五十八歩目 「名前決めよ?(III)」
一昨日間違って二話更新して、昨日はすっぽかしてしまいましたー!!
sssssすみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ
くすぐりの刑だけは勘弁してくださいぃぃぃぃ
この王族二人は、なんだかんだお披露目が出来なかったため、世間に顔は知られていない。
だが……………華の一族、和の一族、ローズ家、スタンツェ家、アルバート家と言った家系の一部の者には、顔どころか、能力や性格まで把握されている。
考えなしに珍しい秘術を使ったり、感情のままに蔦を出したら危険なのだ。
ずっと何かから逃げている。
やっと幸せだと思えるようになったが、心のどこかで何かから逃げている。
皆が心配しないのを良いことに、怖がるのを良いことに、人を殺しすぎたのかもしれない。
崇めたてられることにも、怯えられることにも慣れてしまった。
部屋から勝手に出て、兄と血塗れで帰って来ても、誰一人文句を言わないあの日々に慣れてしまったのである。
兄を王にしたくない、兄は王に相応しくない、兄が怖い。
だが、人の心に土足で踏み入らないエティノアンヌとの関係は、エピンにとっては心地がいいものだった。
例え、会話ができなくても。
エティノアンヌとエピンは勿論だが、時雨も今までに大勢の人を殺した。
彼らは、どうしても埋められなかったものを、殺すことで埋めたのだ。
母さん……私のせいでごめん、私が秘術を継がなかったからだ、魔法を三つしか継がなかったからだ、もっと早くこの植物に愛される力が成長していればよかったんだ。
母上……一度でいいから撫でて欲しい、名前を読んで欲しい、一回でいいから一緒にご飯が食べたい、好きになって欲しい。
お母様……会いたい、声を聞いてみたい、あなたの顔を一度だけでも見てみたい、一緒にどこかお出かけしたい。
父上、なんで今更私に頼るんだ?
父上、なんで僕が王なの?
父上、なんでお母様を愛したんですか?
見たものは全て一瞬で覚えることができてしまった、沢山の本も、沢山の花々も、焼かれて存在した痕跡まで消された……たった一人の母親も。
他人より優れなければいけないのに他人より劣っている、そんな僕が跡継ぎと言うことは、相応しいか相応しくないか決めるのは、この体に流れている血と魔法なのか。
身分違いの恋は大体悲劇、許されることも絶対にない、恋は終わらせることができるが、吾輩が終わることは死を意味する。
さぁ、偽善活動を始めよう。
「まず、救出プランを考えなくてはいけません。どうやって助けるかもそうですが、手荒な手段になった時どうするかなどを話し合いましょう。」
「助ける方法としては、裏口から侵入して、ブレーカーを落とすのがいいと思う。あー、でもそれだと皆が気づかないから、正面突破して教祖様たちをどうにかするしかないかなぁ。あと、私は少し魔法使えるけど全部中距離。雁字搦めと、生誕魔法のキャンドラーだけ。ナイフがあれば自己防衛くらいはできるけど……あとで軽く見せようか?」
【僕は後衛向きだと思っていい
動きが鈍いし、昔も人形を使った偵察や遠距離担当だった
威厳の茨はあまり制御出来ないし、威厳の眼も体力を消費する
体術も武器の扱いもからっきしだから、華乱も全く役に立たない
属性魔法も大した攻撃手段にならないだろう
他の特殊魔法は全て身体的ステータスの向上と妨害向きだ
心眼は役に立つかもしれないが、相手の考えを読んでも避ける体力がなくて……】
「吾輩も、体術なら人より優れているかもしれませんが………魔法は好きでもないしそこまで得意でもありません。雨や水を操って、そのまま纏って殴ったり武器にしたりする魔法はあるんですけど………」
「え?!何それ、強すぎない?!」
「既存の水ならいいんですが、自分から生み出す水の量や、雨を降らせるのにも制限があるし、何より……………気分によって水の温度が変わっちゃうんですよね。」
「……………どういうこと?」




