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十八歩目 「浮気とお菓子とヤバイ人?(I)」

「そういえば、お菓子を買いにきたお客様が、ローズさんに靴を作って欲しいそうで!こちらから伝えようと思っていましたの。」


【ありがとう

 で、お客様のお名前は?】


「わたくしの向かいのお菓子屋をやっている、ロベリアさんという方です。」


「あ、あそこお菓子屋さん二つあったの?!隣の隣の隣の隣くらいなのに把握してなかったッス……」


【メイ、正しくは隣の隣の隣の隣の隣だ。】


「え、隣何個?」


「お二人はお隣さんですものね。けどわたくしはお二人から少し離れていますし、把握できないのも無理ないですわ。」


【ロベリアさんが来るのは明日だろうか?】


「多分そうですわよ、できるだけ早めがいいと仰っていましたから。」




その後、ティーパーティーを終えた二人は、それぞれの家に戻った。

もう夜も遅い。








「おつかれ。」




エピンが家に帰ったり、靴作りを終えると、毎回ジャスパーとレナ以外の動物たちは大体お出迎えにくる。

しかし、珍しくヴィオローネの姿が見えない。




「ヴィオローネはどこにいるんだ?」


「みぃ!」


「向こうか、ありがとうリナ。」




彼は急いで鳥籠の方へ急いだ。

そして、彼女の元へたどり着く。

エピンの足音に気づき振り返ったヴィオローネは、青いエゾギクをくわえていた。




「あぁ、花言葉か……………………お前のような可愛らしいパートナーがいるというのに、僕が浮気をする訳がない。」


「キュウキュ。」


「というか、僕にそう言わせたいから持ってきたんだろう?僕の恋人は随分と欲張りみたいだ。」


「キュ………キュイキュイ!!」


「…………浮気しようにも、君以外の動物や人間には恋愛的な好意を一切感じないからな。」


「キュッ?!キュィィ………」


「もしかして妬いていたのか?」


「…………キュイッ。」


「素敵な花をありがとう。僕の部屋にある花瓶に飾っておく。」




自分のことを人間だったと信じてやまないこのミミズクと、少し話すことが苦手なこの人間は、ほとんどの者たちが知ることのできない特別な思いで結ばれている。










翌朝。

ロベリアが靴屋に訪れた。




「これであの女を……」




彼女には、強い野望がある。



コンコン



エピンがドアを開けると、気の強そうな女性が入ってきた。




「ロベリアよ、よろしく。」


【よろしく

 この文字が読めたら贈り物と言ってくれ

 読めるフリをされるのは僕も困る】


「贈り物。文字はある程度読めるし書けるわ、自分の名前以外書けない人が大半だけど、そうじゃなければお菓子屋に慣れないもの。」


【早速だが、どんな靴を?】


「足跡がつかなくて、足音がしない靴をお願い。」




エピンは、それを聞いて少しあの時の出来事が頭によぎる。

トルテの父は靴を悪用した。

もうあんなこと、二度とあってはならない。

エピンは不安になり、理由を聞いた。




【その靴を使う目的はなんだ】


「す、少し言いにくいことを聞くのね?」




ロベリアは気まずそうな顔をする。

エピンは、かなり嫌な予感がした。




「あいつ………あいつの………あいつの浮気調査よ!!!!」


「えっ?!」




予想外の答えに、エピンは思わず声を出してしまう。




【浮気調査?!】


「そ、そうよ!か、彼氏が女と二人で歩いてたの!浮気してるかもしれないでしょ?だから調べるの!………わ、悪いかしら?!」


【すまない】


「…………とりあえず、そういう訳だからよろしく。お金はちゃんと払うから安心なさい。お菓子屋の受付が終わったらお金を持って受け取りにくるわ。」


【了解した】




そして彼女は、靴屋を後にした。

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