飛行機事故
ユウトは彼女に突然口にする。
「サトミ・・・?」
「え?」
「あれどうしたんだ俺?なんで」
自然と名前がでた。彼女は目から涙が潤み椅子から立ち上がりユウトに抱き付いた。
「ちがうんだ、勝手に口から名前が出ただけで」
「ううん、大丈夫だよ、会いたかった、本当にもう会えないかと」
しばらくして彼女が泣き止みユウトと彼女はお互いが正面を向くように椅子に座った。
「これは一体・・でももうただの夢ではないな、君は一体?」
「あなたがさっき呼んでくれた名前、サトミです」
「聞くんだけどその右手に持っているアクセサリーって俺のだよな?」
「そう、正解、さすがユウトくん」
サトミは微笑みながら言うとユウトは「そっか」と不思議な出来事ばかりで混乱している頭の中を整理していた。その前に彼女の言葉に疑問を感じた。
「ん!?なんで俺の名前を知っているんだ!?」
「ちょっと待ってて」
サトミは椅子から立ち上がりフードコートにある本棚から本を一冊を持ってきた。
様々な記事が書かれている雑誌だ。サトミは椅子に座りユウトを真剣な目で言う。
「これから見る記事を見た時、あなたはさらに混乱してしまうかも知れない・・・大丈夫?」
サトミの言葉にユウトは唾を飲みこんだ。
「大丈夫だ」
と答えるとサトミは雑誌を開き、ある記事を指を指しユウトに見せた。
飛行機墜落事故に関する記事だった。これがどうにかしたのか?と訊ねるとサトミは「これ」と悲しそうな顔をしながら指を下に移動させた。その指を目で追うと犠牲になった人たちの名簿が書かれていた。
名前と年齢の隣に死亡と書かれているのが長く続いているのを見ていくと消息不明になっている人物がいた。
視線を消息不明の隣に書かれている名前をみたとき、この雑誌を疑い、ユウトは硬直し言葉を失った。
[谷町 ユウト(18) 消息不明]
自分の名前だった。一体どういうことなんだ?
今いる自分は誰なんだ?
ユウトは何も言葉を発せないまま、椅子から床に倒れ込み気を失った。
サトミは焦ってユウトに駆け寄った。
ユウトと名前を何回も呼ばれるがその声はどんどん遠のいていった。
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