表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
181/205

百六十歩目 「里帰りする?(II)」

「だって、もう一人兄弟いるの隠してたんでしょう?」


「…………………あれ、それ誰から聞いたの?」


「えっと…………」


「まさか………リアから聞いたの?リアを脅して聞いたの?ねぇ?リアに何かしたの?リアを傷つけたの?」


「違います違います!!アリサ様からですよ!!しかも、向こうからほぼ一方的に。」


「まさか、アリアの目を盗んで、翡翠に?あーあ、ちゃんと手を打っておくべきだったか……………で、記憶は?まぁ、ノアのこと殴ってないから大丈夫だよね。」


「戻ってませんし、殴りもしません。けど……………吾輩に何かいうことがあるのでは?」


「はい、ごめんなさい………………確かに私は、翡翠に嘘を吐いていたね。まぁ一族に戻ってもらおうと思ってたし、ちょうどいい機会だ。和の一族に連絡を入れよう。」


「連絡とは?」


「東の国の一部の人々は、とある事件で君と音信不通になって三年くらい、ずっと君のことを国中で探してるから。電話かけたら繋がるよきっと。」


「……………えぇ?!」




翡翠は、とても驚いた。

一族の人間が、ずっと自分を探していることにも驚いたが………何より、三年間探し続けて、自分を見つけることができなかったことに、衝撃を隠せない。

たった一人の人間を見つけることができないなんて、探している人間の目は節穴なのだろうか?


実際の所、翡翠を捜索している人々は、彼を探す手がかりをほとんど持っていなかった。

見た目や背格好どころか、捜索している人々が知っていたのは、新翡翠という名前のみである。

彼は別の名前を名乗って生活していたので、見つかる訳がない。




「突然ですがお義父さん、今から和の一族に連絡を入れようと思うのですが、エレノアの性を名乗ってよろしいでしょうか?」


「構わないよ、もう事実上の当主は君だし。」


「ありがとうございます。」




プルルルルル………




「お電話ありがとうございます、こちら和の一族、連絡担当部の、田中と申します。」


「突然すみません。私は、エティノアンヌ・ヴィラール・カルティエ・クレール=マインドハート=エレノアという者です。現在、新翡翠殿を、こちらで保護していまして、そちらでお引き取りいただきたいのですが、日程に希望はありますか?」


「……………え?」


「荷造りも含め、こちらとしては、三日後くらいが望ましいです。」


「お手数ですが…………も、もう一度だけ名前を要件をお願いできますか?」


「エティノアンヌ。ステファーヌ・ヴィラール・カルティエ・クレール=マインドハート=エレノアという者です。現在、新翡翠殿を、こちらで保護していまして、そちらでお引き取りいただきたいのです。その日程を………」


「しょ、少々お待ちください!上に代わります!!」




保留音が流れる。


エティノアンヌは、流石にマズかったかと思い始めた。

色々面倒臭くて、思わず手っ取り早い手段を選んでしまったが、戸籍を作り直したのはついさっきで、まだ明確な地位があるわけではない。

翡翠本人の声を聞かせたところで、翡翠本人だと理解できる人間など、一人もいないだろう。













その頃、その情報は連絡部、伝達部、棟梁直属の配下を通して、棟梁代理の耳に入っていた。




「棟梁代理!!!」


「…………なんです?ま、そんな焦らんでもええじゃないですか。ゆっくり話してください、なぁ?」


「新翡翠様を、保護している人間がいるとの報告が、連絡部から入りました!!」


「それ、ほんまに?!」


「はい!信憑性は確かではありませんが………」


「その相手の番号は書きはりました?」


「はい、そして、今もまだ待ってもらっております!現在、返事を考えている最中でして……」


「…………………」


「………棟梁代理?」


「待て、まだ信用できひん。電話変わってください。」


「え、でも………」


「相手の名前はなんて?」


「えっと……………すごく長いそうです。」


「すごくなごうて………………まさか、それだけですか?」


「は、はははは…………はい!」


「まぁ、分からんもんは…………しゃあないですなぁ。とりあえず、蘭呼んでくれん?流石に、俺が電話出るのはダメです。とりあえず、蘭に出てもらいますわぁ。」


「わかりました!蘭羽らんう様に、至急電話の対応をお願いして参ります!!」


「あぁ…………言っとくけんど、俺も、蘭についていきます。やから、貴方について行きますよ?」


「了解です!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ