サトミの力
研究室の机に男がトランクを置いた。
(これでどうですか?)
莫大なお金が二人に目の前に置かれる。
(これで娘を売れというのか?ふざけるなゴミクズが!!!自分たちの子供を売る親がいると思っているのか!!!)
父親が机に置いてあったお金を投げ飛ばした。隣にいた母親は泣きながら白衣の男に訴える。
(あなた達、子供を何だと思っているの!?一体何が目的なのよ!!!)
金髪で髪を後ろにくくった白衣の男は息を吐き答える。
(あの子は世界を滅ぼす力を持っている。その力を手に入れようとする欲深い連中に狙われるのはもちろん、世界を守る人間からあの子を処分しに追うだろう。そしてもしあの子が自分でその力を制御できなかったらどうなると思う?
罪もない人間も世界も滅ぼしてしまうんだよ。まぁそれ以前に彼女がもし逃げたとしても罪もない人間に被害が向くのは必然ですけどね。
私たちにあの子を預けて頂ければそのような危険から守ることができます)
父親と母親は白衣の男の言葉に何も言い返すことができなかった。
(あんた達の言い分はわかった)
(分かっていただけましたか?)
(今日はもう帰ってくれないか、二人とも研究で寝ていないんだ)
(わかりました。ではまた後日こちらにお邪魔させて頂きます。では)
そう言うと白衣の男は部屋から出て行った。
(あなた、このままじゃサトミがあいつらに)
(わかっている!あいつらもどう見てもサトミの力を利用して世界を支配しようとしている)
(ほ、本当にどうすれば・・・)
夫の腕を掴み泣き崩れた。
(このままではサトミは間違いなく奴らの手に渡ってしまう。一か八かだ、タイムリープの薬を使い、サトミを安全な時代に送り込む)
(でもあれはまだ片道しか行けないんじゃ)
(サトミは出来る子だ、例え全世界がサトミの敵だとしても私たち以外に必ず運命的にあの子を守ってくれる人間が現れる)
(わかった、あなたとサトミを信じる)
夫婦は隠してあったタイムリープの薬を引き出しから取り出しサトミの部屋をノックした。
サトミが小さな声で返事をして両親は部屋に入り全員で家族会議をした。
すべてをサトミに話すとサトミは両親の前で涙が溢れていた。
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