拙作「まおホス!」を書き始めたきっかけ
拙作の主人公は「魔法だけは強い人見知りへっぽこ魔族の女の子」である。
なぜか? こういう子を書いてみたかった。これに尽きる。
戦略(もどき)の話の前に、私が小説を書き始めた動機から説明する必要があるので記す。
私は「漫画喫茶で元が取れる」などどぬかしていた時期があったほど文章を読むのが速い、と思う。
なので十年以上もWEB小説を読んでいると「好みの作品」が見つからなくなってきた。
だから暇つぶしに「私が私好みの小説を書いてみるか」と思い立ったのである。
そして書き始めたのが、一行目の主人公が行方不明の魔王様を探す旅に出る物語、今読むとの恥ずかしさでたうち回りたくなる作品である。
「魔王」属性が大好きだった私が魔王様を題材にするのは当たり前の事で何も考えていなかった。
そして伏線のある小説が大好物だった私は「伏線回収ンギモヂイイイイイ!」したくて謎解き風の物語にした。
壮大である。素人には手が負えなかった。なので35話でエタっている。
最初の頃私が心に決めたことは「自分が読むための小説だから他人に読んでもらえなくても気にしないようにしよう」だった。
これが今でもものすごく効果を発揮している感情のセルフコントロール方法であった。
でもだって人間だもの。
自分的にはメチャクチャ面白いのにPVが伸びない。なんでだろう? 気になる。
でもきっと他人にとってはつまらないんだろう、それが事実である。
ちなみに今読み返すと、「小学生の時に書いた自己満足漫画から何も進歩してない……」と愕然とする。
そして、「素人の私がこの頭の中にある壮大な物語を完結させることは難しい」と悟った私は思い切って設定を変える事にした。
正確には、キャラ達に愛着があり過ぎたので、リメイクして書き直すことにした。
この発想の切り替えは聡明だったと思う。結果、少なくとも自分の中では成功した。
実はこの前に、「まずは完結させて読者をつけてから次の作品を」という一般論にとらわれていた私は悩んだ。
「でも完結無理!」と潔く諦めて、作品を捨てる事にした。勇気がいった。
そしてキャラに愛着があり過ぎた私はキャラのリサイクルを試みた。(貧乏性とも言える)
では私の好きな「魔王」と何を掛け合わせるか? 私が得意な物や知識で他人が興味ありそうなもの……あ、ホストクラブだ。
まおホス! のはじまりはじまり。
主人公の話に戻る。
まおホス!(魔王様のホストクラブ作り!……に振り回されて大変です!)の主人公がなぜ魔王様でなくニーナなのか?
魔王様は元伝説のホストで異世界転生者である。魔王様を主人公にするのが普通だ。
でも私はリメイク前の作品の主人公が「その世界で生まれた魔族のニーナ」だったので、何の疑問も持たずニーナを主人公とした。
戦略もクソもない、申し訳ない。
結果、まおホス!の特徴から言ってこれは予期せず上手くハマったと思う。
なぜなら、ホストクラブを題材としているため「大多数の人はよく知らない設定や単語が多い」。
そのため、「解説役」が必要な小説だったからだ。
その解説役がニーナである。
私は「ギャグファンタジー」が好きで、「魔王」と「ホスト」が好きなので、魔王様がホストらしく人(主にニーナ)を振り回して面白おかしく書こうと決めた。
結果、主人公がニーナのため、読者はニーナと同じく「ホストクラブについて知らないから魔王様に振り回される」という「自己投影」が可能となった。
戦略もクソもない、後付けである。戦略の解説を期待していた方には申し訳ない。
でもこれから小説を書き始める方には何かしら参考になるかもしれないので今こうやって文章を垂れ流している次第である。
続く
【追記】
戦略として考えたのが、「10話まででひとつの山場を作る」である。
なので第一章は10話、魔界のホストクラブ成功と人界進出の準備で終わっている。
駆け足なのはそういう意図があったからである。
果たしてこれが結果を生んだのかは私には分からない。