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五十六歩目 「名前決めよ?(I)」

「どうする?」


「どうします?」




エワルと時雨は今、とても難しい顔をしていた。

二人は必死に何かを考え込んでいる。




「な、何…………し、て………る……の?」




エピンはエワルのために、感情を声に乗せた。




「私の新しい名前決めてるんだよ、あまり良い意味じゃないんだって。」


「なんていうか、多分エワルって〔売〕って文字からきてますからね。彼女自身は文字の形だけ覚えていたようで、文字を見せて他人に聞き、エワルと読むことを知ったらしいのです。まぁ、その読み方は間違いだったんですけどね…………」


「……………文字なんて書いたことなかったもん、不恰好だったのは仕方ないの。」


「あなたって…………頭はいいのに、反発の仕方が子供ですね。」


「も、もう!そういうのいいから、早く決めてよ名前!!」


「だから、吾輩はあまり西洋の名前に詳しくないんですってば。さっきも言いましたが、存在が法律違反なんです。」


「でも、私も名前なんて詳しくないし………」


「じゃあ………………若様、何かいい案ありませんか?」




困り果てた時雨は、エピンに丸投げした。




【僕?!】


「動物たちに名前つけてるじゃないですか、吾輩は若様って結構センスあると思ってますよ。」


【僕がつけたわけではない

 皆がそう名乗っただけだ、時雨が決めてくれ】


「そんなぁ…………………もしかして、昨日の写真のことまだ根に持ってます?」


【なんだか無性に時雨を殴りたくなってきたな】


「暴力反対、もう人は殺さないでくださいよ〜」


【簡単に死ねると思ってることに驚きだな】


「パワハラですよパワハラ、これ社会問題ですって。」


【雇用などに厳しいのは東の国だけだろう】




遊んでいる成人男性二人に、エワルは呆れる。

やはり、この人たちは頭のネジが数本足りていない。




「何してるかあんまり分からないけど………………夫婦漫才なら、私の名前決めてからやってくれない?」


「吾輩らは夫婦ではなく、兄弟ですよ…………あっ。」


「ど、どうしたの?」


「そうだ吾輩と若様兄弟だったwwww」


【笑うな笑うな、そんな調子では天国にいる父上に泣かれてしまうぞ】


「駄目ですよ、もう死んでる人の存在を殺した張本人の前で言うだなんて。…………確かに父上って、すっごく涙腺弱かったですもんね。天国か地獄で号泣してそう。吾輩ら兄弟には遺伝しませんでしたけど。」


【まぁ、確かに僕ら二人には遺伝しなかったな】


「というか、お兄さんたち兄弟だったの?なんか若様とか言ってたけど…………」


「弟と従者と栄養士…………まぁ、それらを兼業してますね!!」


【兄と主、あと住むスペースを貸してるから、お金取ってないけど一応大家?】


「…………なんか時雨だけ聞いても既に闇深そう、それより私の名前は?」


【エワルに近い名前が良いか?】


「若様が、エワルに近い名前がいいかと聞いていますが…………どうしますか?」


「それがいいかな。まぁ、意味はともかく覚えやすいから…………」




それを聞いてエピンは、一瞬で文字を書いた。




【じゃあ エイト で】


「エイト…………えっ、若様それはちょっと………」


「エイト?……………なんか雑じゃない?!一瞬で決めてたし!!」




一瞬で決められたその名前に、エワルは不満を抱く。

名前にこだわりはないが、あまりにあっさり決められるのは少し嫌だったのだ。

それを聞いた時雨も、エピンの考えがあまり読めないでいる、




「す、数字を言い換えた言葉を名前にするんですか………?」




エワルには、さっぱり意味が分からない。

確かに響きはいいが、一生背負っていく大事なものをそんな簡単に決めてしまうなんて…………




「なんでエイトがいいと思うの?」




エワルは心配になって、エピンに尋ねる。

だが、その心配は要らなかった。


エピンは素早く手を動かし、理由を書き始める。

そして描き終えると、二人にそれを見せた。

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