なぜ平凡な主人公が多いのか
今まで漫画や小説を読む際に、主人公が「どこにでもいる女子高生」と書かれていても、何の疑問も持たずに「そういうもの」とすんなり受け取って読んできた。
でも小説を書き始めるようになり、色々な小説を読んでふと掲題の疑問が湧いたのでちょっと考えてみた。
私が小学生から漫画を読み始めた際、出てくる主人公は皆「平凡|(でも実は可愛い)な中学生」だったので、「漫画の主人公はこういうもの」と何の疑問も持っていなかった。
次に、私自身が漫画を描いていたので(いわゆる私自身がよくいる小学生だった)、小学生ながらに「平凡な主人公の方が自己投影しやすい、サクセスストーリーが作りやすい」と納得していた。
さて、大人になって急に小説を書き始めた私だが、今日なぜか「平凡な主人公の有効活用」について気になった。
結論から言うと、何かしらの「成長」を成し遂げなければ「平凡」という特徴が生かされないと気付いた。
なるほど、私は今まで読んで来た物語の主人公に自己投影し、その成長を見るのが楽しかったのか、納得。(今さらである)
例えば「平凡な主人公がチート能力をもらってTUEEEEE! する」いわゆるなろう系、これも根強く需要があるのだけど、ヒット作はこれにプラス、主人公の心の成長があると思う。
「チート能力を与えられた平凡な自分」は誰でも一度は妄想するので、「自己投影」と「欲求を満たす」という需要条件をクリアしている。そこにさらに「成長」という感動があってひとつの物語として完成される。んだろうな。
平凡な主人公でも、魅力を感じるキャラとそうでないキャラの違いとは。
平凡=特徴が何も無いキャラではないと思う。
凡人の私達だって誰でも「特徴」はある、料理が下手とか上手いとか小さい事。
平凡とは、「ありふれた特徴の集合体」で、非凡とは「稀な特徴を持つ人物」じゃないかと。
なので特徴の描写があれば平凡なキャラでも魅力を感じるのではないか。
例えば「陰キャ男子高校生がトラックに轢かれて異世界転移」と「陰キャ男子高校生が人を助けてトラックに轢かれて異世界転移」だったら。
優しさを持つ後者は人助けなどハッピーエンドな展開が期待できるが、前者だと陰キャがサイコなのかいい人なのかも分からず、読者は頭に?を浮かべながら読み進める事になるのでストレスになるのでは。と思った。
バブル崩壊とともに終身雇用・年功序列が崩壊したストレス社会の令和平成では、「ストレスフリー」で読めるものの需要が多い(かった)のでWEB小説ではストレスフリーも大事らしい。
家電だってストレス軽減のために進化してるわけだし。音声認識とか夢だったよね。
なるほど、今の私は確かに重厚な世界感が描かれた小説は、よっぽど琴線に触れたか休みの日でもなければ読みたくても読めない。
個人的には「文章がストレスフリー」だけど中身は「ギャグ有りで読んだことがない設定」のWEB小説が読みたい。欲張りさんである。
今まで見た事のない設定の物語、沢山読みたいなぁ。
以上。おしまい。
次に、これから生まれて初めて小説を書く人に向けてちょっとでも参考になればと思い書き留めておく。
「平凡な主人公がチート能力をもらってTUEEEEE! する」こういった物語はすでに世に出尽くされており、WEB小説の流行りも「追放されたけどもう遅い」や「悪役令嬢転生」に移り、さらにそれまでもそろそろお腹一杯。という時期に来ているらしい。
なので「平凡な主人公」の物語を書くのであれば、オリジナルの設定がプラスされていないと、WEB小説古参読者層には読まれない可能性がある。
そしてまずタイトルでオリジナル性が見えないとクリックされない。
次にあらすじでさらに興味を引けなければ一話がクリックされない。
さらにさらに、一話で引き込まれないと続きを読んでもらえない。
さらにさらにさらに、五話までで「読み続けるかどうか」が決まるらしい。
そんな厳しい大航海に乗り出した拙作の、文字通り稚拙な戦略(もどき)を次話で振り返ってみる。
(ちなみに拙作では「俺TUEEEEE!」についての台詞がいきなり出てきますが、これは俺TUEEEEE! 系を批判しているのではなく、正確には「俺TUEEEEE! はもう名作が沢山あるから違う畑でやる」という意味です。
そもそも私がバトルの戦闘描写を書きたくても書けない。)