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三十九歩目 「真相は闇の中?(II)」

エピンは、細い腕で必死にトルテを抑え続ける。




「見殺しに……しろ…!!!」




彼がそういうと、トルテは急に動けなくなった。




「か、体が……?!」




トルテの体の動きが止まった瞬間、エピンは秘術を手に纏う。

………攻撃の秘術だ。




バシュッ!!!




彼が手を下に振り下ろすと、彼女の体に傷がついた。




「や、やめてください!!!何をして……!」


「せいっ!!はっ!!」




バシュバシュッ!!




「ロベリアさんが本当に死んでしまいますわ!!!」


「やっ、はぁっ!!えいっ!!!」


「なんでそんなことをなさるのです?!?!」




ボロ…




彼女の体は、もうズタズタである。

エピンもかなり体を酷使したようだ。




「はぁ…はぁ………」


「ローズさん、なんでこんなこと……」


「馬鹿、だな……後衛……だった…のに………」




ドサッ




エピンは、力尽きて倒れた。

建物の外にいた野次馬は、その音に気づいて逃げ出す。




「何か音がしたぞ!!危ない!」


「逃げろー!!」




メイと時雨は騒ぎに気づき、慌てて二人の元に急ぐ。







「若様?!?!」


「な、何事ッスか?!これ……」


「わ、若様が!!」




時雨は、倒れているエピンを引き寄せた。




「すごい熱だ……また無茶をしたのか、本当に……!」


「トルテさん!しっかりしてください!!なんで動かないんですか?!どこか怪我でも……」




トルテは、苦しそうな表情で口を開く。




「さっき……ローズさんと目を合わせてから……体が動かなくて…!!」


「そ、それは……その時、若様が何か言いませんでしたか?」


「そういえば……見殺しにしろって言われました。ロベリアさんはまだ生きていたのに!」


「まさか秘術だけでなく、魔法まで使ったのか?!あの魔法は体にかなりの負担がかかるというのに……この方は!!!」


「なんでエピンさんはあんなことを……それより、これどうすれば……というか魔法なんですか?!」


「………はい、あと十秒もしたら解けますよ。効果は一分程ですから。」




時雨は、再び笑顔を作った。




「その人……死んでから三十分は経過してますよね。若様には殺せないと思ったのですが。」


「?!」


「貴殿は、一体若様に何を?」




少し不穏な空気が流れる。

メイはなんとなくそれを感じ、慌てて口を挟んだ。




「ま、まぁまぁ…トルテさんは気が動転していて……」




しかし、二人とも引き下がらない。




「わたくしは何もしていませんわ!ただ助けようとしていたのにローズさんが……」


「若様がこの魔法を使うまで追い込まれることなんて滅多にないはずです、不自然極まりない!」


「でも確かにロベリアさんを攻撃していました!」


「若様が……ここで人を殺すわけがないでしょう?!」


「なんでそんなことが言えるんですの?!」


「そ、それは………」


「言えないじゃありませんか!」




しかし、確かにロベリアは死んでいた。

トルテが狂っていたのは事実だが、エピンは何故あんなことをしたのだろう。

死体蹴りなんて、彼の趣味ではない。

わざわざ死体を傷つけてまで、何をしたかったというんだ?




「若様に信頼されていながら、若様を信頼しないのですか。」


「目の前でロベリアさんを殺したんですのよ?!」


「色々なことをご想像なさるのは勝手ですが、まぁいいでしょう。今は警察なんて当てになりませんから。」




時雨は、エピンを抱き抱える。

そしてトルテを睨みつけた。




「若様は吾輩が守る。」










『兄……上?』


『エピン、私たちは同じだ。』


『違う!!時雨は違うと言っていた!!兄上と僕は違う家系だって!』


『これを見ればわかるよ、君の写真をごらん。』


『僕の写真がどうかしたのか?』


『あぁ!間違えて私の昔の写真を見せてしまったようだ。』


『…………え?』


『よく似ているだろう?』


『こ、こんなの、偶然にすぎない!!』


『いずれ分かるさ。』




兄上が近づいてくる。




『好物や血液型だけではない。習得する魔法も、容姿も声も得意なものも似てくる。そして……』


『い、いや………』


『君は私と同じ道に行く、君が王になれるわけがないんだ。』


『僕は兄上を尊敬して……!!』


『〔デュフォース〕。』


『あ……あぁ……ひっ?!』




バシュッ




『お前も秘術が使えるようだな。』


『い、今は体が勝手に!!』


『次はこれだ。』


『や、やめて……兄上………』




グググ……




『人形も操れるか、将来は良いマリオネッターになりそうだな。』



やめて……痛い………



『エピン………知っているか?』


「な……に……………」


『王族は、王族特別魔法を制御できないんだ。』







あぁ、僕は今鏡を見ているのか?










「……………………!!」




エピンは、悪夢で目を覚ました。

それと同時に、全体的にもふっとしたものに触れる。




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