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四十六歩目 「愛したら駄目なのか?(III)」

予想外だ!!!!想定外だ!!!!

きっとあの娘にしてやられたに違いない。

薬をこぼしたのもわざとか?吾輩の味覚が優れていることもわかっていたのか?


若様に何かされたのは癪だが、とても高揚してしまう。




向こうに小娘とメイが見える。

………若様は威厳の目で、小娘の動きを一分間止めたのか?

ならもうすぐ動くはずだ。

早急に確保しないと。


だが、メイ殿を助けて最終的に小娘を捕獲すれば………あとは自由では?

夜中殺し屋や強盗が彷徨うろつくなんて日常茶飯事だ。

皆大きな音がしても家に引きこもるだろう。



…………少しくらい遊んでもいいよな。


メイ殿にあの小娘、あの二人なら絶対に想定外を生み出す!!賭けてもいいし、懸けてもいい!!!!




「メイ殿から助けるか。」




時雨は、素手で雁字搦めのロープらしきものを引きちぎった。

メイを抱えると、後退してメイを安全圏に置く。




「時雨さん…?」


「刺し傷……その程度なら手当てなど要らないな!あーはっは!!」


「えぇ?!というか、口調……荒いですね!!」


「今は秘術のせいで滾って仕方がないんだ!!!!あはははは!!!!」


「怪我結構痛いんですけど、治療……それよりエピンさんは?!」


「若様は家だ、安心しろ。ではあの小娘と戯れてくる!!」


「本当にどうしたんスか?!?!」




時雨は、一瞬でその少女の元に辿り着いた。




「な、なんでおきたの?!あれのむと、ふつかはおきないって……」


「くだらん冗談はいらない!娘、お前が若にしたことは許さん。」


「え、え………」


「さっさと向かって来んか。」


「エワルは……!」


「吾輩は享楽したいんだ、始めないなら吾輩から行かせてもらう。雁字搦めが使えるなら生誕魔法も使えるだろ。」


「ひっ!!」


「逃げたら半殺しにする、若からのご命令だ!!!」


「い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




エワルは、時雨に向かって紫色の炎のようなものを出した。

しかし、何故か突然雨が降ってくる。



ザーーーーーーーー



エワルの炎は消えてしまった。




「容易いな。」


「な、なんできゅうにあめが?!」


「吾輩の生誕魔法、雨の神。雨と共に仲間を回復したり相手を攻撃したりできる。」


「そんなせいたんままほう……あるの?」


「娘、吾輩の予想を超えろ。」


「……………?」


「薬を盛られた、だが今はその恐怖が全てお前への期待に変わっている。」


「いや……いや………」


「若様のあの症状………おそらく魔法を使った疲れが大半だから、きっとそろそろお目覚めだろ?さっさと本気で来んか!!今行けばお邪魔になってしまう。」




時雨は、心拍数が上がるのを感じる。

嘘だ、まだ怖い。

間違いなく彼女に対して恐怖を抱いている。

彼はそれを楽しいと思い込むことで、自らのことを必死に正当化していた。


もし盛られていたのが毒だったら………あの時と同じになっていたのだから。








その頃、トルテは眠れずにいた。

少し前まで、病院にいたからか?

いいや、ようやく自らが狂っていることに気がついたからである。



明日謝ろうと思っていたが、今すぐ謝らないと気が済まない。

時雨さんにもひどいことを言った。

どうしてあんなことを言ったのだろう?

まるで何かどこかで似たような出来事があったかのような………


彼女はこの大雨の中、謝りに行く決意をする。

迷惑は承知だ。

だが、早く謝らなければいけないような気がする。

何かが怖い、そしてそれが気のせいだとは思えない。




『今度は早く仲直りしますわ!!わたくしはあなたに好きになってもらう……』




頭に浮かんだのは、わたくしの言葉?

わたくしの、誰に対しての言葉?



トルテはそんなことを考えながら歩いていたが、眩しさを感じて正気に戻った。

エピンの靴屋……家についたのである。

まだ光が付いている、エピンは起きているのだろうか?


トルテはインターホンを押そうとしたものの、鍵が開いていることに気づいた。

雨が土砂降りだし、エピンが心配になってくる。

申し訳ないと思いつつも、トルテは勝手に扉を開けた。




「あぁ……はぁ、はぁ………」




エピンの苦しそうな声が奥から聞こえる。

なんとなく彼が一階にいるのは不自然だと思い、彼女は慌てて奥に向かった。

しかし、魔法を使えるエピンが危険な目にあう程の実力の持ち主ならば、勝つことなんてできない。


時雨もいないようだし、気をつけるべきだ。

彼女は慎重に奥に進んでいく。



彼女は、エピンを見つけた。

……しかし、トルテはそれを見て固まる。

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