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外伝 「誰かと誰かの手紙」

〔ステファーヌ、ご機嫌いかがですか?

 桃簾とうれんは元気でございます

 

 実は、今回ステファーヌに相談があるのです

 ステファーヌは、愛してはいけないお方を愛したことはありますか?

 愛してはいけないお方を愛してしまったの

 愛とあらた家、妾はどちらを取るべきでしょうか〕




〔桃簾、お手紙ありがとう

 それにしても、桃簾は偉いな

 私は嫌気がさして、お家を捨ててきてしまったからさ

 ま、追い出されたと言った方が正しいかなぁ


 私としては、自分の意思が大事だと思う

 桃簾がどうしたいのかが一番大事だよ

 今ロクでもない生活をしている私が言えたことじゃないけど(笑)〕




〔お返事ありがとうございます

 ですが、やはり妾は、この恋が一時のものとは思えませぬ


 自分の心を信じてみることにします

 ステファーヌ、改めてありがとう

 心が決まりました〕




〔役に立てたのなら良かった

 桃簾には、本当に好きな人と一緒になって欲しかったからね


 そうだ、前に王国の城で桃簾を見かけた気がするんだけれど………

 まさか、王を愛したんじゃないだろうね?

 私の勘は、結構当たるんだ〕




〔返事が遅れてすみません

 色々と大変なことになりまして

 実は、そのまさか……なのでございます

 妾は王を愛してしまいました


 妾の体には、既にもう一つの命が宿っています

 けれど、もうどうしようもない

 この子の運命は覆せません

 妾はもう大罪人、故に手紙を書く頻度も減ってしまいます

 ステファーヌ、本当にごめんなさい

 

 そして最後に、一つだけ。

 なんで城にいたことをステファーヌが知っているのですか?

 しばらくしたら、妾の方から連絡いたします〕




〔そうか、もうしばらく手紙を出せないのか

 桃簾と話せなくなるのは、寂しいね〕













〔親愛なるステファーヌへ

 ようやく生活が落ち着き、手紙を送れるようになりました

 一応、報告だけさせてもらいます〕




〔本当かい?それは嬉しいね!

 これからは寂しくなくなるよ

 

 そういえば、北の国の友人が双子を産んだんだ

 そしたらなんかさ、東の国の貴族から、髪の毛と目の色が赤色とか白色じゃないかって聞かれたらしくて………

確かに双子のうち、片方は赤い髪と白い目を持つ子らしいんだけど、私の友達は、気味が悪くて答えられなかったみたい

 そりゃ、友達の髪の色も赤いからさ、馬鹿にされた気がしたんだろうよ


 ちょっと気になったんだが、東の国の人間は、なんでそんなことを気にするんだ?

 言い方によっては差別発言だぞ?〕




〔絶対に本当の髪の色を言っちゃダメ!

 妾の住む東の国では、赤色や白い色の……髪や目を持つ子供は縁起がいいとされています


 もう一度言うけど、絶対に本当のことを言ってはダメとご友人に伝えてくださいね?

 子供の目をくり抜いたり、髪を伸ばさせてその子の生首を斬って祀った事例まであるのですから

 誠を通すなど危険極まりない、嘘をついてでも隠し通した方がいいと思います〕




〔そんな風習があるのか?

 桃簾がそんな環境でちゃんと育ったことが信じられないよ


 ありがとう、その友達にはちゃんと忠告したよ

 そういえば、双子のもう片方も、髪は黒だけど目の色が白っぽいグレーらしくて………

 もしかして、白っぽいグレーもヤバかったりする?〕




〔それは大丈夫だと思います

 赤っぽいなら危ないかもしれませんが、灰色っぽい白なら安心ですね


 白は、東の国で汚れのない色だとされていますが、完全な白でないと意味をなさないので

 まぁ、気をつけるに越したことはありません

 妾も無事をお祈りしています〕




〔友人も安心したみたいだ

 本当に君が、桃簾がいてくれて良かったよ

 今までありがとう〕




〔今までって、どういうことですか?

 妾は無知なのでわかりません

 どうかご教授ください


 あと、少し自慢になってしまいますが、どうやら妾の子供は字が書けるほどに成長したようなのです

 わずか一歳で字が書けるなんて、妾は感動してしまいました

 いつか会えるようになったら、ステファーヌにも合わせたい〕






その手紙が自分の元に帰ってきた時、桃簾は泣き崩れた。

……………手紙だけでは、何も伝わらない。

明日から本編再開です!

お楽しみ(・▽・)

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