百五十一話 「本性は?(I)」
アリアとエティノアンヌが、結婚の挨拶をしている一方、翡翠と少女は、アリサと、その妹たちに会っていた。
「リサの妹の、アマンディーヌとサンドリーヌよ。」
アリサとアリアとは違い、見た目がそっくりな双子が、そこにいた。
しかし………表情が全く似ていない。
少女と翡翠から見て、左側にいる一人は、満面の笑みだが……………右側にいるもう一人は、不満そうな顔をしている。
左側にいる方が、二人に挨拶をした。
「お嬢さんも、翡翠さんも、よろしくなのですよ〜♪アマンダは、アマンディーヌなのですよ〜♪」
「………………」
「サンドラも、挨拶しなきゃダメなのですよ〜?」
「………ウザい、サンドラ、そういうの興味ないの。」
「サンドラが、そんなこと言うなんて、アマンダは悲しいのですよ〜」
「好きにやってれば、サンドラもう行くから。」
サンドリーヌは、どこかに行ってしまった。
アリサは、少し複雑そうな顔を顔をしたが、すぐに明るい顔に戻る。
「ごめんなさいね、思春期ってやつかしら。いつものことだから……………あんま気にしないで。翡翠さんとこの女の子が来て、恥ずかしがってんのよ。」
「………分かりました。では改めて、新翡翠です。これからお世話になります。」
「……………………ねぇ、翡翠。ひとつ良いかしら。」
「構いません。」
「リサ、貴方とどこかで…………いや、気のせいね。なんでもないわ。」
「………は、はぁ。」
「とりあえず、貴方には部屋を用意してるから、アマンダについていってくれる?」
「分かりました。」
「この部屋なのですよ〜♪」
「ありがとうございます、アマンディーヌ様。」
「………………」
「どうしましたか?」
「アマンダでも、良いのですよ〜?」
「………申し訳ありませんが、最低限の礼儀は守らせてください。我輩が落ち着きませんので。」
「分かったのですよ〜♪じゃあアマンダも、翡翠サマって呼ぶのですよ〜!」
「どうぞ、お好きに。」
「…………と、とりあえず、アマンダはサンドラを迎えに行かなきゃなのですよ〜。なので、失礼するのですよ〜♪」
「はい、分かりました。では後程……」
「また、翡翠サマに会い来るのですよ〜♡」
アマンディーヌは、その場を後にした。
そして………彼女は、自分の部屋に立ち寄る。
バタン、ガチャ……
部屋の鍵を閉めると、アマンディーヌは笑顔の仮面を外した。
「…………アタシ、なにやってんだろ。」
バカみたい。
…………生誕魔法で、さっきの男の嘘を見抜いてたのに。
最低限の礼儀を守りたいなんて嘘、さっき聞いたから。
どうせ面倒臭いって思ってるでしょ、勝手に思ってれば。
「あーだりぃ、マジ整形してぇ。サンドラの方が余裕で可愛いし。あと喋り方キモすぎな、アタシ。」
さっきの人、なんかアタシに似た目してたな………全部分かっちゃったヒトの目してた。
同類かも、ううん多分同類。
あーゆー感じのヤツ、いっぱい見てきたから、なんか分かる。
あー、アタシってマジで生きてる価値なさすぎ。
お姉ちゃんは、アタシが知らない妹を、アタシよりずっと愛してる。
サンドラは甘え上手、持ってた魔法も生かして、なんか上手くやってた。
なんでアタシだけ、こんなゴミみたいな人生送ってんだろ。
唯一長所があるなら、顔と声?
世間一般に見てアタシが、めちゃロリボの超絶美少女だってことはわかった。
でもその顔と声、サンドラも持ってるから(笑)
なんなら、他の人たちも持ってるから(笑)
サンドラは努力できるから、頭良いし、なんでもできる。
サンドラの方が顔可愛いし、サンドラの方が声可愛い。
笑ってる間は、アタシの方が…………いや、サンドラと同じくらい可愛いんだけどな。
まぁ、作ってるアタシと、素のサンドラがほぼ同レベな時点で……………サンドラの方が凄いってこと(笑笑)
「……………いや、笑えなすぎ。」
えっと、カッターどこにあったっけ。
そうだそうだ、ドレスん中だわ…………たまには、やっても良いでしょ。
あれ、いつ切りたくなっても良いように、ポケットに入れたはず…………
ジッパーついてるし、落とすとか有り得なくね?!
マジでどこやった、待って?!