表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/205

百六歩目 「作り直そっか?(I)」

「それと…………少し話は逸れるんだけど良い、かな?」


「はい、構いませんよ。」


「実は、目………復元したんだ。」


「え、あんなにずっと、そのままだったのに……」




エティノアンヌは、アイパッチを外す。

彼の右目の模様を見て、彼女は目を見開いた。




「その、模様……………」






挿絵(By みてみん)






「真面目な話がある。」


「……………ちょっと頭が、追いつか………ないです。」


「母さんは、どうやら……心の一族を捨てて、私を育てたみたいなんだ。アリアの頬の模様………気になってたんだけど、どうしても目のことが言えなくて。」


「…………………」


「出会った時は言う必要っていうか、寧ろ言ったらダメだったからさ…………もっと早くいうべきだったけど、本家と分家……自分がどっちの生まれか、分からないし、アリアと何かあったら嫌で。いつか言おうって、思ってたら………数年かかっちゃったね。」


「ノア……」


「……ごめんね。」


「結構びっくりはしましたけど、大丈夫ですよ。何か力になれることがあれば……言ってください。」


「ありがとう、じゃあ早速だけど、力を借りようかな………アリアは、ステファーヌって人を知ってる?私の母さんの名前なんだけど、聞き覚えがあれば。どこかの親戚だったりしない?」


「うーん………聞いたことがあるような、ないような。」


「なんとか思い出せない?」


「すみません、なんてったって相当昔ですから……ノアみたいな記憶力もないし。」


「そっか……じゃあ、アントワーヌって人なら知ってるかな?母さんの手紙に、この人を頼れって。」


「アントワーヌですか………」


「やっぱり、そう簡単には分からないね………」


「あの………アントワーヌって、お父様の名前ですけど。」


「…………え、本当に?!」


「私のお父様の名前は、アントワーヌ・ヴィラール・カルティエ・クレール=マインドハート=エレノア。お父様は現在、エレノア本家の当主をしています。」


「家名長っ………というか、エレノアってことは、アリアとアリサのお父さんってことで良いんだよね。」


「はい、そうですけど………なんでお父様のお名前を?」


「母さんの手紙に、我が弟であるアントワーヌを頼れって書いてあったから………」


「あぁ!そういえば昔…………お父様が、〔自分の生誕魔法なんて、なければ良かった〕………と言っている理由が知りたくて、お父様に直接聞いたんです。そしたら、 ”姉” が火炙りにされている所が急に流れこんで来たから、そう言いました……………他にも、一族の人間が大怪我した情景が、流れ込んできたことを聞きましたけど、父に姉がいたことは確かです!」


「火炙りで死んだ…………母さんの死に方と一緒だ。」


「あっ。す、すみません……!」


「いいや、良いよ。」


「はい………というか、これって……………」


「はぁぁぁぁぁ……まさか、まさかこんなに近い関係だったとは。」




彼は、ため息をついた。

危険を背負ってでも、アントワーヌに一目でも会い…………母が亡くなったことと、自分が元気であることを伝えよう。

………この手紙を読んで、そう思っていたのに。


〔アントワーヌは、この手紙を見せれば、どんなことがあっても力になってくれると思うよ〕、手紙の中の一文には、そう記されている。

だが、いくら姉の頼みがあろうと…………娘を切り刻み、娘と事実上結婚しているような人間を、そう簡単に認められるのだろうか?

アリサには何故か、嘘を見抜く力があるようだし、いい加減なことを言うことは不可能だ。


ただでさえ、エレノア家を恐れていたというのに、自分がエレノア家の生まれだなんて。

馬鹿げてる!こんなの、馬鹿げてる!!



エティノアンヌを、得体のしれない震えが襲う。




「ノア、めっちゃカタカタ震えてますけど、大丈夫ですか?」


「逆にリアは大丈夫なのか?!」


「さっきから驚いてばっかりだったから………結構、慣れちゃいました。」


「それにしたって………ノア達、従兄妹だったんだよ?!」


「うん、まぁそうなんですけど………ちょっと嬉しかったから。」


「…………?」


「………なんか、近所のお兄ちゃんみたいだなって!」


「待って……ここに罪悪感加わると、収拾つかないから……待って……」


「あれ……私、今なにか言ったらいけないこと、言いました?」


「お兄ちゃんは言っちゃダメ!!その、近所のお兄ちゃん扱いされると、罪悪感が…………」


「確かに、すみません………わ、わかりました。」


「それに…………ちゃんと男として見てもらえてるのか、不安になる。」


「大丈夫ですよ、ちゃんと見てますから、ちゃあんと。」


「それより……………あぁどうしよう、これからどうすれば良いんだろう。」


「しっかりしてくださいよ。ノアをなんとかできるのは、ノア……貴方だけなんですから!」



アリアは、頭を悩ませている彼に、喝をいれた。

これからを決めるのは、もう………彼女だけではない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ