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五十五歩目 「大人って…………何?(IV)」

無知と、言いにくいことと、頭の良さ。

この三つのせいで、話の筋が全く見えてこない。



エピンは、何を思ったか突然奥の部屋に向かった。

そして、肩にエリーゼを乗せてくる。




「え、エリーゼに………話して、いる……と、おも………え……ば……………」




エリーゼの方を向いて話せば、人前でも多少喋れるようになるのではないかという試みだ。

エワルに自分の意思を伝えるための決死の策である。

相当辛いが、この一度きりだと思えば…………




「トル、トルテ……………な、なんで……………僕に………こ、ここ、恋…人っ……………い…る………知、って……?」


「え?仮面のお兄さん、トルテに恋人がいるって言ってないの?」




エピンは頷いた。




「トルテは仮面のお兄さんが言ったって言ってたよ?」


「言って…………ない!!」


「だ、だから驚いてたんだ。じゃあなんでトルテは知ってたの?仲が良かったって言ってたし、相手も知ってるってことだよね?」




二人は、トルテの方を向く。




「そ、それは……………」


「なんで見たことあるって嘘つくの?」


【じゃあこうしよう

 見たことがあるなら、僕の恋人のおおよその年齢を答えてほしい】


「わかりましたわ!!あれ…………ね、年齢?」




恋人をミミズクだと認識しているなら、年齢を答えることはかなり厳しい。

トルテは、エピンの思惑にまんまと引っかかった。

年齢をすんなり答えたら見間違い、または勘違いで………少しおかしい素振りを見せたら、恋人が鳥だと認識しているか、嘘をついていることになる。

エピンはエワルの思い込みを利用して罠を仕掛けたのだ。




「えっと…………と、年下………ですかね…………?」




動物だから年下だろうと思ったのか、トルテは少しぼかして答える。

どうでもいいが、それぞれの体感的にはエピンが十八歳、ヴィオローネが二十二歳なので彼女の方が年上。

ヴィオローネの体感している時間は彼の倍なので、エピンの体感年齢を追い越してしまったのだ。

彼女の前世の記憶を足したら……………………あくまで、ミミズクとしての体感年齢である。




「年下なの?」


「年下ですわよね?!」


【今は年上】


「い、今は年上ってどう言うことですの?!」


「え?今はって………………全っ然一途じゃないじゃん。」


「えぇぇぇぇ?!?!」


【すまない、言い方が悪かった】




脳内がバグっていたためか、とうとうエピンまで失言をした。

もう、ここまで来るとどうしようもない。

するとそこに、救世主が現れる。




「若様、申し訳ありません。ただいま戻りました。………………で、なんですかこの状況。」




時雨がようやく起きたのだ。




「あっ、お兄さん!二人が浮気してるかもしれなくて!!」


【トルテがなぜか僕の恋人について知っているんだ】


「こ、これには深い深い深いわけがありまして!!」





時雨は、何やらめんどくさそうな気配を察知する。

そして状況をおおよそ把握した上で、エピンに近づいた。

そして、耳に顔を近づける。




「若様……昨晩はお邪魔して申し訳ありませんでした。若様もあんなお顔をなさるんですね。思わず写真を撮ってしまったんですけど、後で一緒に見ます?」


「は……っ?」


「部屋のどこかにありますよ。」


「………………!!!!!」




エピンはあっという間に蔦に囲まれた。

彼は仮面をつけているその上から手で顔を隠し、階段を駆け上がって自分の部屋に逃げ込んでしまう。

それを見たトルテとエワルは、唖然とした。

エピンに彼が何を言ったのか、二人は気になって仕方ない。


時雨は、今度はトルテの方に近づく。




「トルテ殿、少々お耳を拝借して…………」


「なんですの?」


「もしかして、深夜………ここにお邪魔しましたか?」


「そ、それは………」


「そこで相談なんですが……………若様の乱れたお写真とか撮ってません?ふふふ……」


「は、はぁぁぁぁ?!?!?!……………わ、わわわわわたくし!!!そ、そんなこと致しませんわ!!!時雨さんの変態!!!!!」


「あら残念、半分は本心だったんですけど……………」




トルテは顔を真っ赤にして店に戻ってしまった。




「適当に嘘をついただけなんですが………お二人は単純で助かります。」


「二人のあのリアクションは一体…………お兄さん、何て言ったの?」


「お写真のお話をしただけですよ♪」


「へ、へぇ…………」


「単純で助かりますけど、予想通りでつまらないですね…………」




時雨がそう呟くと、エピンが猛スピードで降りてきた。



ドンドンドンドン!!




【先程の話を聞くに、僕の寝顔を取った写真があるのだろう?!

 今すぐ焼け!!今すぐだ!!!】


「若様!そんなに階段を駆け降りたら階段が可哀想ですよ。」


【そんなことはどうでもいい!】


「……………若様はやはり素晴らしい。そういう面を見せない心がけが素晴らしい。」


【どういうことだ?】


「ボロが出ないじゃないですか、若様は。アリバイはないのに、物事に全て証拠がない。先程驚いたのはミスか、それとも芝居か。」




時雨は、にっこりと笑う。




「あ、そうだ。エワルのような境遇の少女をもっと救いたいのですが…………偽善活動位いいですよね?一応王子なんですよ我輩達。」


【好きにすればいい、ただしもうこれ以上誰も殺すなよ】


「若様と若様の大事な人に何かがない限りは、そのようなことは致しません。さぁ若様、次のオクトーになりませんか?」


【オクトーは、確か大昔に子供を救ったとされる神の名前だな】


「はい。吾輩だけではオクトーになれませんから。若様あってこその時雨でございます。」


【良く言う】


「ふふふ………」




次やるべきことは決まった。

勿論それは………………罪滅ぼしの、偽善活動である。

相手のことを思っていても、偽善は偽善になる。



……………ってことで次回は外伝です!

かなり重要な内容で、気合いも入れたので、是非読んでいただけると嬉しいです!!

もし読んでくれたら、作者が喜びのあまり財布を買い換えるかもしれません。


あ、ちなみに………物語がひと段落つく時のなんか名言?迷言っぽいやつ、かっこつけじゃないですよ?

ここでひと段落つくよっていうメッセージですよ?

いや、毎回終わるたびに、ここでひと段落つくよって作者が言ってたら雰囲気壊れるかなって思って(?)


まぁ………色んなことは置いといて…………

では、明日と明後日の外伝!!お楽しみに(・▽・)

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