレウスグループ関係者の拉致。場所はメキシコです。」


ガルシア:「…アストレアは」


ビットマン:「現在はノーザンブリアの調査にて遠征中です…っ。」


ガルシア:「よりにもよって遠いな…っ。」


ビットマン:「視察に向かった監察官の半数が死亡、執行官は全滅です。恐らく、ステージ5クラスの異常体が関与しているとの報告もあります」


ガルシア:「仕方が無い、オーダーとリシャールを呼べ…!」


N:1974年 7月22日。中央政府財源確保を担う一角の拉致事件の報告。上層部の判断は全任務を放棄する規模での作戦動員司令。中央政府は迅速な対応に当たった。


オーダー:「…。」


リシャール:「リシャール・ヘルムホルツ。失礼します。」


ビットマン:「局長、連れてきました。」


ガルシア:「ああ、多忙の中呼び戻して悪いな。」


リシャール:「いえ。それ程の緊急事態という事でしょう。話はラインハルトから聞きました。」


ガルシア:「話が早くて助かる。4時間前、民間人が拉致された。場所はメキシコ。報告ではステージ5の異常体の関与が考えられるとの事だ」


リシャール:「…分かりました。今すぐ向かいます」


ビットマン:「メキシコまでは俺も同行する。」


リシャール:「ビットマンも…?ナンバーズには監察官の同行は必要無いと認められているだろう」


ビットマン:「事態が事態だ。急ぐぞ」


オーダー:「なんか。ヤケに焦ってんね。」


ビットマン:「…」


リシャール:「おい、オーダー。」


オーダー:「いや〜。なーんかムカつくんだよね。たかだか民間人保護で私らの任務を中断させるか普通?そうまで緊急性のある任務だとも思えない。」


ガルシア:「民間人の安全優先は重要な課題だ」


オーダー:「それは私らが担当してた任務だって同じでしょ。」


ガルシア:「ステージ5の異常体関与となれば、君達に依頼を要請するのは妥当な判断だと思っている」


オーダー:「ステージ5異常体の関与が「考えられる」って言ってたろ。他の執行官もこぞって作戦導入されてるそうだし。」


ビットマン:「オーダー!口が過ぎるぞ…!」


オーダー:「別に任務内容にケチ付けてんじゃないのね。民間人の命を救う事だって軽視してるわけじゃない。私が言ってるのは、救う命を選んでんじゃないのって話」


リシャール:「…。」


ビットマン:「オーダー!」


ガルシア:「ビットマン。構わない。ありがとう」


ビットマン:「…」


ガルシア:「…君の言う通りだ。今回拉致された民間人は、ストレウスグループの関係者。まあ、親族だ。」


オーダー:「やっぱりね。通りで臭いと思った。」


リシャール:「…ストレウスグループ。中央政府のスポンサーですね。」


ガルシア:「…そうだ。」


オーダー:「はぁ〜。お偉いさんの家族がしてやられたから他の民間人は切り捨てます〜って、どうなのそれ。」


リシャール:「…もういい。行こう、オーダー」


オーダー:「…はいよ。」


リシャール:「任務は任務、作戦は遂行します。貴方が、望んでこの司令を出しているわけじゃないのも分かっています。それでも、度し難いことって言うのはありますよ。僕達だって命を懸けて、命を守っているんです。その意義を揺るがすような真似を、貴方たちがしないでくださいよ。」


ガルシア:「…肝に。命じておく」


リシャール:「…失礼します」


オーダー:「…。」


0:二人はその場を去った


ビットマン:「…ガルシア局長。何故下出に出るんですか。貴方の判断は間違ってない。守る命を天秤にかけるのは俺達にとっても必要なことです…っ。」


ガルシア:「納得できないことを飲み込むのが大人だ。だがなビットマン。大人でいる事と、正しさは違う。」


ビットマン:「…」


ガルシア:「この場合、彼らの方が正しい。私は、大人でいることしか出来なかった。だから、情は常に持ってい無ければならないんだ。」


ビットマン:「…局長は優しい。俺の、最も尊敬する人です。ですが、優しさと正しさは時に相反する。それではいつか、自分の心が先にやられてしまいますよ。」


ガルシア:「……ああ。知ってるよ」


ビットマン:「…。出過ぎた発言を許してください。ただ俺は、貴方の指揮をとる手が余りにも痛々しい。それが、辛いんです」


ガルシア:「はは、それが見えるようになったなら、お前も素質があるってことだ」


ビットマン:「…?」


ガルシア:「仕事だ、ビットマン・ワイス。オーダー、並びにリシャールを追い、要人の救助を最優先に行動すること。以上、命令を遵守しろ」


ビットマン:「…。了解しました。命令を遵守します。」


0:ビットマンもオーダー達の後を追った


ガルシア:「ーーーー…私が一度号令を出せば、何千万という執行官が死ぬ。屍の上に立つという意味を。君はどこまで咀嚼できる。ビットマン。」


0:場面転換

0:メキシコ 空港から暫く歩いた都市


リシャール:「…。」


オーダー:「さっきぶり、だけど。やっぱりなんか後味悪い任務だなぁ。」


リシャール:「…そうだな。」


オーダー:「…リシャール、大丈夫か?本当に顔色悪いよ」


リシャール:「夏バテだって言ったろ。大丈夫だ。早く行こう」


オーダー:「ん。分かったーーーにしても暑いねえ」


リシャール:「最高記録らしいからな。」


オーダー:「ふふん、久しぶりにリシャールと任務行けて嬉しいよ。私」


リシャール:「なんでだ。」


オーダー:「なんでって。私達が揃えば敵無しだし。道迷わないで済むし。何よりーーー」


リシャール:「お前はもう一人で敵無しじゃないか」


オーダー:「へ…?」


リシャール:「…。僕達ふたりが動員されたのも。上層部への機嫌取りでしかない。形上、僕らが出るのを必要とされてたんだ。ガルシアだって本当はアストレアさんを出したかったんだろ」


オーダー:「…」


リシャール:「ステージ5異常体の執行も。要人救助も。全部お前一人で事足りる。僕が居る事に意味はあっても、意義は無い。」


オーダー:「…まだそんな事言ってんの。」


リシャール:「…。」


オーダー:「…。」


リシャール:「僕の母さんは執行官で。まだ小さい僕を守って死んだ。父さんは、パリの遠征任務で見ず知らずの子供を庇って死んだそうだ。」


オーダー:「…」


リシャール:「…僕も。死ぬ為の意義を探している」


オーダー:「私には親が居ないから分からないけど。意義に囚われるのって、危険だよ」


リシャール:「親が居ないなら分からないよ。子供が、家族がどんな気持ちで死んだか、何を託されたかなんて。必死に手当たり次第に任務をこなした。最年少でナンバーズになった。次の月には、僕よりも二つ下の奴がナンバーズ入を果たした。」


オーダー:「…」


リシャール:「当のお前は、今は平気な顔して、意味も、意義も持たない殺しができる。どうしてお前達だけがそんなに特別なんだ。オーダー。」


オーダー:「…なにそれ。」


0:オーダーは足を止めた


リシャール:「…。もう全部。お前ら2人だけでいいじゃないか。」


オーダー:「…。異常体を殺す意味がわからなくなったんだろ。お前の言う意義ってのがわからなくなったんだろ。」


リシャール:「…」


オーダー:「自分の為の言い訳ばっかり並べてるからそうなるんだよ…!」


リシャール:「自分に言い訳を必要としないのは、強者の傲慢だ。ちゃんと考えろ、人を殺してるんだぞ。僕達は」


オーダー:「…」


リシャール:「ここには。意義が見当たらない」


0:リシャールは一人で先に歩いた


リシャール:「…だから。意義を探しに行く」


0:オーダーは後を追わない


オーダー:「…。」


オーダー:(M)どうして。そんなになるまで。何も話してくれなかったんだ。


オーダー:(M)親友だと思ってたのは。私だけだったのかよ


0:オーダーは拳を握った


オーダー:「待てよ、リシャール…!」


シェラザード:『ーーー削り取れ』


オーダー:「…!」


0:オーダーは咄嗟に身をかわす


オーダー:(M)なんだ…!異常性…!?どこからだ…っ。


0:オーダーは後ろの木々を見た


オーダー:(M)何も無かったみたいにすっぽり無くなってる。空間切断…?質量に関係なく削り取る異常性か…!


シェラザード:「はは。避けられちまった。すごい動体視力してんな。オーダー・アルバーナ。」


オーダー:「…誰だお前」


シェラザード:「名前が聞きたきゃ金だしな」


オーダー:(M)この異常性。どこかで見たか…?報告にあったステージ5の異常体か


シェラザード:(M)効果範囲は半径8m。1秒もあれば十分だな。


オーダー:「名乗る名前が無いなら首置いてけ」


シェラザード:「それも金次第だ、な…ッ!」


0:手持ちの剣を振るう


オーダー:「っと。悪いけど、ちょっとイライラしてんだ、手加減出来ない、ぞ…!」


0:蹴るが受け止める


シェラザード:「ぉおおっと…!異常性頼りじゃないって、な。」


0:銃を取り出す


オーダー:(M)拳銃。まあ、クールタイムはそうやって凌ぐよな。私の異常性を知ってたら尚更…!


シェラザード:「脳天ぶちまけろ」


0:発砲


オーダー:「お前がな…!」


シェラザード:(M)掛かった。


オーダー:「ClockクロックINイン…っ!」


0:時間は静止し、弾丸も止まる


オーダー:(M)どこ行った、あいつ。妙にすばしっこかったしな。装備品も含めて、ただの野良の異常体って訳じゃなさそうだ。誰かに雇われてるか、殺しを生業にしてるタイプ。けどまあーーーー


シェラザード:『削り取れ』


0:時間停止が1部分だけ解ける


オーダー:(M)ーーーーは…??


シェラザード:「止めりゃ勝ち確だと思ったかよ、慢心極まれりだな…!」


オーダー:(M)どういう事だ…!時間停止領域まで切断したのか…!?質量とか、そういう次元じゃないだろ…っ。ここまでの人間を雇えるって、どんなのが裏で手引きしてんだ…!


シェラザード:「そぉぉら…!」


0:剣をオーダーの心臓へ突き刺した


オーダー:「ごぶっ…!」


シェラザード:(M)ナンバーズ二人相手だとキツかったが。こいつ1人ならどうとでもなる。範囲も思ってたより広かったが…問題、なし…ッッ!


0:剣を横に引いた


オーダー:「が…は…ッ…!」


シェラザード:「ダメ押しィ!」


0:喉に剣を突き刺した


オーダー:「…っ…」


0:シェラザードは剣を振り払った


シェラザード:「まず一人ィ。一番厄介なのを先に始末できたのは幸いだった。後のひとりは、どうとでもなるわな。」


オーダー:(M)対異常体に特化した異常性…。これは、まずい…。流石に死ぬ。


シェラザード:「そんじゃあな。歴代最強」


オーダー:(M)…リシャール…。


0:場面転換

0:メキシコ 倉庫


リシャール:「…。」


ガルシア:(M)ビットマン・ワイスより。ストレウスグループ救出任務報告書にて。


リシャール:「これは?」


ガルシア:(M)ストレウスグループ関係者拉致の真相は、親族内での遺産相続から派生した遺恨による騒動。


リシャール:「…つまり。貴方達の内輪揉めに、僕達の同僚は死んだ、と。たかだか…」


0:リシャールは大量に金の入ったキャリーケースを蹴った


リシャール:「こんな紙切れの為だけに。」


ガルシア:(M)ストレウスグループ救出任務は、午後7時22分を持って、任務内容変更となる。


リシャール:「…。馬鹿馬鹿しい。」


ガルシア:(M)リシャール・ヘルムホルツはその場に居たストレウスグループ関係者、及びその用心棒含む42名を惨殺。


リシャール:「…そうだな。そうしよう。」


ガルシア:(M)動機は…不明。


リシャール:「死ぬ為の意義は、自分で見つけよう」


ガルシア:(M)以降を持って、リシャール・ヘルムホルツ執行任務へと変更受理。


ビットマン:「リシャール!!!」


リシャール:「遅かったじゃないか、ビットマン」


0:ビットマンは息を切らしている


ビットマン:「何を、している…!」


リシャール:「見て分からないか。中央統治反逆だよ。」


ビットマン:「気が触れたか…!?お前…っ。自分が何をしたのか、分かっているのか…!その人達を殺すという意味が…!」


リシャール:「お前は正しいな。ビットマン」


ビットマン:「はあ…!?」


リシャール:「ホトバシ・カンラに一歩劣るお前が行き着いたのは、正しさか。」


ビットマン:「どういう意味だ…ッ…!」


リシャール:「憧れただろ。あの強さに、全ての行いに対して「意味」が後から着いてくる。あの傲慢さに」


ビットマン:「…」


リシャール:「アンタらはいいな。正しくあれば、生きていられる」


ビットマン:「リシャール…っ。」


リシャール:「僕らは。ただ誰かを殺す為だけに生きているのか。それだけが存在意義なのか。」


ビットマン:「〜〜…っ。」


リシャール:「まあ。アンタが回答を持ち合わせてるはずもないか。こんな既得権益の為に必死こいてるアンタには」


ビットマン:「リシャール・ヘルムホルツ。現行確認、中央統治反逆罪だ…」


リシャール:「…そうか。」


ビットマン:「只今より、執行処分を開始する…っ」


リシャール:「そうだよな。意味も、意義も、力があれば全て白紙になるもんな。よく分かるよ、ビットマン・ワイス」


ビットマン:「俺は、俺の命令を遵守する…!」


リシャール:「狗が」


ガルシア:(M)現場に到着したビットマン・ワイスはリシャール・ヘルムホルツの執行処分に尽力したが、執行には至らず、頭部から顔半分へかけて重症を負った


リシャール:「…見ろよ。血だ。僕も、アンタも。所詮動いて思考するだけの肉だ。それにどれ程の違いがあるんだよ」


シェラザード:「…お?」


リシャール:「…次から次へと」


シェラザード:「おいおい、死んでるじゃねえか。どういう事だ」


リシャール:「お前か。報告にあったステージ5の異常体は」


シェラザード:「お前ナンバーズだろ?何でそいつら殺した。どういう立ち位置の人間か、分かってんだろ」


リシャール:「分かってるから殺したんだ。不思議と。今までの殺しで一番。意味を理解できる」


シェラザード:「あー。イッちゃってる感じね。勘弁してくれや、タダ働きかよ。」


リシャール:「お前は誰だよ」


シェラザード:「あーもういいよ。雇い主が死んだならナンバーズと戦う価値なんてミリもねえ。」


リシャール:「雇われの殺し屋か。素人の体付きじゃない。」


シェラザード:「だから、もういいって。」


リシャール:「お前は。何の意義があって人を殺してるんだ」


シェラザード:「…。生きる為だ。それ以外に無い。」


リシャール:「…そうか。理にかなっている。」


シェラザード:「そりゃどうも。そんじゃあなあ。ナンバーズの。」


リシャール:「…待て。」


シェラザード:「…まだなんかあんのかよ。」


リシャール:「ここに来る前。これくらいの背丈をした女が居ただろ。ナンバーズの。」


シェラザード:「…あー…」


リシャール:「アイツはどうした。」


シェラザード:「殺した。」


リシャール:「ーーーっ…!」


0:リシャールは手のひらを向ける


シェラザード:「んだよ。結局こうなんのかよ」


リシャール:「……」


0:手のひらは徐々に力を失う


リシャール:「…いいや。それもいい。もう行ってくれ」


シェラザード:「…。なんだお前。」


リシャール:「…いいや。複雑な気持ちだ。ただ、少し嬉しい」


シェラザード:「…。」


リシャール:「早く行った方がいい。後数分もしない内に執行部がワンサカ集まる」


シェラザード:「ああそう。ご親切にどうも。」


0:シェラザードは出口へ向かった


シェラザード:「お前。それ以上人殺さない方がいいぜ」


リシャール:「…分かってたさ。」


シェラザード:「…」


0:シェラザードはその場を後にした


リシャール:「…。さて。」


0:リシャールは準備運動をしている


リシャール:「始めるか。」


ガルシア:(M)リシャール・ヘルムホルツの執行任務発令から1時間36分。現場へ急行した監察官、総勢463名。ステージ1からステージ4の異常体が912体が惨殺


リシャール:「6123…6124…6125…」


ガルシア:(M)リシャール・ヘルムホルツの執行任務は、絶望的に思われた。


リシャール:「6…45…5…。」


0:リシャールは既に満身創痍で息を荒らげている


オーダー:「…。」


リシャール:「…やっぱり来たか。…オーダー」


オーダー:「なにやってんの。」


リシャール:「…殺した。お前の総執行数、越したよ。」


オーダー:「…。これがお前の意義かよ。」


リシャール:「…分からない。分からないけど。…悪くない気分なのは、確かだ。」


オーダー:「…っ。」


リシャール:「時間停止。自分にも使えるようになったんだな。定義転換か。」


オーダー:「今はそんな事どうでもいいだろ」


リシャール:「重要な事だ。急死から逃れるなら、自分の体の時間を生涯止める事でしか回避のしようはない。本来あるべき流れから外れる事は、人を辞めることと同じだ」


オーダー:「…」


リシャール:「僕は、意味を探して。意義を求めて、多くの人を殺した。けどね。やっぱり君の言う通り。無駄な事だったみたいだ。」


オーダー:「…」


リシャール:「人の為になる、誰かの為になるって、自分を騙す言い訳すら与えてくれない世界に、ほとほと嫌気が差した。」


オーダー:「…」


リシャール:「こんな世界じゃ、僕は。本心からお前と笑うことが出来なかった。」


オーダー:「…っ。」


リシャール:「けどそれが。異常体として産まれる意味だとも分かる。」


オーダー:「…なんで。何も話してくれなかったんだ。なんで全部。一人で決めたんだ…っ。相談してくれればよかったじゃないか…っ。しんどいって。辛いんだって。」


リシャール:「…お前も。家族がいたら分かるさ。そういうのを、近しい人間にするって言うのは」


0:リシャールは悪戯に少し笑った


リシャール:「結構、小っ恥ずかしいものだよ。」



オーダー:(M)僕だけが知っている。時が止まった世界を歩く感覚。


オーダー:(M)無重力のような、質量を失ったような、夢の中を走っている感触にも似ている。


オーダー:(M)何をしても、何を成しても、全てが無駄かのように錯覚する浪費感。


オーダー:(M)時計の針が静止した空間で人を斬るのは、頭を抱える程呆気ない。臓器を守る骨が透け、骨を守る筋肉が途切れ、筋肉を守る皮膚を避け、流れる水に手を通すが如くその首を絶てる。


0:オーダーはリシャールの首を跳ねた


オーダー:(M)まるで。最初からそこには何も無かったかのように。


0:時間経過

0:場面転換

0:メキシコ 辺境


オーダー:(M)足を引き摺った


オーダー:(M)重い。重い足を。


オーダー:(M)殺さなきゃいけない。親友の死に、報いる為に。


オーダー:(M)アイツがした事が。全部無駄じゃなかったと証明する為に


シェラザード:「…。おいおい。まじかよ」


オーダー:「4時間ぶり。探したよ」


シェラザード:「…あ〜…。やっぱナンバーズに手ぇ出したのはしくったか。お前、一生そのロリ姿で生きていくつもりか。」


オーダー:「生き残る為には仕方なかった。もう、なんの時間も動かなくていい。」


シェラザード:「…。あ、そう。一応聞くが。なんで来た」


オーダー:「お前の執行手配も出てたからな。それだけだ。」


シェラザード:「4時間前とは雰囲気がちげえな。喋り方もだが。こりゃまた一皮ーーー


0:シェラザードは思考の途中で腹が大きく割かれている事に気付く


シェラザード:「ーーーー…ごぷッ…」


オーダー:「うるせえよ。」


シェラザード:(M)なんだ…。いつ斬られた。そもそも効果範囲の外だったはずだ。ヘマったか?なんで届いた。いや、あんな化け物相手に間合いを見誤る程無謀じゃねえ。こいつ。この土壇場で定義がより深くなりやがった。


オーダー:「…。」


シェラザード:「…ははは。お前。ついに人間やめたか」


オーダー:「お前に1回殺されてからやめてるよ。」


シェラザード:「あっそ。」


0:オーダーは剣をシェラザードの首元に添えた


オーダー:「中央にお前の異常性と似た執行官が居る。ヴルカーンと言う異常体だが。心当たりはあるか」


シェラザード:「ああ、その調査も兼ねてんのね。」


オーダー:「答えても答えなくても殺すから、好きにしろ」


シェラザード:「…俺の息子だ」


オーダー:「…」


シェラザード:「そうか。中央に売られたか。バグテリアに高値で売ったが。」


オーダー:「…は?」


シェラザード:「ああ。もう一人腹違いの息子がいる。そいつは丁度、10歳になるか。そいつもそろそろバグテリアに売られる予定だ。」


オーダー:(M)中央が異常体を売買している…?バグテリアと?


シェラザード:「意外そうな顔だな。俺の息子達以外にもいるぜ。バグテリアから中央に売られる異常体は」


オーダー:(M)異常体を。人間をなんだと思ってる


シェラザード:「まあ。俺ら異常体が生きるだなんてのは、こんなもんだ」


オーダー:(M)どこまで。僕達に背負わせれば気が済むんだ。


シェラザード:「意外そうな顔だな、ナンバーズ。そーだよ。お前らがどれだけ必死こいて今を守っても。この先、いくらでも異常体は沸く。その都度、俺達みたいなのが産まれては死んでいく。」


オーダー:(M)手に力が入らなくなるような。脱力感


シェラザード:「もう1人の方のナンバーズはその辺をよく分かってたよ。俺達異常体は、法の外か、屍の上でしか生きられない」


オーダー:(M)その時。初めて心の底から理解した。


シェラザード:「無駄な事考えてねえで、さっさと殺せや。」


オーダー:(M)親友の


シェラザード:「犬が」


オーダー:(M)葛藤を。


0:シェラザードの首を跳ねた

0:場面転換

0:中央政府 医療室


ガルシア:「…。怪我は、大丈夫か」


ビットマン:「…。体の方はいくら傷付いたって、生きていられる」


ガルシア:「…。」


ビットマン:「優しいですね。報告書なんてもう上がっているでしょうに。俺の口から言わせてくれる」


ガルシア:「…」


ビットマン:「ストレウスグループは壊滅。出資を取りやめるとの事で、多額の損害賠償を請求。上層部の亀裂も凄まじく、今後はスポンサーとの連携体制がーー」


ガルシア:「その件はいい。」


ビットマン:「…被害。ですか」


ガルシア:「ああ。」


ビットマン:「…民間人は死者42名。中央政府職員は監察局、執行部含め述べ1942名が死亡。重軽傷者は321名です。行方不明者が424名。その中に、リシャール・ヘルムホルツを執行後、オーダー・アルバーナも行方不明として含まれます」


ガルシア:「………。甚大だな」


ビットマン:「…はい。」


ガルシア:「この件は、全責任が私にある。お前の傷も。」


ビットマン:「…!そんな筈がないでしょうっ。局長は立派に責務を果たされました…!イレギュラーが多過ぎただけです…!」


ガルシア:「いいや違う。ここからが人に死んでもらう立場の人間の責務だ。スポンサーの顔を立てるのであれば、私一人の首を差し出すのが一番良い。」


ビットマン:「…っ…そんなの、納得できません…!」


ガルシア:「今が。大人になる時なんだ。ビットマン」


ビットマン:「…っ。」


ガルシア:「お前はきっと。いい監察官になる。私なんかよりも。よっぽど」


ビットマン:「局長…っ。」


ガルシア:「すまないなぁビットマン。私も。折れてしまった」


ビットマン:「ーーー…」


ガルシア:「だから最後に。君達を守る事くらいはさせてくれ。大人として格好がつかんだろう。」


ビットマン:「……っ。」


ガルシア:「これは命令だ。ビットマン」


ビットマン:「…」


ガルシア:「この席は、何よりも重い。君にこれを託す残酷さは、私が1番理解している。だからこそ、君にしか託せない」


ビットマン:「…」


ガルシア:「命令を遵守しろ。ビットマン・ワイス」


ビットマン:「………了解しました。命令を、遵守します」


0:時間経過


オーダー:(M)あれから。どれだけの時間が過ぎただろう。最早数えてもいない。どれだけの時間を停め、どれだけの時間を進んだか。甚だ興味が無い


オーダー:(M)異常体が生きるには。この世界は険しすぎる。だが、その世界を変えようと思うほど狂ってもいない。


オーダー:(M)何を殺す意味も。生きる意義もない。


オーダー:(M)この足はただ、朧気にそこへ向かっていた。


0:オーダーの頭の中には掛けられた言葉が流れている


リシャール:「多分、全部どうかしてる。あのまま、世の為人の為と僕を騙し続けてくれればよかったのに。」


シェラザード:「この先、いくらでも異常体は沸く。その都度、俺達みたいなのが産まれては死んでいく。」


リシャール:「けどそれが。異常体として産まれる意味だとも分かる。」


シェラザード:「ああ。もう一人腹違いの息子がいる。そいつは丁度、10歳になるか。そいつもそろそろバグテリアに売られる予定だ。」


リシャール:「お前と。心の底から笑えなかった」


オーダー:(M)ーーーー…。


0:オーダーは足を止めた


オーダー:「ーーー君がサーティーン・アーガイルだね。」


0:回想終了

0:現代へ戻る

0:ノアの方舟 2階 医療室


ジャイロ:「来い!サーティーンッッ!」


オーダー:(M)手にした幸福は、こぞって手のひらから零れ落ちた。


ガロ:「12GRID…ッ!」


オーダー:(M)刹那。再び手に入れた幸せがあった。


ジャイロ:「削り取れッッ…!」


オーダー:(M)もう一度。殺す意味と。生きる意義を見つけた。今度は、家族の為に。


ガロ:「quickクイック


オーダー:(M)それもまた。手のひらから零れ落ちた。


ジャイロ:「サーティーンッッ!!」


オーダー:(M)どうして皆。そう死に急ぐんだ。


ガロ:「BURSTバースト!」


オーダー:(M)あの時決めた意味の変化を。僕は許容できない。


ジャイロ:「ーーっ!ガロ!避けろ!」


ガロ:「え!?」


オーダー:「ーーーぉぉおおおッッ!」


0:二人を蹴り退ける


ガロ:「ごぶぉ!」


ジャイロ:「がはッ…!」


オーダー:「はあ…はあ…っ。一緒に、命を賭けて戦ってくれる…っ。誰も置いていかれない、置いていかない。良い仲間に巡り会えたね、ジャイロ」


ジャイロ:「ぺっ。ガチ蹴りカマしといてよく言うぜ…!」


ガロ:「ちゃんと強ぇな…まじ全然当たらねえ…っ。」


ジャイロ:「だが確実に消耗はしてる…!向こうだって体力は無限じゃねえんだ…!」


オーダー:「うん。正直、ここまで強くなってるとは、思わなかった。本当に。君だけはあの時とは、違うんだ」


ジャイロ:「…。ああ。兄弟に。背中押してもらってるからな!」


ガロ:「だっははっ、そうだ。それに今は、俺らもいる!」


オーダー:「妬けるね。少し、羨ましい」


ジャイロ:「けど!お前にだって、譲れねえものがあるんだろうが…!」


オーダー:「うん。」


0:腕に縫い付けられた剣を取り出した


オーダー:「その通りだ。」


ガロ:「剣…!まだ本気じゃなかったのか…!」


ジャイロ:「こっからが正念場だ…!行くぜガロ…!」


ガロ:「おう…!」


オーダー:「はぁああっ…!」


0:切り付けるが鎌で受ける


ジャイロ:「うぉおッ…!」


ガロ:「そのまま抑えとけよジャイロ…!」


オーダー:(M)速いな。流石、レーヴェンシュタインの弟なだけある。


ガロ:「うぉぉおおっ!」


オーダー:「そぉらっ。」


0:蹴りあげる


ガロ:「げぶぼぉ!」


ジャイロ:「俺一人抑えときながら余所見してんじゃねえよ…!」


0:鎌で切りつけた


オーダー:「うッ…!」


ガロ:「そぉら…!」(殴る)


オーダー:「ぶごっ…!」


ジャイロ:「ぉおおらッ…!」(蹴る)


オーダー:「がはッ…!この…っ。」(剣を振る)


ジャイロ:「痛ッッ…てぇ!」


ガロ:「んん!」(殴る)


オーダー:「っっ…!」(受ける)


ジャイロ:「削り取れ…!」


オーダー:「させるか、よ…!」(蹴る)


ジャイロ:「がア…!」


ガロ:「12GRID」


オーダー:「…!」


ガロ:「quickクイックBURSTバーストッ!」


0:脇腹にめり込む


オーダー:「がはッぁ…!」


ガロ:「今だ!攻めるぞジャイロ!!」


ジャイロ:「おぉお…!!」


オーダー:(M)対異常体執行術


ジャイロ:「そいやあああ!」


ガロ:「おんどりゃああ!」


オーダー:「じん発勁はっけいッッ!」


ガロ:「ごぶッ…!」


ジャイロ:「ぶぉえッ…!」


オーダー:「取った…!」


0:剣を振り下ろすが、避けて肩に刺さる


ジャイロ:「がぁ…!」


ガロ:「ジャイロ!!」


ジャイロ:「マウントポジション気持ちいいかよ…っ。」


0:足を握った


オーダー:「…!」


ジャイロ:「見様見真似、ジャパニーズ合気道ッッ!」


0:オーダーを地面に叩き落とす


オーダー:「ぶごぉ…!」


ジャイロ:「そぉら一本ッ…!」


ガロ:「大丈夫か、ジャイロ…!」


ジャイロ:「暫く皿洗いは勘弁してくれ…!」


ガロ:「OK…!ぉぉおらッ!」(殴る)


オーダー:「ンンッ…!」(蹴る)


ガロ:「ごぼぉ…!」


オーダー:「ッッ…!」(急接近)


ガロ:「うええ!?速いって…!」


オーダー:「対異常体執行術」


ガロ:「こんにゃろ…!FANBLEファンブル…ッ!」


オーダー:「轆轤ろくろッッ!」


0:殴る


ガロ:「がは…ッッ…!」


ジャイロ:「削り取れ…!」


オーダー:「二連ッッ!」


0:続け様に殴る


ジャイロ:「ぶごぉえ…!?」


オーダー:(M)余裕が無い。いつ首をとっても、とられてもおかしくない。まさかジャイロに苦戦する日が来るとは思わなかった


ガロ:「もういっちょぉ…!」


オーダー:(M)ああ、異常性が無い私は。何も特別じゃない。


ジャイロ:「足腰踏ん張れよォ…!」


オーダー:(M)初めから私がこうなら。お前も、ちゃんと笑えたかな


ガロ:「ぉぉおおおおお…ッ!」


オーダー:(M)自分の全てを失って尚、手元に何が残っただろう


ジャイロ:「ふぁいやぁあああっ!」


オーダー:(M)いいや、違う


0:オーダーはジャイロの腹を割いた


ジャイロ:「ぶごぉはッ!」


ガロ:「ジャイロ…!?」


オーダー:(M)もう捨てたろう。無題が、皆が手のひらから零れ落ちた時に


ジャイロ:「深いの一発貰っちまった…ッ!」


オーダー:(M)捨てる覚悟をした。殺す覚悟をした…っ。グランシオラの作る世の中は、今よりはきっと良い。


ガロ:「立てるかジャイロ…!」


オーダー:(M)今も、理由も、自分すらも、全部かなぐり捨てて、かつての私達が笑える意義を作るって決めたんだ…!


ジャイロ:「舐めんな…!意地でも立つわ…!」


オーダー:「そぉぉおらっ!」(蹴る)


ジャイロ:「ぶごッ…!?」


ガロ:「てめえ、さっきからこんにゃろぉ…!」


0:3人は乱戦


オーダー:「このまま時代が進めば!異常体は必ず絶滅する!近代兵器や人の業に潰される日が来る!」


ジャイロ:「先のことなんか知ったこっちゃねえよ!俺らがいきてんのは今だ!」


オーダー:「今が無くして先は無い!」


ガロ:「先だって今がねえと来ねえだろうが!」


オーダー:「意義のない今に!!」(殴る)


ガロ:「ぶごッ…!」


オーダー:「価値は無い…っ!」(蹴る)


ジャイロ:「がはッ…!」


オーダー:「その先にあるのは、歩いた道の抜け殻だけだ!!」


0:剣を振り下ろすが、止められる


カラス:「ッッ…!!やめようや。人ひとりが、意義だなんだを語るのは…!」


オーダー:「東方の…!」


ガロ:「カラス…!」


ジャイロ:「やっとカタついたかよ、ナマクラ…!」


カラス:「遅れた。向こうもやっとこさケリが着いたんでな。ヴァンとフェリスは先へ向かわせた。」


ガロ:「そっか。3人とも無事なら良かった…!」


カラス:「過去にケリつけてる最中だろう。力貸してやるよ。アロハ」


ジャイロ:「おう。光栄に思えや…!」


カラス:「お前がだろうが。」


ガロ:「だっははっ。よし…!反撃開始だ…!」


オーダー:「何人来たところで同じだ…!」


ガロ:「そぉおおらっ!」(殴る)


オーダー:「おぉおおっ!」(蹴る)


ガロ:「がはっ。」


ジャイロ:「んにゃろぉ!」(殴る)


オーダー:「がぶッ!」


カラス:「ぉぉおらッ…!」(切り上げる)


オーダー:「がはっ…。」


ガロ:「そぉぉいッ!」(殴る)


オーダー:「ぶご…!」


ジャイロ:「…」


0:ジャイロのみが攻撃の手を緩める


カラス:「うぉおおお…!」


オーダー:「ごぼッ…!」


カラス:「次ィ!ガロぉ!」


オーダー:(M)捨てる覚悟をした。殺す覚悟をした。


ガロ:「どっせい!!」


オーダー:「がは…!」


ガロ:「行くぞ、カラス…!」


オーダー:(M)何を犠牲にしても贖うと。


カラス:「ぉおおお…!」


ガロ:「だぁらぁあ!」


オーダー:(M)そういう生き方を選んだんだ


0:オーダーの仮面が割れる


ジャイロ:「……」


オーダー:(M)ーーー…


0:オーダーはいつかの家族を思い出した


ジャイロ:「ーー…馬鹿野郎が…」


オーダー:「…。」


0:泣いている


ジャイロ:「〜〜〜ッ…んんがぁあ!お前ら!!畳み掛けるぞ!!」


ガロ:「おう!!」


カラス:「ああ!!」


ジャイロ:(M)あんたの、仮面の向こう側の顔を覚えてる


カラス:「桜華流・執刀…!」


オーダー:(M)こんなにも眩しい。ことごとく手のひらから落ちたものが、そこにある


ガロ:「12GRID…!」


ジャイロ:(M)寂しそうな、嬉しそうな。どこか諦めた顔を。


ジャイロ:「削り取れ…!」


オーダー:(M)もう、誰の手からも。それが零れ落ちないように…!


オーダー:「対異常体執行術」


ジャイロ:(M)もう、お前にそんな顔させねえように…!


ガロ:「quickクイックBURSTバーストォッ!」


カラス:「巻柄ァアア!」


オーダー:「干将かんしょう莫耶ばくやッッ!」


ジャイロ:「サーティーンッッ!!」


0:鎌と剣がぶつかる


オーダー:(M)お前を救うんだ。ジャイロ


ジャイロ:(M)お前を救わせてくれ。オーダー。



0:場面転換

0:座標457819675546×19754.72751643


ジャイロ:(M)ーーーふと。目の前が真っ暗になった。


オーダー:「ーー…!?」


ジャイロ:「ーーー…!なんだ。どこだここ…!?」


オーダー:(M)なんだ。誰かの異常性か…!


ジャイロ:「てめぇの仕業か、オーダー…!」


オーダー:「違う。何かの領域内だと思うが…!」


サーティーン:「はははっ。相変わらず喧嘩ばっかしてんのな。お前ら」


ジャイロ:「…」


オーダー:「…」


ジャイロ:「サー、ティーン…?」


サーティーン:「よ。久しぶり、兄弟」


オーダー:「え…え…?」


ジャイロ:「おま、え。なんでここに。え、は…?」


サーティーン:「まあ、一時的な会合だ。お前らの目的意識が合致して、座標が混雑した結果の狭間みたいなもんだ。すぐ塞がる」


ジャイロ:「は、は…!?どういう事だよ、え、レムちゃんの深淵みたい、な、やつ…?」


サーティーン:「ああ、多分それそれ。」


オーダー:「…」


サーティーン:「オーダーも。久しぶり」


オーダー:「…久し、ぶり…。」


サーティーン:「なんだよ。久しぶりに会ったってのに。なんかパッとしねえな」


ジャイロ:「いや、流石に現実が受け止めきれなくて…」


オーダー:「…うん。」


サーティーン:「まあいいや。で?お前ら今度は何で喧嘩してんの」


ジャイロ:「…兄弟もよく知ってるだろ。全部一人で決めやがる事にだ」


オーダー:「…」


サーティーン:「はははっ。ああ、ありゃムカつくわ。そりゃ喧嘩してもしゃーないっ。」


ジャイロ:「そ、そーだよなあ…!」


サーティーン:「ああ。ていうか暫く見ねえ間にあれだな。老けたな〜お前」


ジャイロ:「…っ。だから、お前らがそのまま過ぎるんだっての…っ。」


オーダー:「…っ。」


サーティーン:「まあ。ここに居られるのも長くはねえだろうし。手短に」


0:サーティーンは2人の肩を寄せた


サーティーン:「俺ら思ってることは同じなんだから、もっと話しときゃよかったな」


オーダー:「…」


ジャイロ:「…」


サーティーン:「でもオーダーはカッコつけだし、全然喋らねえから。ほんと昔から」


オーダー:「…」


サーティーン:「お前が俺を拾ってくれた時のこと、覚えてるか。」


オーダー:「…うん」


サーティーン:「もぉーめちゃくちゃ血だらけで。仮面もしてるし。でも俺と同じくらいの身長だしで。すっげー困惑したわ」


オーダー:「…うん…」


サーティーン:「それから、何年だ?6年くらい一緒に居たのか。で、ジャイロがウチに来た」


ジャイロ:「…ああ。」


サーティーン:「初めは全然ソリ合わなかったなあ。なんだこの髪色って思ってた」


ジャイロ:「…俺もだよ…」


サーティーン:「ははは。なんやかんやと。こんな風になっちまったけど。なんかのラッキー。最後に話せてよかったわ。オーダー。」


オーダー:「…なんだ」


サーティーン:「最後のはお前が悪い。俺謝らねえからな」


オーダー:「…うん。分かってる。」


サーティーン:「でも。お前がした事が全部無駄だったわけじゃない。こうしてまた3人で話せた。本当はラテもヒュウリも、一緒が良かったけどな」


オーダー:「…」


サーティーン:「真面目過ぎんだよ。バカ」


オーダー:「…はは。誰の影響か。本当はもっとチャラけた性格なんだけどな」


サーティーン:「嘘だ」


ジャイロ:「嘘だ」


オーダー:「お前らな…」


サーティーン:「…兄弟」


ジャイロ:「…。おう。」


サーティーン:「この馬鹿は、どこまでも人に頼らねえ。助けてって言えねえんだよ」


ジャイロ:「ああ。知ってる。クソムカつくな」


サーティーン:「だろう。だから、「俺ら」でぶっ飛ばそう」


ジャイロ:「…っ。ああ、いつも通りだ…っ。兄弟…!」


サーティーン:「ま。どっちが勝っても俺は満足だけどよ。お互い、後悔のないようにはしろよ。」


ジャイロ:「…おう…!」


オーダー:「…ああ…!」


サーティーン:「はは。じゃ、そろそろ閉じちまうだろうし。最後に。オーダー!」


オーダー:「…?」


サーティーン:「俺を拾ってくれて、あんがとな。」


オーダー:「…」


サーティーン:「大好きだよ。馬鹿」


0:場面転換

0:ノアの方舟 医療室


ジャイロ:「…!」


オーダー:「…っ…。」


0:2人は鍔迫り合いになっている


ジャイロ:(M)…お前の過去に何があったかなんて。きっと口が裂けても話しちゃくれねえんだろうな。分かってる。


ジャイロ:(M)けど、それでいい。俺だって、わざわざ無題を離れてからの事を語る気はねえ。


ジャイロ:(M)あれから。随分と時が経った。でも、あんたの時間は。ずっと。ずっと。止まったままなんだろうな。オーダー。


ガロ:「うぉおおらッッ!」


カラス:「どぉぉおおいッ!」


オーダー:「ごほ…!はぁ…っ。はぁ…っ。ごぽ…っ。」


ガロ:「あいつももう限界そうだな…っ。」


カラス:「こっちも、スレスレだがよ…。くそ、傷が開く…!」


ジャイロ:「…。」


ガロ:「オーダー!!」


オーダー:「…。なんだい」


ガロ:「お前、めちゃくちゃ強かった!俺、お前のこと嫌いじゃない!」


オーダー:「…はは。もう勝った気でいるのか。」


ガロ:「その為にここに居るんだろ。俺らも。お前も。」


オーダー:「…。まったくだ。」


0:オーダーは武器を構えた


ガロ:「ーーー。お前ら、最後まで、全力で迎え撃つぞ。」


カラス:「了解。」


ジャイロ:「ーーー行くぜ。オーダー。」


オーダー:「ああ。行くよ、ジャイロ。」


0:3人は同時に攻撃を仕掛ける


カラス:「はぁぁああっ!」


ジャイロ:「うぉおおあらぁっ!」


ガロ:「そぉおおおいっ!」


オーダー:「連合れんこう八千はっせんッッ!」(三人を切りつける)


カラス:「ごは…っ!」


ジャイロ:「ぬぅぁ…!」


ガロ:「くっっそ!体勢崩すな!」


ジャイロ:「分かってる…っ!」


オーダー:「うぉぉおおお!」


ジャイロ:「Adsorptionアドソープションッ!」


オーダー:(M)…っ!まずい、退避をーー


ガロ:「逃がせねえよ…!」(オーダーの足を掴む)


オーダー:「ガロンドール…ッ!」


ジャイロ:「Refundリファンドッ!」


オーダー:「ごぶっっ!」


ガロ:「っしゃあまず一発ゥ…!」


カラス:「桜華流。執行・花弁ッッ!」


オーダー:「爆雷ばくらい…ッッ!」(打ち合う)


カラス:「ーーくっ、そ…!」


ジャイロ:「おぉおおりゃあ!」(蹴る)


0:二人の攻撃を躱す


オーダー:「…ッッ!はは…!やるじゃないか…!準ギルド…!」


ジャイロ:(M)あれも、これも。どの一手も。見覚えがある。そりゃそうだ。あんたはあの時から、もう動いちゃいねえんだ。


ガロ:「45GRID」


オーダー:「…っ!しまっーーー」


ガロ:「quick、BURST…ッ!」


オーダー:「ごぽぉあ…っっ!」


ガロ:「ーーっしゃ…!こんにゃろ!」


カラス:「モロに入ったっ!」


ジャイロ:「こんなチャンスもうねえ…!一斉に叩くぞ…!」


カラス:「ああ!!!」


ガロ:「おう!!!」


ジャイロ:(M)あんたが譲れねえもののために俺の前に立ってるのは重々分かってる。俺にも、譲れねえものができちまった。


オーダー:「ジャイロォォオッ!」


ジャイロ:「オーダァァアアッ!」


ジャイロ:(M)こんなもん。幾度とあった試練だよ。なあ、ジャイロ・バニングス…!


0:各々が畳み掛ける


カラス:「桜華流。奥義…!」


ガロ:「54GRID…!」


ジャイロ:「削り、とれ…ッッ!」


オーダー:「干将かんしょう…ッッ!」


0:


カラス:「神楽ァァァッッッ!!」


ガロ:「Quick・BURSTッッ!」


オーダー:「莫耶ばくやァァアッ!」


ジャイロ:「サーーーティーーンッッ!!!」



オーダー:「…」


0:激しい息遣いだけがその場に残る


オーダー:(M)…はは。


ジャイロ:「…」


オーダー:(M)負けちゃった。


ジャイロ:「…オーダー…っ。」


オーダー:「…。僕の異常器は「双剣」だ。」


ジャイロ:「…!」


オーダー:「僕の手に縫い付けてあるのは片割れに過ぎない。最後の一本は、グランシオラが持っている」


ジャイロ:「…。ああ。分かった…。ちゃんと、お前を救ってみせる。」


ガロ:「…」


オーダー:「…ごめんね。ジャイロ」


ジャイロ:「…っだから…っ。謝るなら、最初からやるんじゃねえよ…っ。」


オーダー:「…色々。本当に色々、汚いものを見てきた。この世界は、どこまで行っても、反吐が出る程汚いものばかりで、正しく生きるのが馬鹿馬鹿しくなるかもしれない。」


ジャイロ:「…ああ。だからお前はそうなっちまったんだろ…。分かってる。分かってんだ。お前の事なんか、これっぽっちも憎んじゃいねえ…っ。ただ、もっと相談して欲しかったって。駄々こねてるだけなんだよ…っ。」


オーダー:「…はは。サーティーンと同じこと言ってる。」


ジャイロ:「…は。兄弟だからな。」


オーダー:「…。これから先。きっと、お前達は、見たくないものを見ることになる。その機会は無限にあって、人が道逸れる機会も、無数にある」


ジャイロ:「…」


オーダー:「僕はもう。全てとめてしまったけど。ジャイロ。お前は。お前達だけは。どうか、前に進める事を願う。」


ジャイロ:「はは。どっかの兄弟にも。同じこと言われたよ」


オーダー:「…は。家族、だからね。」


ジャイロ:「…ああ。家族だ。俺の、唯一無二の。家族だ。」


オーダー:「…ガロンドール。東方の君。」


ガロ:「…。なんだ。」


カラス:「…」


オーダー:「ジャイロを。よろしく頼む」


ガロ:「当たり前だ」


カラス:「…ああ。」


オーダー:「…。よかった。これで、ゆっくり休める」


ジャイロ:「…」


オーダー:(M)長かった。長い、長い間、止まった世界を見つめてきた。


ジャイロ:「…」


オーダー:(M)沢山の過ちを、間違えた傍から止めた。どれも結局、応急処置にしか過ぎなくて。最後には綻びが出てくる。また間違えては、止める。


ガロ:「…。」


オーダー:(M)気付けば。僕の静止した世界には、失敗したものが無数に散らばっている。


カラス:「…ガロ。」


ガロ:「…。おう。」


0:2人は先に部屋から出た


オーダー:(M)ただ一つ。そこに前へ進もうとする君が残ったなら


ジャイロ:「…」


オーダー:(M)なあ。…これには。意味があったよな。


ジャイロ:「…。分かっちゃいたが。結局最後まで。何も言わねえんだな。お前は」


オーダー:「ーーー…」


0:オーダーは少し考えた


オーダー:「はは。」


ジャイロ:「…あ…?」


オーダー:「そういう話をさ。近しい人間にするのって…」


0:オーダーは悪戯に笑った


オーダー:「結構、小っ恥ずかしいものだよ。」


ジャイロ:「……そうかよ。ばーか。」


オーダー:(M)君が歩む時間の。


ジャイロ:「…削り取るぞ。」


オーダー:(M)どうかそれまでの季節が。


ジャイロ:「サーティーン。」


オーダー:(M)幸福なものでありますように。


0:オーダーはもう動かない


ジャイロ:「…。」


0:オーダーはもう動かない


ジャイロ:「……っ…」


0:オーダーはもう動かない


ジャイロ:「…お前は…飯は不味いし。すぐ殴るし。何も話さねえし。ケチだし。何回も、喧嘩する度に、出て行こうとか、いつか殴ってやろう、とか、そんな事ばっか、考えてたけど、さあ…」


ガロ:「…。」


カラス:「…。」


ジャイロ:「…今まで…育ててくれて…ありがとなぁあっ…。オーダーぁ…っ。」


0:オーダーはもう動かない


ジャイロ:「…ぉおぉ…っ。」


0:オーダーはもう動かない


ジャイロ:「ぉぉおおぉおおっ…。」


0:オーダーはもう動かない



オーダー:(M)僕だけが知っている。時が止まった世界を歩く感覚。


オーダー:(M)無重力のような、質量を失ったような、夢の中を走っている感触にも似ている。


オーダー:(M)何をしても、何を成しても、全てが無駄かのように錯覚する浪費感。


オーダー:(M)まるで。最初からそこには何も無かったかのように。


オーダー:(M)そんな時間も。悪くなかった。



ジャイロ:「ーーー…。」


0:ジャイロはオーダーの目を伏せた


ジャイロ:「…っ。まだ。俺の。仲間達の決着ついてねえからさ…。」


0:ジャイロはゆっくりと立ち上がった


ジャイロ:「…行ってくるよ…っ。オーダー…っ。」


0:医療室の外


ガロ:「…」


カラス:「珍しく考え込んでんのか」


ガロ:「…。俺達だって。一歩間違えれば、アイツと同じになってたんだなって思った」


カラス:「…。そうさな。過去を止めちまうだなんてのは不可能だ。何やかんやと、今になってしっぺ返しが来る。だから、アイツもそれが精算出来て良かったんじゃねえか。アロハも含めて」


ガロ:「…だな。」


カラス:「…墓暴きは趣味じゃねえ。これ以上は野暮だろう」


ガロ:「俺らも。後悔がねえように、精一杯生きよう」


カラス:「…ああ。」


0:医務室からジャイロが出てくる


ジャイロ:「…。待たせた。すまねえ」


ガロ:「おお。おかえり。」


ジャイロ:「…ああ。はは、行くか」


ガロ:「…」


カラス:「…。はぁ〜。ガロ」


ガロ:「はは、おうっ。」


0:2人はジャイロの背中を叩いた


ガロ:「っ…!」


カラス:「っ…!」


ジャイロ:「うぉ…!?」


ガロ:「ーーー行くぞ、お前ら…!」


ジャイロ:「…。おう…!」


カラス:「ああ…!」


ジャイロ:(M)思い出は。大切に。大切に、懐にしまった。


ジャイロ:(M)あとは。自分できることを精一杯やるよ。皆。

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