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九十七歩目 「ちょっと言いにくくない?(III)」

エティノアンヌは、賢すぎた。

彼は、普通の人なら不可能だと諦める状況から、可能性を見出せてしまう。


一度聞いたこと、見たもの、知ったことを忘れたことなんてない。

会った人の名前なども全員覚えている、殺した人の名前も全員。

かつていた医務室の人たちに教えてもらったこと、読んだ医療の本にあった知識は、全部覚えてしまった。

それどころか、王城にある本を全て読みつくし、その膨大な内容も全て記憶している。


その頭にある膨大な知識を、どうやって使うか判断する力もあった彼には、できないことなどほとんどなかった。

知識だけではなく、単純な頭の回転も良く、運動もでき体も頑丈、その上見た目も美しかったからだ。


完全にアリアを救うのが不可能だと証明することはできない。

この魔法があればなんとかなるかもしれない。

そう思いながら、彼は必死に、行き場のない後悔や罪の意識、不安などを押さえつけていた。




『あぁぁぁ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……………』




天才はいつだって孤独だ。

天才には、理解者なんていない。


別に、それでよかった。

大事な人が死んでも、しばらく経てば、もう苦じゃなくなっている。



それなのに、ここにいるのは、彼女を必死に助けようとしている自分。






本当の孤独を知った。

きっと、本当の孤独は、 ”話せる人間が誰一人、周りにいないこと” なのだろう。






………………彼女を助ける理由は?

救いたいのか、その罪から少しでも逃れたいのか、もうとっくに正常な思考ができないのか。

理由は、きっとそれら全てだった。




















『あれ………リアは…………』


『アリア!!』


『…………………』


『私のことが、見える?』


『は………はい。』


『良かった………あ、そうだ、立てる?腕も動かしてみて。拒否反応は出てない……良かった、大丈夫だ。』


『え、これ、なんで………リアの体…………』


『私が、なんとかした………完全に修復できたかは、わからないけど。』


『治してくれたんですか?!あの怪我を………す、すごい!!』


『ごめんね、本当にごめんね、アリア………でも、良かった。これで…………………』




ドサッ



エティノアンヌは、ベッドに寝ているアリアの布団の所に、座ったまま顔から倒れ込んだ。




『エティノアンヌ様?!』


『…………………』


『ね、寝てる………』




アリアは、まだ動きにくい腕で、彼の腕を撫でる。




『エティノアンヌ様の腕、前見た時より、すごく細い。さっき見たけど、顔色も真っ青だった……………あれ、ここどこ?』


『…………………』


『起きてから聞こう。きっと、リアと同じくらい………痛くて、辛かったんだろうな。』




アリアは、まだ眩しさを感じる目で、キョロキョロあたりを見渡した。

そして、床に落ちている何かを見つける。

とてもよく見えるその目のおかげで、それがカレンダーだと気づいた。


欠損した体の部分を治してから、もう二日経っていることと、ここに来て二週間経っていることが、ボールペンで乱雑に記されている文章からわかる。

彼女は二週間が経過していたことにもとても驚いたが、たった二週間で、こんな大怪我の治療が可能であることの方が驚きだった。

期間もそうだが、手足や目を作るのは不可能に近く、周りを見渡す限り必要な道具もない。

植物の部分を使用して治療をおこなったのだろうか。



エティノアンヌに押さえつけられ、その弟の王子にひどいことをされたことは覚えている。

だが、朦朧な意識の中で…………泣きながら、〔もう二度と自分に負けない、洗脳されない〕と、エティノアンヌが言っていたことも、うっすらと覚えていた。


ずっとこの人の近くにいたい。

自分の間違いを正し、誰かのために全力を尽せるこの人の姿を、これからもずっと支えたい。

エティノアンヌ様の従者で、本当に、本当に良かった。


この時、アリアは、心からそう思ったのである。









そして互いが色々なことを許し、互いを思った結果、二人はお互いに主従を捨て去った。

一緒にいるためだけに、感情さえも制限したのだ。

…………これ以上、ここにいたら感情を持ち過ぎてしまう。




「相談しないといけないし……………ケーキ、持って帰らなきゃ。」


「ふざけるな!!あの子の遺体が存在しないって、どういうこと……」


「よし、これでもう動けない、かな?」


「…………あれ?」




アリサの体には、いつの間にか植物がまとわりついていた。




「感覚を切り離して、と………………植物で縛ったはいいけど、これからどうしよう。」


「ちょっ……これなんだ?!解いてくれ!!」


「もう帰るからダメ。あ、お客様の分買うの忘れてた………流石にあのお金、ケーキ三つ分はあるから、足してもらえばいっか!」


「解け!!こんのっ……」


「……………逃げるしかないけど、こんな危険人物を放っておいたら大変なことになるかも。」

次回からは外伝です!

…………けど、その前にちょっと、遊んでいいですか?



感情さえ持てなくなった彼らがたどり着く先、それは幸せか、それとも不幸か?

闇に包まれた王国の謎が、今、解き明かされる………


20XX年、公開未定!!!!!




すみません、こういう映画の番宣?みたいなやつやってみたかったので勝手にやりました(・▽・)

暖かい目で見守らなくても大丈夫です、どうか生暖かい目で蔑んでくださいませ。

これからもよろしくお願いしますm(_ _)m

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