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百五十八歩目 「里帰りする?(I)」

「話は変わるが…………エティノアンヌ、アリアの好きな所は?あぁ、分かっているとは思うが、幾つでも構わない。少し気になって。」


「じゃあ、今度はお義父さんから、お先にお願いします!」


「とりあえず何個言おうか?」


「まずはとりあえず、三十個くらいにしましょう。」


「笑顔が可愛い所、努力を惜しまない所、歌が上手い所、一緒に料理をしてくれる所、果物に目が無い所、たまにピアスを落として焦っている所、怒っている時に限って噛んでしまう所、無邪気に燥ぐ所、なぜか突然めっちゃ顔赤くなる所、普段は嘘が上手なのにサプライズとかだとすぐにボロが出る所、とても聡明な所、たまに裾をつかんでくる所、悪戯好きな所、服が後ろ前でも気づかない所、寝言で俺の名前言う所、身長が高めなのを気にしている所、映画で大泣きするくらい涙もろい所、跳ねた髪を直すのに頑張ってる所、誰に対しても礼儀正しい所、足の指とかぶつけた時に報告してくれる所、萌え袖の部屋着が似合う所、お酒に弱い所、口を開けたまま寝てしまう所、グミを舐めるって言ってたのに最終的には噛んじゃう所、引き戸を必死に押して開けようとしてた所、ヘアアレンジが得意な所、稀に紅茶に砂糖を入れたのに入れてないと勘違いして更に追加してしまう所、好きなことに一日中熱中できる所、叱ってくれる所、あとは単純に鎖骨が好きだ。」


「なるほど!具体的でいいですね!」


「さぁ次は君の番だ。」


「はい。では………このノートをご覧ください。」


「このノート、さっきも見たような………」


「いえいえ!先程の日記と表紙は同じですが、内容は全然違います。」


「そうなのか。」




アントワーヌは、手渡されたノートを開く。




「リアちゃ……アリアのの写真集か!」


「……えっ?」


「………色が鮮やかだ。とてもよく撮れている。誠に素晴らしい!」


「違います、これ絵です。」


「は?」


「私が色鉛筆で描いたんですよ、良いなって思う瞬間の彼女を。」


「な、なんと…………」


「今回は三十個なので、三十ページまでめくってください。」


「…………この一枚目の絵のアリアは、一体何をしている?どうやら、櫛と髪留めを持って笑っているようだが。」


「私の髪を結びたがっている所ですね。この構図の元になったのは、一年前の十月三十一日の時に記憶した彼女なんです。」


「うんうん。」


「ハロウィンだったから、私の髪に、お菓子のアクセサリーをつけたがったんですよ。それがまぁ可愛いくて可愛くて!!」


「分かる!!!行事の時にはしゃいでいる姿は、普段の十億倍は可愛い。控えめに言って最高!!そのようなイベントの時は、この世の全てに感謝している!!!」


「そうなんですよ!!!」




一方、とても盛り上がっている、そんな二人の部屋のドアの向こうで、呆れ返っている人物が一人。

………………翡翠だ。




「(馬鹿同士が馬鹿みたいに馬鹿な話して、馬鹿が加速して馬鹿が馬鹿増している………)」




この話は、一体 何時いつになったら終わるのだろう。

翡翠は、エティノアンヌがアリアを愛し過ぎていることは把握していたものの、アントワーヌがサンマリアに過度な愛情を向けていることは全く知らなかった。

そのため、こんな長話になっていることは、正直予想外だったのである。


翡翠の心拍が上がっていく。

予想を裏切られ、本能的に興奮してしまったのだ。



高揚感に耐えられず、翡翠はドアを思いっきり開ける。




「談笑中の所、失礼致します!」




エティノアンヌとアントワーヌは、翡翠の方を見た。

一体…………どのような反応をされるのか、彼は楽しみで仕方ない。




「あぁ翡翠、急にどうしたの?」


「もし可能ならば…………吾輩、一族の元に帰りたいです!」


「え、なんで?!」


「どうしても、帰らなければいけないような気がして。」


「……本音は?」


「は?そんなの、エティノアンヌ様のことが、信用できないからに決まってるじゃないですか。」


「うわぁ普通に悲しいやつ。」

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